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ユニクロがホールガーメント機を導入することは最適といえる

 ファーストリテイリングと島精機製作所が合弁会社、イノベーションファクトリーを設立したため、業界は騒然としている。

http://www.fashionsnap.com/news/2016-10-27/fastretailing-shimaseiki/

ファーストリテイリングが10月27日、島精機製作所との合弁会社「イノベーションファクトリー」を発足したことを発表した。総出資金額は4億円で、比率は島精機製作所が51%、ファーストリテイリングが49%。

今回、ユニクロを中心としたファーストリテイリンググループの「ホールガーメント」製品を生産する会社として合弁化された。

なぜ、業界が騒然となっているかというと、今後、ユニクロを中心としたファーストリテイリング社の各ブランドにホールガーメントで作られたニットが供給されることになるからだ。
当然、ジーユーでの販売も十分にありえるだろう。

じゃあ、どうして「ホールガーメント」なるものが売られことで騒然となるのだろうか。
ホールガーメントとは、業界の人ならご存知だろうが、業界外の人はご存知ではないと思うので、非常に基本的な説明をすると、無縫製で生産できるニット製品のことなのである。

通常、ベーシックなプルオーバー(頭被り)のセーターは、4枚のパーツを縫製することで形成される。
前身ごろ、背中、両方の袖、である。
これを縫い合わせてセーターに仕上げる。

ホールガーメントはこれを無縫製で一体成型で編み上げる。
島精機製作所が開発した特殊な編み機「ホールガーメント機」を使えばそれが可能になる。

ホールガーメントを島精機が発明してから20年が経過している。

この20年間、ホールガーメントニットの拡販は断続的に続けられてきたが、その多くは「無縫製」という形状に対して希少価値を見出して、それを「高付加価値」として喧伝してきた。
凡百のヘッポコアパレルブランドは軒並みそんな売り方をしてきた。

その「高付加価値」商品が今回の合弁設立によって今後、ユニクロやジーユーで低価格で売られることが決定した。だから騒然としているのである。

しかし、個人的には多くのブランドが喧伝してきた「無縫製」が消費者にとって本当に高付加価値かどうかは非常に不透明だと見ている。

実際に筆者もホールガーメントのセーターが投げ売られた時期に買って着用してみた。
一般的には「無縫製だから着用感が良い」みたいなことが言われているが、ぶっちゃけていうと、通常のセーターと何も変わらない。少なくとも個人的に着用感の違いは感じられなかった。

まず、ニットという製品は元から伸縮性が高い。
だから、動きやすさはすでに従来品で確保されている。
動きやすさとかリラックス感なんていうのはすでに従来品で十分なのである。

次に、縫い目がないことが肌ストレスを軽減するみたいな説明があるが、これも疑わしい。
たしかに肌着で無縫製はある。
それは、皮膚の敏感な人や荒れやすい人にとっては、縫い目が当たらないことが求められているからだ。
しかし、セーターを素肌に着る人はほとんどいない。
Tシャツや肌着の上から着用する。だとすると縫い目は直接肌には触れないので、従来品でもほとんど変わらない。

ベーシックでプレーンなデザインのセーターであるなら、消費者にとってホールガーメントであることのメリットはあまりないというのが正直なところだろう。

一方で、ホールガーメントを導入することは製造側にとっては大きなメリットがある。
縫製が不要だということである。

現在、縫製は人の手によって行われる。
ミシンは使われるがそれを操作するのは人間なのである。
だから縫製工場はミシンがたくさん並んでいて、それを動かすための人間もたくさん必要になる。
しかし、日本はもとより、経済成長を果たした中国でも縫製工員は集めにくくなっている。

現在はアセアン諸国が縫製基地になりつつあるが、経済成長すればいずれ同じ状況になる。

となると、ニット製品に限定されるが無縫製で製造できるホールガーメントが広まれば、その悩みの一端は解決できる。
セーターの首元や裾はリンキングという工程が行われているが、このリンキング工場も減っているから、ホールガーメントの普及はこの部分でも製造側にとってはメリットがある。
リンキング工場も不要になる。

もっというと縫製工賃やリンキングの工賃も削減でき、それだけ製造コスト削減ができる。

また全自動で作られるため、大量生産すればするほど1枚当たりの製造コストは下がる。
ファーストリテイリングとの提携は理想的といえる。

まずは店舗を限定しての発売ということになるだろう。
例えば銀座店のみとか、大型店限定とか。

だが、デメリットもある。
ホールガーメント機は高額であることと、高度なコンピュータプログラムによって操作されるので、その操作ができる人間の数が限られているということである。

今回の合弁ではそのあたりの機械操作を島精機製作所の人に任せてしまおうという狙いもあるようだ。

たまたま、10月28日の夕方、ある仕事で島精機製作所の中間決算会見に出席できた。
プレスリリースに書いてある以上のことは何も決まっていないので具体的な話はこの件に関しては話すことがないというのが実情のようだ。

ちなみにホールガーメント機の販売実績としては今上期は315台だったと席上で発表があった。
前年上半期は179台で、現在は日産5台ペースで製造されており、今年下半期は6~7台のペースで製造していきたいというのが島精機の抱負である。

このように、ホールガーメントについてはメリットとデメリットがそれぞれあるが、消費者に向けたメリットはわかりにくい。とくにベーシックな定番品だとそのメリットはよく分からない。

それでもこの20年間、期待の新技術として注目され、アパレル側は「無縫製」を価値に「仕立てあげて」製品を高値で売ろうとしてきた。

販促の見地からいうと、まったく観点がズレているとしか言いようがないのだが、ユニクロやジーユーの店頭にホールガーメントニットが並ぶことになると、そういう今までの売り方は通用しなくなる。
作れば作るほどコストが下がるセーターだから大量生産のユニクロやジーユーだとかなりの安値で生産できることになるから、当然、店頭での販売価格も安値になる。

今まで「無縫製」だということだけでベーシックな定番デザインのセーターを高値で販売してきたヘッポコアパレルブランドは軒並み売れなくなる。

だから業界は騒然としているのである。

もし、他のアパレルがホールガーメントニットを売り続けたいのであるなら、製造側ではなく消費者に対するメリットをキチンと説明できるようになる必要がある。無縫製というのはたしかに物珍しさはあるが、セーター類に関しては消費者が体感できるメリットはほとんどない。
そのあたりを見つめ直さないと、アパレル各社はさらに苦戦することになる。




アパレルは他業種に比べて過剰生産対策への工夫が足りないのではないか

 洋服の値崩れの原因はさまざまなあるだろうが、過剰供給がその一因である。
過剰供給すれば値崩れを起こすのは洋服も野菜も秋刀魚もミカンも同じである。
洋服だけが特別な存在では決してない。

