脱外注の取り組みは広がる?
2013年9月12日 未分類 0
インターネット通販は大きな武器であることに異論のある人はあまりいないだろうが、逆に過度に期待をかけすぎてもだめだとは良く言われており、その通りだと思う。
以前も書いたように筆者はインターネット通販をあまり利用しない。とくに衣料品は少ない。
ただし、通販サイトをカタログのように眺めていることは多い。
「へえー、こんな商品が出てるわ」とか「あ、この商品値下がりしてる」という感じで見ている。
小島健輔さんのブログでECサイトの買い上げ比率の低さについて触れられている。
http://www.apalog.com/kojima/archive/1213
ECのコンバージョン率(買い上げ率)について話す機会があったが、サイトを訪問した顧客が買い上げる率は通常千人に2~3人、キャンペーン時でも同10人ぐらいだと聞いて驚いた。店頭ではOL向けの量販的な店でもピークタイムで千人に40~50人、アイドルタイムでは千人に100人を超えるから、買い上げ率は一桁違う。固定客比率の高いプレタ店などではこの数倍の買い上げ率になる。ECの買い上げ率は店頭に較べて何故、こんなに低いのだろうか。
とある。
自分の体験に照らし合わせると、衣料品を購入する回数は年に何回かしかないから、1000人中2,3人という数字は割合に正しいのではないかと感じる。
またキャンペーン時でも買い上げ率は1000人中で10人くらいしかないというのもわかるような気がする。
以前、某ブランドのセール商品を買おうか買うまいか悩んで、何週間かに渡って見続けていたことがある。そこそこ著名なSPAブランドだから、すぐにそのセール品はなくなるのかと思ったら、意外に長い間販売し続けていた。
見る人は多いのだろうけど、買い上げに至るまで時間がかかるということだろうか。
サイトの作り方とか画像の良し悪しとか説明文の長短だとかさまざま要素はあるかもしれないが、やっぱり実際に試着できないから購入をためらうという人は多いのではないかと思う。
サイズ表が念入りに書かれていても、型紙によってだいぶと実際の作りは変わってくるので、一概に胸囲が96センチなら着用できるということにはなりにくい。
先日、そんな話をしていたら、
「自社のサイズスペックを完全統一できたブランドが現れれば、リピーターが増えて圧倒的に売り上げを伸ばすんじゃないですか」とおっしゃる方がいた。
最初に購入に至るまでには相当に時間がかかるかもしれないが、一度購入すれば、次からは着用感を悩まずに他のアイテムも購入できることになる。
SPAブランドと名乗ってはいても自社に統一したサイズスペックを持っているところは少ない。
他社メーカーのネームタグ付け替え商品や、OEM/ODM丸投げの商品も結構仕入れている。
だから、他のトップスは細身なのにセーターだけはやたらとデカいサイズになっていたりする。
その方によると、あるブランドはサイズスペックの統一に取り組むために自社にパタンナーを雇用したという。
これまで、アパレル、SPAブランドはバブル崩壊後、企画・デザイン・パターンなどを外注に任せることでコスト削減、人件費削減に努めてきた。そのため物作りすべてが外注になったが、外注先も1ブランドとの契約だけで売り上げを作ることは難しいから、数社以上の企画を手掛けることになる。
その結果として、数社とも商品が似通ってしまうことが多々あり、店頭の同質化が進んだ。
こういうこれまでの動きとは逆の動きが起きつつあるというのは面白い現象である。
まだそのブランドは、ごく小さな規模らしいが、効果が出始めれば各社・各ブランドにもそういう取り組みは広がる可能性がある。
言うは易し行うは難しだが、ぜひとも成功させてもらいたいものである。