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南充浩 オフィシャルブログ

激しさを増す大手資本低価格ブランドによる価格競争

2020年12月2日 お買い得品 1

ジーユーが来春夏から30%の値下げを打ち出した。

 

「ジーユー」が2021年春夏物で最大30パーセント値下げ トレンド×低価格を強化 コロナ禍で売れたのは「強みのトレンド品」 | WWDJAPAN.com

 

これに限らず、各メディアが報じているので、ご存知の方も多いだろう。

ジーユーは新生児向け衣料も開始するが、それはまた別の話。

 

しかし、ジーユーの店頭を見ていると、来春夏といわず今春から一段と値下げ攻勢が目立つようになったと感じる。

定価で入荷してもどのアイテムもほぼ2~3週間で値下げされる。そして売り切るまで値下げされ続け、最終的には190円くらいになってしまう。

今年、ジーユーで最も買ったのが、夏の半袖Tシャツである。定価はだいたい1990~990円だが、これがすぐに790円くらいに値下がりしてしまう。そのあとは590円、390円、190円というふうに値下がりする。

以前の数年前のジーユーの綿100%カジュアルTシャツは生地がペラペラだったが、今春夏は分厚い。990円でも割安感があるのにそれが790円や590円に値下がりするなら破格といえる。

エグザイルファンでも何でもないが、スタジオセブンコラボのTシャツを3枚買ったし、1MWのTシャツも2枚買った。エヴァンゲリオンコラボTシャツも2枚買った。ハンテンコラボも1枚買った。(もちろんすべて値下がりしてから)

ほとんどジーユーの値下げTシャツで今夏を過ごしたと言っても過言ではない。

 

ツイッターで指摘されていた方がいたが、ジーユーが今値下げ宣言をしたということは、製造のリードタイムから考えると、長く見積もって今年初頭、遅くとも半年くらい前には値下げを決めていたということになる。

何も夏が終わってから急に思い付いたということではない。

 

そして、今秋物もジーユーは値下げが激しい。

KAPPAコラボの中綿入りロングシャツも990円に値下がりしたし、フード付き3層構造の防水透湿コートも990円に値下がりした。

990円に値下がりしてから買ったKAPPAコラボ中綿入りロングシャツ

 

 

990円に値下がりしてから買ったフード付き3層コート

 

 

両方とも買ったが、どちらも定価は3990円と4990円である。

言ってみれば、来春から定価そのものを下げるということになる。

ただ、ジーユーの冬物に関しては、食指はあまり動かない。セーター類は合繊主体で安物臭いし、防寒アウターも何だか安物臭い。また今冬は今のところダウンジャケットがない。中綿入りブルゾンなら同等の価格で他の低価格ブランドにもある。

そういえば、毎年ジーユーでは冬物はほとんど買っていない。2018年冬のカナダグースコピーのダウンジャケットくらいだろうか。ジーユーを含めたあの価格帯の低価格ブランドは全般的に、ウールやダウンが値段的に使えないため、やっぱり値段相応に安物臭く見える。

低価格ブランドで冬物を買っても良いな、と思えるのは比較的ウールを使いやすいユニクロか無印良品くらいである。

まあ、ジーユーなどのターゲットは当方のような人間ではないので言っても仕方がないのだが。

 

ジーユーが値下げを宣言したことで戦々恐々の業界人が多いが、どうして、洋服の値段は下がりやすいのかというと、いろいろな理由があるが、

 

1、すでにたくさんの服を消費者が持ってしまっている

2、トレンドはあるが、トレンドに集中しない服装の多様性が広がった

3、低価格から高価格帯までの商品の同質化

4、同質化による「似たような物」の供給過剰

 

あたりが挙げられるのではないかと思う。

 

当方は実にたくさんの服を持っており、多分、3年間くらい服を買わなくても生活ができるが、趣味なので値下がり品を買ってしまう。しかし、服が趣味ではないという人なら買わないだろう。そして、服が趣味だという人は数少ないのではないかと思う。極端な言い方をすると、切手を集めている人と同じくらい少数派の趣味ではないかと思う。

また、2008年頃までなら、トレンドから外れたアイテムはほぼ着用者を見かけなくなった。

スキニー全盛時にブーツカットやワイドパンツを穿いている人はほとんど駆逐されてしまっていた。しかし、今はスキニーを穿いている人もいればワイドパンツの人もいる。さすがにブーツカットは数少ないが、レギュラーストレートの人もいる。

となると、タンスの中身を全部入れ替えるということをしなくても済む。何枚かを買い足せば済む話なので、一人当たりが買う服の数量は減ってしまうということになる。

そして、低価格から高価格ブランドまで、商品の見映えはほぼ同質化している。縫製仕様だとか素材だとかは違うが、低価格品が企画として明らかにおかしいデザインということはほぼ無い。よほど近くに寄るとか、じっくり触るとかしない限り黙って着ていてもわからない。なら、低価格品でも構わないという人が増えるのは当然である。

そして、その「似たような物」が過剰供給されれば、値崩れするのは当たり前で、サンマが不漁なら値段が高くなるが豊漁になると価格破壊が起こるのと原理は同じである。

似たようなチェスターフィールドコートが過剰供給されれば、値崩れするのはミカンも白菜もサンマも同じである。洋服だけが特別な消費財ではない。

 

さらにいえば、コロナ不況で給料がカットされたり、職を失ったりした人が増えれば、支出を抑えるのは当たり前の話で、すでに「たくさん持っている」洋服を買わなくなるのは極めて当然だといえる。

 

無印良品が値下げし、ジーユーが値下げを発表した今、価格競争は当分の間激しくなるだろう。そして、無印良品やジーユーなどの大手資本に対して、中小零細の低価格ブランドは太刀打ちできずに追い込まれていくことになると考えられ、低価格ゾーンは大手の寡占化がさらに進むだろう。

 

 

定価を値下げした無印良品のセーターをどうぞ~

 comment
  • BOCONON より: 2020/12/02(水) 8:00 PM

    仰言る事に反対はしませんし,当たり前かも知れないが,アパレル業界人はたぶん次のトレンドを考えていると思いますね。
    古い話ですが,スーツで言えば一時期ほとんど三つボタンのスーツしか売っていない時期があった。それと並行して,どこへ行っても黒スーツだらけ,というのもあった。どちらもある年を境にほぼ完全に売り場から姿を消しました。
    最近はお若い人たちはほぼ細身短丈のスーツしか着ていないし,百貨店のおじさん向けブランドのスーツもズボンだけはけっこう細かったりする。しかしこれも最近 BEAMS 広報の中村氏などは『MEN’S CLUB』等でしきりに「細いパンツは流行遅れ」と強調している(実際に BEAMS で売っているものはそうでもないように見えるけど)。まあ当然の話で,おんなじようなスーツをそう何着も買う人がいるわけもない。
    同じ事で,カジュアルとて黒スキニーばかり何十本も買う唐変木がいる筈もないし,僕は来年あたりかなりの程度トレンドの流れ(というのも冗語ですが)が変わると見ています。

    ・・・と言っても僕自身は流行にはまるで関心がないからどういう方向へ行くかは分からないですが,たとえばベルボトムを男が穿きだすというのもあり得なくはない気がする。今のところはヘンテコに見えるけれど,かつて確か2度はやったこともあったし,黒のスキニーだって変と言えばものすごくヘンで,外国人がよく「日本の男はなぜオカマのような格好をしているのだ?」「なんで黒タイツのようなものを穿いているのだ?」というようなものですからね。

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