月別: 12月 2017 (1ページ / 3ページ)

今年買った投げ売り良品たち コスパオブザイヤー2017

そろそろ仕事納めという会社も多いことから、今年を締めくくる「コスパオブザイヤー2017」を挙げてみたい。

1年を通じてさまざまな値引き品を買っているが、その中でも驚くほど低価格で買えた良品を紹介してみる。
今年1年どんな商品を買ったかなあと思い返してみると、ユニクロが圧倒的で次いでジーンズメイト、ライトオン、無印良品というラインナップで、ジーユーで590円に値下がりしたベルトを2本買った以外はアダストリアのグローバルワークで何年かぶりに綿麻混シャツを買っただけで、今年1年を振り返るなら本当にこの6ブランド以外では買っていない。

この6ブランドの激安投げ売り品だけでそれなりに見映えのするコーディネイトができるのだから、恐ろしい時代になったものだと思う。

よほどの工夫をしないと、いわゆる旧来型のアパレルブランドは消費者の購買を得るには至らない。
これらに追随することではないのだが、それをよほどの工夫だと履き違えている旧来型アパレルはいまだに多い。

さて、順番に紹介していく。

今年1月に衝動買いしたライトオンのPB「バックナンバー」のモッズコートダウンジャケット。
これは定価から半額くらいの7900円に下がっていて、そこからさらにレジで2000円引きになって5900円(税抜き)で買った。

当方は顔がデカくて首が短いので、モコモコしたダウンジャケットを着るとミシュランマンみたいになってしまう。
ダウンジャケットはいくつか持っているがすべて薄手のものにしている。

これは薄手であり、丈も長い上に表面の生地は撥水機能がある。
フードがあるのでこれを被ると、豪雨でないなら凌げてしまう。
1月・2月の冬の雨の日に何度助けられたことか。

残念ながら3月までに在庫を消化しきれなかったようで、今年12月にもまた6900円で幾枚か売られているのを見た。

あまり人気がなかった要因にライトオンの中の人は、フードの縁のファーのボリュームがなかったことを挙げているが、顔デカのオッサンからするとフード周りに分厚すぎるファーが付いている方が鬱陶しいので、この薄さが個人的には良かった。
まさにお気に入りの1枚になっている。

次は、ユニクロUのキャンバススリッポンシューズである。
定価2990円が5月の連休前後には990円にまで値下げされた。
昨年のユニクロUのキャンバススリッポンより幅が広くなり、足先に謎のゴム部分が追加されており、昨年のスリッポンより評価が低いが、実はクッション性はこのスリッポンの方が上である。
両方を所有して履き比べてみた実感だ。

それに昨年スリッポンは細すぎて逆に足が疲れることがあったが、これはそこまで細くないので快適性から言ってもこちらの方が上である。
「足先のゴムのデザインガー」とか言っている人もいるが、履いてみるとそこまで気にならない。機能性と快適性から言うならこのスリッポンの方が断然に上だ。

夏にはTシャツを5~6枚買った(いずれも値引き品)が、その中でも夏の終わりの9月上旬に買ったジーンズメイトのステインゼロ(汗染み防止)Tシャツはお買い得だった。
とくにこの文字入りの白のVネックTシャツは590円にまで値下がりしており、薄グレーのVネックTシャツは790円にまで値下がりしていた。

生地は薄く、当初「大丈夫かな?」と不安だったが、着てみると想像以上に汗染みが目立たない。
夏のピークの35度の気温では試せていないのでそこはわからないが、30度強くらいまでの気温でなら汗染みをほとんど気にする必要がない。
白いTシャツは生地も薄いことからスケスケになるかと心配したが、それもなかった。
ジーンズメイトのステインゼロTシャツは来年の夏も値下がり品を買いたいと思う。

秋以降は、ユニクロ祭りである。
それもJWアンダーソンとのコラボ商品が不振なのか、11月以降すさまじい投げ売りになっている。
JWアンダーソンというデザイナーにもブランドにも全く興味がなく、冷淡だった当方が、気が付けばJWアンダーソンコラボ商品しか買っていないという状況にあり、それほどに安い。

まず、秋口に買ったのが、ユニクロの通常版イージーアンクルパンツのオリーブグリーンでこれは1290円にまで値下げされていた。

 

 

長い靴下を穿けば冬でも着用できるが、12月に入ってからは着用回数が減っている。来年の春に再登場させる。

JWアンダーソンコラボの魚柄のセーター。
定価2990円だったのが1990円に下がったときにグレーを買った。その後、1290円にまで下がったので色違いの黒も買った。
そうしたら990円にまで値下がりした上に、店頭ではいまだにものすごい量が陳列されているので、買い時を誤ったと後悔している。
ウール100%で編地の品質から言って、1990円でも破格値だが今の990円は超破格値であり、990円ならまとめ買いをお勧めしたい。
後でも触れるが、ユニクロのウールセーターは品質の高さと低価格さでは群を抜いている。

チャラチャラとイキっただけのセレクトショップなら同じ商品を3倍~4倍くらいの価格で販売しているだろう。それほどのクオリティであり、さらにそのクオリティは向上しているように感じる。

JWアンダーソンとのコラボシャツである。
これも全く興味がなかった商品だったが、12月に入って投げ売られている。
定価2990円のままならこんなものは買わないが、1290円に値下がりしているのを見つけてまず、ストライプ柄を買った。
そうすると990円に値下がりしたので後悔しつつ、クレイジーパターンのギンガムチェック柄のも買った。

 

綿100%ブロード生地のシャツだが、非常にソフトで光沢のある表面感となっており、これはかなりの高級素材を使っているのではないかと感じる。990円なら破格値で何種類かまとめ買いをしておくことをお勧めする。

JWアンダーソンコラボのフェアアイルモックネックセーター。
フェアアイル柄は好きなのだが、モックネックというデザインが好きではないので、当初はまったく購入するつもりがなかった。
厚手のミドルゲージセーターでウール100%。生地の品質からいえば、これで3990円というのは破格値で、そこら辺のセレクトショップなら間違いなく12000円以上で売られている。
しかし、これが1990円にまで値下がりしているのを見て、思わず買ってしまった。

1990円でも間違いなく破格値だが、さらにその後値下がりしており、昨日(12月28日)にはなんと990円にまで値下げされている。これの店頭在庫は残りわずかだが、サイズが合えば絶対に買うべきだと思う。
超良品が文字通りの投げ売りである。

それにしてもこのJWアンダーソンの投げ売りは凄まじい。
同時期に発売したイネス、ユニクロUはほとんど値下がりしていないことから考えると、JWアンダーソン商品の売れ行きは相当悪いのだろうと推察できる。
形状的にはベーシックだが、色柄で遊んでいる商品が多いことがマス層には受け入れられないという評価を目にしたことがあるが、派手なボーダー柄セーターとTシャツを除くと、そこまで派手な色柄はない。とくに当方がかった魚柄・フェアアイル柄はそれほど派手でもないが、そこは当方といえどもマスの心理を理解できていないのかもしれない。

ファッション好きな人からは「最近、どのブランドもベーシックな色柄が多く楽しくない」という声を聞くが、JWアンダーソンコラボの残り具合と投げ売りを見ていると、大衆にはこの程度の色柄さえ受け入れられないのだから、他ブランドの色柄がベーシック一辺倒になるのも当然ではないかと思う。

