
国内ユニクロの不振は商品のネタ切れ&マンネリによるところも大きいのではないか
2022年4月5日 ユニクロ 2
2022年3月度の月次速報がある程度出そろった。
身の周りの体感的なことでいうと、3月中旬から下旬にかけてマンボウが解除された。この前後から如実に都心の人通りが増えたと感じている。
2月末の時点では梅田都心商業施設もガラガラだったが3月に入るとある程度の入店が回復している。
気温面では、関西では3月10日くらいからいきなり気温が上がり、中旬から下旬にかけては気温が下がった。今年3月の全体気温については体感的には平均的か少し高いくらいではないかと思う。
2011年3月11日には東日本大震災が起きたが、あの日、運悪く東京にいた当方は、その夜、歩いて知り合いの事務所まで行ってそこで宿泊させてもらった。今でも鮮明に記憶しているが、寒くてダウンジャケットを着て夜道を歩いていた。
今年の3月11日は11年前とは比べ物にならないほど暖かく、当方はダウンジャケットなど着ていなかった。
とすると、地域によっても異なる部分はあるだろうが、関西都心や関東都心は少なくとも平均的な気温で、取り立てて言うほどの低気温ではなかったと考えられる。(北陸・東北・北海道は寒かったようだが)
で、この辺りの状況を念頭に置いてまとめ記事を見てみよう。
https://www.wwdjapan.com/articles/1348368
ユニクロの不調が際立っている。
好調が続くしまむらの「ファッションセンターしまむら」は、売上高の前年同期比(同社は2月21日〜3月20日での比較)が2.9%増。前年3月が同24.6%増と大幅に伸ばしていたところからさらに伸ばした。22年2月期の通期でも既存店売上高は同7.1%増。「話題性のある商品の拡充による客数増加や、コーディネート提案強化での買い上げ点数増加が寄与した」と、4日に行われた22年2月期決算会見で鈴木誠社長は話した。
アダストリアは前年同月比8.5%増。客数が同2.2%増、客単価が同6.1%増と伸長した。コロナ禍前の19年3月の数値にも近づいてきている。「自社EC『ドットエスティ(.ST)』のテレビCM放映などが奏功した」という。
一方、苦戦が目立つのがユニクロだ。国内店舗とECの売上高は同10.7%減。これで8カ月連続の前年実績割れとなった。前年3月は復活2シーズン目の「+J」の発売月だったこともあり、前々年同月比40.2%増と大きく伸ばしていたことの反動もある。
ついでにいうと無印良品も不調が続いている。
良品計画の「無印良品」の直営店とECの売上高は同10.0%減。衣服雑貨は同19.3%減、生活雑貨は同5.0%減、食品は同9.8%減という内訳だった。
で、ユニクロの今回のコメントを見てみよう。
「気温が低かったことに加え、話題性のある商品に欠けていた」(広報担当者)ことが引き続きの苦戦要因と見る。
とのことだが、「気温が低かった」という気温要因は相変わらずの他力本願で無責任に過ぎる。なぜなら、都心の気温は際立って低いというわけではなかったし、しまむらは同じ気温状況で伸びているし、アダストリアも善戦している。ユニクロの出店地域だけが異様に低気温だったわけではあるまい。
最近のユニクロの月次コメントはテキトーでエー加減すぎる。これを放置し続けている柳井正氏の姿勢はいかがなものかと疑問に感じる。特に昨年12月以降のコメントは錯乱していると感じる。
〇12月は、4週目まで気温が高く推移したことから、防寒衣料の販売に苦戦しました。 最終週は気温の低下に加え、年末祭が好調だったことで増収となりましたが、月全体では減収となりました。
〇1月は、防寒衣料の在庫の過少や、セール時期での売り込みが不十分だったこと、 入庫遅延の影響で春物商品の立ち上げが遅れたことにより、既存店売上高は減収となりました。
〇2月は、月を通して気温が低かった影響により、春物商品の立ち上がりに苦戦し、既存店売上高は減収となりました。
である。
そして、繰り返すが3月は
〇3月は、気温が低かった影響で春物商品の販売に苦戦したこと、ニュース性のある商品が不足したことで、既存店売上高は減収となりました。
である。12月以降、ずっと「不振は気温要因」としか言っていない。しかし、しまむらやワークマンなどが好調に伸びているのなら気温要因は関係ない。
12月と1月のコメントは論理的に矛盾があるということは以前にも書いたので今回は繰り返さない。
で、今回の3月の気温要因は言い訳とすれば苦しすぎる。
逆に「ニュース性のある 商品が不足した」というコメントは、ユニクロの現状を素直に告白しているといえる。
今春物から品番を絞って値上げを開始したユニクロだが、売り場を見ると全体的には「高くなった」とはあまり感じられない。(品番によっては高くなったと分かる物もある)
当方が最も感じるのはネタ切れ感、手詰まり感である。
ユニクロが伸びてきた要因はいくつもあるが、その中の一つに高機能・低価格というものがあると思っている。しかし、ユニクロは5年くらい前からそういうイノベーション商品が生まれていない。
古くはフリース、ヒートテックを皮切りにウルトラライトダウン、エアリズムとイノベーション商品を生み出してきたが、5年くらい前からその手の新商品は全く出ていない。
