月別: 1月 2018

GAPは大幅値下げをやめる前に、高すぎる定価設定を見直すべき

国内外の市場にはさまざまなブランドがひしめきあっているが、迷走していると感じるのがGAPである。
廉価版のオールドネイビーがすでに日本から撤退したが、GAP本体もけっして好調とはいえなさそうで、一説には客数が半減しているともいわれる。

バナナリパブリックも日本では店舗数を減らすと発表があった。

米国本国でもGAPは苦戦しているといわれるが、廉価版のオールドネイビーは好調なのだそうだ。
日本では「衣料品のデフレがー」といわれるが、低価格品が好まれるのは日本だけでなく、米国でも同じで、GAPは不振だがオールドネイビーは好調、アバクロは不振だがホリスターは好調といわれ、米国でも低価格ブランドが好まれることがわかる。

人間だれだって似たような商品なら安い方で買いたい。
それだけのことで、日本人が格段に安物好きで欧米人が金払いが良いわけではない。

日本国内のGAPもそろそろ危険水位に達しつつあるようで、先日、GAPの代名詞ともいうべき「大幅値下げ」をやめるという新方針記事が掲載された。

大規模セール「回数を減らす」 ギャップジャパン社長
https://www.asahi.com/articles/ASL1D5SFWL1DULFA01V.html



米カジュアル衣料大手ギャップの日本法人ギャップジャパンは12日、主力ブランド「GAP」の価格戦略の見直しを進めていることを明らかにした。大幅に値下げするセールの回数を減らし、定価に近い価格での販売を増やす。スティーブン・セア社長がインタビューで答えた。

とのことであり、具体的には

16年11月にギャップジャパン社長に就任したセア氏は「低価格による販売促進に頼り、商品の魅力を伝えていなかった」として、夏冬の定期セールを除き値下げの回数削減を進めていることを明らかにした。その代わり会員向けサービスを充実。これまでの常時5%割引に加え、昨年4月から月初の1週間を1割引きにするなど、顧客のつなぎとめを図っている。

ということだが、この試みは恐らく失敗に終わるだろう。
99%成功しないと思う。

まず、オールドネイビーとGAPは日本国内では住み分けができていなかった。
バナリパはテイストが違うので存在理由がある。
しかし、オールドネイビーとGAPはブランドのテイストがアメカジで同じなのである。
バナリパはもっとトラッド寄り・ビジカジ寄りだ。

本来なら、オールドネイビーはテイストが同じGAPの廉価版として日本市場でも効力を発揮するはずだった。
あくまでも本来なら。

しかし、日本におけるGAPとは定価設定は高めだが実質的な販売価格はユニクロと同等かそれ未満の超安売りブランドなのである。
実際に当方も相当GAPの投げ売り品を買った。

580円に値下げされた裏毛スエットパーカとか300円~600円に値下げされたウールニットのマフラーだとか、1600円に値下げされたデニムシャツだとか2900円に値下げされたコーンデニムのジーンズだとか枚挙にいとまがない。

ここまで投げ売られているのに、それの廉価版ブランドなんて必要だろうか?

しかもテイストはほとんど同じである。
もちろん異なるデザインの商品もあるが、全体的な見え方としては同じテイストであり、下手をするとオールドネイビーの方がGAPの投げ売り品より高いのである。だからオールドネイビーは売れなかった。売れなくて当たり前であり、この状況で「売れる」と考えていた方がおかしい。

国内市場ではGAPの投げ売り品があればオールドネイビーは不要だった。

ちょうどユニクロの廉価版に過ぎなかったころのジーユーがまったく売れなかったのと同じだといえる。
ユニクロと似たような商品ならユニクロの投げ売り品を買えば良いのである。
ユニクロだってTシャツ500円とかセーター990円にまで値下げされる。しかも使用素材や縫製はジーユーより格段に上だ。
だったらチープな作りのジーユー商品を定価で買うよりも、高品質なユニクロの投げ売り品を買った方が良いに決まっている。

GAPが日本に上陸して20年くらいになるが、一貫してGAPは高めの定価設定を見せながら、ユニクロを時に下回るほどの投げ売りを行い続けてきた。
今更、大幅値下げをやめたところで20年間の蓄積されたイメージは容易に覆らない。
イメージを覆すには、同じく20年間とはいわないまでも相当長い時間が必要になる。果たして目先の利益追求が激しいアメリカ企業が根気よく、長期間にわたる取り組みを続けられるだろうか。
極めて疑問である。

それにこのジャパン社の社長の施策はGAPの根本的な問題を直視していない。
GAPの問題は大幅な投げ売りにもあるが、それ以上に日本市場において定価設定が高すぎるのである。
だから定価では売れない。

もちろん、ビジネスの基本はいかに高値で売るかということだから、売れる手法を持っているならいくらでも高値に設定すれば良いのである。
しかし、その手法を持っていない、少なくともこの20年間一度も効果的に発揮できていないのであれば、高すぎる定価設定を見直すべきだろう。

消費者にとっては高値で買う魅力がない商品なのだから、値引きをせずに売ろうとするなら、定価設定を下げるのがもっとも賢明である。

今までの売り方・売り場づくり・商品作りを継続したままで、大幅値下げをやめるとどうなるだろうか。
おそらく在庫過多になり、さらに収益性は悪化するだろう。

売り方・売り場づくり・商品作りを変えないままで、いくら価格政策をいじったところで意味はない。
そんなものは、値段を3割下げたら売れると思っているシップスジェットブルーと同じ愚策にすぎない。

さらにいえば、定価設定が高すぎるままで常時5%オフとか月初の1週間を1割引きにしたところで焼け石に水だ。
12000円の商品が、10800円になったからといってどれほど多くの人が「お買い得だ」なんて思うだろう。

今回の施策によってGAPはさらに在庫過多となり、混迷を極めることになるのではないか。

苦闘する米ファッションブランド、9社は「瀕死」の状況か
https://forbesjapan.com/articles/detail/19365

この記事でも触れられているように米国本国ではGAPは瀕死9ブランドのうちの1つに挙げられている。
それほどにGAPは日米ともに危険水域に達しつつあり、日本では今回の価格政策は失敗してしまい、ジャパン社の終わりの始まりになるのではないかと見ている。
GOOD LUCK!(キュウレンジャー風に)

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繊維・アパレル業界のマーケティングはまったく「価値創造」できていない

なんだかんだで繊維業界に20年以上もいると、それなりに多くの企業や経営陣を外野から見てきた。
2000年以降、頭角をあらわしてきた新興企業は別として、旧型アパレルの多くは苦戦を続けている。

とくに老舗と呼ばれるアパレルメーカー、ブランドの鈍重さには驚かされる。

ブランディングとかマーケティングという作業が必要なことはわかっているが、実際にはまったく取り組めていない。
広報宣伝活動といえば、80年代から変わらないファッション雑誌への広告出稿に終始している。
ウェブでの活動が重要なことはわかっているが、80年代・90年代の雑誌広告と同じだと考えており、やみくもに投稿を増やしたり、業者に丸投げすればフォロワーやエンゲージメントが増えると思っている。
はっきりいってこんな企業、ブランドばかりである。

もう読まれた方も多いと思うが、ダイヤモンドオンラインにUSJを再建した森岡毅氏のマーケティングについての記事があるのでご紹介したい。
マーケティングとは何かということがわかりやすく書かれてあるので、まだ読んでいない方には一読を勧める。

USJ再建の森岡毅が語る、マーケティング下手な企業に足りない3つの視点
http://diamond.jp/articles/-/156025

大阪のUSJは鳴り物入りでオープンしたが低迷していた。
それを浮上させ、ある意味で東京ディズニーランドよりも人気の高い施設へと変貌させた森岡毅氏のインタビューである。

まず

私はよく、マーケティングとは「価値を創造する仕事」と説明しています。市場における価値を創造すること「全般」がマーケティングの役割なのです。
我々マーケターは、価値を「ブランド」とも定義しますが、要するに、消費者の頭の中で知覚される「価値」、つまり「ブランド」を作る仕事はすべてマーケティングの領域です。