そんなわけで、今年のブログ更新は今日で終わる。
皆様、良いお年を。

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大衆は「ファッション」にそれほど興味がない

一口に衣料品というが、実用衣料から先端のモードまでさまざまある。
実用衣料というと作業服などになるが、通常の人が普通に使用している衣料品は実用衣料寄りのファッション衣料ということになる。

先端のモードやそれに追随するような高感度ブランドがいわゆる「本当のファッション衣料」だと思うが、はっきり言ってしまうとそのジャンルを理解できる人は少数派である。
当方はまったく理解できない。する気もないのだが。

先日、ファッションど真ん中の人が

「機能性繊維を使用していると聞くと気持ちが萎える。こんな感覚は少数派なんだろうけど」

というような内容のことをツイートしておられたが、まさしく少数派だと思う。
決してディスっているのではなく、そういう嗜好の人がいてもいいし、当方はこの人が「少数派」だと自覚しているところに好感を持つ。

というのも、アパレル・ファッション業界にはその自覚のない人があまりにも多く、自覚がないだけなら全く問題はないのだが、自覚のないままにその感覚で「大衆向け商品」を作ろう・売ろうとするから話がおかしくなっているのだと思う。
洋服不振の原因の一つはその自覚のなさだと思っている。

70年代~90年代後半くらいまでは、そういう「ファッションど真ん中の人」の発信・発言が重宝されていたし、それに沿って世論というか風潮が形成されていたのではないかと思う。
70年代・80年代は学生だったので実際のところはどうだかわからないが、90年代後半はそうだった。

2000年以降徐々にそういう状況ではなくなっていったし、2010年以降はまったくそうではなくなっている。
にも関わらず衣料品業界はその90年代後半の構図が通用すると思っていて、そこにも衣料品不振の原因の一つがあるといえる。

先日、そごう西武の自社企画商品リミテッドエディションが失敗に終わったことを紹介した。
シャネルなどのトップブランドを担当し続ける超有名デザイナー、カール・ラガーフェルドを起用したにもかかわらずだ。

ファッションに疎い当方ですら、カール・ラガーフェルド起用には感心した。
しかし、結果は惨敗だ。
ツイートを見ていると、カール・ラガーフェルドという人が何者なのかしらないという声が多かった。
大衆からすると「誰?そのオッサン」という状態で、どこの馬の骨ともしらないオッサンがデザインした服になどまったく興味がなかったというわけである。

これは、ファッション業界人と大衆の認識が著しく乖離していることの好例といえるのではないか。

そごう西武と同じセブンアイグループのイトーヨーカドーも自社企画商品にゴルチエなどの有名デザイナーを起用したがこれも惨敗に終わっており、原因は同じだと考えられる。

ファッションど真ん中を嗜好する人や最先端に追随したい人にはこの売り方は効果的だが、百貨店というマス向け・イトーヨーカドーという大衆向けにはこの売り方は不適格であり、今後もその構図は変わらないだろう。

それは他の百貨店の商況を見ても如実に表れていると感じる。

最先端ファッションを売り物にする伊勢丹新宿本店は停滞しているが、最先端ファッションが一切ない静岡伊勢丹は5期連続増益となっている。

また、地味な印象が強く旧来型百貨店の代表といえる高島屋は好調に推移している。

高島屋/3~11月は、百貨店事業堅調で増収増益
https://www.ryutsuu.biz/accounts/j122543.html

高島屋が12月25日に発表した2018年2月期第3四半期決算は、売上高6788億9400万円(前年同期比3.1%増)、営業利益217億1000万円(5.6%増)、経常利益243億7600万円(5.8%増)、当期利益144億7700万円(9.5%増)となった。

百貨店業での売上高は5967億6500万円(4.3%増)、営業利益は80億7500万円(15.4%増)となった。

とのことだ。

三越伊勢丹HDや阪急・阪神のH2Oリテイリングやそごう西武などは地方小型百貨店が苦戦しているが、オチマーケティングオフィスの生地雅之さんのブログによると、

高島屋は全店黒字化と発表されており素晴らしいものです。

とあり、他の百貨店の状況とは大きく異なっている。

「ファッション売り場」としての高島屋の評価はどうだかわからないが、「百貨店」という業態として見れば、現在の「盟主」は三越伊勢丹ではなく、高島屋といえるだろう。
大丸・松坂屋のJフロントは「脱百貨店」を自認しているから、「百貨店」業としていうなら高島屋が業界の最良モデルだといえる。

結局、マスに向けて売らねばならない百貨店という業態は、最先端ファッションでは支持されにくいということだろう。
もちろん需要がないわけではない。
需要があるからこそ伊勢丹新宿本店は2500億円を越える売上高を誇っている。
しかし、その需要はそれが限界だということでもある。それ以上の売上高が欲しければ最先端ファッションだけでは無理だ。
ましてや地方小型店を再生する手段は最先端ファッションの導入ではないことを高島屋と静岡伊勢丹が証明している。

小規模に最先端ファッション層に売るなら話は別だが、マスに売りたい・大衆に売りたいのであれば、90年代後半までのファッション嗜好とは決別する必要があるのではないか。

そして、最先端ファッションを嗜好しながらマスに売りたい・大衆に売りたいというのは虫が良すぎる話で、そんな趣味の延長線上のような活動でマス向けビジネスは実現できない。
マスに売りたいならマスに売れるような「売り方」や「商品作り」が必要になる。そんな当たり前のことがなぜ理解できないのか不思議でならない。

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ネット通販は「楽園」でもブルーオーシャンでもない

アパレル業界の希望の星ともいえるネット通販・ECだが、実はさらなる低価格競争を招く。
とくに「有名ブランドを仕入れる」という姿勢のショップは低価格競争に巻き込まれやすい。

例えば、最近、ナイキの「エアマックスインビガープリント」というスニーカーを買おうかどうしようか迷っているのだが、買おうと思った動機は、

1、ナイキのエアマックス95に似せたデザインだから
2、復刻版のエアマックス95よりも数段安いから

である。

かつて追い剥ぎまで出現した大人気スニーカー、エアマックス95だが、当然当方は買わなかった。
理由は品薄だったうえに高かったからだ。ネットもない95年当時、入手する方法もわからなかった。
入手する方法がわかっていたって高値なら買わなかっただろう。
当方の購買動機はすべて価格である。

で、それに似せたデザインの商品が発売され、しかも値段は1万円くらいとお手頃である。
値段の高いポンプフューリーは買わずに、値段の安いフューリーライトを買うのと同じだ。

で、できるならなるだけ安く買いたいと思うのが人としての自然な感情だと思う。
今は便利なネットというツールがあるから、それで検索するとこんな感じで表示される。

 

 

色柄にもよるが、1万円を越える物から5000円の物まである。
当方はエアマックス95に一番似ているグレーと黄色が欲しいから選ぶなら6800円くらいの商品となるが、「色柄は気にしないよ」という人がいるならこの5000円の商品で十分だろう。
あとは送料が安いか高いか、または無料になるのか、で最終的に判断する。

手持ちのスニーカーが壊れたのでできるだけ早い時期に欲しいという人もいるだろうが、当方は服のみならず靴も大量に持っているから、手元に届くのが1週間や10日かかっても問題ない。