現在、年間に国内に流通する衣料品は約40億点だとされている。

日本人は全員で毎年30枚以上の洋服を買わないとこれを消化できないということであり、実際これを実行するのは不可能ということになる。

逆に一部の「モノヅクリガー」みたいな人々がいうように手紡ぎに戻れだとか手織り、手縫いに戻れだとかそんなことは実行不可能だし、実際にやってみれば国内外の製造加工場は経営破綻して失業者があふれる。
ミシンや紡績機などを製造する機械メーカー、その部品メーカーも倒産が相次ぐだろう。
当然、アパレル企業も破綻して失業者だらけになる。
彼らがそういう社会を望んでいるならまだしも、単なるノスタルジーだけで主張しているならまったく有害でしかない。

容易な解決策は見いだせないが、やるとするなら、売れる見込みの枚数だけを製造するということになる。
過剰に最初から作らないことであろう。
中価格から高価格帯の国内アパレルはすでにこれをある程度実施しており、その結果、極端に製造枚数が減っている。しかし、過度にPOSデータに依存しているため、売れ筋追求か過去実績の焼き直し生産ばかりで各社ともに同質化している。同質化すれば値崩れを起こすのは当然である。
一方、低価格ブランドはこれをやっていない。
いまだに重度に「欠品させない病」を発症している。

例えばユニクロ、それからイトーヨーカドーやイオンなどのGMSである。
9月30日に鳴り物入りで発売が始まった「ユニクロU」だが、今週、さっそく一部商品が値下げされた。
これから随時各商品が値下がりしていくだろう。
ユニクロの商品を定価で買う人間はアホだと思う。

短期間で必ず値下がりするし、定価で売り切れるほど生産数量は少なくないからだ。
500~1000円値下がりするまで待てばいい。

さらにいうと、今春のアンド・ルメールのキャンバススリッポンはかなりの人気で店頭もネットも黒は即日完売だった。白はそれほどでもないが、もう少し期間をおいて完売に近い状況になった。
しかし、その後、一部店頭とネットは追加されて、白は1290円にまで値下がりして、いまだにネットではほぼ全サイズがそろっている。

これが過剰供給による値下がりの一例である。

なぜ、売り切れ御免のZARAのようなスタイルを採れないのか。
まったく理解に苦しむ。

イトーヨーカドーやイオンはもっとひどい。
売れる見込みもないのに過剰に製造して、毎シーズン投げ売りだ。
鳴り物入りで開始して、早々に廃止がきまったヨーカドーの「セットプルミエ」もまったくその手法から脱せなかった。
ゴルチエは半額に値下げされ、一旦格納されてから、また半年後に半額で店頭に並べられている。

だったら、高田賢三とのコラボモデルも半額くらいになるまで待っていても売り切れる心配はないだろう。

アパレルではZARAが売り切れ御免のスタイルだが他業種ではなるべく在庫を積まない工夫がなされている。

筆者は無趣味で、趣味は読書かガンプラを作ることしかない。
アウトドアは嫌いだし、スポーツは嫌いだ。せいぜい週に2回か3回、1時間ずつ走るくらいである。

で、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)は意外に大量に製造して積んでいない。
ここからはガンプラ話なので興味のない人は流し読みしてもらいたい。

ガンプラはおもに

144分の1サイズのハイグレードモデル(HG)
100分の1サイズのマスターグレードモデル(MG)

に分かれる。

それ以外にもあるのだが、煩瑣になるのでここでは省略する。

HGはだいたい1000~2500円
MGはだいたい3000~8000円

くらいの価格帯で、筆者はサイズが小さくてお手頃価格のHGをいつも20~30%オフで、家電量販店で買ってきて作っている。
いわゆる素組というやつで、多少削ったりはするが塗装はめんどくさいのでしない。
最近のは塗装がほとんど必要ないほどパーツが色分けされている。

HG(正確にはHGUC)だと11月に201番目のモデルが発売される。
発売当初はそれなりの数量を作っており、広く各売り場に配布されるが、その後、よほどの人気がないと追加補充されない。
とくに201個もモデルがあれば、不人気品番も多数あるだろうが、そういうものは如実に追加生産せずに、たまに追加製造するという仕組みになっている。

だからAmazonでときどき「あの昔のモデルはあるかな~?」なんて探すと現在製造中止で、製造再開待ちだったりする。

家電量販店やAmazonでは発売当初からだいたい20%オフくらいで発売されるもののその後も大きな値崩れは起こさず、30~40%オフ程度で推移する。50%オフにまで下がる商品は相当に珍しく、だいたいが40%前後のオフ率で「お買い得品」となる。

70%オフでさらにレジにて20%オフ、とか、80%オフでさらにレジにて20%オフ、みたいな投げ売りが日常茶飯事のアパレル製品とは様相が異なる。

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(28%オフの1090円に下がったからAmazonで買ったHGガンダムアスタロトオリジン)

また、「どれだけ売れるかわからない」と不安があるモデルに関しては、見込み製造をせずに受注生産している。
「プレミアムバンダイ」、通称「プレバン」という仕組みで、ネット上で「〇〇モデル発売」と一定期間内告知して、その期間内に注文があった数量だけ製造して自宅へと送付する。

要望が多ければ、少しの期間を開けてから「〇〇モデルの追加募集開始」と、また期間を区切って受注を集める。それの繰り返しだ。

一般発売分だと家電量販店で発売日から20~30%オフ価格になるが、このプレバンだと家電量販店には流通せずに注文者とバンダイのやり取りだけだから定価販売される。値崩れは起こさない。
逆に注文者が転売する場合、ヤフーオークションなどでは価格が高騰する。

アパレル各社もアホみたいに見込み生産をせずにこういうやり方を考えてみてはどうか。
ZARAも売れ残りを値引き販売するが、その数量はあまり多くない。売り切れ御免だから初回投入を逃すと、同じ商品は二度と入荷しない可能性があるからだ。

今回はバンダイを事例に挙げたが、他業種では過剰な在庫を生まない手法を懸命に編み出しており、それを実行に移している。ネットの普及という環境を上手く取り入れている。プレバンなんていいう仕組みはまさにその典型だろう。

いつまでも、「トレンド頼みの見込み生産」と「欠品させない病」を発症し続けるアパレル業界は、他業種に比べて著しく工夫が足りないのではないか。

工夫が足りないことを棚に上げて、「物作り」だとか「クリエイション」だとかを必要以上に神聖化したところで、何の効力も出ておらず、投げ売り品を増やしているのが現在の状況だといえる。