とのことで、アパレル各社が思っているような「リサーチ」ではないということである。
旧型アパレルでも大手になるとマーケティングナンチャラ室とかマーケティングナンタラ部みたいな部署があるが、やっていることは単なる市場・他店リサーチに過ぎない場合がほとんどである。

マーケティングが「価値を創造する仕事」とすると、「どうやって価値を創造していくのか」という疑問が当然生まれるでしょう。マーケターが「何を考え、どこを見ているのか」という部分です。
ここで重要になってくるのが次の3つの視点です。

(1) 市場構造を解き明かす
(2) 消費者が自社ブランドを選択する理由をつくる
(3)(1)と(2)を実行できる組織をつくる

(1)の「市場構造を解き明かす」とは、簡単に言えば、移ろいやすい消費者のニーズがどのような状況、構造になっているのかを把握することです。一般に「消費者のニーズは変わりやすい」と言われますが、本質的な「人間の欲」はそれほど変わらないと私は思っています。
ただ、それを「満たす方法」が変わるのです。

とのことで、とくにこの3点を理解していない企業、ブランドは繊維・アパレル業界には数多くある。
市場構造を解き明かす気もなく、天候やら景気動向のせいにして終わってしまう。
各社の月次売上高速報そのものではないか。

また、「消費者が自社ブランドを選択する理由をつくる」ことをまるで考えていない。
考えていないというと語弊がある。考えてはいるのだ。
しかしその考えた理由というのは「価格が安いから(値下げすれば売れるだろう)」とか「機能性・スペックが優れているから(7つの機能性だとか過剰なフィクションに彩られた匠の神話だとか)」というようなものばかりで、表層的なものにすぎない。
挙句の果てが「タレント頼み」である。

優れたコンテンツがあってそれを紹介するために人気タレントを起用するならわかるが、コンテンツがないくせに人気タレントを起用すればすぐさま爆発的に売れると考えているのだが、それが大きな間違いである。
キムタクに着させたらどんな商品でも売れるなんていうのは2005年までで終わっている。

そして

そして、ここからがさらに大事な話ですが、「(1)と(2)の戦略を正しく実行できる組織」を作っていかなければなりません。
どんなに精緻に市場構造を解き明かし、プレファレンスを高める戦略を構築しても、それを実行できなければ何の意味もありません。私はよく「戦略人事」という表現を使いますが、目的を達成するための人事改革、組織改革を成し得なければ、本当の価値は生まれません。

とあるが、人事というのは本当に重要である。

そこで重要となってくるのが、CMO(最高マーケティング責任者)の役割です。CMO(あるいは、それに準ずる役割の人)が、マーケティングの意味や幅をきちんと理解し、その責務をきっちりと果たす。その一方で、経営者も同様の認識を持ち、CMOに相応の権限を与える。

ここが大事なポイントです。
私がUSJで働いている際、非常に幸運だったのは、社長であったグレン・ガンペルが、これまで述べた三つの領域において「私がリードできる十分なスペース」を与えてくれたことです。それだけの権限と自由を与えてくれたからこそ、私は自分の責務を果たし、結果を出すことができたのです。

もちろんグレンとは、激しい議論を何度もしましたし、ここでは紹介できないような激しい表現での言い合いもしょっちゅうしました。また、彼がマーケティングを深く理解していたかと言えば、決してそんなことはありません。
彼は強烈な存在ではありましたが、一方で、優秀な多くの人間がそうであるように「自分が足りていないもの」をきちんと理解し、必要な人材を登用し、権限と自由を与えるだけの極めて高い知性を持ち合わせていました。だから、彼はいくら激しい議論をしても、最終的に「私がこうしたい」ということについては、さんざん激しい議論の末に、私の自由にやらせてくれました。

とのことで多少なりとも宮仕えをしたことがある身としては非常に重要だと感じる。
部下や担当者に任せることができない経営者は本当に数多い。むしろそちらの方が9割がたを占めるだろう。
そして多くの企業や組織は、経営者よりも劣る人材が集められており、いつぞや、オチマーケティングオフィスの生地雅之さんがおっしゃられたように「経営者より優れた部下は組織には居られなくなる」というのが常態となっている。

逆に言えば、自分より優れた部下を集めて使える経営者はそれだけ稀有な存在だといえる。

根本的な視点がないのに、小手先のウェブ告知やSNSの投稿やインフルエンサー起用なんて百万回やったってなんの成果も生まない。
このことをわかっていない企業とわかっている企業の格差がより開いてきており、わかっていない企業が繊維・アパレル業界では9割くらいあって苦戦を続けているというのが実態といえる。

この森岡氏の記事は連載のようなので今後が楽しみである。

*ここからは趣味の話なのでめんどくさい人はスルーしてほしい。

森岡氏は三国志のトップに例えておられるが、ここの部分の見方ははっきりいって疑問である。
孔明、関羽、張飛という優れた部下を集めた劉備は、その点だけは曹操に勝っていると言っておられるが、三国志演義に毒されすぎである。
魏・呉・蜀の三国でもっとも人材の層が薄く、国力が劣っていたのが蜀である。
劉備が建国した蜀は、孔明と関羽・張飛・趙雲・馬超・黄忠・魏延以外に優れた人材はほとんどおらず、彼らの死後、人材は払底してしまう。

また、建国前の劉備軍団にも優れた人材は少なく、社長(劉備)のずぼらな人的魅力と、凄腕部長(関羽、張飛、趙雲)の個人プレーに支えられた完全な体育会系零細企業で、さらにいえば文官はほとんどいない。
孔明登場前に劉備軍の参謀となったのが徐庶だが、孔明を推薦したのち、曹操陣営に移籍するが、移籍後はめだった活躍をしていない。少なくとも史書に記されるほどの活躍はできていない。
それはなぜかというと、曹操陣営には荀彧、司馬懿、程昱、賈挧、荀攸などの優れた参謀が数多くいたからである。
むしろ優れた人材を多数使いこなした曹操の方がトップとして力量が優れていたといえる。

劉備軍は孔明以外に龐統、馬良しかおらず、法正が加入してきたものの3人とも早逝したため、本来、行政官向きの孔明が政戦の要とならざるを得なかった。この激務が孔明の寿命を縮めたともいわれている。

また史書でいうと三国のうち、蜀の記録がもっとも少なく、文官をあまり重視していなかったともいわれている。

物語は歴史に親しむきっかけとなるが、あまりにもその物語がポピュラーすぎるとかえって史実を見誤らせることになる。これは何も三国志演義に限ったことではないのだけれど。

以上、蛇足である。

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ファッション業界にはびこる「過剰なフィクション」と「嘘の神話」

衣料品をわかりにくくしている原因の一つに、業界の内外にはびこる「過剰なフィクション」がある。

モノ余り状態の現在において、商品を売るには「ストーリー作り」「物語性」が必要であることは言うまでもないが、あまりにも過剰にフィクション性が取り入れられた場合、かえって消費者を惑わせてしまう。

衣料品に関してはこれは今に始まったことではなく、かなり昔から連綿と続いているのだが。

80歳縫製士が最後の挑戦、クラウドファンディングで”究極のシャツ”発売
https://www.fashionsnap.com/article/2018-01-12/teruko-original-shirt/

奈良の縫製工場がシャツでクラウドファンディングに挑戦しており、これはこれでがんばってもらいたいのだが、業界人から一斉に突っ込みが入ったのは、動画で「一生着られるシャツ」という発言の部分にだった。

もちろん、動画の編集工程でカットされた言葉があるのかもしれないが、この動画ではシャツというアイテムの性質自体をミスリードさせる。

断言すると、一生着られるシャツなんていうのは存在しない。
リペア(補修、修理)を加えれば着られるシャツはある。しかし、リペアなしで一生着続けられるシャツなんていうものはこの世には存在しない。今のところ。

まず、長年着続ければ袖口と襟が擦り切れる。
以前にお会いしたことのある積水ハウスのベテラン営業マン(推定40代)はシャツの袖口が擦り切れていた。
それが気になって仕方がなく、何を話したか覚えていないが、袖口が擦り切れたシャツだけは鮮明に覚えている。

