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南充浩 オフィシャルブログ

日本のブランドの強みとは

2020年2月18日 考察 0

1つの事象には必ず、良い面と悪い面がある。

多くのコンサルタントや評論家はその一方向だけを切り取って煽る場合が多い。今も昔も。

例えば、2008年頃盛んに「選択と集中」と言われていたが、あまりにも「選択と集中」が過ぎるとシャープのように経営を破綻させてしまう。

いくら「液晶テレビが売れる」と言っても、そこに過度に集中してしまえばどうなるか。液晶テレビなんて毎年買い替えるわけではないし、毎年買い足す物でもない。

 

「いやあ、10年連続で液晶テレビを買い足しちゃったよ~」

 

なんていうド変態は見たことがない。当方なんて未だに2009年に買った液晶テレビを使っている。(笑)

 

今、話題の新型コロナウィルスだって中国に集中しすぎたサプライチェーンに様々な影響を及ぼしている。

メディアでは縫製工場が稼働していないことを盛んに伝えているが、もっと深刻なのは、染めるための染料も綿糸も中国製が多いということで、さらにいうなら、リボンやテープなどの副資材も中国製が多い。服の縫製ができないことよりも生地や糸が足りなくなることや染色できなくなるという根源的な問題を抱えており、あらためてリスク分散の必要性が顕在化している。

縫製工場を東南アジアに移転していたからOKという問題でもない。なぜなら生地や糸、副資材は中国からの持ち込みがほとんどだったからだ。いくら東南アジアの縫製工場が稼働していても、縫うための部材が無ければ何も縫えない。

これとて「選択と集中しすぎた」リスクだといえる。

吉凶は糾える縄の如し、とは昔の中華は上手いこと言ったものである。

 

 

日本は、安くて良い物がたくさんある。飲食も衣料品も雑貨も。

そのため、物価が上がりにくいというデメリットがあるが、他方でいえば、これは日本の強みではないかとも思う。

日本製の強みなんてよくわからない。一概に高品質とは言えないし、一概に仕事が丁寧とも言えない。品質が低くて仕事が雑な日本製も存在する。

とくに衣料品では、指示の仕方や管理が杜撰なら、日本の工場から上がってくる製品は粗雑な場合がある。以前に少しかかわった零細OEM屋で見た光景だと、ここの指示や管理が独特の曖昧さで溢れていたため、九州の縫製工場から上がってきた商品の品質は最悪だった。(笑)

しかし、「日本のブランド」「国内向けブランド」は割安で高品質な物が多い。飲食も雑貨も衣料品も。

だからこそ、中国人が大挙してダイソーやドラッグストア、ユニクロで買い占めているのだろうと思う。

以前にも書いたが、牛めしの松屋だって中国人をはじめとする外国人観光客だらけである。個人的には外国人観光客は安い物が大好きだとしか見えない。

バッタ屋で立っていてもやたらと小銭に細かいし値切りも多い。大阪のおばちゃん並みで応対にウンザリする。

 

この安くて高品質というのは、一方では物価が上昇しにくいという欠点はあるが、もう一方では日本ブランドの強みではないかと感じる。

この世に無欠な存在はないから、物価が上昇しにくいことに目くじらを立てて矯正しようとするより、強みとして生かした方が効率的ではないかと思う。矯正がためにならない場合もあるから「角を矯めて牛を殺す」ということわざが生まれているのだろう。

2600円の軽量ダウンジャケットを買って考えたこと

このブログの中で、アメリカで持て囃されている眼鏡のD2Cブランド、ワービーパーカーについて触れた。メディアでは称賛されているが、ぶっちゃけ、いくら本を読んでも当方には何がすごいのかさっぱりわからない。

Zoff、JINS、オンデーズの3社の方がよほどコストパフォーマンスが高い。割安で高品質で、デザイン性もある。

で、ワービーパーカーがアメリカで支持された理由は、それまでアメリカには安い眼鏡が無かったからであり、日本はそれよりも20年くらい先行していたといえる。

で、このブログを書く前にツイートしたところ、「2025年、人は買い物をしなくなる」の著者である望月智之さんが以下のようなリプライをくださった。

まあ、個人的には2025年になっても日本人は買い物をしていると思っているのだが。(笑)

 

 

これには激しく同感で、割安で高品質な日本ブランドを攻撃するよりもそれを強みとして発信すべきだと思う。逆に今の日本が、曖昧模糊とした雰囲気を過剰に醸し出したラグジュアリーブランドを築くことは無理だろうと思う。多くの日本人にはそれを築く能力もないし、支持したいという欲求もない。

なら、逆にそれを強みとして打ち出す方がポジティブだし精神衛生上良好だろうと思う。

 

欧米で、ZARAやH&Mなどのファストファッションが過去に爆発的に売れたのは、そこそこの品質の低価格品が少なかったからではないかと思う。

しかし、日本にはそれが「ファスト」とは名乗っていなかったがたくさんあった。だからZARAもH&Mも業績は日本では停滞気味だし、フォーエバー21はまったく広がらなかった。

では圧倒的なコスパの高さを誇る日本ブランドに欠けているのは何だろう?

ここでまた望月さんのツイートを引用したい。

 

 

だろうと思う。

これも激しく同感である。

一部の例外を除いて国内業者がこれをやると言語明瞭意味不明な出来の悪いポエムが出来上がる。それに寄ってくるのは気味の悪いイシキタカイ系ばかりである。

 

まあ、そんなわけでせっかくの強力な武器があるんだから、卑下せずにそれを強みとして打ち出す方法を考える方がはるかに気持ちがイイと思うが。

 

そんなわけで望月さんの著書をどうぞ~(当方は読んでないけど)

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