ロゴTシャツブームで売上高が伸びたブランド

 閑話休題的な意味も込めて、たまには景気の良い話でも。

今夏は往年の懐かしいブランドのロゴTシャツが売れた。
まあ、いわゆるちょっとしたブームだったといえる。

中でも目に付いたのがチャンピオンとリーだ。
チャンピオンのブランドロゴ入りTシャツなんて、中学・高校の部活の練習着のイメージしかない。
リーのロゴ入りTシャツなんてその昔は珍しい物でもなんでもなく、普通にフロムUSAやら三信やらイズミヤの平場に並んでいて、地元の中高生のユニフォームのようなカジュアルウェアだった。

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(リーの来春夏企画)

だからチャンピオンにしろ、リーにしろロゴ入りTシャツを見かけるたびに地元のちょっとダサめ中学生・高校生と重なって仕方がない。
若い人が着るから「新鮮」に見えるのであって、オッサンが着たなら、まちがいなく「30年前の部活の練習着を保管していたのか?物持ちが良いですね」といわれるだろう。

このブログでも触れたことがあるように、今夏はファッションビル内を歩くとショップはチャンピオンとリーだらけだった。

リーを展開するリー・ジャパンはエドウインの傘下企業である。
で、エドウインの営業マンに質問したところ、リーのロゴTシャツの今夏売上高は驚異的な増え方を見せたという。
ブランドロゴTシャツブームの影響もあり、エドウインロゴ入りTシャツ、アルファインダストリーロゴ入りTシャツも驚異的な増え方だったそうで、その3ブランドのロゴ入りTシャツの売上高は、前年比で何倍増という伸び率だったとのことである。(もちろん、これらのブランドはそれまでトップス売上比率が低かったからという要因もある)

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(エドウイン、アルファインダストリーの来春夏企画)

完全にブームに乗れたといえる。

しかし、このブームが終わると反動は必ずあるだろう。
ブームが続いているうちにそれぞれのブランドのトップスを強化しなくてはならない。
そうでないとブームの終了とともに売上高は激減するからだ。

それでも暗い話がほとんどの衣料品業界においては、ロゴTシャツブームというのは数少ない明るい話といえるだろう。

それにしても、中高生の部活の練習着が一躍人気ブランドになるというのは、オッサン世代からするとなんだか釈然としない。

エドウインの営業マンによると、エドウインブランドやアルファインダストリーのロゴTシャツが伸びたのは、ロゴブームに加えて2000円前後という比較的買いやすい販売価格のおかげもあったとのことで、たしかに半袖Tシャツが1枚5000円もするなら、ちょっと買う気がなくなる。

よほどのセレブか服マニアかだろう。

一般人が奮発して買える半袖Tシャツの値段というと2000~3000円台で、5000円を越えるとちょっと厳しい。
7000円以上はよほどのマニアかセレブかしか買わない、と筆者は思っている。

エドウインやアルファインダストリーの売れ方がそれを証明しているのではないか。

ちなみに筆者の半袖Tシャツはだいたいが値引きセールで500~1000円になったもので、ユニクロ、無印良品、ライトオンの3ブランドで8割以上を占める。
値引き後1500円以上の半袖Tシャツはもう何年間も買っていない。

となると、以前に筆者がブランドスタート時になんだかんだと手伝った国産Tシャツブランド「ナインオクロック」の価格設定はまあ妥当なところだといえる。

ただ、今夏のロゴTシャツブームに反して、このブランドは無地Tシャツでスタートしたので、そのブームの恩恵は被っていない。

そのナインオクロックが今月クラウドファンディングに挑戦している。
目標100万円ということだが、正直なところ目標設定は50万円にしたほうが良かったのではないかと思った。

http://ishiwari.iwate.jp/pj/IswS2701440

1枚3000円のTシャツなので、コースがいろいろとあるとはいえ、客単価は3000円だと考えたほうが良い。
100万円を達成するには300人以上の支持がなくてはならないので、無名の新規ブランドとしてはちょっとハードルが高い。
逆に無名の新規ブランドでも100万円を達成したブランドはいくつもあるが、それらは商品単価が高かった。
最低でも7000~8000円、平均は1万円を越えていた。
となると、100人の支持で達成できる。

まあ、今から言っても始まらないので、残り日数で達成してもらいたいと思う。

とはいえ、現在54万円以上が集まっている。
ラスト、といってもあと5日ほどしかないが46万円弱を集めてもらいたい。
興味のある方は冷やかしも含めて協力してあげてはどうだろうか。

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(筆者の一番好きなナイクロのディスプレイ)

筆者は草葉の陰から見守りたい。





ある程度のセンスは情報や知識の蓄積で身に付けられる

 ファッション業界人が持っていると自任するところの「センス」だが、ある程度の水準なら努力で身に付く。
何度も書いているように、筆者は働き始めるまで、母親がイズミヤかジャスコで買ってきた1900円の服だけで生活していた。
もちろん、美濃屋の「コンバース」とかそういう量販店向けのれっきとしたブランドではない。
なんだか聞いたことのないラベルが付いているよく分からないメーカーの商品である。

今なら、プチプラブランドだけで全身を固めても選択肢さえ間違えなければそれなりに見えるが、当時の量販店ブランドと有名ブランドの服の見た目には雲泥の差があった。

形・シルエット、色・柄、すべてが異なっていた。

当然、筆者はダサかった。今でもダサいかもしれないが、まあ、それでも一般人レベルにはなっていると思う。
どうやって一般人レベルまで独力で改善できたかというと、仕事柄もあって、繰り返しコーディネイトを見続けたからである。
ファッション雑誌、売り場のディスプレイ、ショーウインドウを繰り返し見続けた。

最近でこそ、ファッション雑誌はペラっと流し読みしかしなくなったが、2005年くらいまでは、メンズファッション雑誌を1冊買うと少なくとも5回か6回は全ページを隅々まで読んだ。もちろん文字も全て読んだが、やっていたことは全ページのコーディネイトを頭に入れることだった。
別に無理をして作業したわけではなく、自然と興味があってそれを繰り返して行っていたというだけのことである。

5年位それをやればかなりの「コーディネイト像」が脳内に蓄積された。
あとは蓄積されたコーディネイト像に照らし合わせて、洋服を選べば良い。
ただし、ファッションモデルと筆者では、容貌も体型もまったく異なるから、あとは試着をして微修正するほかない。

顔が小さく、首が長い細身の男性モデルが着たら似合うコーディネイトでも、顔が大きく、首が短くてガッチリ体型の筆者が着ると、ダサくなることも多かった。それもまた微修正して記憶にとどめる。
そうすると、そのうちにだいたいどんな服が自分に似合いやすく、どんな服が自分に似合いにくいかという基準ができる。

基準ができたらそれに沿って、選んで買えば良い。
ずっと薄給だったから夏冬のバーゲン狙いだったし、2005年以降はプチプラブランドの見た目の向上もあったので、そちらに移行して今に至る。