またこのシャツのように白シャツは着用を繰り返せば、皮脂がこびりついて必ず黄ばむ。
また襟の内側には「汚れの首輪」が確実に刻み込まれる。
どんなにウタマロ石鹸で丹念にこすっていても、何十年かの間には確実に汚れの首輪は刻み込まれる。

これらを解決しないかぎりは一生着られるシャツなんていう商品にはなり得ない。

衣服の傷みは着用回数と洗濯の回数に反比例するから、年に1度くらいしか着用しないというならもしかしたら一生着られるかもしれないが、デイリーユースで月に何回か着用するのであれば、確実に20年は持たない。

おまけにいえば、「縫製士」なる職業も実在するのかどうかすら怪しい。
40年前とか50年前には存在していたのかもしれないが、少なくとも20年前からこの称号を持つ人には会ったことはないし、見聞きしたこともない。もし、「縫製士」に関してご存知の方が居られたらご教授いただきたい。

この過剰に盛られたストーリー性と「縫製士」なる実在未確認職業がなんとも気色悪い。

最近は「10年持つ服」だとか「100年持つ服」なんていうキャッチフレーズが横行しているが、はっきりいえば、ユニクロの商品は10年持つ。10年持つ服が欲しければユニクロで買えば解決する。

当方のタンスには10年前に買ったユニクロの服が何枚もある。
いずれ画像付きで紹介しよう。

先ほども書いたように、衣服の耐久性は、着用回数と洗濯回数に反比例するから、デイリーユースでも10年持つユニクロの服を極限まで着用回数と洗濯回数を減らせば30年くらいは優に持つだろう。
それだけのことで、そこに過剰なフィクションを差し込むことが気色悪くてならない。

衣料品だけでなく、原料や製造工程にもわけのわからない過剰なフィクションがあふれている。

例えば、

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12344165904.html



彼らは「イタリアの素材と日本の素材の大きな違いはエージングにある。イタリアは生産した生地を数年寝かし風合いをだして出荷するが、日本は生産したら直ぐに出荷する。だから、ワインと一緒で滑らかさが違うのだ」という説明でした。

実は、これは大嘘で、日本に二次情報や推測で、このような「嘘」や「神話」がまかり通っています。

とのことで、この「生地のエージング」は素材メーカーや商社、生地問屋などで当方も何度か耳にした。
完全なる嘘っぱちである。

また、ユニクロと契約したことで一挙に注目を集めた完全無縫製のニット製造機、ホールガーメントも過剰なフィクションで彩られている。

一体成型でセーターが編めることが特徴のホールガーメントだが、これの最大の利点は

1、プログラミングが正しくでき、機械の操作を正しくできれば、驚くほどの少人数でセーターが量産できること
2、リンキングが不要であること
3、ホールガーメントでしか実現できないデザインがあること

この3点である。

にもかかわらず「一体成型でフィット感が良い」とか「着心地に優れる」などと言ったまやかしの言説が売り場にもメーカーにもあふれている。

以前、ジーンズメイトで1000円に値下がりしたホールガーメントセーターを購入して何年間か着続けた経験でいえば、そんなものは一切ないと断言できる。
着心地も普通のセーターと変わらないし、そもそもセーターは編み方にもよるが、3センチ~5センチは伸び縮みするので、そこまで厳密な採寸は必要ない。
さらにいえばどうして一体成型だからフィット感が高まるという理屈になるのかも理解できない。それなら丸編みのTシャツのボディはフィット感が良いのだろうか。

セーターは首とか袖や裾部分のリブとかそういうところを本体に取り付ける。
布帛だと普通に「縫製」するのだが、セーターの場合はリンキングという処理を行う。
パーツと本体を目立たないようにつなぐのである。
そしてリンキングにはリンキング専門の工場がある。

リンキング工場はリンキングしかできないため、セーター工場と異なりオリジナル商品は作りにくい。
そのため自立化もできず倒産廃業が相次いでいる。

ホールガーメントはそのリンキングが不要になる技術であり、だからこそ、ホールガーメントが注目を集めているともいえる。
着心地云々ではなく製造側のメリットがあってのことである。

じゃあ、なぜそれを説明しないのかと書いたところ、老年のパタンナーから「そんな後ろ向きのことが言えるか!」と反発を受けたが、だからといって、まったく別のしかも間違ったメリットをでっち上げて良いとはこれっぽっちも思わない。
一体、この人は何を言っているのだろうか。

だったら、人員の削減やら生産効率の上昇やらそこを強調すべきであり、ありもしない着心地やらフィット感をでっち上げることは消費者にとっても業界にとっても何のメリットもない。むしろ害悪だ。

そしてこういう間違った評判が定着し、それゆえに衣料品はわかりにくくなる。
今までからそれを繰り返してきた。
衣料品業界はこういう「過剰なフィクション」にいつまで頼るつもりだろうか。そして過去の「過剰なフィクション」が衣料品をわかりにくいものにし、それが衣料品不振の原因の一つになっているにもかかわらずだ。

ナントカは死ななきゃ治らないといわれるが、まさに衣料品業界は一度完全にクラッシュしてみないとわからないのだろう。

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繊維・アパレル業界は極端にウェブに弱い

最近、ウェブがらみの仕事を相談されることが増えた。
相談してくる企業は零細・小規模企業もあるが、けっこうな大手アパレル・大手繊維企業もある。
結局は取り組みに至っていないので、名前を出すことは差し控えるが、上場企業もあれば、その分野でのトップ企業もある。
自慢がしたいというわけではなく、腰が重かったこういう企業もウェブに対して「何らか取り組まねばならない」という姿勢に変わりつつあるということが言いたいのである。

そういう昭和型の大手アパレルメーカーですら、ウェブに対しては「何か取り組みをしなくてはならない」と思い始めている。
まあ、はっきり言ってその動きは遅すぎるのだが、何も思わないよりはずっとマシだ。
そういうレベルでは評価している。

そういう状況になってきているので、ようやくアパレル・繊維業界でもウェブの重要性が理解され、そういう人材が必要とされ始めたといえるのだが、考え方や人材への扱い方は相変わらずである。

マサ佐藤さんがブログでこう書いておられる。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fashion-soroban/b7344ef8-611d-45a1-bb46-4fd4602fcb5d

”アパレル小売業でもWEB・EC関連の求人は多くなっています。しかしながら、WEB関連の求人を出す側が、(WEB関連の)仕事の理解・関心が薄く、求人を出しておきながらどんな業務をさせるのかは相手に丸投げ。しかも給料水準は(WEB関連の)他の業種に比べ格段に低いのが現状です。”

とのことで、これはまったくアパレル・繊維業界の今の状況を象徴している。
大手企業ならまだしもスタッフが20人前後しかいない企業でさえ同じだ。

先日、ある20人規模の企業と話したが、まったくのウェブ無策であり、ウェブ系の施策は外部から来た部長に丸投げしている。
その部長はたまたま、異業種出身でパソコンやコンピューターのハードやソフトに強いため、その担当にさせられているのだが、ウェブ関連の専門家ではない。
しかし、「パソコン=ウェブ」という昭和のような発想でそういう仕事を担当させられるのだから、お気の毒としかいいようがない。

そしてこれは100人規模、1000人規模、5000人規模の会社でも同じで、だからこそ大手といえども一部を除いてはまったくウェブを生かし切れていないのである。

一方、当方が昨年から一緒に仕事をさせてもらっているスタイルピックスの深地雅也さんもブログでこう書いておられる。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fukaji/eb5f7242-0a13-4757-9601-ceea05ef570b

先日、とある企業に訪問した際に「ソーシャルを強化したい」という希望がありその相談に乗っていたのですが、多くのケースで勘違いされているのは、

「ソーシャルを強化したらすぐ集客できる」

と思われている点です。更に厄介なのは、専門家に任せたら魔法のようにフォロワーが増えるというイメージでもあるのでしょうか、そこからは丸投げできると思っておられるのです。

