カジュアルとガチ作業服の垣根が限りなく低くなっている?
2023年8月8日 トレンド 3
2015年頃から上下ダボダボのオーバーサイズが復活したときには、バブル期全盛のファッションを記憶している世代としては動揺を隠せなかった。
まさか、あの黒歴史とされたスタイルが復活するとは。。。という感じだった。
バブル期ファッションが復活してしまえば、あとはまた90年代、2000年ごろのスタイルがリバイバルしていて、今の若い人達からすると新鮮なのかもしれないが、53歳の当方からすれば、20年前、25年前の服装を今更見せられているようで何の新鮮さも無い。
今夏はY2Kだかなんだかで、ややゆったりしたワイドパンツに、丈が短くてピチっとしたヘソ出しトップスを合わせている若い女性が多く、53歳の当方からすると昔懐かしいSPEEDの4人組の舞台衣装を再現しているように見えてしまう。
ここまで来ると歴史は繰り返されるから、男女ともにピチピチトップスが最先端トレンドに浮上し、ボトムスもピチピチになるのではないかと思っている。
ただ、2010年頃までと異なるのは、ピークアウトしたトレンド服もそれぞれ一定数量残るというところである。例えば、ファッション記事では盛んに「死んだ」とされているスキニーパンツだがいまだに着用者を相当数見かけるし、ユニクロでもジーユーでも定番の1つとして売られている。ジョガーパンツも同様だ。
だからまた上下ともにピチピチトレンドが復活してもオーバーサイズの服は一定数量残り続けるのではないかと思う。特に当方はもうピチピチ上下に戻ることはない。なぜなら着ていてしんどいからである。ややゆとりのあるサイズ感の方が楽だということを体感してしまったからである。
そんなわけで、2008年のスキニー登場までのような「次はどんな新しい物が登場するのか?」という期待感は無くなっていて、どうせ〇〇年代ファッションがリバイバルするだけのことだろうと思って眺めている。
そんな中、ごくまれにであるが、これは今までになかったというコーディネイトを街行く人に見ることがある。
以前にも書いたことがあるが、ワーキングユニフォーム(作業着)メーカーの企画製造販売する作業服スキニージーンズをあたかも「デザインジーンズ」かのように穿いている若い男性を2010年代後半から時々見かけるようになった。イメージ画像としてブリッツワークスのサイトからお借りする。
BLITZ WORKS – ブリッツワークス (blitz-works.com)
こんなジーンズである。
最初は現場仕事の休憩中なのかと思ったが、トップスや髪型、体格などからするとどう見ても休憩中の現場作業員ではない。明らかにファッション用途として着用している。
業界歴の長い当方からするとそれはひどくアンバランスなコーディネイトに見えるのだが、スキニータイプの作業服ジーンズは、通常の5ポケット型ジーンズとはデザインがだいぶと異なっている。ポケットの数が多かったり、動きやすいようにパーツの分割も異なっていたりする。
だから、先入観無しで虚心坦懐(高校時代の英語の教師の口癖だった)に見れば、デザインスキニージーンズに見えなくもない。おまけに価格は安い。だいたい2900~5900円くらいなので、ナンタラブランドのデザインジーンズの5分の1程度の価格で買えてしまうから、これに飛びつく若者がいてもたしかに不思議ではない。
毎年8月になると、仮面ライダーシリーズの最終回が迫ってくる。現在放映中の仮面ライダーギーツも8月末に最終回を迎え、9月からは仮面ライダーガッチャードが始まるのだが、この仮面ライダーギーツを1話から見てきて、あれっと思ったのが劇中の主要キャラクターの一人が結構な頻度の高さで作業服ブランドと思しき服を着用しているのである。それも通常のモードカジュアルのアイテムに混ぜる形で。
仮面ライダーバッファに変身する人物なのだが、元は工事現場で働いていたという設定があるからなのかもしれないが、ちょいちょいと作業服をコーディネイトに混ぜた衣装を着用させられている。(多分スタイリストに)
例えば、ゆったりしたライダースジャケットのインナーに薄手のスタンドカラーの作業服ブルゾンを挟み込んでいるという具合である。
