「服が売れない」のは当然
2014年12月15日 未分類 0
一昨日の土曜日に、何を思ったのかメンズノンノの編集者であるH條氏が「久しぶりに一緒に呑みたいから」という理由だけでわざわざ大阪くんだりまで出向いてこられた。感謝である。
で、今月号のメンズノンノもいただいてしまった。
一応、これでも毎月何冊かはファッション雑誌に目を通すようにしているのだが、ファッション雑誌の活用法というのは一般的にはどのようなものなのだろうか。
個人的な活用法を晒させていただくと、筆者は貧乏なので、掲載されているブランドをそのまま買うことはできない。貧乏は今に始まったことではなく、バブル崩壊後から働き始めているのでずっと貧乏であり、貧乏歴は20年くらいになっている。
筆者は、ファッション雑誌に掲載されているコーディネイトを参考に似たようなアイテムをすべて格安ブランドや投げ売り品で実現するようにしている。
最近はあまり雑誌を参考にしたコーディネイトをしなくなったが、働き始めた当初はけっこういろいろなコーディネイトに挑戦していた。(多くは徒労に終わっているのだが)
雑誌のコーディネイト例だと、トータルで10万円超えも珍しくないが、そんなことは脆弱な財政基盤では不可能であるから、なるべく似たようなアイテムをユニクロ、無印良品、ライトオンで調達をする。
その際、定価ではなくセール品か投げ売り品を買う。
この数年、定価で購入した衣料品はない。
あと、補助的にGAP、オリヒカ、レイジブルー、チャオパニックティピー、スーツカンパニー、ジーンズメイトあたりのセール品と投げ売り品を使う。絶対に定価では購入しない。
ざっとそんな感じである。
これだとトータルでもせいぜい3万円程度だし、場合によっては1万円くらいのときもある。
薄着をする夏場だと靴まで合わせても1万円未満のときもざらにある。
防寒着を着用する冬場でも全身合わせて2万円未満の日がほとんどである。
たぶん、所得の多い方は雑誌に掲載されたアイテムをそのまま買っておられるのだろうが、所得が伸びていない若年層の多くは筆者と同様の活用法ではないかと考えている。
以前にも書いたが、某インポートカジュアルブランドの担当者が「最近はファッション雑誌に掲載しても反応が薄い。身の回りの若い子をリサーチしてみると、ブログを参考にしていることが多かった」とおっしゃっていたが、おそらく掲載アイテムの価格と、自分たちの可処分所得とに大きな差があるため、雑誌をあまり参考にしなくなった部分もあるのではないかと推測する。あくまでも一つの要因として。
普段はあまりコーディネイトブログなんて読まないのだが、ふとした拍子に見てみることがある。
低価格品を使ったコーディネイトブログは割合に多く存在し、写真で掲載されているコーディネイトも上手いものが多い。
それでいて、一品あたりの価格は数百円から数千円程度だから、親近感もある。
たとえば、このまとめ記事。
プチプラオシャレ大好き!『UNIQLO(ユニクロ)gu(ジーユー)しまむら』を着こなすブロガーまとめ
http://matome.naver.jp/odai/2140772746436653901
ここに掲載されている写真を見るとコーディネイトは上手い。
普通に生活するならこのレベルのコーディネイトで十分ではないかと思う。
それにこれらをパッと見て「ユニクロだ」「低価格ブランドだ」と分かる人はほとんどいないだろう。
さすがにウルトラライトダウンはすぐにわかってしまうが。
格安商品を着続けていて気付いたことがある。
20年前と比べると現在の格安ブランドの商品は見た目が圧倒的に良くなっている。
いわゆるそこらのブランド品と変わらない。
それは色柄だけのことではなく、シルエットやディテールなども含めてのことである。
20年くらい前だと色柄は良かったとしても、シルエットが違っていたりとかちょっとしたディテールが異なることが多かった。だから「やっぱり安物はダメだ」ということになったのだが、現在はその差がほとんどない。
そのブランドが多くの人から憧れを持たれているなら別だが、そうでないなら、多くの消費者にとっては、「似たようなものなら安い方で良い」ということになってしまう。
だからブランドの服が売れない。
12月10日の繊研新聞の一面に、「服が売れない」という記事が掲載された。
今秋冬物は全般的に苦戦傾向にある。
それでも中には売れているブランドもあるし、低価格ブランドはそれなり好調である。
売れているブランドは、多くの消費者に「憧れ」を何らかの方法で提供しているのだろうし、低価格ブランドは上に書いたような理由でそれなりに好調を維持していると考えられる。
結局、「服が売れない」と叫んでいるブランドは、低価格ブランドを越えるような価値を提供できていないということになる。
物のスペックだけの打ち出しでは売れない。
また、「トレンドをいかに早くキャッチしたか」というのも、それのみではあまり効果はない。
なぜなら、早晩他ブランドに追いつかれてしまうからだ。逆にいうとそれもスペックの一種ともいえる。
「世界最大の〇〇」があっというまに他の施設に追い抜かれて価値がなくなるのと同じである。
そんなわけで、服が売れないのはある意味で当然ではないかという結論に達してしまう。