
その商品ってどこで流行ってるの?
2023年1月17日 トレンド 13
洋服でもその他の分野でも消費者としては、最新トレンドを逐一追いかけて買い続けることはアホらしいと思っている。
しかし、職業人としては知っておいて損はないから、ウェブ上でニュース類を読み、実際の売り場や商業施設も見てみる。分かる物もあれば分からない物もある。だが、分かる物と分からない物をするということが重要だと当方は考えている。
論語にも
「知るを知るとなし、知らずを知らずとなす。これ知るなり」
とある。
要するに知っていることと知らないことを区別できることが知るということだという意味である。最新トレンドも自分が理解できる物と理解できない物があり、どれが理解できてどれが理解できないかを区別するという作業はこれに当たると思っている。
とはいえ、社会全体が動いているようなビッグトレンドというものは、衣料品分野はもとより他の分野でも年々少なくなってきていると感じる。
一方、メディアというのは公共物でも何でもなく、トレンド品を煽ってナンボという営利団体に過ぎないので、今でもそういう報道姿勢を崩さない。崩せないのだろう。
そうなると、メディアで煽った割にはちっとも流行ってないじゃないか、という物が増えてしまう。衣料品しかりスイーツしかり、その他の商品しかりである。
個人的に時々見ているYouTubeチャンネルでこんなトピックスがあった。
「スッキリ」という朝のワイドショー番組だが、今年3月末での終了がすでに発表されている。あと2カ月半ほどで終了してしまうことが決定している番組だからもう取り繕う必要が無くなったということだろう。(笑)
21年のマリトッツォ、22年のカヌレの流行に続いて23年はブラジル発の「プヂン」というスイーツが流行るという報道に対して司会者自体が「21年も22年も大して流行ってなかったじゃん」と突っ込んでいるという内容である。
もしかするとプチ流行していたのかもしれないが、当方のように外野から眺めているオッサンからすると、コロナ禍前のタピオカドリンクは確かに大流行していたと感じるが、それ以降に番組で挙げられたスイーツは全く流行っているとは感じられない。
マリトッツォだが、たしかに21年夏ごろにはツイッターで何度か見かけたことがあり、プチ流行していると認識した。スーパー万代でも売られ始め、賞味期限切れ間近の物が1個60円くらいに値下がりしていたことが多かったので、当方も何度か買っておやつとして食べてみたことがある。だからそこそこには流行ったのだろうが、流行期間は短かった。2021年末には見かけなくなった。
味は、大量の生クリームをコッペパンで挟んだだけなのでそれ以上でもそれ以下でもなく、めちゃ美味しいスイーツとは到底思えなかった。変型版クリームパン的な物という味で、何度も食べたいとは思わなかった。
カヌレに至っては、フランス原産の菓子として名前は昔から知っているが流行どころかプチ流行していた認識すらない。売り場でも当方の目には入ってこなかった。一体どこでどれだけ流行っていたのか謎である。
となると、23年期待の「プヂン」なる物の流行もたかが知れているだろう。良くてマリトッツォ程度、酷ければカヌレ程度に注目されないで終わるだろう。
アパレル・衣料品業界においてマリトッツォ、カヌレ的な「それどこで流行っているの?」というアイテムは「バラクラバ」だろう。
これについては以前にも「22年秋冬期待のアイテム」として業界メディアで取り上げられていたことを紹介した。
この回でも書いているが、こんな妙ちきりんな製品が大ヒットするとはとても思えなかった。バラクラバなどとカタカナ表記しているが実際は「目出し帽」で、これを実際に装着しているのは、作戦行動中の軍人かテロリストか強盗か暗殺者かスノーボーダーかバイカーくらいである。
これを多数の一般人がカジュアルとして装着するようになるとは全く考えられなかった。
そして現在、23年1月中旬となり、間もなく22年秋冬シーズンも終わろうとしているが、バラクラバを装着した人を見かけた覚えがない。フォッソナブルな大都会である東京とは異なり、地方の辺鄙な片田舎の大阪市内だから、ハイセンスな人間がいないのかもしれないが、それにしても全く見かけないということは「大ヒットアイテム」なら考えにくい。
これほど被っている人間を見かけないということは全く流行っていないのではないかと思う。流行っているとしてもごくわずかなエリアや特定の嗜好の人々に限られているのではないかと考えられる。