だから当方が選ぶのは、もっとも送料が安く(できれば無料で)て、もっとも価格が安い商品になる。
ネットショップ名は関係ない。
A店で買おうがB店で買おうが物は同じだ。だったら安くて送料無料の店が良い。
出す銭は少ない方が良いに決まっている。

おわかりだろうか。これが仕入れ型のネットショップの行き着く先である。

じゃあ、価格競争に巻き込まれないためにはどうすれば良いのかということになると、「独自の商品にする」しかない。
仕入れでそれを実現するのは難しい。
卸売りメーカーは大量に卸売ってナンボだから、できるだけ多くの店に卸したい。
それを差し止めたいなら、あなたの店舗が大量に仕入れる必要がある。
大量に仕入れるのは嫌だが、広く卸売られるのも嫌だというような虫の良い話はこの世には存在しない。

商品の独自化を図るということは、SPA(製造小売り)化するしかない。

衣料品でこれができているのがユニクロと無印良品である。
もちろん、自社サイト内では両ブランドは不良品番を値下げして販売する。
しかし、他社サイトでさらに安い商品が発見されてそれと比較されることはない。
メルカリやヤフオクなどの転売市場は別として、新品でそういう比較にさらされることはない。

かつてのインタビュー時にカルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)の増田宗昭社長は、「価格競争に巻き込まれないためには、商品の独自化=SPA化するしかない」と述べられていたが、その通りである。
さらにいうなら、販路を広げずに絞れば価格競争には巻き込まれない。

ただし、他店・他社との価格競争に巻き込まれることと不良在庫を値引き処分することとは別になる。
不良在庫を値引き販売するかしないかは自社のブランドに対する考え方、自社の資金繰りとの兼ね合いである。
どちらが正しくてどちらが間違っているということもない。
叩き売ってでも資金繰りの足しにしたいというのも立派な選択肢である。

例えば、今、ユニクロは売り上げが芳しくなかったJWアンダーソンとのコラボ商品を投げ売っている。
JWアンダーソンなるデザイナーにもブランドにもまったく興味がなかった当方だが、低価格に惹かれて今秋冬はアンダーソンコラボ商品ばかり買っている。逆に売れ行き好調でほとんど値引きされないイネスとユニクロUは1枚も買っていない。

このアンダーソンコラボはたしかに自店で投げ売られているが、他社サイトや他社店舗でさらに安く投げ売られていて、ネットを通じて価格比較されることはない。

無印良品も同じで、他社のECモールに出店・出品しないことで、自社の提示価格を維持している。
もしその提示価格で売れないのならもう一段下げるだけだし、無印良品ならアウトレット店へ移管するだけのことになる。

これがSPAの強みだろう。

仕入れ型、もしくは仕入れ商品が多い専門店がインターネット通販、ECに参入するのは価格競争に巻き込まれやすく、知名度が低ければ低いほど低価格にしなくては集客しにくくなる。

実店舗なら「店の内装の雰囲気」だとか「店長やスタッフの好感」だとかそういうことが評価されて、最低価格でなくても売れることもあるが、ネットショップにはそういうものは存在しない。
いくら綺麗な画像が乗っていても「知らんがな」である。

だから、低価格競争に苦しんでいる小売店が過剰にネット通販やECを礼賛しているのを見ると、「この人の頭は大丈夫なのかな?」と心配になってしまう。

実店舗のみの販路では心もとないから幾分かの足しになれば、というくらいでネット通販に参入するなら当然だと思うが、あたかも「楽園」があるように認知してネット通販に参入すると確実に失敗に終わるだろう。
そしてあたかもネット通販に「楽園」があると思わせるような報道には疑問しか感じない。

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ネット通販こそ低価格競争になりやすい

前回、大手有名ブランドがZOZOTOWNでの売上高が減少しつつあることを書いた。
ある大手ブランドは、現在前年比10%減~20%減の売上高で推移しているという。

理由は、ZOZOTOWNの集客手法が、割引きクーポン発行や早期割引がメインであるためだ。
それでも新規流入客が大幅に増えれば問題はなく売上高増加につながるが、新規流入客があまりないため、結果として売上高減少につながる。

当たり前のことだが、

売上高=客単価×客数

である。
このため、客単価が減って客数が増えなければ売上高が減少するのは当たり前のことである。

一般に、とくにトレンドに流されやすいアパレル業界とメディア業界は、ネット通販を救世主のように過剰に崇拝しているが、ネット通販の利用者は統計的にそれほど多くない。
ネット通販市場が16兆円あるといったって、それは衣料品以外の雑貨や日用消耗品や家具、食料品などすべて含んでいる。
その中で衣料品が占める比率はけっこう少ないのではないかと思う。

一昨年あたりからネット通販を月に2~3回利用するようになった自分自身に置き換えても、衣料品の購入比率は高くない。
もっとも買っているのが、ガンダムのプラモデルで、次にパソコン回りの備品類、それから腕時計やリュックなどの雑貨、あとは日用消耗品で、衣料品と靴の購入点数はもっとも低い。
理由は2つ。

1、サイズ感がわからない
2、素材の風合いや肉厚がわからない

である。
サイズ感のミスマッチをなくすためにZOZOSUITが開発されたといえるが、現時点ではまだ実物は誰の手にも届いておらず、これを解決できる手段にはなり得ていない。
当方がネットで買うのは、店頭で試着したことのある商品に限られている。
もしくは試着したブランドから類推して買う。

サイズのミスマッチ感が将来的にZOZOSUITで解消されたとして、素材の風合いや肉厚さがわからないというのは解消しようがない。
どれだけ画像を精巧にしても、素材の薄い厚いまではわからない。
「思っていたより素材が薄い」とか「思っていたより素材が分厚い」というのはけっこう重要なファクトであり、とくに夏用・冬用などの気温対応という性質が重視される衣服にあってはそれが最重要点の1つとなる。

だからネット通販では、衣料品よりもサイズ感が不要な雑貨や家具、日用消耗品、ガンダムのプラモデルの方が売れやすいし、それを買う人の方が多いのは当然といえ、今後もその比率は変わらないと個人的には考えている。

ZOZOTOWNは現時点ではファッション好きでネット通販好きの消費者をほぼ取り込み切っており、いくら値引きで集客しても新規客はそれほど多く集まらないと考えられる。
また、現在ZOZOTOWNを利用していない人は、将来的にもあまりZOZOTOWNを利用しないとも考えられる。
だから、値引き集客しても客数はそれほど増えずに、売上高だけが低下するという現象が起きているといえる。

今後、有名ブランドはZOZOTOWNでの販売に力を入れず、自社通販サイトを強化する方向に進むと、某有名ブランドの中の人は見ている。

さて、ZOZOTOWNの集客方法は値引きがメインだと書いたが、これはZOZOTOWNに限らず、ほとんどのネット通販サイトも同じである。

ネット通販は知名度が同じ・検索での表示が均等だとすると、究極的には低価格の方が売れやすいといえる。
またネットという特性上、異なるサイトの価格を一気に表示比較されるという宿命を持っている。

