MENU

南充浩 オフィシャルブログ

ヴィアバスストップが全店閉店へ 

2021年2月8日 企業研究 1

本当は違う内容を考えていたのだが、今回は続報をお届けしようと思う。

話題性のあるニュースだからご存知の方も多いと思うが、意外に見落としているという方も世の中にはおられる。

また、ほとんどいないがこのブログだけしかあんまり目を通していないという方もおられる。

 

セレクトショップ「ヴィア バス ストップ」が2月中に全店舗閉店へ (fashionsnap.com)

 

2月14日にハービスPLAZA ENT店、福岡川端店、三井アウトレットパーク 木更津店の3店舗を、2月20日に代官山の路面店「ヴィア バス ストップ ミュージアム」を閉店する。

 

というわけで完全にヴィアバスストップは消える。

少し前に書いたのがこちらである。

 

ヴィアバスストップの衰退でますます「消えゆく90年代」を痛感した話 – 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)

 

この時点でヴィアバスストップは近々すべての店を閉めるのではないかと予測したが、全店閉店のタイミングは思ったよりも早かった。

どうして近々全店閉店だと予測したかというと、この段階で、ネット通販を閉鎖していたからだ。

 

実店舗を全店閉鎖しても、また復活するつもりがあるなら、ネット通販はそのまま残す。また、実店舗売上高が激減してネット通販専用ブランドとして存続するという場合もある。

事業存続をする気があるなら、告知も兼ねてネットは残すのが普通である。真っ先にネットをやめたということは、もう事業そのものをやる気がないということである。

フォーエバー21だって、中国撤退の際、ネット通販も閉じてしまったし、日本でも同様だ。

 

ネットは自社で発信告知ができる場だから、これを閉じるということは事業継続の場合あり得ない。

もっとも、ネットはリニューアルする場合がある。その場合は閉じざるを得ないが、それでも「リニューアル中です」という告知はする。

 

1月7日に東京ミッドタウン店、12日に梅田大丸店、24日に渋谷PARCO店、31日に新宿高島屋店とJR名古屋高島屋店、オンラインストアの営業を終了するなど閉店が相次いでいた。

 

という状況だった。

 

ヴィアバスストップは94年スタートだから、26年で消滅することになる。ブランドの寿命は通常、20~30年間とされており、ヴィアバスストップもその例に漏れなかったということになる。

外野たる当方からすると、ヴィアバスストップの足跡を記憶でたどると、

94~2005年くらいまでが絶頂期で、ファッション雑誌への露出が物凄かった。メンズノンノは毎号ヴィアバスを一体どれほど掲載するのかと呆れるほどの掲載ぶりだった。

2005年を越えると、ファッション雑誌への掲載量が減ってきた。

2010年を越えるとさらに掲載量が減り、2015年以降では「そういえば昔ヴィアバスはよく掲載されていたな。最近さっぱり見ないけど、まだ営業しているのか?」というくらいにまで露出が減った。

 

メディア側の話でいうと2010年ごろからファッション雑誌はネットに需要を顕著に奪われ始め、2015年以降は見る影もなく影響力が衰えた。

だから、ネットへの掲載に切り替えたのではないか?と思われる人もいるかもしれないが、ネットへの掲載もほとんどなかった。

これはヴィアバス、ひいては展開しているオンワードファッションラボの考え方もあったのだろうが、恐らくはネットを使っての自社発信ということにほとんど興味もなく、効果があるとも思っていなかったのだろう。

実際のところ、ネットを賑わせているが、売上高や採算性の伴っていないというブランドは珍しくはないし、さっぱり報道されないけど着実に売れているというブランドもあるが、やっぱり露出が多い方が、多くの人に存在を認知してもらいやすい。

個人的な感想でいえば、2015年以降のヴィアバスの存在感はほとんどゼロだったと感じる。

 

これで90年代半ばから人気だった主だったブランドやセレクトショップはほとんど消えた。今回ヴィアバスとアクアガールが廃止となり、N°44は2014年になくなった。SPAブランドの走りだったオゾックも終了した。

今後、さらに90年代後半の人気ブランドや人気セレクトショップが消え去ることが出てくると見ている。

しかし、それも順繰りの話であり、例えば、90年代後半には多くのDCブランドが倒産・消滅した。アトリエサブの倒産やナイスクラップの経営破綻なんかがそれにあたる。ナイスクラップはパルに吸収されて存続しているが、存在感は当時と比べるべくもない。

今、隆盛を誇っているユニクロ、ジーユーだって20年後には凋落している可能性も十分にある。今はほとんど顧みられることのないタカキューだって昔は超人気のイケてるショップだった。

それくらいに時の流れというのは冷徹で冷酷なものである。朝に紅顔あって夕べに白骨となる。である。

人間も同様で、どんなに強くて賢い人でもいずれ必ず死ぬ。

そんなわけで、自分も10年・20年をかけて店仕舞いの用意をしないといけないと思っている今日この頃である。

 

【告知】2月25日、フルカイテン社長とウェブセミナーを開催します。興味のある方は無料なのでお申し込みください。

【2/25開催】<EC化率に潜む罠>店舗売上減少はこう救え! | フルカイテン株式会社(FULL KAITEN) (full-kaiten.com)

 

 

この記事をSNSでシェア
 comment
  • 読者 より: 2021/02/08(月) 1:49 PM

    ヴィアバスはオンワードのやり手の常務だったか役員の人が社長してました。
    オンワードの欧州戦略担ってた人だと思います。
    ショップの店長いわく親会社がケチなんで全然予算がなく厳しいと言ってた。
    やっぱりケチ山。

    んでその社長がアパレルあるあるで激務の末死亡。
    仕事が刺激あって面白いからオーバーワークで死んじゃうんですな。
    欧州事業わかる人がいなくなってオンワードの海外戦略は迷走。
    ヴィアバス終了はその最後のピースなのだと思う。
    自分は部外者なので詳しくないですが、オンワード関係者に聞けば裏取れると思う。

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