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南充浩 オフィシャルブログ

マス層にビンテージ調ジーンズブームは復活するか?

2023年8月7日 トレンド 7

少し以前にジョンブルの今秋冬展示会で、ヒゲ加工ジーンズの人気が復活しているというブログをアップした。

 

90年代半ばのビンテージジーンズブームによって、ジーンズにビンテージジーンズ調の穿きジワの色落ちを再現したヒゲ加工を施すことが標準仕様となった。ビンテージジーンズブームでは本物の現存するビンテージジーンズは希少性も相まって数万円~数十万円もの値段となっていたからよほど熱心な金持ちのマニアしか買うことはできない。インターネットも存在していなかったからウェブから広く情報を集めることもできなかったし、メルカリで自宅で寝転びながら買うこともできなかった。

特別な仕入れルートを知っているか、地道に古着屋を巡って足で情報を稼ぐしかなかった。

そのため、各メーカーからビンテージジーンズのレプリカ商品が発売された。こちらは1万円弱~3万円くらいが中心価格帯となっており、多くの人はこの各社のレプリカジーンズを買った。ケチな当方はワンウォッシュが7900円、ヒゲ加工が8900円のエドウイン505を2本買った。ボタンフライは着脱に不便なのでジップフライを買った。基本的にビンテージ以外でもボタンフライのジーンズは買わない。理由はめんどくさいからだ。リーバイス501を買わずに502を買うのはそういう理由である。今後の人生において当方がボタンフライのズボンを買うことは絶対にない。

知る限りにおいて、ある程度のビンテージ仕様で当時の最安値はこのエドウインの505だと思う。個人的にはエドウインには503のリニューアルよりも505を復活させてほしいと思っている。

 

それはさておき。

 

当たり前だがレプリカジーンズは新品として生産されるから本来は濃紺色である。これを穿き古したビンテージジーンズように中古加工を施すために、腰や膝裏部分に穿きジワを再現するようなシワ加工が持て囃されたわけである。本物のビンテージジーンズファンには不評だが、市場は少数のコアなマニアだけで成り立っているわけではないから、大多数のマス層はシワ加工ビンテージ風ジーンズを購入していた。もちろん当方もその一人である。

ジーンズ=ヒゲ加工という構図はビンテージジーンズブームが終了しても続いており、だいたい体感的には2010年ごろまではその名残があった。

2010年代前半になると、20年弱前にビンテージジーンズブームに熱狂した若者は40代のオッサン世代となっており、このころから若者は80年代調のノッペリとした色落ちの空紡糸デニムを好むようになっていた。恐らくは、当時の若者からするとヒゲ加工ジーンズはオッサンの制服にでも見えたのだろう。だから自分たちはのっぺりとした色落ちの80年代調デニム生地を好んだというわけである。

 

そして2023年。80年代調空紡糸デニムが復活してからすでに10年強が経過している。今の10代後半から20代半ばの若者にとっては10年強前から続く空紡糸デニムというのは、一世代前の人が穿く古臭いジーンズに見えているのではないかと思う。まさに歴史は繰り返される。

ジョンブルのジーンズはだいたい1万数千円から3万円くらいの価格帯でファッション好きな人が買うものである。ファッションに興味の無い人がこんな高いジーンズをわざわざ買う必要性が無い。

ファッション好きな人はそろそろ80年代調ののっぺりジーンズに飽きてきて、オッサン世代からすると昔懐かしいヒゲ加工に再注目し始めたというふうに考えるべきなのだろうと思う。

 

以前のブログに対して「ジーユーにもヒゲ加工ジーンズの投入が始まりましたよ」というコメントをいただいた。いつもコメントでいろいろと教えていただくことが多く感謝することしきりである。たまに「?」みたいなコメントをいただくこともあるのだが(笑)。

そんなわけで、つい先日、ジーユーに行ってジーンズコーナーを見てみた。

するとやはりコメント通りにヒゲ加工が施されたジーンズが並んでいる。2000年代頃のヒゲ加工よりも少し控えめなコントラストだがたしかにヒゲ加工が施されている。

 

 

ビンテージジーンズブームの頃のヒゲ加工はハッキリクッキリしたものが好まれ、それがどんどんエスカレートして2000年代後半にはシマウマか虎みたいなくっきりとした縞模様のようになっていたブランドがあったほどである。

なぜ今秋物のヒゲ加工が少し控えめなのかというと、恐らくはこれまでののっぺりとした中古加工からの延長線上から違和感を感じさせないためではないかと思う。

いきなり、後期のシマウマみたいな洗いジワ加工を見せられてもコントラストが強烈すぎて強い拒否反応があるかもしれない。

 

しかし、コメント氏がご指摘されるようにジーユーでヒゲ加工が登場したということは、今後、マス層でもヒゲ加工ジーンズが復活する可能性は極めて高いと考えられる。

当方のタンスには20年前のヒゲ加工ジーンズが何本か残っているが、今秋以降再登場させてみようかと思っている。

ヒゲ加工ジーンズが今秋以降(主には来年以降)、本当にマス化するのであれば、もしかすると現代風にアレンジ(打ち出しも価格帯も)されたビンテージジーンズブームが復活する可能性もあるのではないかと思ってみたりしている。

 

 

リーバイスの1966年モデル501のレプリカをどうぞ~

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 comment
  • BOCONON より: 2023/08/08(火) 2:07 AM

    僕もアメ横の某店で買ったボタンフロントのヴィンテージ・ジーンズのレプリカ(2,3万円くらいした)は洗ったら極端に縮んでしまって穿けなくなってしまいしました。それ以来どうも “ヴィンテージ” というと身構えてしまう。
    まあ僕なんぞの個人的な体験はどうでもいいようなものですが――

    > 今後、マス層でもヒゲ加工ジーンズが復活する可能性は極めて高いと考えられる

    これは南さんには悪いけれど,あまりありそうもない話のような気がしますね。その理由は ...

