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南充浩 オフィシャルブログ

「言うた者勝ち」の世界

2013年6月3日 未分類 0

 以前、紹介したクロキのデニムブログで綿花のことが触れられている。

マテリアルが大事! 綿の種類
http://ameblo.jp/yan17bo14/entry-11542314557.html

文章が短いのは個性の範疇だが、ずいぶんと説明が分かりやすくなっている。

以下に引用する。

綿(COTTON)って言っても、様々な国で栽培されていますし、様々な種類もあります。

詐欺師のような紡績の親父が、「綿花を買い付けに190か国以上の国を回った!」ってアホなコメントを全国紙にした事がありましたが、栽培するには限界点(乾燥地だったり、温度だったり)がある訳ですから、それはあり得ません。

代表的な産地は、中国、インド、アメリカ、パキスタン、ブラジル、オーストラリア、ウズベキスタン..になります。生産数量もこの順番と思って貰って差し支えないです。

とのことである。

さて、文中に「綿花の買い付けに190カ国を回った」と豪語していたオッサンの話が紹介されているが、普通に考えると世界には200国弱しかない。(ムツゴロウさんの動物王国などは除く)

我が国の外務省のHPを見てみる。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/world.html

世界の国は195カ国とある。日本が承認していない国もあるだろうから、多くても200国程度だろう。
そして国連加盟国数は193カ国とある。

190カ国以上で綿花を買い付けたということは、ほとんど世界中の国々で綿花が商業用途として栽培されているということになる。
しかし、綿花生産量の国別にまとめた物をみると、デニムブログで挙げられている7カ国で85%の生産量が占められている。

http://nocs.myvnc.com/study/geo/cotton.htm

その他の国々はすべて合計しても15%の生産量にしかならない。
その他の国々にはペルーも含まれる。
ペルーは1960年ごろまでは綿花栽培が盛んであったが、その後の農地改革をきっかけとして綿花の生産量が激減し、現在では輸出するどころか、国内需要を輸入で賄っているとのことである。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Latin/Radar/Peru/201205.html

となると、綿花生産大国7カ国以外の国々では綿花が栽培されているとしてもまったく商業用途にはならず、自国の需要にすら対応できていないことになる。

我が日本国でも綿花栽培はゼロではない。
東日本大震災での被災地で綿花を育てて、津波被害の土地の塩分を吸収させるプロジェクトがあるし、兵庫県の西脇産地だって綿花栽培プロジェクトを継続している。
しかし、それらの綿花の生産量はとてもじゃないが商業用途として使えるほどではない。
あくまでも個人的な趣味で使用できる程度である。

そのような状況下で世界190カ国以上で綿花を買い付けることが可能だろうか?
そして世界190カ国を回る必要があるのだろうか?

筆者はどちらもNOだと考える。

さて、繊維・ファッション業界ではこういう「ハッタリ」が良くも悪くも横行している。
マスコミもそれを喜んで報道する。おそらく分かりやすく記事にしやすからなのだと思う。

それにしても「世界190カ国以上で綿花買い付け」というのは、常識で考えればマユツバ物だと気が付きそうなものだが、某全国紙の記者は世界の国数すら知らなかったのだろうか。

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