2000年に始まった仮面ライダークウガ以来、ライダーシリーズはイケメン俳優の登竜門となっているから、バッファ役の男性も容姿端麗である。容姿端麗だからあまり作業服感は感じさせないが、多分普通のオッサンが同じコーディネイトをすると、仕事が終わって大急ぎで中途半端に着替えて出かけてきた作業員にしか見えないだろう。
昔の特撮ドラマの登場人物の衣装は現実世界ではちょっと見かけないような物が多かったが、90年代以降は結構一般的なコーディネイトが増えているから、個人的にはそれを楽しみに見ている部分もあるのだが、この作業服を取り入れたコーディネイトというのは世間的にはどう映っているのだろう?と思う。
ただ、先述したように作業服スキニージーンズを通常のコーディネイトに取り入れる若者もちらほらといるから、それはそれで一つのコーディネイトとして確立されつつあるようにも思う。
2010年代半ば以降、〇〇年代のリバイバルファッションばかりになってしまって新鮮さが無くなった現在において、もしかするとガチ作業服を取り入れたコーディネイトというのは、新しい着こなしの1つなのではないかとも思ってしまう。当方も含めて容姿の衰えたオッサン世代には取り入れにくいが、若者世代には1つのジャンルとして認知されていくのかもしれない。
バートルやTSデザインのようにリニューアルした作業服メーカーの出現、ワークマンの躍進による消費者の認知度の高まり、などによってガチ作業服への消費者のイメージや視線も変わりつつあり、デイリーカジュアルとガチ作業服の垣根もなくなりつつあるのではないかと思う。垣根は完全に無くなってはいないが、限りなく低くなっているというのが、現状ではないだろうか。
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comment
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南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/08/09(水) 10:50 AM
熊谷の人>将軍さまルックwは
>「新オシャレ」or「めんどくせ」or「作業着オサレ」のどれ?論理をさかさにして、意図するところは様々だが
ゆきつく先は「将軍さまにしかみえません!」
というところが正解では?あったり前ですが、
・JKTとパンツとシャツのセットが基本
・Tシャツパンツなら同じ色は選ばないなんてのを外して見栄えするカッコウには
どうあがいてもなりませんなぁ・・・それこそ50年前に死滅したスタイルですが
盛夏なら、開襟シャツにグレーのパンツならぬ
太めのスラックスが思いのほかカッコイイのかも -
とおりすがりのオッサン より: 2023/08/09(水) 11:06 AM
言われてみたら「シン・仮面ライダー」のライダー二人の衣装だけは、初代のオマージュになってなくて強化服(という設定のライダースーツ)を着たまま上からロングコートでしたね。
普段の服もオマージュすれば良かったのに(・∀・)
仮面ライダーは藤岡弘、の時代からジーンズの上下着て戦っていましたな(最初は紺のWブレザーに白ズボンなんて成人式みたいな格好でオートバイ乗って疾走していたのが今見るとちょっと笑えますが)。キカイダーも確かデニムの上下で,ズボンは側章入りでした。・・・なんて事を知っているから「今の仮面ライダーの衣装が作業着風だというのもスタイリストがこの流れを汲んでのことなのだろう」と思ったりする。昔は「上下ともデニムというのは作業着みたいでよろしくない。Gジャン着たら下はチノパン等にしないと」とよく言われていましたからね。
しかしTVだの街を歩いていて見ていると,まさか “北の大将軍様” そっくりな格好ではないにしろ,上下スーツみたいに同じ生地のものを着ている若い人をたまに見かけたり,作業着としか思えないジーンズの男を見かけたりして「今の子は普段着が上下組の作業着だの変なスーツ(寅さん風な)みたいなものでも平気らしい」という感じがしてくる。これは「新しいおしゃれな着こなし」なのか,単に「上下の合わせ方を考えるのが面倒」なのか「作業着でも上手く選べばお洒落」なのか,僕は判断に困ってしまうのでありました。
まあいづれ僕が着ても上下デニムなんてのはドカチンスタイルにしか見えまいからパスしたいですが。