しかし、ここで言わせてもらいたいのは、

「ソーシャルでリーチを伸ばしたければコンテンツを強化」

してほしいという事です。

とのことで、同席する機会が多いので、実際にこういう場面を当方は横で眺めている。

ウェブブランディングの相談に乗ってほしいといわれ、出かけてみると、単にSNSアカウントの運用代行を求めていたなんていうことは掃いて捨てるほどある。
いやいや、ブランドの基本政策は何一つ買えないまま、小手先のSNSでの発信をいくら増やしたところで意味がない。
またSNSの発信だって、やみくもに回数を増やせば良いというものではない。

「〇月〇日、新商品の店頭投入開始!」

とか

「今日から〇〇%オフのセール開始」

とか

こんなことだけをいくらソーシャル上に流したってなんの効果もない。
これだけじゃフォロワーも増えないしアクセス数も増えない。なぜなら、これはウェブ広告と同じだからだ。
広告の効果がゼロだと言っているわけではない。広告まがいの投稿ばかりではそんなアカウントには誰も興味を持ってくれないのである。
ここの理解が重要なのだが、多くのアパレル・繊維企業には欠落している。

インスタグラムなら美しい画像、興味を持たれるような画像とストーリー(物語ではなく、そういう投稿サービス)の投稿が重要だし、ツイッターなら、興味を持たれるような面白い書き込みや主観を交えた書き込みが必要になる。
ツイッターで「〇〇%オフセール開始」とか「冬のバーゲン開始」なんて書き込みだけを百万回繰り返したところでフォロワーなんてまったく増えない。

また深地さんのブログでは

◯コンテンツの指標は「ブランドコンセプト」
ターゲットの好む情報ですが、これは運営元がブランドであるなら、ブランドコンセプトに沿ってコンテンツを企画します。ブランド価値を適切に高めるには、コンセプトを反映したコンテンツを同様に積み上げていかなければなりません。

とあり、先日、ある大手メーカーのウェブ施策の相談を受けたことがあるのだが、まったくここを理解していなかったので驚いたことがあった。

本来はマス層に販売していた老舗メーカーなのだが、現在、マス層への訴求力は弱まっている。
そこで、ある特定のユーザーとの結びつきを強化して、その分野での認知を高めてから、徐々にマスへ広げようという案を提示したところ、「うちはマス層への打ち出しをしているので、これは・・・。」と言われてしまった。

マス層への訴求力が弱まっているからその打開策であり、「でもマス層に」と言われるなら話は堂々巡りになってしまう。
それに過去何十年間も同じ手法で「マス層に訴えて」きたのだから、今更同じ手法を使っても結果は同じになる。
どうしてそこが理解できないのかがまったく理解できない。

このメーカーに限らず、過去何十年間もやってきて効果がなかった手法に固執する大手メーカー、大手ブランドは本当に数多くあり、体感では9割がたはそういう企業が占めていると感じる。

この部分はまた別の機会に「大手アパレルあるある失敗集」とでも名付けて別途書いてみようか。

ウェブの重要性だけは理解しつつも、30年前からの手法に固執し、他業界よりもウェブ関連人材への賃金が低いため、今後もアパレル・繊維業界はウェブ戦略に四苦八苦するだろう。
そしてそれはとりもなおさず自業自得であり、他社への丸投げで切り抜けられるようなものではない。
商品生産はOEMやODMに丸投げできても、ブランドのコンテンツ作りまでは丸投げできないしすべきではない。これはブランドの根幹であり、ここまでを丸投げにしてしまうなら、最早、自社ブランドなんて展開する必要すらない。それがしたいならブローカーか中継ぎ業者にでも業態転換すれば良いのである。

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6480円で買ったナイキエアマックスインビガープリントは足が本当に疲れにくい

今年の正月バーゲンは、人ごみの揉まれるのが嫌で、20年来で初めて店頭へ買い物に行かずにネット通販で済ませたことを書いた。
前回はネット通販での買い物の失敗を紹介し、生まれて初めてネット通販で返品作業を行った。

今後、買い物をする際には「返品交換無料」と書かれているかどうかをより気を付けて見てみることにする。

例えば、今回返品したコーエンの中綿入りコートだが、同じような商品がAmazon内にいくつかある。
ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシングとかナノユニバースとかの商品である。
このうち、ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシングは返品交換無料と書かれているが、ナノユニバースの商品は書かれていない。しかもナノユニバースの商品はマルイが出品している。

となると、値段が同じくらいでもグリーンレーベルリラクシングを買った方が安全といえる。

ネット通販を利用するならこういう部分も気を付けなくてはならない。

さて、今回は正月ネット通販で買って成功した物を紹介しよう。

成功したのはアダストリアホールディングスの通販サイト、ドットエスティで買った商品だ。

ちなみに、実店舗でのタイムセール乱発はストライプインターナショナルの十八番だが、アダストリアはドットエスティでタイムセールを年末年始乱発しており、思ったより売れ残りが多いのか、今日12日からまた数日間タイムセールを開始する。
実店舗でのタイムセール乱発は八百屋か魚屋みたいにしか見えないので、アダストリアのやり方の方がスマートではないかと感じる。

さて、今回買って最もよかったと感じたのは、ナイキのスニーカー、エアマックスインビガープリントである。
これも試着せずに買ってみた。サイズは27・5センチである。

価格は9720円から6480円に値下がりしていて、再値下げされる前に売り切れるのではないかと判断したため、買うことにした。
そして読み通り、今日12日現在で完売している。

このエアマックスインビガープリントは大ブームを巻き起こしたエアマックス95をモデルとしてデザインされているそうだ。
たしかにエアマックス95のグレー×イエローに似ている。

95年に追い剥ぎが出没するほどの大ブームとなったエアマックス95だが、正直にいうと当方も欲しかった。
しかし、ネットも普及しておらず実店舗でも品薄な状態であり、しかも値段が高いので当方は諦めていた。
そして22年ぶりに似たような商品を、しかも安値で発見したので買ってみようと思った。
復刻版も発売されているがこちらは2万円前後とお高いため、まったく買う気はない。

ネット検索を繰り返した中でいうと、この6480円が最安値である。

これははっきり言って大成功だった。
サイズもぴったりで、種明かしをすると、アディダスやリーボック、コンバースなどの競合ブランドのスニーカーはほとんどが27・5センチを履いているため、そこから類推できた。
また、亡くなった弟が以前にエアマックス95の復刻版を買った際に、一度だけ試着させてもらっており、その時のサイズが27・5センチだったことを覚えていた。まあ、だから「試着なし」というのは半分は誇大報告である。

エアマックス95をモデルにデザインしているのだから、サイズ感も同じだろうと類推したのである。

早速、1週間ほど履き続けているが、長時間歩いても足の疲れがない。
あと、これを履いてラックドゥの店頭にも立ってみたが、足裏の疲れがない。
ナイキのエアクッション恐るべしである。
リーボックのフューリーライトも足裏の疲れがないと書いたが、それ以上である。
フューリーライトだとかすかに足裏に疲れが長時間の立ち仕事では出てくるが、これはほぼまったくない。

繰り返すがエアマックス95復刻版は高いから、このインビガープリントを何色かそろえても良いと思った。
それほどの快適さである。

あとはシャツ1枚、パンツ2本である。すべてグローバルワークである。

まず、シャツから。
ロンドンストライプよりもはるかに太いストライプ柄。
素材は綿100%でありながらストレッチブロードと表記されている。
わずかにストレッチ性を感じる。

サイズ表記からLサイズだと判断し、これもその判断が正しかった。
ブルーとワインレッドがあったが、ワインは着こなしが難しいのと、自分の顔に合わないと判断したため、ブルーをかった。

定価は4320円で、これが1728円に値下がりしていた。
ちなみに送られてきた商品についている値札には2500円のシールが貼られていた。
店頭で2500円に値下げしても売れ残ったので1728円(税込み)にまで値下げされてネットで売られていたと考えられる。

次は、テイパードチノパンである。
綿96%・ポリウレタン4%の素材。
ヒップや太もも部分がゆったりしたシルエットなので安心してMサイズを買った。
定価4320円が1728円(税込み)に値下がりしていた。

買ったのはもっとも苦手なベージュ。
白っぽいベージュのチノパンが多いが、これが苦手で、現在のユニクロ店頭のストレッチチノパンも幾分白っぽいのでいくら値下がりしても買わない。
これはそれよりも黄色というか茶色が勝っていたので購入した。