普通のニット帽は引き続き被っている人が、片田舎の大阪市内でも多いから、ニット帽の方がよほど「大ヒットアイテム」なのではないかと思う。
逆に10年前と比べるとフェルトのハットを被っている人は激減している。よほどスタイルを持った人に現在では限られている。ちなみに当方も当時イキってウールフェルトのハットを1000円くらいで買い集めてしまって、自宅には10個くらい積まれたままとなっている。(笑)
まあ、それはさておき。
結局のところ、衣料業界におけるバラクラバはスイーツにおけるカヌレ(笑)と同じなのではないかと考えられる。
メディアは煽ってナンボという商売だし、ブランド側・店舗側も流行商品があってナンボという商売だから「次はこれが来る」という販促を何十年間も繰り返してきた。たしかに2010年くらいまではその手法は通用しただろう。しかし、大衆的目線でいえばスキニージーンズ(スキニーパンツも含める)以降、そこまでの大ヒットアイテムは出現していない。スイーツでいうとタピオカドリンクが何年かぶりの大ヒットを記録したくらいである。
2010年以前よりもマス層の嗜好の多様化が顕現し、メディアが煽っても踊らされにくくなったといえる。報道に比して期待外れナンバーワンアイテムといえばバラクラバだろうが、メンズのスタジャンも大幅値下げされても完売しないという点では、期待外れアイテムナンバーツーに位置すると思えるが、バラクラバよりは着用者を見かけることがあるので、総需要量は見込みよりも大幅に少なかったものの、一定数の需要はあったといえる。
スイーツにせよ衣料品にせよ、メディアが煽って大ヒットトレンド品を作るということは今後さらに難しくなって行くだろうから、これまでのような安易な商売は難しいと認識する必要があるだろう。
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comment
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大隅 より: 2023/01/17(火) 11:47 AM
バラクラバは幼児にはすごくいいと思う。マフラーとか引っ張って遊んだりされたら怖いけど、バラクラバはそういう心配がない。ニット帽に比べても耳も首も全て隠せるし、自分で被りやすい。大人が被ったらテロリストになっちゃうけど、子供なら許される気がする。
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忍者猫 より: 2023/01/17(火) 12:40 PM
バラクラバというのは、昔から、田舎ではよく見かけました。おっさんが原付に乗り、ナイロンヤッケを着て、目出し帽を被ってました。あれそのまんまですよ。
あとは、手編みサイトでは、随分と前から、載ってますが、スキーや登山で使うようです。
自転車や原付では安全で良さそうなんですが、流行らないでしょうね。
銀行強盗も使ってたかもしれません。 -
kta より: 2023/01/17(火) 12:49 PM
バラクラバは変態と見做されるであろう行き過ぎたおしゃれな方をインスタで数回見たくらいな感じ。
フルフェイス着用不可なコンビニだったら通報されてもおかしくない。
とにかく話題に事欠くのが嫌なメディアは何かで見た印象深いものを仕掛けるつもりなのか、
第三者視点や評価なんかお構いなしに煽り続ける。
事象を捉えず偶像崇拝で、
バブルやDCブームの次を無理に探して業界を扇動し、
アパレル全体を失墜させたメディアの罪は重い。 -
とおりすがりのオッサン より: 2023/01/17(火) 2:20 PM
南さんがツイートしてから見ていたユニクロのダッフルコートですが、4,990円に値下げしてようやくブラウンは通販サイトでは全サイズ売り切れになりましたね。気の迷いで買うことが物理的にできなくなって良かったですw
ネイビーはまだLサイズだけ在庫がありました。(1/17現在)
しかし、12,900円が4,990円じゃ6割引で、ほとんど儲け出ていなさそうですね。
来シーズンはダッフルコートの扱い無くなっちゃいそうw
ホント商売は大変っすね・・・。 -
BOCONON より: 2023/01/17(火) 6:06 PM
↑ユニクロはなんでそれで社員の給料4割増しなんて無茶が出来るのか,めでたいような,いくらか気味が悪いような。どうせならなぜ生産者/生産国に還元しようとしないのか…って,するわきゃないか。販売員はセルフレジ導入で今後も減らせるだろうけれど,商品造る人はねえ ...
