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南充浩 オフィシャルブログ

スウォッチやナイキのスニーカーと比べてもガンプラの品薄状態が異常だと感じた話

2022年3月29日 トレンド 0

バブル期から90年代前半くらいに国内ではスウォッチという腕時計が流行った。

当方も親戚か家族のだれかからプレゼントでもらって1本だけ持っていたが、個人的には腕時計に全く興味はない。

世間でいうところの高級ブランド腕時計は一体何が良いのかさっぱりわからない。リセールする時に価値があるからという説も聞くが、転売を前提にわざわざ高値を払って腕時計を購入する意味がさっぱりわからない。いざというときにリセールするために買うくらいならそのカネを貯めておけよと思ってしまう。

長らくスマホの時刻表示で暮らしてきたが、在庫処分店の店頭で販売を手伝うようになった2014年から腕時計を再度使うようになった。今、使っているのは、9000円くらいに値下がりしたカシオの太陽電池Gショックと太陽電池電波腕時計である。

で、スウォッチはその後、全くと言っていいほどブームは廃れてしまった。

そんなスウォッチのニュースを3月26日の土曜日にネットで見かけるとは思いもよらなかった。

スウォッチとオメガのコラボ腕時計が一旦販売中止になったというニュースである。

 

転売ヤー対策に余計な労力と費用が投入される時代 | 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)

 

前回のブログの内容である。

熱心なファン+転売ヤーが大行列を作って、警察が出動する事態となってしまった。

 

最近は「限定品」「コラボ品」は必ずと言っていいほど、この手の騒ぎが起きる。転売ヤーにその原因の多くがあると言っても過言ではないだろう。

スニーカーでは以前から主にナイキの一部のモデルは高値で転売されていたことは、この手の流行に疎い当方でも何となく聞きかじっていた。

スニーカーバブルと呼ばれる時代が長らく続いていて、最近はそれが崩壊しそうな気配もあるが、限定品・コラボ品には根強い人気がある。

スニーカーの転売については国内ばかりでなくアメリカでも同様で、ナイキの副社長が辞任するという事件も昨年3月には起きている。

 

で、今回のスウォッチ、以前からのナイキのスニーカーと比べても「ガンプラ」の品薄状態は異常だと強く感じる。

そう。今回は単に当方がガンプラについての感想を垂れ流す内容である。申し訳ない。

以前にもガンプラ転売問題を書いた。

 

問屋や小売店が商品を高額転売することは商道徳にもとるのではないかと思った話 | 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)

 

という回である。

なぜ、改めて「異常」と感じたかというと、スウォッチにしろ、ナイキのスニーカーにしろ、転売ヤーが群がるのは特定の品番だけである。

今回のスウォッチとオメガのコラボ時計とか、ナイキだと〇〇とコラボスニーカーとか復刻版とか限定品とか、そういう商品にはニュースの通りに転売ヤーが群がる。

しかし、スウォッチもナイキのスニーカーも通常商品は店で買える。スウォッチ心斎橋店に行けば並んでいるし、Amazonでも買える。ナイキの普通のスニーカーならABCマートへ行けば、4990円とか5990円に値引きされて並んでいる。

だが、ガンプラは異なる。

2月からジワジワと入荷商品は増えているが、ヨドバシカメラ梅田店以外は相変わらず品薄が続いている。今年1月末ぐらいまでは、大型家電量販店のガンプラの棚ガラガラになっていた。

以前のブログにも書いたが、144分の1サイズのハイグレード(HG)、100分の1サイズのマスターグレード(MG)、144分の1サイズのリアルグレード(RG)の3種類を合わせると、500種類を越える品番がある。

この膨大な品番数のすべてが売り切れて入荷しない状態というのは、極めて異常だといえる。ガンプラの中には、当然、やられ役の雑魚メカもラインナップされているが、それですら品切れになっている。誰でも知っていて人気のあるザクならまだ分かるが、ボールとかグレイズとかティエレンとかそんなマイナーな雑魚メカでさえ売り切れている。

言ってみれば、ナイキのスニーカーの全品番が売り切れているという状態である。

そんな買い占め方が個人の転売ヤーが集まったところで可能なのだろうか?もちろん、中には辞任したナイキの副社長の息子のように親のビジネスカードを無尽蔵に使えるような人間もいるだろうが、そんな人間は数少ない。法人が多数関わっていないと不可能なのではないだろうか。

 

2月に鉄箱社(仮名)という、問屋なのか小売店なのかわかりにく業者が多数のAmazonアカウントを使って高値転売していたことが報告されたが、同様のことをやっている法人はまだまだ多数あるのではないかと思えてならない。

 

今ではだいぶ減ったが、ガンプラ転売を擁護するアホな人間も多数いた。

しかし、ナイキの限定品やスウォッチのコラボ品を転売しているのではなく、ガンプラが根こそぎ無くなっているわけで、これを放置しておくことには、バンダイはかなり危機感を持っているのではないかと思う。

なぜなら、この状況を「資本主義だから」と言って放置しておくと、ガンプラユーザー数は今以上にはほとんど増えないからだ。

どんなに売れる商品でも今の顧客はいつか必ず絶対に死ぬ。今のガンプラユーザーだって全員いつかは必ず死に絶える。

その時のために、常に新しい次の世代の顧客を獲得していかねばならない。これはガンプラに限らず全ての商品、ブランドについて通じることである。

店頭には無くて、ネットには定価の3倍とか5倍の値段で高値転売されているという状況では次世代のユーザーたる子供たちが参入できない。仮に自分が親ならそんな物を子供には買い与えないし、自分が子供ならそんなめんどくさい商品をわざわざ今からやってみたいとは思わない。

今の中高年のガンプラユーザーは後40年もすればほとんどがこの世から去っている。

そうなると、次世代ユーザーを獲得できない場合は需要が激減してしまうことになる。ガンプラなんてジャンルがそんな長続きするのかと思われる方もいるかもしれないが、ガンプラブームが始まってから早40年強が過ぎているから、40年後も商品は継続している可能性がある。

メーカー側としては今の状況に危機感を覚えているだろう。だからこそ、取引先への「高値転売」「海外への並行輸出」を固く禁じるという異例の声明を発表したのではないか。

 

スウォッチなんていう長らく忘れ去られたような腕時計ブランドでさえ、オメガとのコラボ商品にはこれだけの転売ヤーが群がるというニュースを見て、改めてコロナ禍が始まって以降のガンプラ品薄状態の異常さと転売ヤーの浅ましさに思いをはせた次第である。

 

 

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