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南充浩 オフィシャルブログ

30年ぶりに「レーヨン混のソフトジーンズ」を復活させてみてはどうだろうか?

2023年11月8日 トレンド 1

今秋冬物を店頭で見たり、ネット通販で見たりしていると、ワイドパンツよりもさらに太いスーパーワイドパンツやバギーパンツがさまざまなマスブランドから発売されていることに気が付く。

その一方で、21年頃から昔のベルボトムやブーツカットに比べると太ももに少しゆとりがあるフレアパンツが新トレンドとして登場して今秋冬に至る。

その一方でメディアでは「死んだ」と勝手に殺されているがスキニーパンツもいまだにマスブランドの商品構成では健在である。

太いのから細いのまであらゆるシルエットが混在、共存しているのが今の国内のトレンドといえ、2000年代後半までほどにはどのトレンドも一極集中することがなくなった。

ブランドやアパレル企業にすると、対応が難しい時代になっているといえる。

特定の大ヒットアイテムが生まれにくくなり、ファッションにもさまざまな分野があり、各分野ごとにそれなりの客数がいるから、ブランドや企業は全分野を網羅したような商品を投入しにくくなっている。

昔だったら、ビンテージっぽいジーンズとか美脚ブーツカットパンツとかミニスカートとか特定のアイテムを各ブランドは集中的に投入することで売上高を稼ぐことができた。

 

ワイドパンツがさらに太くなったスーパーワイドパンツは目新しさを感じるが、これを好まない人も相当数いてこれを穿かないだろうから、全体的なビッグトレンド品になることはないだろうと思う。

ただ、ワイドパンツも完全に復活し定着したということには間違いないだろう。

 

2010年代半ば以降、過去の様々なファッショントレンド品が順次復活している。

例えば、バブル期ファッションとして悪名高かったルーズシルエットトップスが大復活し、一つのジャンルとして定着してしまっている。

今秋冬だと一時期はオワコン扱いされていたカーゴパンツが大復活している。またヘソ出しのY2Kなんかも2000年ごろのリバイバルだし、その源流は70年代のリバイバルになる。

これほど様々な過去のファッショントレンド、ファッションアイテムが復活していて、なおかつワイドパンツが一定の定着を果たしているのに、いまだに復活する気配がない物がある。

それは「ソフトジーンズ」である。

一般的にはレーヨン混ジーンズといえばわかりやすいだろうか。90年代前半にボブソンが「04ジーンズ」というネーミングで発売し、ボブソン史上最大のヒット作となった商品である。

当然他の4大ブランドも追随した商品を発売していた。

リーバイス、エドウイン、ラングラー、ビッグジョンもソフトジーンズを発売していて93年ごろの「メンズクラブ」には5大ジーンズブランドのレーヨン混ソフトジーンズが大特集されていた。

 

レーヨン(モダールやテンセルなども含む)は、業界的に言う「トロみのある」しなやかなドレープ感に特色がある。このため、細身パンツよりはワイドシルエットや少しゆとりのあるシルエットのパンツに使用する方が適切だといえる。

それこそ、ワイドパンツがある程度定着化した今こそ、ソフトジーンズを復活させる好機なのではないかと思う。ボブソンなんて「04ジーンズ」を大々的に復活させてみても面白いのではないだろうか。

 

レーヨン混(モダール混、テンセル混なども含む)のパンツが今まで皆無だったわけではない。それこそ毎年ある程度、各ブランドからスラックスタイプも含めてそこそこ発売されている。

先日、ドットエスティで1900円くらいに値下がりした黒いスラックスを買ったがレーヨン混だった。

また、生地製造の分野でも福山の篠原テキスタイルはデニム生地とともにレーヨンデニム生地の製造工場として業界内ではそれなりに認知されているから、生地ベースでもそれなりに製造・出荷されていたことは間違いない。

昨年、ベイクルーズストアのアウトレット品を買ったが、これはレーヨン混デニムシャツだった。

 

こんな具合にレーヨン混生地を使用したアイテムは毎シーズン各ブランドから普通に販売されているが、90年代前半のように「ソフトジーンズ」と銘打って大々的にキャンペーンされることは、2000年以降無かった。少なくとも当方が知る限りにおいては無かった。

2000年代半ばまでなら、ソフトジーンズ全盛期を記憶している人も多いし抵抗感があっただろう。また、2015年まではスキニーパンツに代表されるようにトップスボトムスともにピチピチタイトシルエット一辺倒のマストレンドだったので、レーヨン混生地は真価が発揮されにくかった。

しかし、もうすぐ2024年。

ソフトジーンズ大ブームからすでに30年が経過している。あの当時、20代前半だった当方はすでに50代前半に老いぼれている。当然、今の20代・30代はソフトジーンズを知らないから、復活させればある程度は新鮮に映るだろうう。

そしてレーヨン混生地が真価を発揮しやすいワイドパンツ、スーパーワイドパンツが復活し定着している。まさに「ソフトジーンズ」「04ジーンズ」を復活させる絶好のタイミングではないかと思うがどうだろうか。

先日、同年代のビッグジョンの元社員と話す機会があったのだが、その人も同意見で「ソフトジーンズ、04ジーンズを復活させる好機ではないか」と話していた。

手詰まり感しか見えないジーンズ専業メーカーはそんな仕掛けをやってみてもよいのではないか。

 

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 comment
  • kた より: 2023/11/08(水) 11:30 AM

    >その一方でメディアでは「死んだ」と勝手に殺されているがスキニーパンツもいまだにマスブランドの商品構成では健在である。

    この一文とその後に続く文面からも見て取れる部分だけど、
    業界界隈は未だに何か一発大きく当たるものを期待していて、それに適わなければ勝手に殺す。
    多様性に富んだ成熟されたマーケットにはトレンドは存在しても、
    そのトレンド自体の意味合いが変わっているからその期待を埋めるようなものにはならない。
    他力本願も天変地異を期待するやり方も間違いが過ぎる。

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