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BOCONON より: 2023/01/17(火) 6:36 PM
ところで,確かにスイーツ業界は毎年いろんなものを推し出しててきますね。最近だと私鉄の駅にフルーツサンド専門店とかね。なんでセブンイレブンにでも行けば昔からフツーに売っているものをヒットさせようなんて思うのか,いささか不可解な気がする。ちょっと前だと白たい焼きなんて「白いから何?」で,確かに不味くはないけどさあ。
まあ専門外みたいなものをどうこう言ってもしょうがないですが。タピオカなんてカエルの卵みた様な不気味な飲み物が大当たりしたりする世界だし。 -
BOCONON より: 2023/01/17(火) 6:56 PM
洋服の世界で言うと,どうも20年以上前イタリア推しを始めたあたりからおかしくなっていった気がする。ゲイでもないのにぴっちりスーツとか,”アズーロ・エ・マローネ” と称して「紺のスーツに茶色のネクタイが今はオシャレレなのだ」などと言い張ったりとか,どうみても日本人の好みに合わせる気がない有様。そもそも “アズーロ・エ・マローネ” というのは「空色のスーツにライトブルーのシャツ,焦げ茶色の無地ニットタイ」というのが本当で,日本でそんな色遣いしていたら頭のおかしい人にしか見えないから,無理があるにもほどがあるw
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BOCONON より: 2023/01/17(火) 7:35 PM
実際もう百貨店行ってもイタ物系ブランドは(アルマーニのように昔からあるブランド以外)全滅状態だ。と言ってもほかに特に業績の良さげなショップもない。僕は若い人のお洒落はトラッド系,それもイギリスものから入って基礎固めするのが良いと思っているので,まことに残念な事です。
もはやイギリスの王子たちもあの母親譲りの品のない顔つきと服のセンスの悪さだからどうにもならないですが。ここ数年しかしヒットした服もない事はない気がする。昔は冗談のネタ扱いだったファンつき作業着とか電熱ヴェストとか。バイクや自転車乗り用の電熱手袋とか。「僕は冬になるといつも足が冷たくてよく眠れなかったりするから,どこかで電熱靴とか靴下とか作ってくれないかなー」と思っていたら,それも既に商品化されているらしい。いい時代になったものだ…と言っても”服” と言って良いのやら。まだ高価だし。いづれ「ヒットを狙うならオシャレ服じゃなくて実用品だッ!」と思う。ワークマンは「虻蜂取らず」な感じがする,と以前書いたのはその事です。
個人的には今後伸びしろがあるのは自転車用ヘルメットだと思います。まもなく法的にも「努力義務」が課せられるけれど,競技用のあの「子供向け特撮ヒーロー番組の “悪いほう” の扮装じみた様なヘンなものを被らせられるのはイヤだ」と思う人は少なくあるまいと思う。あんなものなら,中田商店で日本軍の鉄カブト買ってかぶった方がましだ。野球帽風なヘルメットもあるけれど,何しろ選択肢が狭いし高価でもある。今のままじゃ,飽くまで「努力義務」なんだから「ニット帽でも野球帽でも何でもええやろ。何もかぶっていないよりは多少はマシだろうし」とどうしても思ってしまいます。
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BOCONON より: 2023/01/17(火) 8:04 PM
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長過ぐる輸入ものネクタイ
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TKC より: 2023/01/18(水) 10:20 AM
バラクラバは少しボリュームがある素材を首周りにクシュっとする事で、ネックウォーマー的に使うそうです。ですのでぱっと見はバラクラバと分からないそうです。
ネックウォーマーでいいんじゃないの?と思いますが、、
今年はスタンド襟ジャケットが良く、襟周りボリューム狙いだそうです、一方フードジャケットが不調と(千駄ヶ谷界隈談)
プチ売れ筋を追う時代でヒット商品って本当にないですね。昔、全然根拠の無いトレンド情報を流し続けると、企画会社経由で広がっていくかもしれないという仮定のもと、実験をした事が有りました。(全然トレンドじゃ無いのに「今年のAWはコーディロイ!」みたいな)
結果、2ヶ月後に「今年はコーディロイいいらしい」とブーメランが返ってきました。そしてそれに乗っかってコーディロイやった仕込んだところは撃沈していました。きちんと消費者に向き合っていても難しいのに、上部の情報だけでもの作っても売れるわけないですね。
今回のバラクラバトレンドの出所が知りたいですね〜 -
南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/01/18(水) 1:14 PM
B氏>チャリには日本陸軍鉄カブト
鉄カブトかぶって、子供のせ電チャリを漕ぎながら
警視庁の前を通り過ぎてみますかwww警視庁をおちょくってるのか?と思われるor
アタマがおかしい人と思われるかもしれんその筋の人ならシャレ乙か前衛芸術でやってる
ときっと分かってくれるであろうwバカ話はさておき、日よけの帽子に見える
ヘルメットをアパレル各社がやりそうですなぁ・・・UABEAMSあたりは
「このヘルメットをかぶって
お出かけしちゃいたくなる
バイクもはんばいちうw」という商売をやりそう・やりそう
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BOCONON より: 2023/01/18(水) 6:27 PM
Sieg Heil!
「踊りたくても、踊るカネがない~」が正直なところでは?
その点、SHEINの行列なんて良いものですよ
並ぶなんて1円もかからないからw
集団で盛り上がる機会がますます無くなってますな・・・
マリトッツォ、カヌレ、プヂンについては
私も名前は知っているけど、具体的にどういうお菓子か
イメージがさっぱり湧きません
いまの45歳以上だと誰でも具体的なイメージがわく
ティラミスと対象的です
着る物も同様で、名前を聞いても物のシルエットや姿かたち
がさっぱりわかない服飾品が多すぎて困ります
そのいっぽうで、ブランドネームに知名度があれば
商品名ではなく、そのネームを聞いただけで
機能性や姿かたちが思い浮かぶ人が多いのでは?
その点でもノースフェイスとワークマンは
独特の強みがある存在だと思います
・化繊のアウターかフリースだ
・実用的で耐久性がある
・わりに目立つ色か?
上記2社のネームを聞いただけで、
商品を見なくても、上記のイメージがすぐ
出てくる
意図していたかは分かりませんが
マーケティングとしては大成功でしょう