「ぼくの指南に沿えばかならずオシャレになります」みたいなメルマガ商売もあるが、独力で最低水準までは何とかなるというのが実体験である。

マラソンや水泳も同じで、繰り返し練習すれば、走れて泳げるようになる。
運動嫌いの筆者でも3年も続ければ1時間くらいは走れるようになる。
ただし、じゃあオリンピックや国体に出場できるようになるかというとそれは不可能で、努力以外に「天性の才能」が必要だが、1時間走るだとか100メートルを泳ぐというだけのことなら努力次第で可能になる。

ファッションセンスもそんなものだと思う。

「服を買いに行く服がない」なんて悩んでいたことがあるという人もいたが、ダサいままで買いに行って、店員に全身コーディネイトをしてもらえば済むだけの話ではないかと思う。
何も突然にその日だけダサい服装になったわけではなく、これまで散々ダサい服装で外出し、公共交通機関を利用し、場合によっては仕事までしてきたんだから、服屋に行くときだけ悩むなんていうのはナンセンスであろう。いつも通りダサいままで出かけて、店で全身コーディネイトをしてもらってそれを買えば良いだけのことである。

服屋にかっこつけたって仕方がない。服屋の店員に褒められたって何の得にもならない。じゃあそれまでダサい服装のままで公衆の面前を闊歩していたのは恥ずかしくないのかということになる。

もしくは、独力でファッション雑誌のコーディネイトを穴が開くほど研究して「標準スタイル」を脳裏に叩き込んでそれに沿ってコーディネイトして服屋に出かけるかである。

そんなくだらないことで悩んでいる時間と労力のほうが無駄ではないか。

大塚着物店の大塚直人さんがこんなブログを書いておられる。

一向に上手くならないアレのセンス
http://tsukachan330.hatenablog.com/entry/2016/10/25/001002

いや、ちょっと待って!
 
「センスとは情報や知識の蓄積」
 
とは師匠や某デザイナーさんから聞いた言葉。
センスというのは天性のもの磨く事が出来るものではないというのは
間違っているという話なんですね。
つまり、センスが無いと言うのは → 努力が足りない
研鑽によって磨かれ高まってくるもの。
 
では、センスを高めるためにどうすればいいの?っと。
 
1、とにかく“普通”をたくさん知る
2、その中からコレは!というものを選び、抜き出す  
3、実践出来るもの、マネ出来るものは徹底的にパクる
4、自分の得意なスタイルを意識して作ってみる
 
という事でしょうか。

とのことである。

だからファッション雑誌の掲載スタイルを全部頭に叩き込んで、その中から特に真似したいコーディネイトを選ぶ。
モデルと自分には顔面と体型に隔絶した差があるから実際に着用してみて微修正を繰り返す。

そうすれば、平均的なファッションセンスは身に付く。ただし、オリンピックや国体級のセンスはそうした作業に加えて「天性の才能」が必要になり、なければその部分は諦めるほかない。

しかし、平均的なセンスくらいはそこそこの努力で身に付くのだから、それほど特別な才能ではない。
ファッションに限らずセンスなんてその程度のものということである。





アパレルも百貨店もGMSも「変化」を拒否すれば必ず淘汰される

 SNSが普及して5年以上が経過したが、SNS間では格差が生じている。
日本では人気のツイッターだが、アメリカ本国では経営難に陥っており、身売り交渉も決裂している。

逆に「オッサンのゴミみたいな自慢話が多い」として若者に嫌われているフェイスブックは経営的には順調で世界的な使用人口ではツイッターをはるかに凌駕しているようで、このあたりの「個人の好き嫌い」という感覚もあてにならない。

ツイッターの代わりに日本でも注目されているのがインスタグラムで、こちらは使用人口が増加中であり、米国ではスナップチャットが好評らしいが、ためしにやってみたがイマイチ面白さがよく分からなかった。

そのツイッターについての記事である。

なぜTwitterの身売り交渉は行き詰まっているのか
http://diamond.jp/articles/-/105662

真鍋昭雄という教授が書いておられるが、彼の記事は基本的にいつもバランスが良く、分析が割合に的確である。
経済記事の書き手は多いが、基本的に左翼的思想に基づいている書き手の記事は内容がナンセンス極まりない。経済動向に過度な政治的イデオロギーのフィルターは不要で、不要どころか事実を歪曲する。

経済学には「絶対的正解」がなく、解釈次第である。だから同じ経済学者でもまるっきり理論が異なっているのである。

それはさておき、この記事の中で、ツイッターの凋落の原因を

ここで注目すべきポイントは、「注目の的」のスター企業であっても、需要者側の速い変化に対応できないと生き残ることができないことだ。スター企業であったTwitterの買い手は、今のところ現れていない。

今日のビジネス環境では、IT化がヒト・モノ・カネの動きを速め、競争は激化している。しかも、強力なライバル企業は次から次へと出てくる。そうしたビジネス環境の変化に対応できないと、たとえトップ企業であってもその座から引きずり降ろされ、企業の存続が危ぶまれる状況に陥る。それが今日の企業が直面する“栄枯盛衰”の法則だ。

企業が競争に勝ち残るためには、常に、需要者が求める新しいサービスや製品を常に生み出すしかない。

とある。

これはその通りであり、ひとえにツイッターのみ、IT企業のみに適合される考え方ではなく、すべての業種に当てはまる考え方だといえる。

国内のアパレル企業、アパレル業界が停滞・失速している理由もこれだと個人的には見ている。

もちろん、企業には変えてはならない核のような部分があり、横文字ではコアコンピタンスなんていっている。
コアコンピタンスが何かを見極める作業は重要だが、何もかも変わらないという選択肢はありえない。
しかしながら、国内のアパレル企業・アパレル業界の「変わりたくない」という姿勢はほとんど病的だと感じられる。ついでにいえば百貨店や大型スーパーも同じ轍を踏んでいる。

記憶に新しいところではZOZOTAWNが提供したWEARのバーコード読み取りサービスを業界の総力を挙げて廃止に追い込んだ。その結果、WEARは単なるコーディネイトアプリになってしまっている。
それでもそれなりの需要、ユーザーはあるが、それ以上の発展性は今のところない。

もっと古いところで行くと、ユニクロへのバッシングであり、これはいまだに続いており、20年近くもアホかいなと呆れ果てるほかない。
98年にユニクロのフリースブームがあった際には、低価格品への抵抗が随所で見られた。
何事も出始めには抵抗がつきものだから当然だろう。
それから18年が経過しているが、いまだに業界には「良い商品は相応の値段で売るべきだ」なんてことを言っている化石のような人がいる。

