他社と自社の区別ができない
2014年12月16日 未分類 0
なんだかんだで産地企業の人と話す機会に恵まれているのだが、3回に1回は驚かされることがある。
例えば製品ビジネスに関して話したときのこと。
某産地企業が有名なA(仮名)ブランドの商品をODMしている。
ODMとはデザインから生産までを請け負うことで、生産のみを請け負うOEMよりもさらに丸投げ度合が進んだ状態といえる。
で、そのノウハウを生かして自社オリジナルブランドも開発したいらしいが、「ブランド」のとらえ方を根本的に間違っていることがわかった。
ODMでもOEMでも構わないが、他社ブランドの製造を請け負っていることを指して「当社はすでにオリジナルブランド展開をしている」とは世間一般的には言わない。
ODMもOEMも他社ブランドの下請け業務にすぎない。
もちろん、その産地企業にデザインや製造のノウハウは蓄積されているが、Aブランドはその産地企業のブランドではない。
あくまでもA社のブランドである。
仮にAブランドのラベルをはがして、産地企業のラベルを取り付けたなら、同じだけの個数が売れるだろうか。
まったく売れないだろう。
多少は売れるかもしれないが、何千個・何万個とは絶対に売れない。
それだけの個数が売れるのはAブランドのラベルが付いているからである。
産地企業が「Aブランドと同じ素材、同じ技法で作っている」といくら叫んだところで無駄である。
産地企業をB社(仮名)とする。
多くの消費者はAブランドの商品が欲しいのであって、同じ素材・同じ技法・同じデザインであってもBブランドは欲しくないのである。
売れているのはAブランドを展開するA社の力によるものである。
欲しくない理由は単にB社の知名度が低いからで、海の物とも山の物とも知れない製品をわざわざ欲しがる消費者はそう多くはない。
過去に何年間もODM・OEMを請け負ってきたとしても、残念ながらB社にはオリジナルブランドを販売するためのノウハウは蓄積されていない。
蓄積されたノウハウはデザインと製造に関することのみであり、デザイン・製造することと販売することのノウハウは別物である。
いくらデザインが良くても売れない物は売れない。
デザインが良いだけで売れるなら、世のデザイナーズブランドはもっと売上高を伸ばしているはずである。
ここの区別がつかないのなら、正直に言ってこのB社のオリジナル製品販売という計画は相当に苦戦するだろう。
苦戦どころの話ではなく、事業そのものが開始できるかどうかすら怪しい。
仮に開始したとしても早晩事業は廃止せざるを得なくなる。
B社経営陣の問題は他社ブランドと自社ブランドの区別がつかないところにある。
その認識でブランドビジネスを開始すれば、下手をすると訴訟沙汰になる可能性も低くない。
しかし、話を聞いているとこういう認識を持っているのはB社に限ったことではなく、何社かそういう産地製造業がある。
オリジナル製品化をするのは産地製造業の生き残り施策の一つとしては不可欠といえるが、こういう認識がまかり通っているなら実行はほぼ不可能だ。
そんなことも含めて定期的に勉強会とかセミナーでも主催してみようかなどと考えている。
どれくらい要望があるのかわからないが、ちょっと企画してみたい。
もし、要望や仕事の依頼があるなら、minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp までご連絡いただきたい。