まず洗濯をせずに試着してみて驚いたのが股上の深さ。
おヘソが隠れるほどで、通常のパンツよりも3センチ前後は深い。
おヘソが隠れるほどのハイウエストパンツというのは実に20年ぶりくらいに穿く。
なんとも不思議な履き心地である。ローライズに慣れている人には穿きづらいのではないかと思う。
この股上の深さもネット通販の表記ではわかりにくいし体感しにくい。

生地は少し薄い。元来は春夏物として製造されたのだろう。

次はグレーのチェック柄のワイドイージーパンツだ。
定価5400円が1641円(税込み)にまで値下がりしていた。
これも生地が薄いので春夏物だろう。
ポリエステル68%・レーヨン31%・ポリウレタン1%という組成。

かなりのワイドシルエットな上にウエストはゴム入りで、サイズ表記を気にせずにMサイズを買った。
これはサイズは全く問題がない。
これほどのワイドシルエットに果たしてポリウレタンが必要なのかどうか疑問を感じる。

生地は、フランスのCARREMANというメーカーのものらしい。そういうタグがついている。
調べてみると、2016年8月31日のアーバンリサーチのショップブログに出てくる。
そのほかにもアダム・エ・ロペとかチャオパニックティピーとかセンスオブプレイスとかそういうブランドが使用している。

これも日本のアパレルのアホなところで、一つの人気ブランドが使うとそれの競合もこぞって使いだす。
そして横並びになる。これを繰り返してきたのが日本のアパレルである。

3点合計で約5000円(税込み)という驚異的な安さで買え、エアマックスインビガーと合わせても11577円にしかならなかった。

このアダストリアのネット通販での買い物はコスパも含めて満足できた。

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「はれのひ」事件は着物業界の失策が遠因

「はれのひ」という着物業者が詐欺にも等しい消え方をして大事件となっているが、被害に合われた方はまことにお気の毒だと思う。

これに対してさまざまな意見が出ているが、着物という衣服や戦後の着物業界の問題点が集約された事件だといえる。
当方は着物をまったく着用しない。
子供のころに浴衣を一度着せられたくらいであり、その時が不快だったのでその後一度も着用しないままに初老を迎えている。

もちろん、最大の責任は「はれのひ」にある。
しかし、巷には「着付けをできないことが原因」という意見もあり、それはそれで根本的な原因の指摘ではあるが、それを言ったところで、今更日本人の多くが一人で着付けができるようにはならない。

最大の原因は着物業界の売り方の悪さにあるし、着物という衣服を「日常で使ってほしい」と言いながら、まったく改良を加えてこなかった製造側の責任もある。
また「着付け教室」と結託して、「着物」という衣服の価格も入門ハードルも引き上げ続けた業界の施策も裏目に出たといえる。

着物という衣服は

1、動きにくい
2、着付けが一人でできない
3、正絹素材が正当とされており(実際はそんなことはない)、洗濯や保管が面倒

という3つの欠点があると個人的に見ている。

「そんなことはない。動きやすいし一人で簡単に着られる」というごくわずかな着物強者の意見は無視して、大多数の人間はそう思っている。

おまけに価格が高い。
個人的に親しくしてもらっている仁平幸春さんという和装の染色作家がおられるが、ほとんど着物を着用されない。
なぜなら、価格が高いからである。
着物単体を安値で買っても襦袢やら帯やらその周辺の物を揃えるとかなり高額になってしまう。
だから私は買わない(金銭的にも買えない)と仰っておられる。

着物業界の人からは「日常的に着用してもらえるようにしたい」という声を聞くが、価格も含めた4つの欠点を改めない限りそれは不可能である。

まず、価格から見ていこう。
和装業界の人に言わせると「10万円程度の着物なんて安物」とのこと(実際にそう言ってるのを何度も聞いた)だが、10万円の洋服といえば結構な高額品で、高級ブランドである。
ぶっちゃけて高級ブランドと競合して選んでもらえるほど着物に魅力があるとはまったく思わない。

三陽商会がライセンス生産していたころのバーバリーのコートが10万円くらいからあったが、そのころのバーバリーと比べて着物にブランド的魅力があるかといわれれば、まったくないと思う。
多くの消費者は洋服がベースの価値観になっており、着物着用者を増やすということは、そういう層に買ってもらわねばならないということになる。そういう層にとってバーバリーと着物のどちらがステイタス性が高いかというと、圧倒的にバーバリーである。

つぎに「動きにくい」「着付けが一人でできない」「洗濯・保管がめんどくさい」という三つの欠点について見てみる。

日常着とするためには毎日着用するものだから一人で着用できないと意味がない。
そんなめんどくさい物を毎日着たいと思う人はほとんどいない。
着物業界はなぜこれを改良してこなかったのか。

例えば、入門編としてワンタッチで着られるような着物をもっと普及させるべきではなかったか。
実際にはそういう商品もあるが、着物業界はこれを積極的に拡販してこなかった。
その代わりに着付け教室と結託して、着物という衣服への入門ハードルを上げ続けた。
その結果、着物は一部のマニア向けの商品となった。
和装業界の市場規模が3000億円弱まで低下してしまった原因の一つである。

動きにくさにしてもそうだ。
もっと動きやすい形状の商品を開発してそれを普及させるべきだったのではないか。
これもそういう商品もあるが、業界としては拡販・普及には力を入れなかった。
業界人は「それなりにやった」と反論するかもしれないが、外野から見ているとまったくそれは伝わらない。
ワンタッチ着物しかりだ。
知られていないのは存在しないのも同然である。知られるための努力をどれほどしたのだろうか?

そもそも、幕末に洋装が取り入れられたきっかけの一つが、戦闘時の動きやすさだった。
維新軍の多くは戦闘時は洋装になったし、幕府軍でも洋装に切り替えた者も多かった。
和服は圧倒的に洋装に比べて動きにくいことがわかる。

そして、正絹素材への過剰な重視である。
正絹素材は洗濯にも保管にも気を遣う。
下手にすれば変色するし虫にも食われてしまう。

こんな物を日常着として着られるはずがない。
やっぱりハレの日とか冠婚葬祭くらいにしか着用しなくなる。

明治以前は和装しかなかったわけだから、当然、日常的にもみんなが着物を着ていた。
日常着は正絹ではなく洗濯しやすい木綿や麻だった。当たり前である。

今はポリエステルという機能性に優れた素材もある。
どうして合繊着物や木綿着物、麻着物などをもっと広めなかったのか。
単に販売単価を引き上げたかっただけではないのか。

以前に同じことを書いたら、「単価が安い割には枚数が売れない」と反論してきた和装業者がいたが、じゃあ、合繊着物や綿着物を拡販する努力をどれほどしたのかと問いたい。

これらの要因によって、着物という衣服の販売枚数は戦後減り続け、その枚数減少を補うために商品単価を着物業界は上げ続けてきた。
それがさらに着物離れを誘発し販売枚数を下げ続けるという悪循環スパイラルを招いた。

はれのひ事件はいわばこれまでの着物業界の失策が引き起こしたものだといえるのではないか。

真摯に取り組んでいる和装業者も多く知っているが、この4つを改善しないことには着物着用人口は絶対に増えない。

ところで、業界を挙げて商品単価を引き上げ続けるということは、これほど初心者を排除してしまうことになる。
洋服業界も気を付けなくてはならないのではないか。
グッチやらプラダという個別のブランドがそういう高価格政策を採ることは良いとしても、業界全体が「安物は悪」「安物を排除」なんて言い出すと、待っているのは着物業界と同じ結末になる。
幸い、洋服に代わる衣服は見当たらないからまったく売れなくなるとは思えないが、人々は高価格すぎると買うことを確実に手控える。それこそヨーロッパのように何度も破れ目を縫って使い続けることになり、そうなると、国内外の製造加工業者はさらに経営が厳しくなる。

入門編として低価格のジーユーやユニクロがあることは産業としては健全だといえる。
和装の問題は、入門編商品の見た目の水準が上がりすぎたことと、本来は入門編でないブランドの商品がまったくその付加価値を消費者に知らせられていないことにある。まあ、まったく付加価値のない商品とかブランドとかアパレル企業も多数あるのだが。(笑)