    ①GUの客はお若い人が多いけれど,そもそもジーンズ穿いた若い人(特にストレートジーンズ)というのは最近滅多に見かけない。ヴィンテージ風ジーンズに跳びつくのはだから,おじさんおばさん以外あんまりいそうもない。それに――
    ②GUもどこまで本気でビンテージ推しているのやら判然としない。僕もネットでいろんなサイト見てみたけれど,ほとんど話題にしているサイトもない。
    ③GU もユニクロもパンツに関しては最近どこのサイトも評価が芳しくない。ビンテージジーンズはおろか,ジョガーパンツもシェフパンツもワイドパンツも「デートに穿いてきて欲しくないパンツ」の筆頭に挙げられたりしている。
    ④僕の個人的感想ですが,ヴィンテージでなくとも,ほんとはストレートジーンズは小柄で頭が大きく,平べったい日本人体系にははあんまり似合わない。貧相貧弱に見える。DT浜田のジーンズ姿もも子供服みたいに見えますね,僕には。

    かくして僕はパンツに関しては最近,ユニクロも GU も客を置き去りにしてして勝手に「これがカッコいいんだ」って方向に行ってしまっているようにしか見えないのでした。ジーンズもユニクロが以前売っていたテイパードジーンズなら日本人にも似合うと思うのだけどなあ ...。(今でも売っているのか?)

  • 黒田 より: 2023/08/08(火) 8:29 AM

    言われてみると確かに、自分も最近ジーパン履いてないです。硬くて動きづらいと無意識に思っていたのかも。デニムシャツ、Gジャン、ベストはよく着てます。スカートやワンピースでも足の動きを邪魔しないから良いのかも。

    スラックス並みに厚みが薄いジーパンがあったら穿いてみたいです。

  • キム ゴンウ より: 2023/08/08(火) 9:49 AM

    先日ウエストが合わなくなったリーヴァイスを2ndストリートに¥10でも良いからと思い持参しましたところ、¥600―いただきました。
    ありがたやー。型番も特に気にしてないような奴ですが、ありがたい。
    さてジョンブルさんですね。以前は京都の店舗で何本か購入しました。
    生デニムとかが流行ったころですわ。フンっ。自分にですよ。
    そういえばエビスってありましたよね?見なくなったような気がするのは、
    着用する人がいる場所に私が行かなくなったからかしら?
    さてさて
    通天閣の下にぞろぞろできてきた串カツ屋。昔からの雰囲気を出してますが、一端入店すれば、注文用のハンディ機器を片手にまいどあり!
    なんちゃって大阪風情ですよね。さめちゃうんですよね。なんか。
    GUさんを含め、デニムに型紙をおいて、砂を吹きかけひげを作るなんちゃってヴィンテージも上記の串カツ屋にいだくのと同様の気持ちになります。
    まぁ、てめぇがヴィンテージになって、毛量もヴィンテージ加工が入ってきてますが
    (但しこちらは自然です)

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/08/08(火) 9:56 AM

    綿レーヨンではなく
    ポリレーヨン綿の8ozのデニム組成なら
    実用性は確保できます

    ただし、、ただし・・・

    ヴィンテージ調の再現は不可能です

    質感それも染色に伴う質感を優先すると
    純綿にならざる得ません。そして実用性は・ナシww

    しかもヴィンテージ調となると
    最低でも12ozいや14ozないとむつかしい

    織物の純綿は、もう先行きがないと思いますよ

    あとは、薄手のデニムにウールのライナーを足した
    ストームライダーか。でも冬場にデニムもなぁ・・・

  • BOCONON より: 2023/08/08(火) 8:59 PM

    今日しまむらに行った時見てみたら,濃紺スキニーデニムでヒゲ加工あり,という何だかよくわからない商品売ってました。見渡してみると,何とまあケミカル・ウォッシュ加工したジーンズ(これも細い)なんてものまで売っている。どちらもストレッチの効いた生地でウェスト紐付きで,僕みたいなジジイには “ジーンズ” というよりはスウェットスーツの下ズボンみたいな感じがしましたが。
    今のお若い人たちには案外こんなものが新鮮に映るのかも知れないとも思いましたが,実際は GU 含めアパレル業界が無理くり新機軸として打ち出したのかも知れない。その辺はあまり判然としないけれど,しまむらがストレッチや撥水加工済みのパンツだらけなのを見ると「やっぱり売れるのはたぶん本格的ヴィンテージ加工のジーンズより基本機能的なズボンだよなあ」と思ったことでありました。

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/08/29(火) 10:06 AM

    熊谷の人>アパレル業界が無理に打ち出した新機軸

    「濃紺スキニーデニム・ヒゲ加工あり」を読んで
    わらってしまいました

    過去30年の売れ筋商品の要素を全部詰め込んだw
    ぜんぶのせラーメンのような感じでしょうか?

    しかしオネダン激安www

  • ガースー より: 2023/08/30(水) 9:44 PM

    ビンテージ調ジーンズとは異なりますが、エヴィスジーンズのhpが先日ライセンスのエヴィス hpに突然予告なく変わり、また店舗でも日本エヴィス の商品の引き上げが行われているなど、異様な状況が発生している模様です。
    ここ数年店舗の急激な閉店や山根氏退任などハタから見ても経営が厳しい印象でしたが、レプリカジーンズ創世記から一時代を築いたブランドだけに残念に思います。
    もしブログ記事に挙げていただけるようなら触れていただけると幸いです。

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