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南充浩 オフィシャルブログ

評価が高いうちに

2014年2月14日 未分類 0

 先日、あるブランドの企画担当者と雑談をしていて「色落ちしないデニム」という要望があるのではないかという話になった。

以前から考え続けているがその要望は大いにあると感じている。
とくにソファー地としてデニムを使用したいというインテリアブランドは多いが、摩擦による色落ちや色移りがあるため、デニム生地をよく知るブランドは、ほぼ色落ちの心配がなくなるまで洗いこんで淡色になったデニム生地を使用する。

一方、デニム生地をよく知らないブランドは「色落ち、色移りはあるけど見た目カッコイイだろ?」という感じでワンウォッシュやノンウォッシュの濃紺のデニム生地を使用する。

どちらが正しくてどちらが間違っているということはない。
さまざまなリスクを聴いた上で、購入者が判断すれば良いわけである。

しかしである。
色落ち・色移りしない(しにくい)濃紺のデニム生地が開発できればそれで良いのではないかとも思う。

デニム生地は、まず経糸をインディゴ染料でロープ染色する。
その際、糸の中心部分は白いまま残される。芯白という状態である。
糸は中心部分が白く、その周りはインディゴで染められているため、摩擦によって表面が削れると芯の白い部分が浮き出てくる。平たく言うとこれがデニムの色落ちである。

なら、糸の中心部分まで染めればどうだろう?
インディゴ染料では染まらないなら、染料を変えてみてはどうだろうか?
また、経糸の芯の部分を重点的に染めてみてはどうだろうか?
デニム生地の中には、芯の部分を違う色で染めることによって、色落ちするとほかの色が出てくるというものもある。たとえば芯を赤で染めれば、色落ちすると赤色が浮き出てくる。

しかし、これらの提案に対して「それがデニム生地と呼べるのか?」という指摘が常になされる。
デニム生地をよく知る業者であればあるほどその傾向は強いように感じる。
実は筆者もそういう疑問を感じる。

けれども国内デニム生地メーカーが二の足を踏んでいる間に海外のデニム生地メーカーからそれが発売されるのではないかという危惧が筆者にはある。
「デニム生地」と呼ぶのに抵抗があるなら「ニューデニム生地」とか「ネオデニム生地」とでも名乗って大々的に打ち出すのではないか。

それが開発できればソファー地、スリッパ、ランチョンマットなどのインテリア用途に加えて、ホテルマンや販売員などのオフィス・販売系の制服需要も取り込めるのではないか。

で、先ほどの企画担当者の話に戻ると、「デニム生地産地以外の染色工場や織布メーカーと取り組んだ方が早いのではないか」という仮説に至った。

世の中のどんな業種でもそうだが、その道の専門家ほど、基本に忠実である。
それが故に専門家なのだが、基本に忠実すぎて応用ができない場合がある。
着物の専門業者が着物をリメイクして洋服に仕立てても柄行きやデザインがどこか着物チックになりすぎる。
着物を全然知らない人間がリメイクした方が、より洋服らしい雰囲気になる。

それと同じようなことは他分野でもよくある。

なので先ほどの企画担当者の仮説は大いに賛同できる部分がある。

日本製デニム生地の評価が高いならなおさら「ニューデニム」(仮名)の開発の先鞭は日本生地メーカーが付けるべきではないか。
評価の低い業者が開発すれば「偽物」「紛い物」と呼ばれる危険性が高いが、評価の高い業者が開発すれば「進化」とか「革新的」と評価されることが多い。

なら、「ニューデニム」(仮名)は生産量の多寡はともかくとして、品質においては評価の高い日本のデニム生地メーカー各社が取り組むのが理想的だと思えてならないのだが。

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