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南充浩 オフィシャルブログ

深謀遠慮には舌を巻く

2014年4月24日 未分類 0

 利益追求のためには不採算部門を切り捨てる必要があるし、そもそも不採算になると思われるようなことをすべきではないという結論に達する。

そうすると何の面白みもない店が出来上がることになる。

以前にも書いたが、アーバンリサーチの店づくりは必ず不採算に見える部分がある。
たとえばセンスオブプレイスには生花店が併設されている。
グランフロント店は業務用冷蔵庫付きの本格的な生花店である。

フリーマンズスポーティングクラブには理髪店が併設されている。
美容室やサロン、カットハウスではなく本格的な理髪店である。

一見すると何の意味もないと感じてしまうが、生花店がないセンスオブプレイスはどうだろうか?
単にユニクロより1000~3000円高いトレンド系洋服SPA系ブランドである。

生花店があることで、そうではない「提案型ショップ」に見える。
理髪店もしかりだろう。理髪店がなければ単なるトラッドカジュアル系メンズブランドである。

これらがあるがために「アーバンリサーチはいつも面白いことをやるよね」という評判が立つ。

でも利益追求の観点からするとこれらの併設はおよそ効率的ではない。
そういう理由でこういうことをやらないブランドは数多くある。

先日、雑談した中でこの取り組みに対して「広告費」の観点から有益な示唆をいただいた。

広告費という観点でいうと、たとえばそれらのコーナーの併設のために1000万円がかかったとしよう。
雑誌広告を数回出稿するとだいたい1000万円である。
10年くらい前なら雑誌広告を掲載すると、如実に売り上げが増えた。
とくにメンズ系ブランドで多かった手法は、雑誌とタイアップした別注品の掲載である。
以前だと掲載する雑誌によっては500枚が完売したこともあった。今はどうだろうか?そういう手法も誌面であまり拝見することがないし、広告代理店からもそういう企画が当たったとは耳にしない。

雑誌への広告掲載効果はこの10年で低下したのではないかと感じている。

現在の状況でいうなら多くの雑誌広告は掲載しただけのものとなっている。
数回掲載して1000万円の費用がかかってもそこからのリターンはあまり期待できない。

それを踏まえて業界の先輩はこう指摘された。

生花店や理髪店は微々たる額かもしれないが日々売上高がある。と。

生花店なら単価は数百円から3000円くらいだろう。
理髪店なら単価は数千円だろうか。

となると、生花店なら1日当たり少なくとも2~3万円の売上高がある。
理髪店なら数万円程度だろうか。

これが30日稼働したとして、生花店なら60~90万円、理髪店なら100万円以上となる。
1年間では生花店が720万円以上、理髪店は1200万円以上となる。

ざっと計算すると1年で設置費用は回収できるということになる。
そこで働くスタッフの人件費も発生するからことはこれほど単純ではないが、少なくとも1000万円で無反応の広告を出稿するよりは、社に売上高をもたらすともいえる。

そしてこういうコーナーを併設することで新規性・珍奇性からマスコミが取材をし、記事に掲載されるのだから、広告塔としての側面もある。

その先輩は、広告費として見た場合、雑誌広告を出稿するよりもよほど効率的だと指摘したわけである。

こう説明されると納得であり、一見非効率と見えた取り組みが、広告という観点で見ると効率的だったともいえる。

アーバンリサーチが以上のことを意図的に取り組んでいたとしたなら、その深謀遠慮には舌を巻くほかない。

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