IZREELが雑貨に特化してZOZOTOWNに出店した理由
2017年12月25日 デザイナー 0
先日、イズリール(IZREEL)というブランドから「展示会に来てください」とお誘いいただいた。
高倉一浩さんというデザイナーが展開しておられるデザイナーズブランドで、なぜだかわからないが随分と前からフェイスブックでお友達になっている。
こちらからは滅多に友達申請をしないので、向こうから申請していただいた。
こんなデザイナーズファッションとは無縁なオッサンと友達になっても何の得にもならないと思うのだが。
で、今回はZOZOTOWNに12月21日から出店するのでそのお披露目を兼ねた展示会だという。
まあ、招待をいただいたので重い腰を上げて東京まで行った。
正直にいうと、ZOZOTOWNへの出店というのは、あまりピンと来ていなかった。
というのも、ZOZOTOWNの知名度が高くなりすぎて、忘れ去られたような大衆向けブランドまでが、今では藁にも縋る思いで出店するケースが増えたからだ。
ジーンズメイトやタカキューが今更出店してどれほどの効果があるのか疑問で仕方がない。
すでにZOZOTOWN内には何千ものブランドが出店しており、知名度の低いブランドが後発で出店しても埋没してしまうのがオチだからだ。
よほど売り方や見せ方を工夫しなくては、「単に出店しました」ではだれにも注目してもらえない。
一方、ZOZOTOWNに先行出店していた有名ブランドは、売上高が前年減になる場合も増えている。
その理由は、客数が変わらないのに、割引クーポン発行やら先行値引きやらで、購買単価が下落しているからだ。
ZOZOTOWNの成長は目を見張るものがあるが、以前にもこのブログで紹介したように、ネットで買い物をする人の比率はまだまだ低く、特にファッションに興味がありブランド好きな顧客はすでにほとんどがZOZOTOWNに囲い込まれている。
そうなると、新規客が爆発的に増えることは考えにくい上に、ネット通販の特性として何らかの安売りが最大の集客手法だから、購買単価が下落するのは当然の結果である。
某有名ブランドの中の人は、「今後は各有名ブランドにZOZOTOWN離れが始まり、自社通販サイトの強化に取り組むだろう」と推測している。
これについてはまた後日、別に考えてみたい。
そんな状況だから、今更ZOZOTOWNへの出店が得策ではないと感じていた。
会場について高倉さんから直接説明を受けると、考えが変わった。
やっぱり直接尋ねることも重要だ。
今回のZOZOTOWN出店について
「いかに埋没しないかを考えました」
という。
販売するアイテムは、扇子・ネクタイ・蝶ネクタイ・カマーバンド・キャップ(俗に野球帽というやつ)に限定している。
全アイテムを共通の生地で製造する。
ポリエステル100%のコンピュータージャカード織り生地で、すべてのアイテムを製造する。
とくに目玉は扇子で、「Tokyo sense」と銘打つ。
もちろん扇子とセンスを引っかけていることは言うまでもない。
扇子はポケットチーフと専用ケースをセットにし、それをボックスに入れて13000円で販売。その他アイテムはそれぞれ単品で8000円で販売する。
小物雑貨に特化したのは、「数多く出店しているトータルブランドに埋没しないため」(高倉さん)だという。
さらにキャップは例外としてもネクタイ、蝶ネクタイ、カマーバンドをメインアイテムにしたことについては、「ZOZOTOWNはカジュアルブランドの出店が多く、フォーマルアイテムが少ないので、これも埋没しにくいと考えた」とのこと。
キャップがメインアイテムにあることは、ご自分が帽子好きだからということ以外に、このイズリールというブランドが「フォーマル+カジュアル」をコンセプトとしているため、もっとも手軽にストリート感を表現できるからだ。
おまけに季節やトレンドに左右されにくい定番アイテムとして息長く売れるということもある。
柄数は全11柄で、毎月新柄を1つ加える。
一方、不人気柄は売り切れたらその時点で販売を中止する。
この「売り方」はなかなか工夫されているといえる。
昨今は、異様なネット通販礼賛で、「とりあえずEC(ビールかよ)」とか、何も考えずに「何となく
ビッグビジネスになるかどうかは判断の分かれる部分で、個人的にはビッグビジネスにはならないと思うが、少数のスタッフが食べていけるくらいには成功するのではないかと思う。
ZOZOTOWNはまったく使わないが、総合アイテムブランドが乱立する中で、単品雑貨に特化したブランドというのは目立ちやすいし、コンセプトやテイストがはっきりしている分、消費者にはわかりやすいだろう。
知名度の低い低価格の総合アイテムカジュアルブランドよりはよほど埋没しにくい。
2018年1月1日からは、イズリールが得意とするオーダータキシードもZOZOTOWNで受注を開始するという。
こちらは高額だが、従来から行っているオーダーサービスをネットにも出店するだけなので、リスクは少ない。
すごくたくさん売れることはないと思うが、従来の活動のプラスアルファの売上高くらいは望めるのではないかと思う。
なかなか興味深い「売り方」を見せていただいた。
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