和装業界の施策は洋装業界にとって他山の石になるのではないか。

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ネット通販で服を買うときの生地と型紙の重要性

アパレル業界の新たな販路としてEC/ネット通販が注目を集めていることは言うまでもないが、実際にEC/ネット通販を論じているエライ人の多くはネット通販で服を買っていないように見える。

もちろん、実際に購入して論じている人もいるが、それのほとんどは若い世代に限られているように見えるし、いわゆるベテランのエライ人の論調には自分で買い物をしたという体験が微塵もにじみ出ていないものが多い。

そんなレベルの人の指摘やら指導をありがたがって受けているアパレル企業の経営陣はやっぱりアホなんだろうと思う。
そういう経営陣も自分がネット通販で触ったこともないのだろう。

アパレル業界には笑い話みたいなことが実際にたびたび起きる。
例えば、社員にEメールアドレスも与えずにファックスと電話のみで仕事をさせているくせに、あまり売れていないとはいえ、形ばかりのネット通販を行っているアパレルもある。
これが実話なのだから下手な漫才やコントよりも面白い

それはさておき。

毎年、正月バーゲンは貧乏ながらも幾点か服を買う(もちろん値下げ品を。定価商品は絶対に買わない)が、今年の正月はネット通販で買ってみた。
理由はくだらないことだが2つある。

1、ネット通販の利用頻度を高めてみようという実験
2、人ごみが嫌いなこと

この2つである。
個人的には他人はすべて嫌いなので、駅でも街でも商業施設でも電車でも混雑しているところは漏れなく嫌いだ。
そして、正月は毎年、どれほど景気が悪くてもそれなりにどこも混雑している。

今まではネット通販が発達していなかったので、人ごみを我慢しながら店舗に行ってバーゲン品を買っていたが、今年は一念発起してネット通販を利用してみようと思った。
ネット通販は2016年頃から毎月1度くらいは使うようになったが、何度も書いているように、ガンダムのプラモデルとパソコン回りの備品や日用消耗品がほとんどで、衣料品を買ったことはほとんどない。
グンゼの肌着と靴下とかユニクロの商品とか、比較的サイズ感が必要ない物、もしくは、以前に試着したことのある商品に限られていた。

ZOZOSUITが発表されてから(一部の有名人以外には誰の手元にも届いていない)サイズというものが改めて脚光を浴びているが、洋服を買い慣れている人間からすると、ある程度の自分の体のサイズは把握しているので、取り立ててZOZOSUITは必要ないと感じられる。
洋服が取り立てて好きとは言えない当方だが、買う枚数は多いので、それなりに自分の体のサイズは把握しているつもりである。

だから今回は試着したことのない商品やサイズ感が必要になる商品を買ってみようと思った。
もちろん狙うは格安値下げ品である。

2017年には靴のネット通販での購入も何度か試してみた。
これは一切試着せずにサイズ表記とレビューの書き込みだけで推測しながら買うという行為で、当方からするとイチかバチかの賭けだったのだが、いずれもぴったりのサイズだった。(くどいようだが格安品)

だから、当方にはその成功体験における慢心があった。

ZOZOTOWNは会員登録すらしていないので選択肢から外れる。
AmazonとYahoo!ショッピングを見て回ったが、結局はAmazonで2点買おうと思った。
1つは、コーエンの中綿入りバルカラーコート、もう1つはパーフェクトスーツファクトリーのウール30%・ポリエステル70%のスーツである。

結果的にはこの2点の買い物は大失敗で、理由はサイズが合わないためだ。
サイズの重要性を再認識することになった。

コーエンの中綿入りコートは定価10800円が6480円に値下がりしていた。購入後5148円に再値下げされている。
素材は表地が綿65%・ナイロン35%、裏地がポリエステル100%、中綿はポリエステル100%。
袖がラグランスリーブになっている。

 

 

サイズ表記は、例えばMだと、着丈94センチ・身幅57・5センチ・ゆき(裄丈)85センチ となっている。
この表記のみを元にMを買ってみた。

 

 

結果をいうと、身幅と袖丈は問題なかったが、肩幅が狭すぎた。
当方は大した運動もしていないのに、もともと骨格ががっしりしていて肩幅が広く胸が厚い。
極めて迷惑な体型である。

Amazonのこの表記だと肩幅は表記されていないからわからない。
これが失敗の原因の1つといえる。

パーフェクトスーツファクトリーのスーツはなんと、定価20520円が9234円にまで値下がりしている。

 

ツープライススーツブランドなのでサイズ表記はA6とかA7とはY7とかそういう表記しかない。
かろうじてあるとするとウエストがセンチ表記されている程度で、あとはすべて一律でサイズ展開されている。

もし、体格に合うなら、ツープライススーツこそネット通販で買いやすいのではないかと思う。

これも結果をいうと、ズボンのウエストは問題なかったが、ジャケットの肩幅が小さすぎた。
当方は手が短いから袖丈はぴったりだったが、タイトシルエットなスーツなので肩幅が小さく、アームホールのパターンどりもなんだかおかしく、手が上がりにくい。実際に着用したら電車でつり革を持つのにも一苦労しただろう。
さらにいうと、生地がノンストレッチなため、さらに動きにくさが加わっていた。

そのうえ、生地の表記はウール30%・ポリエステル70%のみで、総裏なのか背抜きかすらも表記されていない。
実物は背抜きだったのだが、スーツを売るのにその表記がないのはAmazonの怠慢としか言いようがない。

 

ちなみにZOZOTOWNで買うつもりはないが、覗いてみると、独自の採寸によってジャケットだと、着丈・身幅・肩幅・袖丈の4つを表示している。この辺りは流石といえる。

サイズ表記に関してAmazonの取り組みは甘すぎる。
この程度の甘さでAmazonがファッション衣料を強化すると言っているのだからお笑い種だ。

さらにもう一つ重要なのは、素材とパターンだ。
こればかりはどれほど技術が進歩しても画像だけでは確かめようがない。

コーエンのコートは、生地が厚手でおまけに中綿の入りも厚かった。
となると、実際に表記されているサイズ感よりは小さくなってしまう。

またパーフェクトスーツファクトリーのスーツは、一度書いたようにノンストレッチ生地で意外に厚手なため、ぴったりしすぎると動きにくくなる。さらに、袖の付け方がどうにもおかしくて、腕がひどく上げづらい。

この部分はいかに技術が進歩しようと解消はできない。
逆にいうと、生地の質感とパターンは洋服にとっては非常に重要で購買を左右してしまうということを再認識した。

しかし、ZOZOTOWNよりもAmazonの方が使いやすいのは、この2つの商品は未使用で30日以内なら返品交換が無料だというところだ。
今回初めて返品をしてみた。

返品理由を書いてウェブで送り、バーコードをプリントアウトしてから同梱して集配所に持ち込む。
そして着払いで送る。

このとき返送料が無料になるというところがAmazonを当方が利用する理由だ。
もちろん、2000円以上で送料も無料になっている。
個人的にはZOZOTOWNに200円は絶対に払いたくない。

多くの識者が論じているように、この送料無料が宅配業者を圧迫しているということは周知の事実だ。しかし、消費者利益の視点から考えれば、送料無料で指定された物は返送料も無料になる(Amazonの着払い)というのは、非常に魅力的で、利用者が減らないということは大いに理解できる。

宅配業に関わらない人間からすると、送料無料とか返送料無料(通販業者持ち)を利用するのは当たり前だ。

消費者利益と宅配業者の状況をどうすり合わせるかが今後の課題になることは言うまでもないが、当方は送料無料の利用をやめるつもりは全くない。

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製造加工業者に蔓延する「とりあえず作る病」と「下請け気質丸出し病」

昨年末にセメントプロデュースデザインの金谷勉社長から、ご自身の初著書を献本いただいた。

日経BP社から12月半ばに発売された「小さな会社が生き残る」(金谷勉著)である。

セメントプロデュースデザインは、もとはグラフィックやらポスターやらウェブなどのデザインを手掛けていたが、それと並行して各地の製造加工業者の新規商品開発も手掛けていた。