それは真理ではあるが、それをユニクロにいまだに言い続けたところで無意味である。
ユニクロはすでに自社のモデルを完成しており、高価格帯で売りたければファーストリテイリングはセオリーで売る。ユニクロが高価格帯品を販売する意味は全くない。

「良い物を相応の値段で売る」努力はユニクロに押し付けるべきではなく、自社・自ブランドの課題として取り組むのが正しい思考である。

そういえば、今でこそ、猫も杓子もアホの一つ覚えみたいに「EC化」とか「オムニチャネル」なんて口をそろえているが、10年前に洋服のネット通販なんて注目した企業やブランドはほとんどなく、名の通った大手や中堅はこぞって否定的だった。

80年代・90年代・2000年代的手法で2010年以降に洋服が売れないのだったら、

1、売っている商品自体を変える
2、売り方を変える
3、見せ方を変える
4、伝え方を変える

最低でもこのいずれか1つを実行しないことには、売れ行きが回復することはありえない。
場合によっては4つすべてを実行する必要があるだろう。

どれも変えずに売り上げだけを回復したいなんていうのは、それは単なるワガママでしかない。

例えば「伝え方」にしたところで、十年一日のごとく「うちはファッション雑誌だけで」なんて言っている化石のようなアパレルやブランドは世間が想像しているよりもはるかに多い。
化石だったら石油が取れて社会に貢献できるのだが、化石的アパレルからは大量の在庫と負債くらいしか出てこない。
ファッション雑誌がまるっきり無駄だとは言わないが、広く伝える手段ではなくなっている。
どちらかというと同好の士に向けたミニコミ的な存在である。

より大勢に広めたいなら現在なら、インスタグラムなどのSNSかもしれないし、経済雑誌かもしれないし、ウェブメディアかもしれない。

断っておくと、こじんまりと数人で食えるだけの金を稼げるのが目的なら変わる必要はない。
熱烈なファンを数百人くらい作ればそれでいい。

しかし、100億円だとか200億円だとかの売上高を回復させるためには、時流に合わせて変わるほかない。
売り上げ規模設定の問題であり、多くの大手・中堅アパレルは売上高の回復を目指している。だったらどこかを変えるという選択肢しかない。

「変化」を異様に嫌うようになった時点で国内のアパレル業界が凋落するのは当然の結末だったといえる。



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エムディエヌコーポレーション
2016-10-03


無印良品のチェック柄ネルシャツを30%オフで買ったった

 今日はお気楽に。

関西では10月21日になってから、やっと秋らしい涼しさになった。
10月8日の深夜に台風の影響で大雨が降ってそこからやっと涼しくなったのだが、突如として10月17日の雨上がりから季節外れの高気温となった。

10月20日まで完全に半袖・クロップドパンツという夏服で過ごしていたが、10月21日からやっと半袖Tシャツの上から長袖シャツを羽織るようになった。

9月は言うまでもなく高気温だったということもあり、8月・9月は全般的に洋服の売れ行きが悪かったと耳にしている。もう一つの理由はビッグトレンドがなかったことも挙げられている。

10月に入っても高気温も手伝って各商業施設は苦戦が続いており、あるアパレルの幹部は「消費増税直後よりも悪くて、異次元レベルの悪さ」と話している。
このまま「異次元レベル」が続くと、百貨店の閉店や店舗売却はまだまだ続くし、それに伴ってクラッシュしてしまうアパレルも来春以降は多数出てくるだろうと推測される。

まさに業界的な危機に陥っているといえる。
景気については様々な見方があるが、良くはなっていないが、すごく悪くもなっていないというところだと見るのだが、衣料品販売はそういう状況下でも大苦戦を続けており、業界の構造や考え方に根本的な欠陥があるのではないかと見たほうが適切な答えを得られるのではないかと思う。

それはさておき。10月21日にしてようやく長袖シャツに手を通したのだが、やっと秋物を買う気が起きた。

涼しくなるちょうど2日前に、無印良品で今季のネルシャツを1枚買った。
アパログでブログを好評連載中の佐藤正臣さんが一押しするのが、無印良品のシャツ類である。
低価格の割に高品質が理由で彼はユニクロのシャツよりも無印良品を推す。

阿倍野アンドに無印良品の大型店があるが、これが10月末日で閉店してハルカスへ移転する。
そのために「全品レジにて30%オフ」セールをここだけで開催している。
たくさんの荷物を詰めて運ぶよりも、売り切ってしまって身軽に移転したほうが良いという判断だろう。

今季の無印良品のネルシャツの中で、狙ってた2柄がある。
大き目のチェックのブルーと赤である。

筆者もネルシャツはユニクロよりも無印良品派である。
ユニクロのネルシャツは5年位前に3枚くらい買った(990円に下がったときに)のだが、どうも丈が長すぎると感じる。ズボンにタックインするには適しているのかもしれないが、ネルシャツをタックインする人はよほどのアメカジファンか超オタクかのどちらかであり、筆者はどちらでもないからそんな着こなしはノーサンキューである。

それ以降は、ネルシャツだけは無印良品で買っている。

そのレジにて30%オフセールで、狙っていた赤のチェック柄が残っていたのを発見した。
定価2980円が2086円(税込み)に値下がりしており、迷わず買った。

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(30%オフで買った赤チェック)

狙っていたブルーは残念ながら売り切れていたので、年明けのバーゲンで買おうと思う。

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(狙っていたが売り切れていたブルーチェック)

サイズはMサイズで、もしかするとLサイズの方が良かったかもしれないが、着れないことはないので買ったが、今以上に太ってしまうと着用できなくなるので、なるべく節制を心掛けなくてはならない。

ネルシャツについてはもっとヘビーオンスの本格的なネルシャツが正統だとされている。
その認識についてはその通りであり、それを別に否定するつもりはない。
しかし、自分自身の着こなしとして、上から防寒ブルゾンを着る以外に、もう一枚セーターを着ることを考えると、無印良品くらいの厚手で十分でそれ以上厚ければ重ね着しにくくなる。

だから、正統派のヘビーオンスネルシャツにはちょっと手が伸びない。
このあたりは完全に好みの問題である。

それにしても阿倍野アンドの「レジにて30%オフ」は凄まじい威力で、平日昼間にも拘わらずレジには長蛇の列ができていた。
すでに完売した棚もある。お買い得品が多いので、近隣の人は閉店までに一度覗いてみることをお薦めする。




ドンキホーテのアパレル製品は決してバカにできない

 先日、たまたまドンキホーテの決算が報道されていてその内容を見て驚いた。
連結決算で売上高が7596億9200万円もあり、前期比11・1%増である。
店舗数も341店となっている。