リアル店舗のように、「値段は高くてもあの店員さん・店長さんのファンだからそこで買う」とか「店舗で教えてくれるコーディネイトが好きだから高くてもそこで買う」というような客は、ネット通販には一切いない。
だからネット通販こそ、価格がすべてになりやすい。

ネット通販はアパレル再生の処方箋ではない
ファッションアプリCEOが指摘する“総EC化時代”のワナ
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/092900168/121400005/?P=1

ECでは消費財とか定番ものしか売れません。ECもリアル店舗も分け隔てなく考えるのがあるべき姿ですが、今のアパレル企業は「ECやっていると言わなきゃいけない」という雰囲気すらある。結局は設計の話ですね。EC化が進んでいるから先進国というワケではないんですよ。例えば香港のEC化率は1~2%しかありません。売り場と住む場所が近いので、ECを使うまでもなく済んでしまうんです。

以前にも紹介した記事だが、ネット通販・ECについて重要なことが述べられているので再度抜粋引用する。
わけもわからず過剰にECやネット通販を礼賛しているアパレル業界人・メディア業界人は熟読した方が良い。

ライフスタイル系商品の場合、答えがない。そういうものは苦手なんです。消費財とか、ものすごくファストな欲求はネットに向かいます。一方、消費者は欲しいものがあれば、今でもごくごく普通にリアル店舗に行きます。昔は「趣味=ショッピング」というのもありましたが、今は当てもなく商品を探すのはいや、という人も多い。だからECで物を買い、気に入ったらリアル店舗もフォローして、という風にぐるぐる回っていきます。
オンラインのみの購買経験は“プア(貧困)”だと思います。消費者と売り手の間に情報の非対称性があると、マーケットが低価格に移行していきます。

とある。
さらに

店もECも、結局は顧客との接点でしかないんです。それが分かっている企業はうまくビジネスができているが、ECを赤字で続けているところもあります。いまのままECをやるなら、低価格衣料にまでタッチしないと厳しいでしょう。もしくは限定にしてECでしか買えないとか。一方で、ウェブ系の企業がリアル店舗に進出していますね。なぜなら、リアル店舗は多様なデータが取れるからです。消費者その人を象徴するような買い物は、リアル店舗でしていることが多いんです。

何度もいうように、ネット通販・ECは衣料品不振を打破する「魔法の杖」でも「究極兵器」でもない。
売れる企業もあれば、売れない企業もある。
知名度が低く、手法がまずいブランドはネットといえども売上高がゼロということも普通にある。
現に、知り合いが手掛けているブランドのネット通販の11月の売上高はゼロに終わっている。

ネット通販・ECはビジネスを拡大するための「道具」「手段」に過ぎず、ネット通販やECを開始することが「目的」ではない。
ビジネスが拡大できるならネット通販にこだわる必要はまるでない。「目的」と「手段」を履き違えているブランドやメディアがあまりにも多すぎるのではないか。またそれに踊らされる情弱もあまりにも多すぎる。

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IZREELが雑貨に特化してZOZOTOWNに出店した理由

先日、イズリール(IZREEL)というブランドから「展示会に来てください」とお誘いいただいた。
高倉一浩さんというデザイナーが展開しておられるデザイナーズブランドで、なぜだかわからないが随分と前からフェイスブックでお友達になっている。

こちらからは滅多に友達申請をしないので、向こうから申請していただいた。
こんなデザイナーズファッションとは無縁なオッサンと友達になっても何の得にもならないと思うのだが。

で、今回はZOZOTOWNに12月21日から出店するのでそのお披露目を兼ねた展示会だという。

まあ、招待をいただいたので重い腰を上げて東京まで行った。

正直にいうと、ZOZOTOWNへの出店というのは、あまりピンと来ていなかった。
というのも、ZOZOTOWNの知名度が高くなりすぎて、忘れ去られたような大衆向けブランドまでが、今では藁にも縋る思いで出店するケースが増えたからだ。
ジーンズメイトやタカキューが今更出店してどれほどの効果があるのか疑問で仕方がない。
すでにZOZOTOWN内には何千ものブランドが出店しており、知名度の低いブランドが後発で出店しても埋没してしまうのがオチだからだ。

よほど売り方や見せ方を工夫しなくては、「単に出店しました」ではだれにも注目してもらえない。

一方、ZOZOTOWNに先行出店していた有名ブランドは、売上高が前年減になる場合も増えている。
その理由は、客数が変わらないのに、割引クーポン発行やら先行値引きやらで、購買単価が下落しているからだ。
ZOZOTOWNの成長は目を見張るものがあるが、以前にもこのブログで紹介したように、ネットで買い物をする人の比率はまだまだ低く、特にファッションに興味がありブランド好きな顧客はすでにほとんどがZOZOTOWNに囲い込まれている。
そうなると、新規客が爆発的に増えることは考えにくい上に、ネット通販の特性として何らかの安売りが最大の集客手法だから、購買単価が下落するのは当然の結果である。

某有名ブランドの中の人は、「今後は各有名ブランドにZOZOTOWN離れが始まり、自社通販サイトの強化に取り組むだろう」と推測している。

これについてはまた後日、別に考えてみたい。

そんな状況だから、今更ZOZOTOWNへの出店が得策ではないと感じていた。

会場について高倉さんから直接説明を受けると、考えが変わった。
やっぱり直接尋ねることも重要だ。

今回のZOZOTOWN出店について

「いかに埋没しないかを考えました」

という。

販売するアイテムは、扇子・ネクタイ・蝶ネクタイ・カマーバンド・キャップ(俗に野球帽というやつ)に限定している。
全アイテムを共通の生地で製造する。
ポリエステル100%のコンピュータージャカード織り生地で、すべてのアイテムを製造する。

とくに目玉は扇子で、「Tokyo sense」と銘打つ。
もちろん扇子とセンスを引っかけていることは言うまでもない。

扇子はポケットチーフと専用ケースをセットにし、それをボックスに入れて13000円で販売。その他アイテムはそれぞれ単品で8000円で販売する。

イズリールの商品群

小物雑貨に特化したのは、「数多く出店しているトータルブランドに埋没しないため」(高倉さん)だという。
さらにキャップは例外としてもネクタイ、蝶ネクタイ、カマーバンドをメインアイテムにしたことについては、「ZOZOTOWNはカジュアルブランドの出店が多く、フォーマルアイテムが少ないので、これも埋没しにくいと考えた」とのこと。

キャップがメインアイテムにあることは、ご自分が帽子好きだからということ以外に、このイズリールというブランドが「フォーマル+カジュアル」をコンセプトとしているため、もっとも手軽にストリート感を表現できるからだ。
おまけに季節やトレンドに左右されにくい定番アイテムとして息長く売れるということもある。

柄数は全11柄で、毎月新柄を1つ加える。
一方、不人気柄は売り切れたらその時点で販売を中止する。

この「売り方」はなかなか工夫されているといえる。
昨今は、異様なネット通販礼賛で、「とりあえずEC(ビールかよ)」とか、何も考えずに「何となくクリスタルEC」というようなアホなブランドが多い中で、自身のブランドの知名度の低さ(大手に比べれば)を認識した上で独自性を打ち出している。