今回の本に掲載されているのは、瀬戸焼や熱海の建具業者、京都の竹細工師、鯖江の眼鏡フレーム素材の輸入業者などである。
実は金谷勉社長とは2008年ごろに知り合い、今年でちょうど10年目となる。
スイートテンダイヤモンド

年に数回お目にかかるくらいで、逐一手掛けている製造加工業者のことをお聞きしていたが、この本に書かれている事例の実に8割くらいは存じ上げていた。(笑)
それでもお聞きしていなかった細かい部分や、後日譚、それから金谷社長が各クライアントに抱いている疑問や懸念などが明らかになっていたので興味深かった。

個々の事例はさておき、各地の製造加工業者が苦しんでいる実態とその原因について金谷社長なりの見方が示されている。
このブログの読者は、繊維・衣料品関係の人が多いが、瀬戸焼やヒノキの建具業者の苦境はまったく無関係ではなく、苦境の原因は共通する部分が多く、読めば得るところがあるだろうと感じた。

文字は大きいが239ページもの分量があるので、1回では内容をすべて紹介しきれないので、思いついた部分から順不同で紹介したい。

例えば、

「とりあえず物を作るな」

という部分。

この本では漆器業者の例が出されていたが、これは繊維業者でも同じだ。
とくに繊維の製造加工業者もまるっきり同じメンタリティをしている。

ある漆器業者が「とりあえず作った」新作を持って、金谷社長のところに相談に来た。
市場調査もせずに作った商品である。

「〇〇さん(漆器業者)、この商品はどこで売りたいんですか?」
「銀座です」

理由は銀座には富裕層が多く来るという業者の思い込みでそう答えている。
ちなみにこの話を実際に金谷社長から伺ったのは5年くらい前なので、今の銀座とは少し客の流れが違っている。

「銀座のどこですか?」
「三越とか」
「三越の何階で売りたいですか?」
「行ったことがないからわかりません」

こういう会話が掲載されている。

実は、繊維の製造加工業者も似たようなことがよくある。
国内の製造加工業者もこれまでの下請け業では食っていけないから、生き残りたい業者はオリジナル製品の開発を行っている。
成功するのは1割か2割で、あとは学芸会の発表レベルで終わっている。

2009年ごろからいくつかの産地ブランドや産地イベントの仕事に絡んだことがあるが、当時は中国バブルがすごくて、中国への製品輸出に活路を見出そうとする業者が多かった。

とりあえず作った製品を「富裕層が多い」中国へ高値で売りたいという案件がいくつかあった。
しかし、市場調査をしたわけでもなく、デザインは自分たちの自己流といったものも多く、価格設定も「高い方が売れる(だろう)」というあやふやなものだった。

漆器業者と考え方が同じである。

で、この漆器業者との問答は続く。

実際に売り場を視察して

「売り場を見てきたらうちのとよく似た商品がたくさんありました」
「あなたの商品は売れそうですか?」
「いえ、難しいと思います。でももう100個も作ってしまっていて」

というオチである。

これが「とりあえず」作ってしまうという現象である。
もちろん、試行錯誤するためにサンプル製品を作ることは構わないが、どうしていきなり100個も作ってしまうのかということになる。

しかし、この本には書かれていないが、この逆も製造加工業者には掃いて捨てるほどある。

自社オリジナル製品を展開するとなると、あらかじめ少なくとも展示会用サンプル数枚は作っておくことが必要になる。
しかし、下請けに慣れ切った業者は、このサンプル品すら自腹で作ることを嫌がる。
下請け業なら、ブランドから指示された通りの枚数を作ってその製造加工費がもらえる。
サンプル数枚でも数枚分のカネがもらえるのである。

だから下請けとして仕事をするときはそういう姿勢で良いが、自社ブランドを展開するとなると、そういう姿勢ではやっていけない。

自社ブランドを展開するにはある程度自腹を切らないとやっていけない。

この両方を勘違いする製造加工業者が業種を問わずに多い。
これも製造加工業者の課題の一つといえる。

この本で紹介されている建具屋もとりあえず木工細工品を作って苦戦していたし、瀬戸焼でもパスタ皿を勝手に作って苦戦していた。

一方、逆のケースだと、先日、某アパレル企画マンが顔見知りの縫製工場に声をかけて、企画マンのオリジナルブランドを展開することになった。企画マンがメインで、その製造背景が縫製工場という分担である。
工場の社長も乗り気で「共同展開したい」とまでいうほどの熱意だった。

しかし、下請け気質丸出しの縫製工場は、展示会のためのサンプルを作ったら、それ以上の先行製造をためらった。
先行製造といっても何百枚も作るのではなく、各売り場に持ち込むための数枚とか10枚程度である。
それすら作らないとなると、そのあとの営業は厳しい。

その後、どうなったのか結果は聞いていないが、おそらくこの取り組みは失敗するだろう。
この縫製工場が下請け気質を変えられない限りは。

この本では、「とりあえず作る病」に対して、

僕らからすれば、目的のはっきりしない皿や木工細工を(大量に)つくるほうがよほど「悪」なわけです。

と書かれてあり、「とりあえず作る病」に罹患している製造加工業者はよく味わってもらいたい。

しかし、製造加工業者には先ほどの縫製工場のように下請け気質が抜けない「必要な数量でも自腹では作らない病」も蔓延しており、このあたりが国内の製造加工業者が不振に陥る原因の一つだといえる。

これを治癒することはなかなか難しい。克服できた一握りの業者だけが生き延びれば良いのではないかと思う。

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「%バカ」に惑わされるな

%による増減率と実数の両方を見ないと、本質はつかめない。

昨日の各社決算まとめの続きになるが、一昨年に「ユニクロ凋落、しまむらやライトオンが成長」なんて言われたのは、単に%表記での増減率を比べただけのことで、実数を見ていた人は少なかった。

%表記に惑わされるな!
http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fashion-soroban/b69327c2-7afe-47c0-a350-b39be6cdf5bb

しかし、この業界にありがちなことですが、%表記だけしか見ないと、ときに本質を見誤ることがあります。
昨今、EC売上構成を上げることが呪文のように唱えられています。EC売上構成が10%を超えていないと、「あの企業はまずい!」「時代遅れだ!!」のように書きたてられたりもします。しかし以下のような例ではどうでしょう??

UNIQLOの2017年8月期のEC売上は487億円。EC売上構成は6%。前年度15%売上増です。この数値だけみると、「UNIQLO大丈夫か??時代遅れ??」「実店舗重視しすぎじゃねえ?」なんて声が上がりますが、1年で約63億円もの売上増です。その前の年度は100億円以上の売上増です。

ちなみにEC売上比率が30%あって、軽薄なメディア人やダメコンサルからは優良企業だと思われているTOKYOBASEのEC売上高はせいぜい30億円程度に過ぎない。
ユニクロとTOKYOBASEのどちらがECで売れているかは一目瞭然だろう。
はっきり言って、TOKYOBASEのEC年間売上高はユニクロの1年間のEC売上高増加分よりも少ないのである。
これが現実で、そもそも1兆円企業と100億円企業を同列に並べて優劣を論じること自体がおかしい。

これはZOZOTOWNにもいえることで、ZOZOSUITの発表(実物は一部の大物にしか届いていない)によって軽薄メディア人やダメコンサルは「ゾゾがユニクロのシェアを奪う」と囃し立てたし、某有名ブランドの中の人によると、ZOZOのスタッフもすっかりその気で「ユニクロのシェアを奪いに行きますよ」なんてイキったことを話していたというが、どちらも身の程しらずの寝言でしかない。

国内売上高8000億円のユニクロのシェアを「マイナー」なゾゾがどれほど奪えるだろうか。
せいぜい売上高は100億円程度ではないかと見ている。1000億円はとても無理だ。
その100億円をもって「シェアを奪った」と言えば言えないこともないが、ユニクロにしたら蚊に刺された程度だろう。

