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南充浩 オフィシャルブログ

ファッションへの憧れは再構築できそうにない

2014年11月7日 未分類 0

 先日、ポイントの各ブランドがZOZOTOWNでさっそく「最大7割引きセール」を開催していた。

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これを見て、「もう早々とそんなセールをやっているのか、定価で販売する期間はどれほど短いのか」とお嘆きになる業界関係者が少なくない。

しかし、その一方で「ファッションが好きな人は入荷時に定価で購入しており、売れ残った商品を値下げして処分するのは当然。ファッション好きはシーズン当初に買ったという満足感に高い金を払っている」という指摘もある。

これはどちらの見方も正しい。
ついでにいうと、ポイントは入荷時から一定の期間が過ぎると自動的に値下がりする方式を採っており、別にZOZOで大々的に謳わなくても、各店舗でも常に同じようなことが行われているので実は嘆くには値しない。
ただ、今秋は店頭での割引商品の陳列が少ないのでオカシイな?と思っていたのだが、案外、値下げ商品をZOZOに集約していたのかもしれない。

それはさておき。

以前に衣料品を購入する人は3つのグループがあると書いた。

1、シーズン初めに定価で買う「ファッションが好きな人」
2、体感気温に合わせて定価で買う「実需型」の人
3、セールでしか買わない人

である。

それぞれの人口比率は1を頂点に、2、3とピラミッド型となっている。

一番ありがたい1のお客は、人口的にはもっとも少ない。
しかもその人口は年々減少しているのではないかと個人的には感じる。

2、3の人口は相対的に増えているのではないか。
2と3のどちらが増えたのかは難しいが、個人的には3が増えたのではないかと感じる。
筆者自身は間違いなく3である。

さて、ファッション製品を定価で販売するなら、1のお客を増やさねばならない。
DCブランドの販売に長蛇の列が作られたバブル期は1のお客が相当多かったのだろう。
時代の風潮というのもそちらに向かっていた。
また、DCブランドの服と、量販店の服ではまったくデザイン、色柄が異なっていたということも大きいだろう。
使用素材の質も雲泥の差だった。
国民の所得も多かった、もしくは将来的に多くなると信じていたという時代背景もある。

長らくお付き合いのあるデザイナーズブランド、RBTの東哲平くんは「ファッションへの憧れを再構築しなくてはならない」と主張しているが、まったくその通りだと思う。
バブル期はファッションへの憧れというものも大きかったのだろう。

しかし、ファッションへの情熱がまったく無い筆者からすると、「ファッションへの憧れ」というものが再構築できるとはちょっと思えない。
なぜかというと、低価格商品の見た目は格段に向上し、見た目だけならいわゆる「ブランド品」との遜色はなくなった。
またバブル期と異なり、最新のファッションに身を包んでいるからと言って、男女ともそれほど異性にモテるわけでもなくなった。さらに言うなら、異性にモテたいと思っている男女もバブル期よりは減っているだろう。
可処分所得も減っているだろうし、今後、収入の増える見込みも少なくなったと感じている人も多いだろう。

よくネットニュースなどで「男受けしないファッション」みたいな特集がある。
そうすると必ず女性が「男にモテるためにオシャレにしているのではない」という意見を書き込む。
これはこれで事実なのだろうが、そうするとファッションとは仲間内での楽しみ&自分の趣味という部分が大きいことになるが、そういう人は残念ながら少数派だと言わねばならないだろう。

そして製造背景から業界構造までがほぼ明るみに出ている状況とも相まって、「ファッションへの憧れ」を再構築するのはかなり困難であろう。

結局、1のお客を如何に自社店舗、自社ブランドに取り込むかということが、各社が取り組むべき喫緊の課題であるし、言葉は悪いが、1のお客を如何に他社から奪い取るかということになる。
限られた小さなパイの奪い合いというのが筆者の目に映る衣料品業界の姿である。

そんなわけで、よほどのカリスマが出現するか、史上最高規模の好景気が到来するかしなくては、バブル期やそれ以前のような高価格ブランドのファッションブームは起きないだろうと感じる。
それよりも自社の顧客数を確実に把握し、そこに売れるための枚数製造と商品構成、そこへアピールするための発信に徹するのが手堅いやり方であろう。

もし「憧れ」が再構築できるとするなら、マスではなく、小コミュニティの中だけだろう。
如何にファッションで盛り上がれる小コミュニティを作れるかがカギになる。ちょうど、女性が仲間内で「かわいい」と言われるためにオシャレをするように。

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