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南充浩 オフィシャルブログ

ヴィアバスストップの衰退でますます「消えゆく90年代」を痛感した話

2021年2月3日 トレンド 2

2021年の立春である。

もうあと3カ月ほどで51歳になるわけだが、自分よりも年配の業界人の方々の感想は知る由もないが、同年配の人たちにとっては90年代後半~2000年代前半が一番ファッションが面白かった時期ではないかと思う。

あくまでも個人的な感想に過ぎないのだが。

2005年以降になるとユニクロ一強時代が始まり、現在隆盛を誇っている低価格ブランドの興隆が始まり、徐々に面白味は失われ始める。

現在でいえば、ユニクロとジーユーの二強で、その他、しまむら、無印良品、ワークマン、ハニーズなどが脇を固めているという感じを受ける。それ以外の選択肢というのはあまりなくて、コアな人は小規模ブランドに行くか、金持ちの人はハイブランドに行くか、ではないかと思う。

 

以前にも書いたが、自分よりも年配の人たちにとっては、90年代後半というのは経済苦境が鮮明になっており、苦しい時代だったという印象が強いのではないかと思うが、高度経済成長期・バブル期を知らない世代(自分も含む)にとっては、今から思えば90年代後半~2000年代前半というのは、はるかに現在よりもファッションが盛り上がっていたと感じる。

なにせ、ビンテージジーンズブーム、エアマックス95ブーム、アムラーブーム、裏原宿ブームと毎年のようにファッションのビッグブームが起きていた。

 

そんな中の一つが、ヴィアバスストップである。

そのヴィアバスストップがいよいよ存亡の危機に直面しているようだ。

 

「ヴィア バス ストップ」1月に5店舗の営業終了、オンラインストアも閉鎖 (fashionsnap.com)

 

オンワードファッションラボが展開するセレクトショップ「ヴィア バス ストップ(VIA BUS STOP)」が、1月31日をもって新宿高島屋店とJR名古屋高島屋店、オンラインストアの営業を終了した。

 

とのことで、改装の可能性も否めないが、オンラインストアまで営業を終了するということは、かつてのフォーエバー21の例を鑑みてもわかるように、事業そのものが終了する可能性が高いということではないかと考えられる。

 

今年に入ってから閉店が続いており、現在公式サイトのショップリストに記載されているのは代官山の路面店「ヴィア バス ストップ ミュージアム(VIA BUS STOP MUSEUM)」をはじめ、ハービスPLAZA ENT店、博多リバレイン店、三井アウトレットパーク 木更津店の4店舗となっている。

 

との状況で、残り4店舗では事業そのものがいつ撤退してもおかしくないといえる。個人的には、近々完全撤退ではないかとさえ見ている。

 

94年スタートとのことだが、94年ごろからファッション雑誌を読み始めた当方にとって、ヴィアバスはファッション雑誌の常連だった。メンズノンノへの掲載が異様に多かったと記憶しているが、モード系デザイナーズブランドを主力に扱っていたからだろう。

そんなわけで、今の40代半ば未満の人には想像もできないかもしれないが、毎号毎号、凄まじいページ数で掲載されていた。

 

イズミヤやジャスコの洋服しか知らない当方にとっては、「こんな別世界の洋服があるのか」と驚きの連続だった。

 

その後、アクアガールやドレステリア、90年代後半になるとアメリカンラグシーやアンドエーなんかも頻繁に登場するようになった。

ユニクロがファッション化を標榜したのが2004年(当時の社長は玉塚氏)である。それまでは「モサっとした大衆が着る安いジャスコの服」か「ナウい人が着る高いブランドの服」しか存在しなかった。

今のユニクロやジーユー、ハニーズのように「安くてそこそこカッコイイ服」は存在していなかった。

だから当方のような貧乏性でケチな男でもバーゲンで6万円に値下がりしたスーツを買っていたわけである。

 

しかし、90年代後半から2000年代前半に隆盛を誇ったアクアガールもアメリカンラグシーもアンドエーも廃止となっている。ドレステリアは生き残っているが、店舗の展開方法としては当時の面影はない。

ついでにいうと、デザイナーズブランドとSPAの融合でビッグヒットとなったオゾックもなくなってしまった。

 

件のヴィアバスだって2000年半ばくらいから雑誌への露出が激減し、2000年代後半からは業界内でも噂にすらほとんど上らなくなった。2010年代になるとその存在感はさらに薄まってしまった。

 

ワールドが「オゾック」「ハッシュアッシュ」など5ブランド廃止で358店閉鎖、希望退職200人募集 | WWDJAPAN.com

 

アメリカン ラグ シー ジャパンが事業終了 20年の歴史に幕 | WWDJAPAN.com

 

そういえば、このころはシマムラトーキョーコーポレーション(93年創業)が運営展開していた「N°44」というショップもファッション雑誌を賑わせていたが2014年に閉店しており、シマムラトーキョーコーポレーション自体も活動していない。今の若い人にとっては、ファッションセンターしまむらの関連会社かと思う人もいるだろうが、全然別の会社だった。

このように振り返ってみると、まさに、90年代は遠くになりにけりだと感じる。そして、若い頃に隆盛を誇ったショップやブランドがほとんど消えてしまったのは、まさに時代の流れだし、自分の人生も本当に終盤に差し掛かっているのだと感じられる。

90年代後半から2000年代前半というのは、日本の旧型アパレル業界が輝いた最後の時代だったのではないかと思う。

2021年以降、仮にどれほどアパレルの景気が回復したとしてもああいう雰囲気にはならないだろう。

 

 

本体は無くなったのに廉価版だけ残ったAGの商品をどうぞ~

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 comment
  • kimgonwo より: 2021/02/03(水) 12:25 PM

    VIABUSでラングのデニム買って
    調子乗りまくってた同僚いたなぁ
    すすめられて マックィーンのマフラー買ったけど
    今はもう あんな個性的なヤツいりませんです
    ところで オンワード樫山の大阪支店どこにいった?

  • kimgonwo より: 2021/02/03(水) 12:25 PM

    VIABUSでラングのデニム買って
    調子乗りまくってた同僚いたなぁ
    すすめられて マックィーンのマフラー買ったけど
    今はもう あんな個性的なヤツいりませんです
    ところで オンワード樫山の大阪支店どこにいった?

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