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南充浩 オフィシャルブログ

問屋や小売店が商品を高額転売することは商道徳にもとるのではないかと思った話

2022年3月8日 ネット通販 0

今回は全く繊維・衣料品とは関係のない話である。

まあ、自己満足で書いているに過ぎないので、お読みいただかなくても何の問題もない。

以前からガンダムのプラモデルの品薄状態について言及してきた。8年半前に離婚してから、俗に「家族サービス」と呼ばれることをしなくて済むようになったので、1か月間に何時間か空き時間ができるようになった。そこでガンダムのプラモデルに再度手を出すことになった。

ハイグレード(HG)と呼ばれる144分の1モデルはだいたい価格が700~3000円未満という価格で、近年の新商品は値上がりしているが、8年半前だと主力価格帯は1500円くらいだった。

1か月に1つ作っても、1500円内外で済むのだから、貧乏人の手すさびとしては低コストだといえる。

本格的にやろうと思えばそれこそ際限なく金が必要になるが、普通にそのまま組み立てるだけの素組でよければ1500円くらいで支払いは終わる。合わせ目消しでヤスリをかけてもヤスリ代の数百円プラスで済む。

当方はもちろん、素組で、多少ヤスリをかける程度から再開した。今では少し部分塗装をしたり、墨入れを施したりするが、全面塗装や大幅な改造はやらない。際限なく金が必要になるからだ。

HGの上の100分の1マスターグレード(MG)と呼ばれる商品はだいたい3000~1万円くらいで、中心価格帯は4000~5000円くらいで、こちらもがんばれば年に何個か買える。

おまけに8年半前というのはガンプラ人気はそこまで高くなかったため、家電量販店で20%オフ、Amazonなら25~40%オフも珍しくなかった。5000円のMGでさえ2800円くらいにまで値下がりしている物がざらにあった。

 

ムードが変わり始めたのは2020年3月下旬ごろからだ。

コロナ禍が始まり、自宅でできる趣味としての需要が増えたのだろう。まずAmazonでの大幅値引き商品がなくなりほぼ定価になった。近所のジョーシンでも新商品の売り切れるスピードが速くなった。

これは40年ぶりにガンプラ人気が再燃か?と思っていたが、それ以降は40年前のガンプラブーム以上のひどさになった。

酷さが極まり始めたのが2020年の秋口である。もうこのころにはAmazonではガンプラの各商品は軒並み定価の1.5倍~2倍の値段になっている。

その後、状況は悪化するばかりで、2021年になるとジョーシンやビックカメラ、ヨドバシカメラといった大型家電量販店でさえ、ガンプラの売り場が売り切れたまま入荷せずどんどん縮小する一方になった。40年前のガンプラブームを越えている。

近所のジョーシンの顔なじみの店員に尋ねてみると、入荷が毎回数個レベルしかないという。

いやはや大変な時代になった。

これまでも人気機種や限定生産品が高値で取引されることはあった。しかし、いわゆる量産機の雑魚メカでさえ品切れになり、定価を越える値段で転売されるようになる時代が来るとは2021年まで思いもよらなかった。

 

そう、この事態は転売ヤーが作り出したとされている。

インターネットの普及によるCtoCはメリットももたらしたが、ガンプラに限らず悪質な転売が増えたというデメリットももたらした。そしてその手軽さゆえに悪質転売ヤーを大量生産してしまったともいえる。

洋服やスニーカーでの高額転売は前からあった。

しかし、洋服やスニーカーでは転売の対象になるブランドは元々が生産数量が少なかったり、限定生産品にほぼ限られていた。

洋服を例に出すと、現在、洋服ブランドで1型1万枚を製造できるブランドは大手にほぼ限られている。大手というのはユニクロやジーユー、しまむら、無印良品などのようなブランドで、特別な商品を除くと転売・古着市場ではほとんど価値がないとされている。