ビッグビジネスになるかどうかは判断の分かれる部分で、個人的にはビッグビジネスにはならないと思うが、少数のスタッフが食べていけるくらいには成功するのではないかと思う。
ZOZOTOWNはまったく使わないが、総合アイテムブランドが乱立する中で、単品雑貨に特化したブランドというのは目立ちやすいし、コンセプトやテイストがはっきりしている分、消費者にはわかりやすいだろう。

知名度の低い低価格の総合アイテムカジュアルブランドよりはよほど埋没しにくい。

2018年1月1日からは、イズリールが得意とするオーダータキシードもZOZOTOWNで受注を開始するという。

2018年元旦からZOZOTOWNで販売されるオーダーフォーマル

こちらは高額だが、従来から行っているオーダーサービスをネットにも出店するだけなので、リスクは少ない。
すごくたくさん売れることはないと思うが、従来の活動のプラスアルファの売上高くらいは望めるのではないかと思う。

なかなか興味深い「売り方」を見せていただいた。

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「原価率明示ビジネス」の薄っぺらさ

不振を極める国内アパレル業界では、今、2つの手法が持て囃されているが両方ともに甚だ疑問を感じる。

1つは「原価率明示」、もう1つが「EC礼賛」である。

販路の1つとしてEC、ネット通販を整備することは必要だが、EC比率が高ければ高いほど優秀だという評価はまるで意味がない。
これはメディアにも責任があり、そういう表層的な指標でしか、判断ができないからだ。

もう1つの「原価率」だが、原価率明示ブランドが持て囃されているが、メディアに掲載される「原価率」なる言葉はひどく不完全である。
おそらくは「製造原価率」を指していると思われるのだが、単に「原価率」とだけ表記されている場合は、誤解を招くことにもなる。

なぜなら、単に「原価」「原価率」と表記された場合はそれは「仕入れ原価」「仕入れ原価率」のことも含むからだ。

計数管理の授業の初歩だが、「売上高=原価+粗利益高」と分解することができる。
これはビジネスを行う人ならだれでも知っているだろう。

そして、小売店の場合、「原価」とは「仕入れ原価」を指す。

だから単に原価率とだけ表記されている場合は、仕入れ原価率を指しても間違いではない。むしろ、小売業者なら原価率とは仕入れ原価率の方が適切だということになる。

計数管理の授業では、小売店の仕入れ値は店頭販売価格の6割が標準だと教えられる。
10000円の商品なら仕入れ値の標準は6000円になるということになり、業界では「6掛け」という用語で表される。
もっとも、この標準は現在ではほとんど消滅しており、仕入れ値は店頭販売価格の40~55%くらいに低下している。

しかし、商品によっては6掛けを維持できているものもあるし、買い取りではなく委託販売なら6掛けよりも大きい掛け率の場合もある。

教科書では標準とされる6掛けで仕入れていた場合、この店の原価率は60%となり、「原価率50%」と表記されるTOKYOBASEやファクトリエなどの商品よりも原価率は高くなる。
「原価率50%だから高品質」というのなら、この店の「原価率60%」商品はもっと高品質だということになる。
お分かりだろうか?

言葉というのは中途半端に使用するとこれほどに意味が異なってしまう。

まあ、これは言葉遊びの範疇ともいえるが、正確な用語を使用しないと、まるで違う意味にも受け取れるようになる。
だからメディアは気を引き締めてもらいたいと思う。

さて、言葉遊び以外でも「製造原価率」の高さは、決して高品質にはならない。
もちろん粗悪品ではないが、メディアや世間が絶賛するような高品質ではない。

アパレル商品の原価率が高いことは品質の良さとは無関係
https://ameblo.jp/takukawai/entry-12337459154.html

業界には著名なコンサルタントが幾人かいるが、この河合拓氏はもっとも理論的で、賛同できる主張が多い。
短いブログだが、主要な部分を抜粋する。

サンマやキュウリと違って、アパレル商品は「生地」や「ボタン」などの付属で構成され、さらに、複雑な商品となると「プリント」や「刺繍」など後加工も入ります。これらの部材をアセンブリして商品が完成する、しかも、それらの部材は世界中の産地で生産され、アセンブリ工場に供給されるのです。加えて、繊維製品は95%が輸入品で、日本に輸入する際は輸入関税が10-15%程度かかります。この関税を避けるため、生産時期をずらしたり途上国の部材をつかって特恵関税という減税枠をつかって税率を下げる技術もある。加えて言うなら、生産国から日本に輸入する際、船便とAIRで単品あたり100-200円も輸送費が変わるのです。

また、国によって人件費が違い、産地によっても同じ商品でも労働工賃(CMTといいます)は変わる。では、人件費の安いところにいけばよいのかといえば、そうでなく、バングラデッシュやミャンマーなどは、生産ロットが莫大に多く、日本のアパレルが生産委託をすれば、産地の工場固定費によって単品コストは逆にあがるのです。日本と人件費が変わらないといわれる中国沿岸部で生産したほうが、供給スピードが速くなり的中率があがって、相対原価が下がるということもある。スーパーの仕入とは全く違うのです。

とある。そしてここからが「肝」の部分だが、

アメリカのアパレルが、日本の商社を使う理由が理解できないので、昨年販売した商品と同じ商品をつくってみろといって商社に渡しました。なんと、その商社は、そのアメリカのアパレルが調達している1/3の値段で製品をつくってみせたのです。よく調べてみると、そのアメリカのアパレルはアジアにバイイングオフィスという調達機能をつかってはいますが、香港に拠点をもっていて、香港から多段階に階層化されたミドルマンによる流通の高コスト化によって、例えばイタリアの生地をチャイナの問屋経由で買ったり、という具合に「下手な」調達をしていたわけです。

とある。

要するに、素材・副資材の調達、生産工場の選択によって、日本の商社は同じ商品をアメリカのアパレルの3分の1の値段で製造することができたという話である。
商品はまったく同じでも生産の組み立て方では値段が3倍になるということになる。
昨今流行りの「原価率明示ビジネス」の原則でいうなら、アメリカのアパレルの方が高品質ということになってしまうが、その判断基準は間違っているということの証明だといえる。

なぜなら、同じ商品を日本の商社は3分の1の値段で作れるが、商品の質には差がない。

ちなみにここで言われている「多段階に階層化された流通の高コスト」というのは、実はラグジュアリーブランドにも当てはまる部分があり、某ラグジュアリーブランドが使っているデニム生地は、日本の工場で1メートル700円くらいで生産されている定番デニム生地なのだが、これが「多段階の階層化された流通」によって、このラグジュアリーブランドは1メートル7000円くらいの価格で買っているといわれている。

仮に、全てのアパレルが商社に発注して、完成品だけの仕入と販売をしたらどうなるか。確かに、このケースにおいては、調達の技術はイコールですから、「原価率の高さ」は「品質の良さ」を表すでしょう。しかし、商社は効率を重視しますから、結局商品間の差別性はなくなり、消費者から見た購買の決定要因は価格のみ、ということになり価格競争に陥ります。

こうした事実から、プロから見て、ものづくりのノウハウがないアパレル企業の「原価率の高さ」は、「品質の良さ」でなく「調達の下手さ」と同義語です。アセンブリ商品であるアパレル商品を「原価率」だけで語るのは無意味であるということです。

この結論が昨今流行りの「原価率明示ビジネス」の薄っぺらさを表している。

 

 

 

