ある意味では衣料品よりも厳しいと感じる雑貨ビジネス
2021年2月10日 企業研究 0
基本的に雑貨という商品に興味がなく、特にファンシー雑貨にはまったく興味がない。
しかし、最近は100均を定期的に利用するようになった。ファンシー雑貨目当てというよりは生活雑貨やプラモデル用の工具を買うためだ。
だいたいがダイソー、セリア、キャンドゥを利用する。年末大掃除用の掃除道具とか、ネイルケア用の爪磨きなどを買う。断っておくが、当方はネイルを手入れしたいわけではなく、プラモデルのゲート後処理にヤスリ代わりとして使っている。
そんなわけで店に行くたびに「めちゃくちゃ商品のクオリティ(見た目のデザインも含めて)が上がっている」と感じさせられる。昔の100均は安かろう悪かろうだった。
雑貨といえば、昨年秋、スリーコインズで1000円の自撮り棒を買った。
スマホの三脚にもなるので、これで最近、インスタグラム用に自分で着用した写真を撮っている。「オッサン向けプチプラコーデ」シリーズである。
ただし、この三脚は70センチくらいまでしか伸びないため、全身を自撮りする際には台の上に乗せなくてはならない。またスマホを挟むパーツは回転しないため、横向きのまま撮影するしかない。
そんなわけで、さらに先日、1メートルまで伸びて、スマホを縦に回転させられる自撮り棒をAmazonで1500円くらいで買ったが、1000円ポッキリなら致し方ないとも諦められる。
で、雑貨について独断に基づいて所感を書いてみたいと思う。
なにぶん雑貨に関してはド素人なので所感以外は書けないのでお許し願いたい。
基本的に雑貨というアイテムは、衣料品以上に単価が安いため、生産ロット数量が求められる。これが基本中の基本だと教えられた。
そうなると、ダイソー、セリア、キャンドゥのような規模の大きな会社が有利になり、小規模店は製造原価を下げることができず、生産ロットもまとまらないため、苦戦を余儀なくされる。
その象徴が、ASOKOだといえる。
勢いよくスタートしたものの、店舗数は増えず、おまけに展開していた遊心クリエイションは解散となってしまった。その後、パルに引き取られたものの、存在感は全くなく現在も2店舗展開にとどまっているばかりでなく、神戸店はパルのスリーコインズとの共同ショップに今年1月30日から変更されてしまった。
これと似たような印象を受けるのがフライングタイガーである。
2011年の上陸当初は行列ができるほどのブームだったが、そのブームは長くは続かなかった。最近では雑貨に疎い当方なんて存在すら忘れているほどだった。
店舗数は現在30店くらいでそれほど増えていない。逆に、あべのキューズモール店のように退店もあるので、今後店舗数が減ることはあっても増えることはないのではないかと見ている。
しかし、こちらは一応、世界展開なので日本ではサザビーリーグが運営に噛んでいるが、世界展開というスケールメリットがASOKOよりはあるということだろうが、今後国内で勢いが復活するとはまったく思えない。ブームというのは何事につけても儚い。
個人的には、ダイソー、セリア、キャンドゥとフライングタイガーの間に位置するのが、パルが展開するスリーコインズだと見ている。
パルHDの雑貨事業の売上高は約350億円あり、そのほとんどがスリーコインズで占められている。また店舗数も200店くらいにまで成長しているため、それなりのスケールメリットも出ている。
まあ、そんな中で300円均一のミカヅキモモコが倒産したのはちょっと驚いた。
テイストは異なるが同じ価格帯のスリーコインズにいつの間にか大きく水を開けられてしまった。
三日月百子/300円均一ショップ「ミカヅキモモコ」運営、破産 | 流通ニュース (ryutsuu.biz)
負債総額は2020年1月期決算時点で、約12億7300万円。
同社は、「ミカヅキモモコ」の店名で、ファンシーグッズを中心に、服飾雑貨、アクセサリー関連商品などを扱っていた。300円均一という価格設定で小学生からヤングミセスまでをターゲットとし、西日本を中心に関東地区にも店舗を出店。店舗数の増加とともに事業規模は拡大し、2014年1月期には売上高30億5812万円を計上。株式上場を目指してベンチャーキャピタルからの出資を得るなど積極展開していた。
しかし、同業他社との競合激化に加え、急速な店舗の増加でマネジメントや人材不足が深刻となり、不採算店舗の閉鎖を進めたことで採算も悪化、株式上場を断念した。
その後もスクラップアンドビルドを繰り返し、業績改善を目指していたものの思うような成果を得ることができず、2020年1月期は売上高約27億3000万円に対し、2期連続の赤字を計上した。
資金繰りがひっ迫し、金融機関へ借入返済のリスケジュールを要請していたが、「新型コロナウイルス」感染拡大に伴う緊急事態宣言で大きな影響を受けていた。以降もコロナ禍で集客はままならず、経営も限界に達し、今回の事態となった。
とのことで、売上高はさほど低下していないにもかかわらず、負債が膨らんで資金繰りが悪化したということである。この企業も2000年代半ばから注目されていたが、2010年代半ば以降失速してしまった。
そしてこのミカヅキモモコには続報がある。
shoichi 「ミカヅキモモコ」事業を譲り受け | 繊研新聞 (senken.co.jp)
アパレル在庫の買い取り販売業、shoichi(大阪市)は三日月百子(同)の300円均一雑貨店「ミカヅキモモコ」の一部店舗を譲り受ける。
譲り受ける店舗は現在交渉中。従業員、商標も引き継ぐ。
とのことで、アパレル在庫処分業のショーイチが一部店舗を買い取る計画だという。前回も書いたように在庫処分店・オフプライスストアも衣料品は苦戦傾向にあるから、異業種に進出するという考えなのではないかと思う。
衣料品業界の人はつい「隣の芝生は青い」をやらかしてしまいがちだが、雑貨というジャンルは衣料品以上にスケールメリットが求められるため、厳しい側面もあり、何が言いたいかというと、生き続けるということは押しなべて辛いということである。(笑)
当方のような無粋な人間からすれば雑貨類はダイソー、セリア、キャンドゥとスリーコインズがあれば事足りてしまう。
そんなミカヅキモモコの本をAmazonでどうぞ~