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南充浩 オフィシャルブログ

Eコマースもオンライン接客もタダではできないし簡単でもない

2021年2月2日 トレンド 0

昔、2000年頃だと、ホームページを作っただけで良かった。

デザインが綺麗であることにこしたことはないが、汚くて稚拙でもそんなページも多かったから、昔のオリンピックではないが「参加することに意義がある」という状態だった。

2005年頃からネット通販が拡大し始めたが、この時もまだ黎明期なので、ページの綺麗さとか使い勝手の良し悪しとかそんなものはほとんど度外視で「ネット通販始めました」というだけで何とかなった。

そこから15年が経過し、2020年のコロナ禍も手伝って、ネット通販は実店舗売上高をすべて補填できるわけではないにせよ、ほぼ必須の販路となった。

 

当然、群雄割拠であるから、知名度のあるブランドやサイト、強烈なファンのいるブランドやサイト、以外は通行人すら立ち寄ってもらえない状態にある。

アパレルでいうなら、ユニクロ、ベイクルーズ、オンワード樫山、ナノユニバース、アダストリアあたりがネット通販売上高が高いが、彼らは手間も暇もカネも投資している。おまけにネット通販を開始する前から抜群に知名度の高さがある。

どうしてネット通販開始早々からそれなりに流入客があるかというと、知名度の高さによる「指名検索」である。

またその後、凄まじいほどの手間暇カネを投下している。

 

現在、ネット通販というのは、実店舗を複数出店することに比べるとコストパフォーマンスが高いのかもしれないが、最早、2000年とか2005年のころのように「無料のビルダーでページを組んだ」とか「10万円でホームページを作ってもらった」という時代ではない。そこまで安くは済ませられない。

 

「ECは安上がり」の大勘違い 5億円売上げるためのマーケティングコストは1億円を超える事実 _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)

 

今の衣料品の平均販売価格は4000円というところで、粗利(限界利益)が40% (多少のオフ率を加味して)であれば1600円だ。つまり、10個売ってはじめて1000円の利益となる。それでは、5億売上をつくるための費用はいくら必要で、利益はいくらになるかを考えてみよう。

5億の売上を作るためには、平均単価が4000円の商品は12万5000個売らねばならない。月額に直せば、毎月約1万個である。このあたりで、大体腰を抜かすことになる。さらに、そのために必要なマーケティングコストは、売上を5億円とすると4100万/月となり、この50%がリピート顧客、50%を一度きりの離脱顧客とすれば、マーケティングコストは合計で約1億5000万となる。本来は、こんな簡単な計算でなく、セット率、離脱率、リピート率など複雑な式で計算しなければならない。一度買った客の50%が12ヶ月毎月買うなどということはあり得なく、(ロイヤルカスタマーでも年間で5-6回だ )ので、さらに精緻に計算すれば、マーケティングコストはもっと上がるだろう。

 

とのことであり、ケースバイケースだから一概に1億5000万円のコストと決めつけることはできないが、だいたいそれに類するコストは必要になる、少なくとも何百万円~何千万単位のコストが必要になると考えておいた方が良いという部分には全面的に賛成である。

そして、サイトを開設した、通販を開始したら自動的に売れるわけではないので、各種SNSを使った集客も必要になるし、自社サイトの更新も必要になる。あと地味だがメルマガも必要になるだろうから、膨大な手間と時間を注ぎ込む必要に迫られる。

 

この手の記事は最近各種メディアに掲載されているから、さすがに2000~2005年ごろの感覚でネット通販を捉えている繊維・アパレルの経営者は減っているのではないかと思っていたが、どうやら化石はまだまだ業界に跳梁跋扈しているらしい。(笑)

 

 

もうね、2020年までこのやりとりを何度目の当たりにしたことか。

ちょちょっとやってできるなら、どうして錚々たる各アパレルブランドが、コロナ禍による実店舗売上高減少をネット販売で補填しきれていないのか。

単一ブランドで最も売上高のあるユニクロでさえ1000億円強にしかならないのか、である。

 

ちょちょっとやって売れるなら今頃ユニクロは4000億円くらいネットで売れているはずである。考える脳みそを持っていないのだろうか。

 

何より、当方がこの手の人を軽蔑するのは「簡単やろ」と言いながら、初歩の初歩の内容さえ「いや、難しいことはわかんないけど」といって逃げる姿勢である。

簡単なことなのか、難しいことなのかハッキリせえよ!

理解しようとする姿勢がなければ永遠に理解できないのは、ウェブ以外のすべての業務も同様だ。そんな姿勢でよく今まで業務が遂行できたものだと呆れ果てる。

 

手間と暇は現場担当者でも何とかできる(それでも経営陣のフォローは必要不可欠)だが、カネの部分は経営陣でなければどうしようもない。大手広告代理店に騙されて過剰な投資をする必要はないが、2021年の現在、ウェブを運営展開するにはそれなりの資金が必要だということを強く認識してもらいたい。それでもカネが出せないというなら、せめて経営陣自らが手間と暇を注ぎ込んで、自らの手でサイトを運営展開するほかない。

 

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