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南充浩 オフィシャルブログ

偶然見つけたので感想を

2013年7月2日 未分類 0

 先日、何気なく難波の地下街を歩いていたら、「パンツワールド」の新店を見つけた。

ハニーズが展開する新業態のメンズ・レディース・キッズの低価格カジュアルパンツ専門店である。
関西にはまだこの難波店1店舗しかない。

この新業態については、

ハニーズが低価格パンツ専門店「パンツワールド」を開業、その勝算は?
http://dwks.cocolog-nifty.com/fashion_column/2013/01/post-671a.html

で、ディマンドワークスの齊藤孝浩さんがすでに触れられており、実際のところはどうなんだろうということを筆者は再確認したにすぎない。
詳細な分析は齊藤さんが至極的確にしておられる。

さて、価格は安い。
980~2980円の商品で構成されている。
製造国はミャンマーとあるので、先ごろ完成したばかりのハニーズのミャンマー新自家工場で製造しているのだろう。

実際の店舗を見た限りでは、それほど大きなブームになるとは考えにくいという印象を受けた。
というのは、パンツを買う頻度はトップスを買う頻度に比べて低いからである。
かつて販売員をやっていたころに、「パンツ1本買うのに対して、トップスは3枚~5枚買う」と売り場で教えられたことがある。きちっとした統計があるわけではなく、筆者が就業していた会社の経験則だろう。

トップス:ボトムスの購入比率はだいたい3:1~5:1の間になるということである。

そう考えると、いくら安くしたからと言ってパンツの購入頻度がいきなり跳ね上がるというのはちょっと考えにくい。

今後の商品展開はまた随時変化していくのだろうが、現状の店頭ではベーシックなチノパンが1型あたり4~5色展開されている。カラーもベージュ、ネイビーが中心だ。安いから2色買うことはあっても、すぐにリピーターとなるかどうか。
似たようなチノパンばかり多色で持っていても仕方が無い。
コーディネイトで変化を見せるならボトムスはそのままでトップスを変える方が効果的である。
ボトムスを変化させることで、明らかにコーディネイトが変わったと感じさせるためにはよほど印象的な色使いや柄使い、デザイン変化が必要になる。

ちょっとだけシルエットをいじってみました。とか、少しベージュのトーンを濃くしました。程度では店頭では異なるように見えても実際にトップスと組み合わせて着用した際にはまったく変化はわからない。

現状の「パンツワールド」店頭にはそれほど印象的な色柄物やデザイン変化物は見当たらなかった。

齊藤さんは一方で、パンツ強化のメリットを1つだけ挙げておられる。

「穿き心地が良ければ固定客が付きやすい」である。

これはその通りで、同じナショナルブランドのジーンズでも穿き心地には個人差があり、「リーバイスよりエドウインの方が穿きやすい」という人もいれば、「リーの方が良い」という人もいるし、「いやいやリーバイスだよ」という人もいる。このようにパンツはブランドに固定客が付きやすい。

パンツはトップスよりもフィット感が求められる傾向が強い。

トップスは少々大きかろうが、小さかろうが誤魔化して着用できなくもない。
現に、「大は小を兼ねる」とばかりに肩が落ちた大きめのTシャツを愛用しておられるオジサマ方が世の中にはあふれているではないか。

ところがパンツはそうはいかない。
小さすぎるのはウエストが止まらないので試着すらできないし、大きすぎるのも袴のようになって日常生活に邪魔である。

それ故に固定客をつかみやすいアイテムでもある。

けれどもパンツ専門店としてある程度の成功を収めているのはバリュープランニングの「ビースリー」くらいしかない。いかにパンツ専門店というジャンルが困難かがよく分かるのではないか。

現状の感想をまとめると、内装はちょっと安っぽくてイオンやイトーヨーカドー、ダイエーなどのパンツ平場を少しきれいにした程度にしか見えないし、商品がベーシック一辺倒なのでリピート率はそれほど高くないだろうと思える。
当然、今後どちらも改良されるであろうことを期待しているが、もし、現状のままで止まってしまうのならこの業態が成長するのはちょっと難しいのではないかと思う。

それだけに今後の変化に期待してみたい。

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