まあ、己を見失っている好例になるのではないだろうか。

それはさておき。

「%バカ」はメディアにもアパレル業界にも多いのだが、例えば、昨日決算を紹介したライトオンを例に見よう。

上場企業はTOKYOBASEを除いてだいたいは月次売上報告を発表しているのだが、ライトオンの2017年月次を見てみる。

ライトオンの既存店売上高は

9月度が対前年比11・0%減
10月度が同13・8%減
11月度が同18・9%減
12月度が同増減なし

となっている。
9月~11月までは大幅に既存店売上高を落としているが、12月は前年と同じだったということになる。

「%バカ」はこれを見て、「9月~11月は苦戦したが、12月は下げ止まりを見せた」と判断するだろうが、大きな間違いである。

2016年の既存店売上高を見てみる。

9月度 同11・2%減
10月度 同14・7%減
11月度 同12・0%増
12月度 同13・8%減

となっており、2017年9月度と10月度は減収した2016年よりさらに大幅に売上高を落としていることになる。
2017年9月度は11・2%減のさらに11・0%減であるから、2015年9月と比べると79%ということになる。
早い話、2年前と比べると21%減となっており、かなり厳しい商況だといえる。

しかし、かといって2017年12月度が持ち直したわけではない。
昨年は13・8%減で、それと同数だったというだけのことである。
2015年12月と比較すると2017年12月も13・8%減ったままということになり決して持ち直しているのではないということがわかる。

ちなみに2017年11月度も19%くらい減っているが、2016年11月は12%増だったので、そこから減って2015年11月水準に戻ったということになる。

%表記での増減率を比べることは必要不可欠な作業といえるが、単年度だけ見ていても実態は見えない。
少なくとも2年間か3年間くらいの比較は必要で、できれば5年間~10年間くらいを比較しないと本質は見えないだろう。

単年度や2年間程度の増減率だけで比較するから「ユニクロ凋落、しまむらとライトオン好調」というアホな記事が出来上がってしまうのである。

単年度や2年間くらいの増減率で一喜一憂しているからこんな間違いが起きるし、それで一喜一憂しているような単純な経営者が多いからアパレル業界の各社は凋落が止まらないのだともいえる。

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ライトオンとジーンズメイトは赤字、アダストリアとしまむらは大幅減益に

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

昨年と言っても、まだほんの数日前のことに過ぎない(要するに年末)が、ライトオンの第1四半期決算が発表された。

2018年8月期の第1四半期決算は

売上高が173億7700万円(対前期比12・9%減)
営業損失4億1000万円
経常損失4億2000万円
当期損失4億3300万円

と大幅減収赤字に終わった。

むろん、まだ3か月が終わっただけの数字なので今後挽回することは十分に可能だが、厳しい結果が出たといえる。

以前から指摘されている不良在庫が引き続き店頭で見受けられることと、同社によると秋物の売れ行きが不調だったことがその原因に挙げられている。実際に店頭で見ると、一昨年の春夏物や秋冬物が投げ売り処分されていることが多く、相当に在庫を抱えていることが店頭から推察される。
余談だが、中には掘り出し物もあってそれが990円くらいで投げ売られているのだから、店頭回りはやめられない。
個人的に昨年秋にライトオンの店頭で見つけた掘り出し物(買わなかったが)は、アヴィレックスの綿厚手素材のミリタリージャケットでこれがなんと1900円くらいに値下げされて投げ売られていた。9割引きくらいの価格だ。
こういうお宝がライトオンの店頭投げ売り品には散見される。

続いて、ジーンズメイトの第3四半期決算も振るわない。

2018年3月期第3四半期決算は

売上高63億8800万円(対前期比4・8%減)
営業損失4億4700万円
経常損失4億4200万円
当期損失3億200万円

の減収赤字に終わった。
ジーンズメイトがライザップ傘下になって第1四半期決算だけは黒字回復したが、それ以降は前期同様に赤字が続いており、第1四半期の黒字回復は数字上のつじつま合わせに過ぎなかったとしか思えない。

通期では営業利益3億円、経常利益3億300万円、当期利益4億円を見込んでいるが、あと3か月でどうやって黒字転換させるのかまったく意味がわからない。見込むだけなら誰でもできる。
通期で3億円の黒字回復させるということは現在の4億円の赤字を補ってのことになるので、あと3か月間に7億円の黒字を作る必要がある。3か月間で7億円もの利益を稼げるような店頭にはとても見えない。

報告書には同社の取り組みが書かれてあるので抜粋して紹介しよう。
まず、このブログでも何度か紹介した汗染み防止加工「ゼロステイン」Tシャツは好調なようで前年比3倍強の17万枚を販売したとある。
たしかに性能的には申し分ないのでこれは納得がいく。

一方、プライベートブランドの売上比率が32%から37%へと高まったとあるが、それはプライベートブランドが大ヒットしたというよりは、ナショナルブランドを含む他社仕入れ製品の売れ行きが苦戦したため、自動的に売上比率が高まっただけではないのか?

晩秋以降のリーバイスジーンズ半額セールはすさまじかった。
6500円のリーバイスジーンズが3250円に値下げされて売られていた。
経営陣が変わっても変わらないジーンズメイトの値下げ販売手法のすさまじさと、6500円商品を販売するリーバイスの低価格戦略の両方に驚かされた。

また業界やメディアからは「好調」「勝ち組」と見なされていた企業の決算も厳しい。
まず、アダストリアホールディングスだ。ぶっちゃけていえば大幅減収である。

2018年2月期第3四半期の業績は、

売上高1632億6900万円(前年同期比9.6%増)
営業利益68億9000万円(49.5%減)
経常利益71億3800万円(47.6%減)
当期利益65億9400万円(41.0%減)

とほぼ利益が半減している。

アダストリアホールディングスの幹部のボーナス支給額が減額されたと伝え聞いたが、当然の措置といえる。

減益の理由は在庫処分を進めたためと報告書にあるが、同社の通販サイトであるドットSTを見ているとそれを感じ取れる。
ライトオンと同じで一昨年の秋冬物の在庫品が安値で販売されているからだ。
さすがに990円ほどの値引きはないが60%オフは珍しくない。サイズが合って気に入った色柄があるならお買い得だ。
特にベーシックなデザインのアイテムはこの際に買っておくとあと数年間くらいは着用可能だ。

また、しまむらの業績も芳しくない。大幅減収だ。

2018年2月期第3四半期決算は、

売上高4269億1200万円(前年同期比0.4%減)
営業利益350億8500万円(11.3%減)
経常利益359億6300万円(11.3%減)
当期利益239億7400万円(9.3%減

となった。

報告書には取り立てて大幅減収の要因は説明されていない。
もちろん赤字でもなく350億円もの利益を上げているので、それはそれで優秀だといえるが、通期で見込んでいる増益を達成できるかどうかはかなり怪しいのではないかと見ている。
あと3か月で増益に転換できるとはとても思えない。
増益は2期連続でストップするのではないだろうか。

以上の4社は、一昨年に「陰りが見えたユニクロ」に対して「勝ち組」とメディアで評された4社だが、メディアの見方がいかに甘いかということが証明されたのではないかと思う。

逆に2017年はユニクロの強さが改めて浮き彫りになった。

赤字のライトオン・ジーンズメイト、大幅減収とはいえ黒字のアダストリア・しまむらとは区別して考える必要はあるが、この業績ではどう見ても「勝ち組」には見えない。

「ユニクロに死角あり」みたいなピントのズレた記事が定期的に掲載されるが、ユニクロよりも例えばこの4社の方がよほど死角が多くて大きい。
4社以外のアパレルの死角の多さ・大きさなんていうのは言わずもがなだ。
「ユニクロ以外の死角」をまとめてみてはどうか。そちらの方がよほどアパレル業界のビジネスにとっては役立つのではないか。

メディアの読みが簡単に外れるのは結局、対前年の増減比率だけを見て論じているからで、%表示で減れば「苦戦」、%表示で増えれば「好調」「勝ち組」という単純に判別しているからであり、それに立脚しているアナリストやコンサルタントもことごとく同様の誤りをおかしてしまう。

2018年も引き続き、ユニクロ一強VSその他弱者連合というアパレル業界の構図が継続するだろう。

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ウィゴーの筆頭株主が4か月で変更に
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na278bc65821b

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