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ネット通販はアパレル再生の切り札ではない

アパレル業界の多くの人は自分の頭で物を考えようとしない。
メディアの記者も似たようなところがある。
アパレル業界の人は自分たちが考えることが苦手だということを自覚している場合が多いが、メディアの記者は自分たちは考えていると思い込んでいるから、アパレル業界人よりメディアの記者の方が性質が悪い。

両者とも極めて雰囲気に流されやすいから、何かヒット商品があるとそちらに右向け右となってしまう。
今ならさしずめ「ネット通販」「EC化」である。

アパレル各社の決算報告書には判で押したように「EC強化に取り組む」「EC化比率を伸ばす」と書かれてあり、まさしく「アホの一つ覚え」としか言いようがない。

それを的確に捉え警鐘を鳴らす良記事があった。

ネット通販はアパレル再生の処方箋ではない
ファッションアプリCEOが指摘する“総EC化時代”のワナ
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/092900168/121400005/?P=1

ECでは消費財とか定番ものしか売れません。ECもリアル店舗も分け隔てなく考えるのがあるべき姿ですが、今のアパレル企業は「ECやっていると言わなきゃいけない」という雰囲気すらある。結局は設計の話ですね。EC化が進んでいるから先進国というワケではないんですよ。例えば香港のEC化率は1~2%しかありません。売り場と住む場所が近いので、ECを使うまでもなく済んでしまうんです。

とのことで、まさしくその通りだ。

キャッシュレス化論争とも似ており、キャッシュレスであればあるほど先進国というわけのわからない見方がある。
しかし、アメリカも中国も偽札が出回りやすいことと治安が悪くて取られる心配があったことから、極力カネを持ち歩かない文化になっただけのことで、先進性があるからではない。
日本は逆に偽札は出回りにくく、カネを持ち歩いていても取られることがほとんどないから現金を重視しているというだけのことだ。

先進国でも不要ならECを使わないし、発展途上国でも利便性があると感じられたらECを使う。
それだけのことだ。

先日、ユニクロの今秋冬商戦が好調だが死角もあるという記事が東洋経済オンラインに掲載された。

どんな死角があるのかな?と期待して読み進むと思わず「アホか」とつぶやいてしまった。
その記事がいう死角とは、「EC化比率が10%未満であることと、EC売上高が15%増と低い伸び率に終わったこと」だという。
まったくアホの寝言である。

EC化比率が10%未満だとなぜダメなのか?
それをロジカルに説明している記事は見たことがない。

ユニクロのEC売上高は460億円弱で、単独衣料品ブランドとしては断トツの売上高を誇る。
EC化比率がどれほど高くて、何とかの一つ覚えのメディアに「優秀だ」と持て囃されようと、ユニクロの売上高を越えるブランドは国内には存在していないのである。

TOKYOBASEのEC化比率は30%で、どれほどメディアに「優秀だ」と持ち上げられようとも、EC売上高は30億円程度しかなく、ユニクロの足元にも及んでいないのである。

この論法で行くなら、売上高が極限まで低くても、ネット売上比率が高ければ高いほど優秀なブランドということになる。
そんなアホな。

そんなアホな言説に踊らされているからアパレル業界は低迷しているのである

― 各アパレル企業の中期経営計画を見ると、判で押したように「ECの拡充・強化」が入っています。その割に、本当の意味で対応できている企業は少ないように感じます。

小関:店もECも、結局は顧客との接点でしかないんです。それが分かっている企業はうまくビジネスができているが、ECを赤字で続けているところもあります。いまのままECをやるなら、低価格衣料にまでタッチしないと厳しいでしょう。もしくは限定にしてECでしか買えないとか。(中略)

デジタル化は別にEC化ではありません。機械ができることを機械にやらせ、販売員の仕事がだんだん知識労働になっていくとか、これもデジタル化ですよね。現場の販売員がお客さんを持っているんですね。「誰から買うか」みたいなニーズを重視する世界になっていくんじゃないでしょうか。

とのことで、これが冷静なデジタル化の捉え方であろう。

結局、今のアパレル業界のEC崇拝は、実店舗で苦戦しているからそれに代わる売り場への期待値に過ぎず、「隣の芝生は青い」状態でしかない。

単にネット通販をやったってやり方がまずければ全く売れない。
実店舗と同じでネット通販だってボウズの日がある。

先日、知り合いが手掛けているブランドのネット売上高の報告を受けて愕然とした。
先月の売上高はゼロだったのである。

これは実店舗よりもひどいのではないか。
ネット通販を楽園みたいに思っている情弱なアパレル経営者や中間管理職は数多くお目にかかるが、こういう厳しい現実をご存知ないのではないかと思う。
1か月間売上高ゼロというのはなまじの実店舗よりも厳しい。

やり方が悪ければそうなる。これがネット通販の現実である。
ネット通販というのは目的ではなく、売上高を増やす手段にすぎず、売上高が増えるならネットだろうが実店舗であろうがなんだってかまない。そこに立脚して考えないと、食い詰めたネット通販コンサルの養分にされるだけである。

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ニュースリリースを流すだけでは不十分な広報活動

ニュースリリースとパブリックリレーションズは似ているがまったく異なる。

先日、あるメーカーの会議でちょっと驚いた。
いわゆるPR業者がパブリックリレーションズの提案をしていた。
平たくいえば、企業の持っている美点を深堀りしてニュース化するという作業の提案である。

今、オッサンの涙腺を毎週日曜日に崩壊させているドラマ「陸王」を例にとってみよう。

創業100何年の足袋メーカー「こはぜ屋」は売り上げ不振に苦しんでいる。
さて、ここが採るべき広報戦略としえては、いろいろなことが考えられる。

1、創業100何年の歴史を語る
2、足袋の縫製現場をレポートする
3、ほんの1センチほどのヒビ割れも検品で見逃さない「こはぜ屋」品質
4、ランニングシューズ「陸王」の完成秘話

などなどということになる。

これを読み物的な記事化してもらい、メディアに掲載してもらうことがパブリックリレーションズである。
そのためにはメディアに対して「案内状」を送付して、記事化したいという興味を持ってもらう。

案内状にはメディアが興味を持ってくれそうな事実を紹介する。
掲載するもしないもメディアの自由だから、こちらの意図が当たるときもあれば外れるときもある。

確実に掲載したいなら、広告掲載料を支払おう。

PR業者はこういうことを提案したのだが、メーカーは大手のはずなのに、こういう知識がなかったのか、「当社からも逐一、プレスリリースをメディアに発信しています」と答えた。

はっきり言ってこの会話はまったくかみ合っていないのだ。

プレスリリースもいわゆる案内状だが、事実をお知らせするくらいの内容であり、パブリックリレーションズよりも情緒への訴えかけは弱い。
もちろんやらないよりはやった方がずっと良いのだが、プレスリリースを長年送付し続けてそれでも効果がないから、それとは別のプロモーションをする必要がある。
だから提案しているのに、「プレスリリースを逐一発信しています」では答えにはなっていない。

こういう齟齬が実はアパレル業界では珍しくない。

今、業界で注目されている企業やブランド、好調とされている企業やブランドの多くはこういうことに長けている。
反対の企業やブランドはいくら売り上げ規模が大きかろうが、いくら名門だろうが、この手のことにはまるで疎い。
ど素人同然といえる。

