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南充浩 オフィシャルブログ

今夏のセールもダラけそう

2013年6月4日 未分類 0

 セール後倒しで分散化というのは何も今夏始まったことではない。
昨年夏から始まっているし、1月のセールもそうだった。
7月12日からルミネが、7月17日から三越伊勢丹が開始する。
少しでも長く定価で売って利益率を改善させたいとの思いがあるのだろう。その気持ちはわからないではない。

そんなことが紙上では伝えられているが、店頭を見て歩くとすでにプレセールが開始されている。
ざっと数えると、正式に「プレセール」「一部セール」の看板を掲げている店舗は半数弱というのが体感である。
一部の施設とアパレルメーカーがセール後倒しを叫んでみたところで、おそらく消費者にはそう大きなこととは響かないのではないか。

現実に今年は6月3日時点で各ショップではプレセールが開始されているし、国内外の大手SPAブランドには年がら年中セール品がある。
大多数の一般消費者は、今夏のセールも今まで通りと受け取っているのではないだろうか。もしかすると「いつもより早め」だと受け取っているかもしれない。

さて、セールの分散化だが、1月のセールはそれほど目立たなかった。
ルミネと三越伊勢丹を除くほとんどの施設が1月1日、1月2日からスタートした上に正月ムードと重なり、店頭はかなりにぎわった。昨年までの正月セールとほぼ同じ光景だった。

一方、セールが分散化した昨夏のセールはさっぱり盛り上がらなかった。
某ビルは6月22日から、某ビルは6月28日から、某百貨店は7月1日から、というふうに五月雨式にセールが始まり、各施設の賑わいも例年以下と感じられた。
元来、夏のセールは冬に比べて盛り上がりが少ない。それがセールの分散化によってさらに静かになってしまった。
それが昨夏セールでの光景だった。

セールの分散化にはデメリットがある。
正月セールが好調なのは、正月ムードがあるからだけではない。各施設が一斉にセールを開始することで相乗効果がある。
セールでにぎわっていれば、お客の精神状態も高揚していていつもよりも余計に物を買う。
冷静な精神状態であれば買わないであろう品物も、周りの興奮状態に引きずられてついつい購入してしまう。

周りの施設も全部セールを行い、たくさんの紙袋を抱えた人々がうろうろしていれば買い物ムードが盛り上がる。

ところがある施設が1か所だけセールをしていて、周りの施設がまったくセールをしていなかったらあまり買い物ムードは盛り上がらない。
施設内ではそれなりに興奮状態に陥るかもしれないが、施設から一歩外へ出るといつもの風景である。
一気に精神状態は平静に戻る。

そうして頭を冷やしたお客はお目当ての店だけに立ち寄り、お目当ての商品だけを購入する。
セット購買や、ついで買いなんて購入ではなくなる。
極端にいえば、値下げされたお目当ての商品1点だけを購入してさよなら~である。
夏物は冬物に比べて単価が低いうえにさらに値引きされているから客単価は5000円弱というところではないだろうか。

さて、半数弱(筆者体感による)の店が6月頭からプレセールを行い、多くの施設が6月28日から本セールを開始し、ルミネと伊勢丹がセールを後倒しするという現状では、今年の夏セールも昨年同様に盛り上がりが少ないのではないかと思われる。

付け加えると、6月頭からプレセールを見ている消費者は7月下旬まで延々と各店頭で「セール」の文字を見続けるわけである。こうなると「セール」が常態と感じられて、まったく心に響かなくなる。
「またセール始まったんだ。へ~」と、いわばセールに慣れしてしまう。
こうなるとセールが始まったからといって、わざわざその店に入るようなことはしない。
セール分散化のもう一つのデメリットには消費者を「セール慣れ」させてしまうという側面もある。

だから、昨年から夏セールは「ダラけた」感がある。
今年はその「ダラけた」感が一層ひどくなるのではないか。

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