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南充浩 オフィシャルブログ

服の寿命や耐久性に規定はあるのか?という話【1】

2022年11月14日 考察 3

みなさんこんにちは!

USです。

 

先日ひょんな事がきっかけで、私が書いたブログのコメント欄に投稿を頂いている事に気が付きました。

今まで気付かずすみません。そしてコメントありがとうございます!

今回はそのコメント欄にあった疑問について書きたいと思います。

 

前回のブログでは『機能性衣料品を企画・販売する際に気を付けてほしいこと』という内容を投稿致しました(興味がある方はお時間がある時に読んで頂ければと思います)。

そちらのコメント欄に下記のような書き込みを頂戴しました。

 

 

『頻繁に着用すると寿命はどうも1年程度のようで,その割には少し高価な気がしないでもない。この「寿命」に関しては規定はないのだろうか?』

 

 

価格についてはさておき(価値観は人それぞれだと思いますので)、機能性や商品の「寿命」に関しての規定があるのか、ないのかという点においては各メーカーの品質基準はあっても法的な規定は殆どないです。

 

ただし、機能性の『はっ水性』のみ家庭用品品質表示法の第2条に規定があります。

 

 

4 この規程において「はっ水性」とは、繊維製品の表生地について、次の各号に掲げる試験を行った場合に、日本工業規格L一〇九二(繊維製品の防水性試験方法)の七・二に規定するはっ水度が、全ての試験片について二級以上である性質をいう。

一 同規格の六・二・一c)に規定するC法(家庭用電気洗濯機を用いる方法)による処理(以下「水洗い処理」という。)を三回繰り返した後、同規格の七・二に規定する方法により行う試験

二 同規格の六・二・二a)に規定するA法(パークロロエチレン法)によるドライクリーニング処理(以下「パークロロエチレン法ドライクリーニング処理」という。)を三回繰り返した後、同規格の七・二に規定する方法により行う試験

三 同規格の六・二・二b)に規定するB法(石油系法)によるドライクリーニング処理(以下「石油系法ドライクリーニング処理」という。)を三回繰り返した後、同規格の七・二に規定する方法により行う試験

 

消費者庁HPより引用

 

すごく読みづらいですが、要するに試験する生地を「洗濯処理3回処理後」、もしくは「ドライクリーニング3回処理後」したあとにJIS L 1092のはっ水度試験を行い、2級以上あれば『はっ水する』と表示ができる、ということになっています。

 

言い換えると『はっ水』表示をするには3回の洗濯やドライクリーニングの処理に耐えれないといけない、ということになっており、これがいわゆる『はっ水』の「寿命」規定というものなるではないか、と思います。

(洗濯かドライクリーニングの処理については取り扱い絵表示によります。)

 

その他の機能性については、各メーカーに委ねられている部分(各メーカーの品質基準)なので明確な決まりがないケースが多いです。

 

一般的な捉え方としては、

 

●繊維自体(原料)に機能があるものに関しては効果が持続しやすい

●逆に既に出来上がった生地に薬剤処理し機能性付与しているもの(いわゆる後加工)に関しては繰り返し洗濯(ドライクリーニングも含む)することで効果が薄れる

 

という認識がされており(例外も存在します)、後加工で機能性を付与している物は機能性を表示する上で繰り返し洗濯後のエビデンスも必要になってくるメーカーもあります。

※補足:機能性試験において耐久性に対しての繰り返し洗濯が求められるケースが多いのは、抗菌防臭や消臭の10回洗濯後くらいです。

 

この他に関しては特に寿命の規定はありません。

製品自体の寿命については、日本産業規格 JIS L0001(繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法)の概要に載っている洗濯表示の方法を見ると、耐久性に対しての考え方について参考になるような記載があります。

 

・ラベルは、少なくともラベルを付ける繊維製品と同程度の家庭洗濯処理及び商業クリーニング処理に耐え得る適切な素材で作成する。

・ラベル並びにラベルに印字した記号及び付記用語は、容易に読み取れる大きさとし、製品の耐用期間中は判読可能でなければならない。

・ラベルは、消費者が簡単に分かる箇所に見やすく、縫い目などに隠れず、かつ、しっかりと容易に取れない方法で繊維製品に取り付けなければならない。

消費者庁HPより引用

 

上記から『洗濯絵表示が判読できる間=耐用期間中である』ということではないかと考えられます。(これは個人的な意見です)

 

以上、消費者庁のHPから引用してつらつらと書いて参りましたがまとめると、

 

●はっ水性については、耐久性の規定がある

●その他の機能性については特にない。(メーカー次第)

●服自体の耐久性も特に規定はないが、洗濯表示が判読できる間は耐用年数だと考えることができる

 

ということです。

 

機能性の寿命や耐久性については、まだ少し書きたいことがあるので次回書くことにします。

また来月お目にかかりましょう!

以上USでした。

 

ツイッターもやっていますのでこちらもよろしくお願いします。

 

@SCYE333

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 comment
  • BOCONON より: 2022/11/14(月) 9:04 PM

    僕のコメントを拾ってくれてありがとう。しかし売る側がクールだのウォームだのさかんに言っている割に(別に US さんが悪いわけじゃないが)その効果の程度や耐久性については特に規定は「ないんかい!」ですね。さらに言えば「こんなもん,げんみつな法律上の規定がないなら要するに “言ったもん勝ち” やないけ 」という気もする。
    僕はそういうケミカルな効果は今ひとつ信用できない気がしていてあまり買わないからマァいいようなもんですが。統一教会その他の “洗脳” というのと同様。単に法が現実に追いついていない,というだけの話かも知れないし。

    以下どうでもいいような感想。
    ・僕はかのコメント欄で愚問を発していたのかも知れない。「耐久性」とひとくちに言ったってどの程度頻繁に着ているのかによるのは当たり前な話ですからね。僕みたいに――男でも――毎日下着を替え,カジュアルでも毎日帽子から靴まで違うもの(と言っても3,4パターンしかないけど)を着るのはフツーなのか,頭がおかしいのか,自分でも判然としない
    ・し。

  • BOCONON より: 2022/11/14(月) 10:00 PM

    ・「撥水性」という事について説明いただきましたが,これまたどうもよく分からないと思ったのは「”防水性” というのと “撥水性” というのと,どこが違うのか,厳密な定義があるのかね?」という事。
    いつもクルマ移動な人なら「傘なんてここ2,30年差したことがない」でしょうが,僕みたいにたいてい自転車移動の人間にとっては「”撥水性” の服なんてものに意味があるのかね? 霧雨の多い欧州ならともかく,僕が昔着ていた Eddie Bauer の撥水フィールドジャケットも,まぁそりゃ “雨がだだ漏れ” 状態じゃあなかったけど,さ。トレンチコートも日本では(防水ということなら)意味をなさないようなもんじゃねえの?」などと思ってしまう。

  • BOCONON より: 2022/11/15(火) 2:20 AM

    ・なんだか文句つけてばかりのようですが,この――

    > 洗濯表示が判読できる間は耐用年数だと考えることができる

    … というのはヒジョーに納得のいくお話ですね。僕は,気に入れば,同じ半袖シャツを10年くらいは平気で着たりする人間ですが,いくら「昭和風に言えば 《”着たきりスズメ”= 毎日おんなじ服ばかり》 なんて着方をしない限り,安い服でもそうそうすぐダメになったりはしねえもんだ」とは言え「こんなもん,ふつうの人ならとっくに捨てているなw」と思うような服というのは素材の表示や洗濯表示タグを見ればすぐ分かりますからね。

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