つい最近でもっとも成功したパブリックリレーションズの一つはトランクホテルだろう。

トランクホテルの新規オープンに際して、藤原ヒロシ氏にインタビューするという企画だが、藤原ヒロシ氏の返答がトランクホテル側の売りを全否定していて、まったく話がかみ合っていなくて思わず笑ってしまう内容だ。

それがバズフィードに転載され、そこから文字通りウェブ上でバズった。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000025317.html

原文は上で、笑えるバズフィードはこちらだ。

https://www.buzzfeed.com/jp/narumi/sugoi-taidan?utm_term=.ekavkggY3V#.rn9WoggQXV

ニュース化・読み物化するというのはその原文のような記事にすることである。
プレスリリースを送付して「はい、おしまい」というものではない。

最近ちっとも名前を聞かないなあというブランドやアパレル企業はこの作業がまるでできていない場合が多い。
そして、若年層への知名度が極端に低下しきってしまう。
このブログでも何度か書いたことがあるベネトンやらワールドやらファイブフォックスやらはその典型例といえる。

このトランクホテルの記事化に立ち会った業者に手短ではあるが話を聞く機会がたまたまあった。

その業者によると藤原ヒロシ氏のかみ合っていない返答は、台本で用意されたものではなく、氏の天然だという。

「横で聞いてて冷や冷やしましたよ」というのがその業者の回顧である。

で、記事化するとまったくかみ合っていないから先ほどの原文のようなとぼけた記事にならざるを得ない。

その業者はトランクホテル側に「どうします?この記事のままで大丈夫ですか?」と尋ねたところ、意外にもホテル側から「これでいきましょう」という答えが返ってきたらしい。

そのときは「これはかなり分の悪い賭けだ」と感じたそうだが、それが逆にウケて、バズフィードに転載された。
そのおかげで、レセプションパーティーは予定を大幅に越える人数が来客したというし、しばらくの間、メディアから取材の申し込みがひっきりなしだったともいう。

まさに「虎穴に入らずんば虎子を得ず」である。
絵に描いたようなハイリスクハイリターンとなった。

ここまでの冒険は保守的なアパレルでは難しいだろうが、しかし、これに近いような活動をしなくてはならないということは、認識すべきである。業界新聞やらファッション雑誌に「何となく」プレスリリースを送りっぱなしで何とかなる時代では最早ない。

ニュースをいかに作るか、いかにニュース化を促すか、そういう取り組みが広報として必要とされている。
自社でできないならそういう業者と組めば良い。

20年前・30年前の広報・販促手法をそのまま踏襲していては現状は絶対に打破できない。
そもそもその手法が有効なら、企業やブランドは今のような体たらくには落ちていないだろう。
その手法が通用しなくなったから企業やブランドは不振を極めていたり極端に知名度が下がっていたりしているのである。

その現状を変えたいなら、失敗に終わった過去の手法は捨て去るべきで、失敗に終わった手法を後生大事に守ったところで、成功に転じることは絶対にない。成功に転じられるならとっくの昔に状況は好転している。
その現実を直視する必要がある。

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「何となく」流行りだからウェブをやっている企業が多すぎるアパレル業界

繊維・アパレル業界のプロモーションは大きく変わっているが、旧態依然としたままの企業は多い。
この業界は東京一極集中が顕著だがその東京でも今の時流に合わせたプロモーションができている企業、ブランドはほんの一握りで、地方企業になると99%はいまだ旧態依然とした昭和の手法に終始していると言っても言い過ぎではない。

ウェブを使ったプロモーション、広報が不可欠との認知は広まっているが、その手法について理解できている企業はほとんどいないし、古株の業界コンサルも理解が著しく低い。
業界の大手ウェブメディア・大手ウェブサイトですら理解度が著しく低く、先端を走る企業との差は隔絶するばかりである。
某大手ウェブメディアは2年前から指摘されているにもかかわらず、いまだにサイトをスマホ対応させておらず、スマホではPC用の画面が縮小されて表示される。WWDのウェブはPCとスマホ両方に対応できており、何もしない無策のままなら、ウェブでの地位は早々にWWDに取って代わられることは間違いない。かつてのベンチャーとは思えないほどのフットワークの重さである。

ドメイン名を一新してしまうこともダメだ。
いくら過去の蓄積があろうと、ドメイン名が一新されてしまえば、そのサイトの記事の蓄積、読者の確保、過去記事からの流入はまた一から
やり直すことになってしまう。過去の蓄積が多ければ多いほど、ドメイン名の一新は逆効果に働く。先ごろそんなサイトを見かけた。

それはさておき。

業界のウェブ企業がこんな体たらくだから、ウェブを専門としない業界企業がどれほど旧態依然なのかは推して知るべしである。

ウェブによるプロモーション、広報の基本をうまく説明している記事がある。
基本的にニュースピックスが特集するアパレル業界記事はピントが外れたものが多く失笑を禁じ得ないが、これは秀逸だといえる。

世界ブランドが受け入れた日本人クリエイターの思考とは。ナカヤマン。×川添隆が語るデジタル戦略の本質
https://www.fastgrow.jp/articles/nakayaman-kawazoe

ナカヤマン氏は記事中にもあるように2014年にGUのウェブプロモーションを手掛けたばかりでなく、コーチやグッチのウェブプロモーションまで手掛けているという実績がある。

インタビュアーの川添隆氏の以下の質問が繊維業界の現状をまとめている。

しかし、代理店が用意したリストに従いインスタグラマーとタレントをキャスティングするのみという印象です。リアルクローズ、ラグジュアリー関係なく、どのイベントにも同じ子たちが招待されていますよね。
しかも、明確なインプレッションが計測できず、売り上げへの貢献度も分からない。計測できないからインフルエンサーとブランドの相性すら判断できない。ナカヤマン。さんが講演でよく話されているコンテンツがないまま、露出=チャネルだけにお金を垂れ流しているブランドが多い。

これである。
ブランドの基本姿勢やコンセプト、ターゲットが明確でなく、ただ「何となく話題だからインフルエンサーを呼んでいる」というブランドや企業が多い。
これらのブランドや企業の人は自分の頭で物を考えないのかと不思議でならないのだが、何の制約もなく、「イイと思う絵を描いてください」と言われたとしたら、「自分のイイと思う」ことを描く。それはブランドや企業の中の人だって同じ行動をするだろう。
ある人はガンダムを描くかもしれないし、ある人は猫を描くかもしれない。犬を描く人、風景を描く人、さまざまだろう。

で、それらを一堂に集めて「これがわが社の主張です」なんていわれても見ている人は何が言いたいのかさっぱりわからない。
「インフルエンサーを集めただけ」というのはこういう状態を自ら作り上げていることと同じである。認識してもらいたい。

ナカヤマン氏はこれまでの時代を振り返って

「何となく」が、ある程度の効果をもたらしていた時代だったのでしょう。特定のメディアが元気な時代は、そのメディアを「何となく」試していても何らかの効果は出ますよね。

と総括しておられるが、まさにこの通りで、これまでは「何となく雑誌広告」「何となく新聞広告」という安易な手法だけで売れる時代が続いてきた。
そのため、仲介を果たす広告代理店も安易な提案しかできないメッセンジャーボーイに近いようなオッサンであふれかえることになった。
ファッション雑誌広告に強いといわれている中堅の某広告代理店の営業マンなんて「子供のお使い」レベルのメッセンジャーおじさんばかりである。

