小コミュニティー形成でしかファッション衣料は売れない
2014年11月10日 未分類 0
筆者はバブル期までのようなファッションへの憧れがマス化することは二度とないと考えている。
あるとするなら小コミュニティーを形成し、その中でだけだろう。
今後、各ブランドはいかに小コミュニティーを形成できるかということが、ビジネスモデルになるのではないか。
短パン社長が企画した「keisuke okunoya」ブランドのカーディガンが完売した。
4色展開で250枚を完売した。
価格は16000円。
こう書くと、実店舗ないしインターネット通販で販売したのかと思う人も多いが、すべてブログ、ツイッター、フェイスブックなどのSNS上で告知し、そこからダイレクトメッセージやメールなどで注文を受けた。
通常、洋服というのは、他人と被るとちょっと嫌な気分になる場合が多い。
ユニクロなんていうのはその最たる例だろう。
ユニ被りなんていう言葉もある。
ほかのブランドでも微妙だ。
どんなステイタスブランドの洋服でも他人と被ることが嫌だと感じる人がまったくゼロになることはない。
ところが、この洋服に関しては被ることが誇らしいかのように購入者がSNSで自分で取った写真をアップしている。
中には購入者が何人か集まってお揃いでカーディガンを着用した写真をアップしている。
被ることを嫌がる人がゼロというブランドは珍しい。
1つには希少性があるからだろう。
売れたと言っても250枚しかこの世の中には流通していない。
来年秋冬はどうだかわからないが、それまでは追加生産されることはない。
250枚の限定品だととらえることもできる。
もう1つはこれを購入し着用することで短パン社長のコミュニティーに入ることができるからだろう。
短パン社長に好意や興味のない人からすると、そんなコミュニティーには入りたくもないだろうが、彼のファンからするととても価値あることなのである。
短パン社長は意図的か偶然かはわからないが、上手く自分のコミュニティーを形成したといえる。
あと1つはベーシックで誰でも着こなせるデザインということもあるだろう。
あれが超奇抜なデザインや色柄だったらほとんどの人は購入することを躊躇したはずだ。
各ブランドはこういう小コミュニティーを形成すべきだろう。もしかしたらすでにそういう取り組みを始めているのかもしれないが、はっきり言ってそういう風には見えない。
ちょっと売上高のことを見てみる。
いくら、カーディガンの販売が成功したとはいえ、250枚である。
16000円が250枚だから、総売上高は四百万円である。
とてもではないが、これを「企業」として本業にすることは難しい。
今後、販売枚数が500枚や1000枚くらいになることは考えられるが、それでも社員1人をどうにか雇用できるレベルだろう。
SNSで物が売れる!と飛びつくと、零細企業以外は割に合わない経済活動になってしまう。
短パン社長の場合は、ピーアイというレディースブランドを卸売りする本業があるからできる副業ともいえる。
さらに言うならコミュニティーを形成するまでには大変な時間と労力がかかっている。
SNS中心なのでお金はそれほどかかっていないだろうけど。
コミュニティー形成の方法は別にSNSに限らない。
リアルな小規模展示会を何度も開催して、来場者とコミュニティーを形成しても良い。
綿花を畑で栽培しながら仲間との連帯を強めても良い。
特定のアニメ作品のファンで集まってコミュニティーを作っても良い。
いろいろな方法でコミュニティーを作って、その中で盛り上がれる服を考える、そのコミュニティーの外円部にそういう洋服やブランドを広めるという考え方の方が分かり易いだろう。
それは何百億円の売上高には到達しないが、数億円程度の売上高に到達することは可能だろう。
数億円の売上高があれば、10人強のスタッフを雇用することは可能である。
何百億円の売上高とかグローバルブランドとかそういうことを目指さないのであれば小コミュニティー作りがもっとも有効ではないかと思う。
しかし、いずれのコミュニティー作りの方策を採るにしても、主催者や主催グループの顔や個性が見えなくてはならない。
おそらく優等生的な通り一遍の発信ではほとんど印象には残らないだろう。
「ファッションが好き」
「ファッションは素晴らしい」
「ファッションて楽しいよね」
「ファッションの文化的価値」
こういう発信だけでは強固なコミュニティーは形成できないのではないかと個人的に思っている。
もっと主催者、主催者グループの顔、個性、考え方が見える必要があるのではないか。
その考え方や個性は良い面ばかりではほとんど効果がないのではないか。
まあ、そんな風に最近は考えるようになった。