ちなみに営業利益は431億8600万円で、前期比10・4%増だ。

かなりの好決算といえる。

筆者はドンキホーテで買い物したことがないし、そもそも年に何度かしか店を覗かない。
正直なところまったく興味がない。

しかし、10年ぐらい前から若い人には人気が高く、今でもその傾向は変わっていない。

10年ぐらい前は独特のゴチャっとした陳列方法が話題になってよく販促セミナーではヴィレッジヴァンガードとともに取り上げられていた。
しかし、10年が経過した現在、ドンキホーテは成長し続けているのに対して、ヴィレッジヴァンガードは赤字続きで低迷している。

ゴチャっと陳列の代表的な2社だったが、大きく明暗が分かれてしまった。

ヴィレッジヴァンガードが従来からの売り場から脱却できなかったことに対して、ドンキホーテは大型店メガドンキを開発するなどの新しい施策を打ち出せたことがその一因ではないかと思う。

ドンキホーテは生活雑貨、食品、衣料品、家電、コスメ、ブランド品となんでもそろっている。
しかもどれもが安い。

このままドンキホーテの成長が続くと競争に敗れるのは、不振が続く大型スーパーではないかと思う。
そして、衣料品店もまたドンキホーテとの競争にいずれは敗れるのではないかと思う。

大型スーパーとの競合について書かれた記事がある。

ドンキ27期連続増益の秘密は大手GMSと「真逆の戦略」
http://diamond.jp/articles/-/105160

大型スーパー各社がセントラルバイイング方式にこだわり続けて失速しているのに対して、ドンキホーテはかなりの割合で地域対応を行っており、その柔軟さが支持されていると論じている。

 これに対しドンキがやってきた組織体制は実に8割の仕入れ権限を店舗、現場の従業員が持つという対照的な仕入れ体制だ。本部の一律の仕入れ、商品政策は2割程度にとどめ、大部分は店舗が選択し、また仕入れをして値付けをして販売しているのだ。

 本部と店舗は侃侃諤諤の議論をして商品を決める。おのずと店舗は理論武装するために、地域競合店の価格状況や消費者の動向を徹底的に調べ詳しくなり、商品決定の主導権を持つのである。

 店舗に仕入れ権限があるから、時には爆発的な価格設定で競合先を打ち負かす。

とのことである。
小売業というのは基本的にはローカライズで、よほどのステイタス性が高くない限りは、画一的な品ぞろえでは支持されない。
そういう意味でも7600億円弱の大企業になった今でも小売りの基本に忠実だといえる。

そして、ドンキホーテは各地の空き店舗に居ぬきでローコストで入店しているので、続々と閉店し続けるGMSの跡地はメガドンキを出店できる絶好のターゲットだとしている。

GMSの大量閉鎖時代の到来で、ますます居抜き出店のチャンスが広がるとみている。

ドンキはかつて長崎屋というGMS企業を買収し傘下に入れた。長崎屋は現在約40店を展開し、ほとんどがドンキの大型版である「MEGAドン・キホーテ」に業態転換している。長崎屋の店舗の再生には試行錯誤があったが、ドンキの標準的な売り場面積である2500平方mの3倍以上の売り場を持つこの大型ドンキに転換し成功した。

大型ドンキを運営できるノウハウを蓄積しているため、まさに閉鎖GMSの跡地出店は絶好のチャンスともいえる。ちなみに長崎屋の16年6月期売上高は1571億円程度だが、営業利益は39億円を計上、GMS各社が赤字になったり、低収益にあえぐなかで売上高営業利益率は2.5%を達成している。

とある。

ヨーカドー、ユニーなどが相次いで大量閉店を発表しているが、この跡地にドンキホーテが大量出店する可能性はかなり高いのではないか。

もしかすると、大量閉店が続く地方百貨店の跡地もドンキホーテが押さえる可能性があるのではないかとも個人的には見ている。

ここからは個人的な意見だが、ユニクロやジーユー、アダストリア、ストライプインターあたりにばかり目を奪われているアパレル業界だが、もしかすると今後はドンキホーテに足元をすくわれるのではないかとも思う。

341店舗というボリュームがあるなら、自社企画製品を製造する場合、かなりたくさんの枚数を発注することができる。1店舗あたり100枚配布するにしても34000枚の衣類の製造が可能だ。
1枚当たりの製造コストはかなり安く抑えられる。

しかもドンキホーテはすでに何年も前からオリジナルの衣料品を企画製造販売している。

2009年にジーユーが990円を打ち出し話題になったことがある。
それに追随して各社は低価格ジーンズを打ち出した。

雑誌や新聞ではその各社の低価格ジーンズの品評が行われ、筆者も参加したことがある。
その中で、意外に評価が高かったのがドンキホーテの低価格ジーンズだったことを覚えている。

それ以外でもドンキホーテの低価格衣料品の品質自体は悪くないという評価もある。

341店舗というスケールメリットを生かせば低価格・高品質の衣料品を作ることはさほど難しくない。

不振アパレル各社が現実を直視しないまま、物作りだとか、センスだとか、クリエイションだとかの妄想に耽っている間に、ファーストリテイリングやしまむらは言うに及ばず、ドンキホーテにすら凌駕される可能性も低くはないと思う。ドンキホーテは意外な脅威に成長したと思うが、アパレル各社はそれに気が付いているのだろうか。



服の低価格化だけを許せない業界人のダブルスタンダード

 発売してから半月強が過ぎたユニクロUだが、今のところさすがにまだ値引きはない。
見た目のデザインでいえば、やっぱり昨年秋冬の&ルメールの方がカッコイイ商品が多いと思う。

先日、業界の先輩が、ユニクロUのシャツのパターンを大絶賛しておられるのを拝見した。
なるほど、パターンという観点からも評価基準は存在する。

シャツの腋下が非常に特殊なパターンになっており、腕が動かしやすい構造になっているそうだ。(彼談)

筆者はパターンのことについては皆目わからないから、この点で評価は下せない。
しかし、こういう評価基準もあるということで、逆をいえば、高額な服でもパターンとして着心地が悪いという場合もあるということである。

横道にそれるが、パタンナーからこういう情報が発信されるべきだと思う。
業界には意外にフリーのパタンナーも多くいるし、パタンナーを志望する若い人もそれなりにいる。
にも拘わらず、フリーのパタンナーからの発信はほとんどないし、パタンナーを志望する人からも発信がほとんどない。

請け負ったブランドの良し悪しは論評しづらいだろうが、この先輩のようにユニクロだとかZARAだとかH&Mの服のパターンの良し悪しは論評しても構わないのではないか。そこいらのフリーの業者にグローバルブランドからの依頼はまず来ないのだから。

そういう発信の積み重ねでパターンの重要性が業界にも消費者にも今までよりは認識してもらえるはずである。
今のままだと、そこらの企画担当者は縫製工場とかOEM屋が自動的にパターンを作ってくれるものと思い込んでいる。
業界人ですらこういう人が少なくないから、一般消費者は推して知るべしだろう。
それほどにパターンの重要性もパタンナーの重要性も認知されていない。