そして、この「何となくクリスタル」という思考停止のままで、ウェブに取り組む企業・ブランドがあまりにも多すぎる。
たまに古株のアパレル企業の販促会議に参加することがあるが、その「何となく」的思考には落胆させられるばかりである。

また実店舗不振から極端に上っ面だけのウェブ信仰に走る企業も多い。

この記事中では丸井の取り組みが紹介されているが、

たとえば、丸井は在庫を持たない体験ストアを増やしています。そこではアイテムサンプルを試着し、気に入った商品はその場でタブレットを通じてECサイトで購入し自宅に配送する取り組みをやっています。
この取り組みについて、メディアも含めて外部は体験ストアそのものに価値を見出しているようなんですが、実際は数年間にわたって開発し、体験したくなる「ラクチンきれいシューズ」がないと成立しない取組みです。

と指摘されている。
上っ面のウェブ信仰企業は、「ウェブだけあれば大丈夫」という罠にはまりやすいが、実際は物販企業なので「確かな商材」がないと話にならない。
商材作りにのみ異様な執念を燃やす「モノヅクリガー」でも物は売れないが、商材がなければウェブだけあっても物は売れない。その両輪がそろう必要があるのだが、その両輪を確実に取り組めるブランドや企業は業界にあまりにも少ない。

ちょっと長めの記事で、ウェブ特有のカタカナ語も多いが、両者ともにロジカルに話を展開しているので、ウェブのプロモーションについて考えるのには格好の教科書になる。ぜひ一読をお勧めしたい。

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新手の販促手法として原価率明示をするブランドが増加

原価率明示ブランドが大流行だが、果たして業界人以外にそれに興味を持つ人がどれだけいるのかと疑問を感じる。
また、この分野での先行ブランド「エバーレーン」と後続ブランドにおいては大きな差があり、後続ブランドの透明性は到底エバーレーンには遠く及んでいない。後続ブランド各社の原価率明示は、今のところ、単なる販促手段に過ぎない。

もっとも、原価率明示ブランドが登場した背景は理解できる。
高級ブランドというのは、買い慣れていない庶民からするとその価格設定が不明瞭に感じられる。
宝石や貴金属だとほぼ不変的な価値があるので、何十万円とか何百万円という価格になることに対して庶民でも理解できる。
腕時計も似たような部分がある。

しかし、衣料品にはそういう不変の価値はないし、生地は時間がたてばたつほど確実に劣化する。
だから当方も含めた庶民からすると、「なぜあんなに高いのか?」ということが理解しづらい商品だといえる。

国内では衣料品不況によって、元来は「確かな品質」と信じられていた百貨店向けブランドだが、製造原価率を大きく落とししていた。
使用素材のクオリティを引き下げ、製造工賃も叩く、その割に製造枚数は少ない。
こんな状況が普通になっており、ある百貨店向けブランドではすでに原価率は20%未満となっているといわれている。

それへのアンチテーゼとして「原価率明示ブランド」が登場したのは、当然といえば当然だろう。

製造原価以外の配送料などまで事細かに明示しているエバーレーンの登場が、原価率明示ブランドビジネスに拍車をかけたといえる。

だが、冷静に考える必要があるのは、後続ブランド各社はエバーレーンほど事細かにコストを明示しているわけではない。

例えば

ファッションEC大手のマガシークがPB開始
https://www.wwdjapan.com/521679

ファッションEC大手のマガシークは15日から、プライベートブランド「ネセサリーアンドサフィシェント(NECESSARY AND SUFFICIENT)」の販売を開始した。繊維商社のモリリンと提携し12アイテムからスタート。吸水速乾性やイージーケアなどの機能性とともに、サイトでは簡単な原価も明示し、透明性も打ち出す。

とあるが、「簡単な原価を明示」するだけでは到底透明性なんて打ち出すことはできない。

また、

原価や工場を公開、”10年着続けられる服”を作る日本発アパレル「10YC」デビュー
https://www.fashionsnap.com/news/2017-12-11/10yc-debut/

“10年着続けられる服”をキーワードに、持続可能性・透明性・ストーリー性をコンセプトに掲げる新アパレルブランド「テンワイシー(10YC)」がデビューした。

とあるが、これはかなり「鵺的」なブランドだと感じる。
透明性以外に、「10年着続けられる服」「持続可能性(サスティナビリティ)」という2つの流行りのキーワードを埋め込んでいる。

個人的にはユニクロと無印良品の良いところをパクッてミックスした中国ブランド「メイソウ」を彷彿とさせる。
ベトナムにはこの「メイソウ」のパクりの「ムムソウ」というブランドがあるらしく、パクリが拡散・変化していく様が面白い。
もっともユニクロも初期には、ジョルダーノやGAPをパクっていたし、ユニーククロージングという店名自体もパクっていたからお互い様といえばお互い様だろう。

ここにTOKYOBASEやらファクトリエやらを加えた原価率明示の各ブランドの目的は良いとして、製造原価率の高低は生産数量にも大きく左右されることを認識しておく必要がある。

基本的にミニマムロットに達しない場合、生地代も縫製工賃も染色工賃もアップチャージされる。
逆にミニマムロットを越えれば越えるほどすべては安くなる。

だから、某東京コレクション出品デザイナーのように1型サイズ込みで20枚程度しか製造できない場合、生地代・染色工賃・縫製工賃は割高になる。
だから利益を確保しようとすると店頭販売価格が12万円とかになってしまう。

同じ価格帯のグローバルラグジュアリーブランドと比べると生産数量が格段に少ないので、それらよりも製品のクオリティはずっと低くなる。

一方、ユニクロは平均原価率が40%前後だといわれている。
もっともアイテムごとに原価率が異なるので、原価率の高いアイテムもあれば低いアイテムもある。
値引きを見ていれば、だいたいどのアイテムの原価が高くてどのアイテムの原価が安いのかは薄っすらとはわかる。
二束三文で投げ売りされているアイテムはよほど売れ行きが悪いのか、原価が極端に低いかだと考えられる。
500円とか390円で投げ売られるTシャツ類なんかは原価率は低いのだろうと考えられるし、あんまり売れていないにもかかわらずあまり大幅に値引きされないアイテムは原価が高いのだと考えられる。

それらの平均で40%だということは、アイテムによっては40%超のものもあるということだ。

しかも各アイテムの生産数量は最低でも10万枚を越える。

となると、その生産数量で平均原価率40%というのはすさまじいクオリティだということになり、たかだか1000枚程度しか作れないブランドの原価率50%とは比べ物にならないということになる。

原価率明示ビジネスというのは論理の塊なので、論理的に突き詰めるとこのようになりがちなので、格段に透明性が高く先行しているエバーレーン以外の「なんちゃって透明性」ブランドは苦戦を強いられることになるのではないかと思う。

しかし、洋服やブランドの価値というのは、原価率やら品質の高さだけではない。
それ以外の部分の評価も重要だから、それをいかに高めて訴求するかというのがブランド活動ということになる。

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セメントの金谷さんが本を出したので宣伝しておきまーす。

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