転売・古着市場で人気のあるブランドは、生産数量が少ない。1型1000枚とかその程度である。となると、転売ヤーが1000人いれば1枚ずつ買い占めることは理論上可能である。

しかもそれを扱っている店舗数も少ない。全国に1店舗ずつあっても47店舗しかないから、各店舗の近隣の転売ヤーが数枚ずつ買い占めるということも可能だし、ネット通販でもそういう自動買い付けBOTみたいなのを使うと何十グループかで買い占めることは可能である。

だが、ガンプラはそんな1型1000個程度の製造量ではない。また、ガンプラの種類もHGとMG、それからリアルグレード(RG)を合わせると500種類以上ある。

それを全て買いつくして大型家電量販店の棚が空になるほど、転売ヤーが集まったところで買い占められるものだろうか?という疑問を、2021年半ばごろから抱く人が多くなった。

 

2022年になって、ある問屋が商品を小売店に流さずに自社でAmazon上で高額転売しているのではないか?という指摘がなされた。

これに対してその「問屋」は「当社は小売だ(自称)」とこの部分に異様に固執する謎の釈明文を発表したのだが、その釈明文の中で「当社は小売だが、複数のアカウントを使いAmazonなどで高額転売していた」とあっさりと認めてしまっており、外野としてはその見識のズレに首を傾げざるを得ないという事件が起きた。

消費者としての立場でいえば、小売店か問屋かということはあまり問題ではなく、小売店にせよ問屋にせよ業者が転売をしていれば、当然消費者の手には届かなくなる。

昨年夏ごろから転売ヤーを擁護する人たちが一部に湧いていたが、彼らの言い分は「努力して買え」というものだったが、発売日よりも何日も前に入手できる問屋なり小売店が、そのまま高額転売をしていれば、消費者はいくら努力しても買うことはできない。擁護勢の頭は大丈夫だろうか。

そして、ついにバンダイが正式に声明を発表した。

 

BANDAI SPIRITS、流通業者にガンプラ高額販売の是正要求 改善ない場合は取引中止も 詳細を聞いた(1/3 ページ) – ねとらぼ (itmedia.co.jp)

 

ここで言及されているが、バンダイの声明には

「一部流通業者において『不当な高価格での販売』がされている状況」は確認していると説明。加えて、「業者による海外向けの並行輸出も認めていない」

とある。

当方もこれを読んで驚いた。

上場企業であるバンダイがここまで強い口調で指摘をするということは相当の裏付けがあるということになる。そうでないとバンダイが独占禁止法に抵触してしまう。

そして、問屋や小売店といった業者が高額転売しているばかりでなく、海外へ並行輸出しているというのだから、驚愕である。消費者がいくら努力しても買えるはずもなく、大型家電量販店にすら入荷されないはずである。

ガンプラみたいに種類が多く、そのどれもが何万個も大量生産されている商品が全種類売り場から消えるというのは、個人転売ヤーが集まったところで不可能であり、問屋や小売店という業者が多数介入していたからだということになる。

 

人気スニーカーの高額転売も最早投機的な対象になっており、純粋なスニーカー人気には翳りが出始めていると言われている。

残念ながら洋服の場合は、そこまでマス層をターゲットとした高額転売品は存在せず投機の対象としても話題にもならないが、問屋や小売店がその地位の優位性を乱用するような高額転売・並行輸出は自由競争の枠を大きく外れ、商道徳に著しくもとるといえるのではないか。

何事にもメリットとデメリットは表裏一体で存在するが、メルカリやヤフオクというフリマアプリの隆盛やインターネット通販の普及が、問屋や小売店という業者に商道徳を踏み外させやすくさせるというデメリットも生み出してしまった。

インターネットを使った業者による高額転売には、今後何らかの規制を設ける必要があると当方は思っている。

 

2倍くらいの価格で高額転売されているHGUCのクスィーガンダムをどうぞ~

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