この評価点は改めて勉強になった。

そうすると、そこに「そこまで良い物なら安くで売るのは間違っている。ユニクロはある程度の価格で売ることを考えるべきだ」という一見すると教科書的には正しい意見を書き込む人がいたが、教科書は所詮教科書にすぎない。

ユニクロというブランドは、「価値ある物を安く提供する」ことがコンセプトである。
だから価値あるパターンのシャツを2990円で発売したわけであり、実にコンセプトに沿った行為であり、何の問題もない。
逆にユニクロが5000円や1万円のシャツを発売したほうが問題だろう。
それはブランドコンセプトに沿っていない行為で、そこらへんの凡百のヘッポコアパレルがよくやらかしてしまう愚行である。

上っ面の表層の判断だけでブランドコンセプトと外れた商品政策を組み立てる。
まあ、そこらへんのヘッポコアパレルのブランドコンセプトなんて、取って付けただけのものなのだから、そもそもブランド自体の存在意義もほとんどない。

もしもファーストリテイリングが高額な商材を出すとしたら、それはユニクロではなくセオリーで出すだろう。

超低価格のジーユー、低価格のユニクロ、それ以上のセオリー、と価格帯に応じてファーストリテイリングはブランドを使い分けており、なんでもかんでもユニクロに求める方が考え方がおかしい。

なんでユニクロが高価格帯を扱う必要があるのか。

業界人ですらこの有様である。
業界人だからこそこの有様なのかもしれない。

それほどに業界人は何事につけても冷静に考えられない人が多い。
ことユニクロになると憎悪を剝き出しにしている。

しかし、いっちゃ悪いが、国内売上高8000億円のユニクロに太刀打ちできる国内アパレル企業は存在しない。
洋服だけでいえば、GMSも太刀打ちできない。百貨店はもちろんのことだ。

いくら憎悪を剥き出しにしてもそれは負け犬の遠吠えでしかない。

ジーユーとユニクロを合わせて国内売上高は1兆円弱。セオリーを合わせると確実に国内売上高は1兆円を越えるだろう。

世の中には低価格代替品が溢れている。
自動車しかりパソコンしかり冷蔵庫しかりテレビしかり掃除機しかりスマホしかりだ。
低価格代替品が登場することで広く庶民に普及するのである。

iPhoneはたしかにブランドステイタスがある。しかしそれでもSIMフリーだとか、型落ちiPhoneの格安スマホが売上高を伸ばしているのはなぜか。

教科書氏がいうように「iPhoneはそれなりの値段で買うべき」ではないのか?

iPhoneは安く買っても良いが、服が安いのは許せないとかどれだけダブルスタンダードなのか。
バカじゃないだろうか。

じゃあ、日本人はテレビはアクオスしか買ってはだめなのか?
型落ちの値下げされたアクオスを買うのはだめなのか?

業界に渦巻くこういう感情論はバカバカしくて聞くに値しない。
言ってる本人はそのおかしさに気が付かないのだろうか。気が付かないから言っているのだろう。

そういう意見がまかり通っている間はアパレル業界は決して浮上しないだろう。
「昔ながら」にこだわりながら衰退している伝統工芸や着物業界と同じ道をたどるだろう。

気が付けば、ファーストリテイリングとしまむらと数社のSPA以外はすべて外資ブランドになってしまったなんてこともあり得るだろう。




自社・自ブランド・自店の強みは何ですか?

 98年のユニクロブーム、08年のファストファッショブームを受けて、自身の長所を見失っているアパレル、ブランドが多い。それが今のアパレル不振の一因ではないか。

ユニクロブームもファストファッションブームも一服感があるが、結局のところ、業界を挙げて価格競争に追随してしまった。
しかし、ユニクロもグローバルファストファッションも数の論理で、低価格・高品質をある程度維持しているのに対し、国内アパレルは販売枚数が少ないため数の論理が使えない。それを無理やり低価格に当てはめるために、生地値を圧縮し縫製工賃を叩いた。その結果、低価格・低品質の商品が市場に溢れることになって、却って自分たちの首を絞めている。これが業界の現状ではないか。

しかもその「低価格品」もユニクロやジーユーに比べて1000円とか2000円高めになっており、価格でも競争できていない。

98年のユニクロフリースブームのころ、1900円に対抗して2900円のフリースを発売した百貨店アパレルがあったが、「企画した人は何を考えていたのか、それを許可した会社の上層部は何を考えていたのか」と不思議でならないが、そもそも1000円高い時点で消費者はユニクロを選ぶ。また百貨店に買い物に来る客が1900円フリースを求めているのだろうか。
消費者はユニクロも買うし百貨店でも買うという行動をとる。
じゃあ、ユニクロで買える物はユニクロで買うし、百貨店で買うならユニクロで買えない物を求めている。
ユニクロと同じ物がほしければユニクロで買う。当たり前のことだ。

例えば百貨店で売るなら、「ユニクロとは違ったおしゃれなデザインのフリース9800円」ではないだろうか。もしくは「ユニクロよりも機能性に優れた9800円のフリース」ではないか。

自社・自ブランドの長所は何かをもう一度考え直す必要があるのではないか。

とはいえ、外野から見ていて長所や強みといえる部分がないアパレルやブランドが多いのも事実である。
そういうところは淘汰されるべきで、そのことに対して同情はない。

逆に長所や強みを自らで発見できたら強いと思う。

少し前に、ある仕事でトランジットジェネラルオフィスの中村社長にインタビューする機会があった。
よくも悪くも軽快な感じの人という印象のみで、話されていることは一応は理解しやすいが、そこに深い共感はほとんど覚えなかった。
筆者とは人間性がまったくかみ合わないのだろう。たぶん、その一回で今後お会いすることもないと思う。

しかし、ウェブ上で掲載されていた彼のインタビュー記事を拝読して、ああ、なるほどと腹に落ちたこともある。
これはこれですごいなと。
たぶん二度とお会いすることもないと思うけど。(重要なことなので二度言いました)

http://fashionpost.jp/portraits/3777

そう。僕30歳手前くらいまでは、すごくミーハーで飽きっぽい自分にコンプレックスがあったんです。でも、あるとき、いろんな友達が僕に聞いてくるようになったんですよ。「中村くん、いまなにが流行ってるの?」とか「いま、女の子とデートするんだったらどこがいい?」とか。

そのころは、“歩く東京ウォーカー”って呼ばれてた(笑)そう言われて頼られるようになると、それがプレッシャーになって、新しいお店ができるとどんどん行くし、そもそも新しいもの好きなんで、レストランとかお店とか、話題のスポットはひたすら誰よりも早く行く、もちろん映画だって観に行くようにしていたんです。