その後、デザイナーズコラボを大きく伸ばしたが、昨年秋のホワイトマウンテニアリングのダダ余り現象、同シーズンの+Jの定価での余り具合を見ていると、得意としてきたデザイナーズコラボですらピークを過ぎたと感じさせられる。
おまけに昨年春物は前々年春物の焼き直し&持越し商品で新鮮味ゼロ、22年春物を店頭で見ると、持越しはほとんどないものの、定番的・ありきたり商品ばかりで同じく新鮮味がない。
22年春夏はデニムトレンドというニュースがあったからだろうか、メンズでは異様にデニム推しをしているが、今の国内メンズはデニムにそこまで思い入れがない。特に40歳未満の世代はデニムに対しての思い入れがほとんどない。
この状況でメンズでデニムを推してもそれは売れない。
ユニクロの場合は企画開始は1年前と言われている。そのため、市場の動向に対して小刻みに対応することは難しい。また生産も少なくとも半年くらい前から始動しており、こちらも小刻みな対応が難しい。
これまでは1年前の決め打ち企画がヒットを連発してきたが、昨年春物くらいからその決め打ち企画が逆に弱点になっていると感じる。
何より、機能的にもファッション的にも新しいアイデアが思いつかなくなっていると感じられ、国内ユニクロの苦戦はこれから当分は続くと考えられる。
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BOCONON より: 2022/04/09(土) 6:28 PM
今年になって僕は売れ残って安くなっていた無印良品のベージュのダッフルコートがダッフルコートにしては非常に軽くて着やすいので1着買いました。でも試着した時はびっくりしたな。サイズ表示が L になっているものがどう見ても LL かそれ以上のゆとりがあったから。S~M ってサイズでも大きめで丈も長かったけれど「コートならまあ “これはこういうデザインなんだ” で済むからいいか」で許容範囲って事にしました。しかし無印良品も表示なしで極度の細身シャツを売るのをやめたと思ったら今度はこんな塩梅で「どうも極端から極端に走るもんだ。それは仕方ないとしても,なんでオーバーサイズって分かるようにどっかに書いておかないんだか」と思いました。
ユニクロも最近これと似たところがありますね。ユニクロはオーバーサイズはオーバーサイズと断った上で売っているから罪はまだ軽いと思いますが,根本的に疑問なのは「アパレル業界は全体にオーバーサイズを推している場合が多いけれど,こんなものを本当に流行らそう,あるいはきっと流行ると思っているのだろうか?」という事であります。僕もオーバーサイズについては懐疑的な見方をしている事は去年から書いていますが,実際のところオーバーサイズ服なんぞを得意げに着ている男なんて東京でも僕の行動範囲ではあまり見たことがない。
・・・いやまあ,女の子なら時々いましたけどね。白いウサギじみた大きなフリースジャケットに黒スキニーの娘とか。女の子なら可愛く見えないでもないのです。しかし「ウサギ系男子が可愛くで大好き!」なんて奇怪な趣味の女子がそんなにいるのだろうか? 僕は甚だ疑問に思うものです。実際この冬のユニクロの +J のオーバーサイズパーカやステンカラーコートはあちこちで大量に売れ残ってましたしね。
ホワイトマウンテニアリングも(一般的な知名度のなさなどは措くとしても)なんでアウトドアブランドとコラボしてオーバーサイズのダウンジャケットなんて売ろうとしたのやら僕には不明ですね。モノは悪くはないし,折角今風の街着向きな薄手のモコモコしないダウンジャケットなのにあれではぶち壊しで,少なくともオジサンは着たがらないようなでれっとしたサイズ感ではある。フツーにすればあんなに売れ残る事もなかっただろうに。
まあこの人はこれで満足しているようですが,敢えて言えば僕には何だか変質者みたいにしか見えない。
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https://www.webuomo.jp/fashion/191902/あるいはもう「おっさんはあんまり洋服買わないからもう相手にしない」って事なのだろうか。でもそれじゃ全体に売り上げは落ちるに決まってますわな。
どうも僕はユニクロに限らず”北の将軍様的セットアップ” だの “男女兼用服” だの “オーバーサイズ・ビッグシルエット” だの,アパレル業界全体が迷走気味であるように見えて仕方がない。それとも僕の方がヘンで,そのうちオーバーサイズのTシャツだのパーカなど着た中年男や爺様も珍しくなくなって行くのだろうか? そうだとしたらそれはそれでイヤだな。
20代前半まで1枚のレコードを求めて、何回も都内の輸入盤屋を巡った。そんな時間と金の無駄遣いの購買動機は次の3点かなと考える。
1 必要性(買う必要がある)
2 運命性(買う運命にある)
3 飢餓感(今買わないと)
音楽アーティストのツアーグッズが近い感覚なのではないか?
ある意味 既得権益の分野で プリントTが3000円代で売られている。
UT 1500円 毎月替わり音楽アーティスト企画はどうだろう?
コラボ済の星野源や作家の村上春樹では訴求力が弱い。
Bz ミスチル ドリカム サザン ユーミン マキシムザホルモン
などとのコラボが実現すれば 集客が見込めるのでは?
矢沢永吉(E YAZAWA)なんかメチャクチャ売れそう!
ガンダムも良いかも?