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南充浩 オフィシャルブログ

国内オフプライスストアの覇権を握るのはゲオではないか?と考える理由

2021年2月9日 トレンド 0

新型コロナに関しては様々な意見があるが、個人的には、今年1月の非常事態宣言と3月までの延長は飲食店のみならず、アパレル小売店にとっても大きなマイナス要因だと感じる。

今回の非常事態宣言は2020年4月とは異なり、全国一律ではなく、11都府県に出されたものだから、その地域と他地域では温度差はありそうだ。

 

今回の措置で、アパレル小売店の売上高が落ち込んでいることは各種報道で取りざたされており、不良在庫が増えるであろうことから、オフプライスストアや在庫処分店はチャンスが広がっていると目されているような印象を、報道などからは受ける。

だが、実際に在庫処分店の店頭に携わっていると、やはり1月から売上高が急激に減少している。

自分が携わっている店舗は、大阪市北区の天神橋筋商店街にあるが1月から苦戦傾向にあり、非常事態宣言が出てから、天神橋筋商店街の人通りは押しなべて減少しているように見える。

この商店街には在庫処分業者の店が複数あるが、そのうちの一つは昨年11月か12月に閉店してしまい、跡地には「わらび餅屋」がオープンしたが、飲食も同様に厳しそうだ。「豪快!立ち寿司」も先月閉店してしまった。

 

手広く在庫処分業者の支援を行っている知人によると、「東京都心や大阪都心の在庫処分店は売上高減少だが、地方や郊外はそれなりに活況なところもある」という状況だそうなので、やはり地域によって温度差があるようだ。

そういう実情を目の当たりにしていると、オフプライスや在庫処分店にチャンスがあるとは到底思えず、実店舗販売をメインにしているため、通常の正規アパレル小売店と同様の苦戦傾向にあるといえる。

一体何をもって「オフプライスや在庫処分店にチャンス」などと考えるのか甚だ疑問である。

現時点においては、オフプライス店も在庫処分店も売上高のほとんどを実店舗で稼いでおり、いくら安かろうが実店舗は来店減少の影響を確実に受ける。どういう基準での分析なのか疑問しか感じない。

 

ところで、一昨年くらいから急速にメディア上で盛り上がりを醸成しようとしたオフプライスストアだが、先日、その知人と雑談がてら話してみたが、オフプライスの国内覇権を握るのは、今のままだとゲオではないかという結論になった。

 

アパレルから売れ残った衣料品を買い取って安価で販売するゲオ、出店加速のワケ|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 (newswitch.jp)

 

【名古屋】ゲオホールディングス(HD)はアパレルメーカーなどから売れ残った衣料品を買い取って安価で販売する業態「オフプライスストア」について、毎年2ケタのペースで出店する。現在、関東や東海などに構える8店舗にとどまるが出店を加速し、将来は300―400店舗を目指す。

 

ゲオの「ラックラッククリアランスマーケット」は2月19日にオープンするリノアス八尾店を合わせると9店舗ある。

正規ブランド店との兼ね合いや新型コロナによる人出の減少などのため、ゲオも含めた各社のオフプライスストアの出店は遅々として進んでいない。

ワールドのアンドブリッジは現在4店舗にとどまる。また、オフプラMEGAドンキに至っては、1店舗しかなかった店舗を1月24日に閉店してしまった。再チャレンジはあるのだろうが、事実上は一旦の休止ということになる。

 

現在9店舗しかないゲオだが、それでもアンドブリッジに比べると優位性は変わらないだろうと見ている。

理由は、アンドブリッジと比べての業態の豊富さである。

 

まだ日本においては、海の物とも山の物とも知れない新業態のオフプライスストアだから、出店すれば必ず売れるというわけではない。オフプラMEGAドンキの閉店はそれを象徴している。

そうなったときに、ゲオは他の業態に店舗を容易に変更できる。例えば本業のレンタルDVD店でも良いだろうし、中古衣料の「セカンドストリート」「ジャンブルストア」でも良いだろう。

しかし、本業が服屋であるアンドブリッジは業態変更が不可能である。売れなければ撤退するか、我慢して赤字を垂れ流すかしか選択肢がない。

 

ゲオに近い優位性があったのはドンキだろうが、オフプライス店はあえなく閉店に追い込まれている。

 

また、各地にも在庫処分業者は割拠しているが、いずれも資本力は小さい。小島健輔さんが近頃盛んに紹介する「タカハシ」でさえ、40店舗弱しかない。年商規模は不明だが、多くても数十億円程度だろう。

となると、ゲオホールディングスの足元にも遠く及ばない。

 

商売は資本力だけでするわけではないが、大手の方が有利である点は多い。資本が大きければ大量出店もできるし、何より大量に仕入れることも可能だ。

資本の小さい在庫処分業者は、アパレル不況というチャンスに直面していながら、資金不足で買い取りができないケースも珍しくないが、ゲオの資本力なら圧倒的に買い取れる。

業界紙や経済紙の見通し記事は多分に楽観的希望的観測に基づいている場合が少なくないが、今回の出店加速の記事は実現性が高いと見ている。

オフプライスストアの国内覇権を握るのはゲオの可能性が極めて高い。今後のゲオに注目したいと思う。

 

 

オフプラMEGAドンキを閉店したドンキ創業者の本をどうぞ~

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