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南充浩 オフィシャルブログ

従来型アパレルの影響力はますます弱まる

2014年4月23日 未分類 0

 最近、自社で雑誌風の紙媒体を発行する企業が増えたと感じる。
以前だと雑誌は出版社にしか作れなかったが、昨今はそうではない。

以前にも書いたが、多くの雑誌は出版社の下請けである編集プロダクションが作成している。
他業種の企業が正当な代金を払えば、編集プロダクションが雑誌風の読み物媒体を作成してくれる。

また出版社での業務経験や編集プロダクションでの業務経験があるフリー編集者、フリーライター、フリーカメラマン、フリーレイアウトデザイナーなどは掃いて捨てるほどいるから、そういう人々を個別に集めても雑誌風の媒体を作ることは可能だ。

そして印刷・製本会社も以前なら忙しくて少部数の仕事は受けてくれなかったが、紙媒体が減少している昨今は少部数の案件でも積極的に受けてくれる。

メディア関連ではない企業が雑誌風媒体を比較的容易に作成できるのはこういう背景がある。

そんなことをつらつらと考えていたが、この構図はアパレル業界に似ているのではないかと思った。

以前ならアパレル企業以外が洋服を作ることは難しかったが、今なら、OEM事務所やODM事務所を使えば、簡単に洋服を作ることができる。
またフリーランスのデザイナー、パタンナーなども掃いて捨てるほど存在する。

国内縫製工場も受注の減少から昔では考えられなかったほどの小ロットでも受けてくれる。
中国の縫製工場だってずいぶんと小ロット対応の工場が増えた。

こうして見ると、相似形であるといえる。

こと衣料品に関していうと、原料メーカーを押さえ、小売業を押さえるならアパレルメーカーは要らないということになる。
なぜなら、小売業自体が大手になればなるほど自社で商品政策を計画しており、それに適した商品を作ってくれる縫製工場はある。
間に入ってOEM・ODM企業が企画とハンドリングと生産管理を行えば商品ができて、小売店の店頭に並ぶ。

原料メーカーは生地が売れればどこに売っても良いわけである。

こうなると、卸売り型のアパレルメーカーの存在価値は大きく薄れてしまう。
小規模小売店はまだまだあるので、そこに向けて卸売りを行うアパレルメーカーの存在意義はそれなりにあるが、以前ほどではないということである。

知人と新しい構想を練ってみた。
企画ラフ案を原料メーカー、製造系アパレルメーカー、流通に投げてみたところ、原料メーカーと流通からは「原則賛同」の声が挙がったが、製造系アパレルメーカーからの反応は鈍い。

どうしたものかと考えてみたが、だったらそこにOEM/ODM企業を噛ませれば商品は生産できるということに改めて気が付いた。
流通業が賛同している時点で販売チャネルは確保できているのである。

自分でそれを亜体験してみたとき、アパレルメーカーの力がどんどん弱まっている理由を再認識できた。

月並みなようだが、アパレルメーカーはよほどの意識改革をしないとますます影響力は弱まるばかりではないかと思えてならない。

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