そんなことをやってるうちに、スペシャリストの人が100×1だとしたら、僕は1を100持ってると気づいたんですよ。そうしたら、100×1も1×100も同じじゃん!って霧が晴れて、ミーハーとして生きる道が開けたんです(笑)

この部分である。
確かにご自分でおっしゃっているようにミーハーなにおいをぷんぷんと醸し出されておられた。

で、単なるミーハーならミーハーな人のままで終わる。実際にそんな業界人を数多く見知っている。
しかし、「1を100個知っていることが才能だ」と自分で強みを定義できたところはお世辞や追従なしですごいと感じる。

普通の人はなかなか長所を自己定義できないものである。
しかもここで言われる長所は短所と同一の事柄である。この短所を「それが自分の長所だ」と再定義できる人は本当に一つの才能である。だからこの人は強い。

物事の長所と短所は同じ事柄である。
即断即決は悪く言えば浅慮、軽挙妄動である。
徹底した成果主義は、成果に結びつかない地道な作業を嫌うことである。

徹底したミーハーは、徹底したジェネラリストだともいえる。

これは個人の事例だが、こういう作業がアパレル各社にも必要ではないか。
自社、自ブランド、自店の長所、強みはどこにあるのか?
その定義を確立するということはけっこう重要な事柄で、これができていないために、アパレル各社は今の体たらくに落ちたのではないのか。

国内8000億円の圧倒的規模を誇るユニクロを後追いしたところで、物量差で押しつぶされる。
しまむら、ジーユー相手でも同じことである。

もし、長所や強みのないブランドやショップならそれは存在価値がないということであり、それなら資金的に余裕があるうちに廃業されることをお勧めする。

Essence of life“sunny days”
ami amie
トランジットジェネラルオフィス
2008-07-23


BARATEE vol.2 (おいしい生活。)
バラッティ編集部
有限会社サンクデザインオフィス
2015


Essence of life“happy”
☆MARLEYS☆
トランジットジェネラルオフィス
2008-03-19


ユニクロとジーユーの国内売上高を合わせると1兆円近くになる

 ファーストリテイリングの8月期連結決算が発表された。
増収大幅減益という結果はすでに報道された。

売上高 1兆7864億円(前期比6・2%増)
営業利益 1272億円(同22・6%減)
当期利益 480億円(同56・3%減)

という結果である。

これを受けてメディアは「大幅減益」と報道しており、これは事実だからその通りだが、「ユニクロ苦戦」とか「ユニクロ失速」という論調の記事には少し疑問を覚える。

国内ユニクロ事業は売上高7998億円(前期比2・5%増)、営業利益は1024億円(同12・6%減)と発表されている。たしかに国内ユニクロ事業は減益だが、それでも1000億円以上の営業利益をたたき出しており、グループ全体の8割以上の営業利益を稼いでいる。

増減率で見るなら確かに減益だし、苦戦、失速ともいえるが、現在の衣料品業者で1000億円以上の営業利益を稼ぎだせる企業はない。
しまむらは好調だと言われているが、売上高でユニクロの6割程度、営業利益額では遠く及ばない。

それに売上高8000億円のブランドが国内市場だけで毎年グングンと成長を続けられると考える方がおかしいだろう。ユニクロが成長時期のように毎年倍増や3割増のペースで伸び続けられるはずがない。
すでに国民の96%がユニクロの製品を買っているという統計がある状況で、それ以上の高い成長率を求める方がおかしいのではないか。

国内ユニクロ事業は「失速」ではなく「飽和」だと考える方が適切だろう。

実業をやったことがないメディアにはわからないだろう。
またメディアが報道するだけならまだしも、衣料品業界関係者までがそういう見方になるというのは現実が見えていない残念な人だとしか言いようがない。
じゃあ、あんたの企業の営業利益額はどれだけあるのか。赤字スレスレとか雀の涙ほどの金額しかないじゃないか。
それでよく「ユニクロと違ってうちはセンスがある」なんて寝言を言えるものだと呆れ果ててしまう。

業界関係者もメディアもあまり注目していないが、代わってジーユーが着実にブランド規模を拡大している。

売上高は1878億円(同32・7%増)
営業利益は222億円(同34・8%増)

と大幅増収増益である。

ジーユーもいつの間にか2000億円近くまで成長しており、2017年8月期は確実に2000億円を越えるだろう。
ユニクロ失速に喝采を送っているアパレル企業は今度は間違いなくジーユーに喰われてしまうだろう。

現在、ジーユーは海外に11店舗を展開しているから、1878億円すべてが国内売上高ではないが、1850億円くらいは国内売上高だろうと勝手に推測する。

そうすると国内ユニクロと国内ジーユーを合わせて、

7998億円+1850億円で、9850億円ほどの売上高があることになる。

2017年8月期は2ブランド合計で国内売上高は1兆円を越えると考えられる。

9850億円でさえ、国内では圧倒的な売上高を誇っており、規模だけでいえば対抗できるアパレルは存在しない。いくらユニクロをクサそうとも、アパレル各社の売上高は確実にユニクロとジーユーに吸収され続けているということである。

この現状を直視できないなら、アパレル企業とか衣料品小売店なんていう仕事はやめてしまったほうが得策だろう。現状を正しく認識できないままで、願望を語っても業績が好転するはずもない。かえって悪化させるだけである。

圧倒的なユニクロとジーユーは厳然として存在する。それを前提に各社は方針を定めるべきで、「そろそろユニクロブームが終わる」とか「ユニクロも客離れを起こしている」なんていうご都合主義の願望だけで方針を組み立てれば、ただでさえ弱っているアパレルはさらに寿命を縮めるだろう。

一方、ファーストリテイリングはこの2ブランドとセオリー以外のブランドはあまりパッとしない。
とくにJブランド、プリンセスタムタム、コントワー・テ・コトニエは赤字続きであり、中でもJブランドは138億円の巨額赤字を計上しており、買収後ずっと赤字のままである。

このあたりはさっさと廃止すべきだと思うのだが、なかなか動かない。

業界内ではすでにJブランドの廃止とか撤退という噂が流れているが、そういう噂が流れるだけの素地は十分すぎるほどあるということである。

正直なところ、ジーンズ単品に近い品揃えのJブランドという衣料品ブランドが好転する要素はほとんどないと見ている。そんなに誰もが毎月ジーンズなんて買わないから個々人の購入頻度は低くなる。かといって他のジーンズブランドもそうだが、いきなりトータルアイテム化したところで売れ筋商品を生み出すことは難しい。Jブランドに限らず、この手のパンツ単品ブランドは小ぢんまりと小規模活動を続けるのが分相応ではないかと思う。


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