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南充浩 オフィシャルブログ

広告代理店との付き合い方を抜粋してみた

2013年5月1日 未分類 0

 さて、今回は昨日の続きということで。

経営者よ、広告代理店に“カモ”られるな!
大成功する「広告代理店との付き合い方」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130419/246959/?P=1

この記事だが、筆者がこれまで感じていた広告代理店への疑問を具体的に説明してくれている良記事である。
ここに広告代理店との付き合い方22カ条が挙げられているので、それを見ることにする。

詳しくお知りになりたい方は原文の全読をお薦めする。

22カ条すべてを挙げると大変な長文になるため、広報担当者時代に筆者が体感したことに対して共感できるものをいくつかピックアップしたい。

【その2】「媒体提案」だけは最悪
 ネット専業の広告代理店に多いのだが、エクセル表で「媒体の提案」だけをする広告代理店に依頼するな。最悪の広告マンだ。ズバリ媒体を買うだけならアホでもできる。広告の費用対効果を最大化するために、クリエイティブからCRMまでの『泥臭いソリューション提案』をもってくる広告マンに依頼するべし!

まず、これである。
筆者の知る限り、ほとんどの広告代理店の営業はこれに終始する。
この記事の筆者も書かれているように、媒体の枠だけを買うなら代理店は必要ない。
筆者の場合は出稿は紙媒体が多かったのだが、新聞や雑誌の営業部に直接「広告出したいんだけど料金いくら?」と電話で問い合わせれば済む。
あとは、新聞社や出版社側の営業マンかそこのお抱え代理店の営業マンが世話をしてくれる。
広告不況の現在、自ら問い合わせてくれる貴重なお客様には非常に丁寧に応対してくれる。

【その3】ネットマーケの「最新ワード」の連呼に気をつけろ
 「ソーシャル」「アトリビューション」「DSP」「ビッグデータ」「エンゲージメント」などなどの最新バズワードを連呼する広告代理店に依頼するな。そいつらは大抵の場合、広告の基本がわかっていない新しい物好きの評論家にすぎない。目先の変化で目眩ましをかけているだけである。

これもありがちである。
チャラっとした営業マンあたりがトレンド最新ワードを連呼することで専門性を醸し出そうとする輩はいつの時代にも共通している。

【その6】あえて“断ってくる”相手は信用できる
 例えあなたがやりたがっても、真剣に一緒に考え“断ってくる”広告代理店に依頼しよう。広告マンとして営業成績を上げるために発注をもらいたくても、「広告主のためを思って、あえて売らない判断をする」広告マンは信用できる。

これは各時代とも不変の真理だろう。
広告不況の昨今だからこそ、何でも売りたがる営業マンは昔よりも多い。

【その7】大きなチームよりも1人の超優秀な営業マン
 1人の超優秀で経験を持った“営業”が担当してくれる広告代理店に依頼しよう。広告代理店が大きなチームを組んだら、あなたは安心できるかもしれない。ただし、広告の質は関わっている人数に反比例する。チームワークごっこは弊害だ。ネットや通販広告では、全てを1人で仕切るスーパースターの「ワンマン体制」の方が成功する。

これは広告担当者というよりも経営者が気を付けるべきことだろう。
大手の広告代理店に頼んだからと言って効果が出るとは限らない。
某アパレルは10~15年に渡って、最大手の広告代理店の地元支局に年間5000万円~1億円の予算を使い続けたと聞くが、その結果、売上高はピーク時に比べて7分の1にまで減ってしまった。

DとかHとかの大手代理店に頼めば経営者は安心するものらしいが、大手とやったから必ず効果があるというわけではない。

【その8】明確な「目標数字」を出してもらえ
 「CPA」「引上率」「CPO」「購入単価」「購入回数」「LTV(年間購入単価)」「ROAS(広告費用対効果)」などの、明確な「目標数字」を設定する広告代理店に依頼しよう。たまに責任逃れのためにあえて設定しない広告マンがいるが、それは論外だ。広告主・広告代理店の社員全員が同じ目標を共有して一緒に考え、運営していくことが重要である。広告費の一番の無駄遣いは、目標を具体化しないことである。

これはとくにファッション雑誌媒体を得意とする代理店には耳の痛い話だろう。
ファッション雑誌媒体に出稿する際、明確な目標数字が出てくることはまずない。
何度かファッション雑誌に出稿したことがあるが、どういう反応があるのかは出稿してみるまでわからなかった。
代理店側の営業マンもわからなかったことは言うまでもない。
もちろん予想に反して「問い合わせが多かった」という場合もあったが、ほとんどは無反応に近かった。

【その12】その企画書、小学生でもわかる?
 広告代理店から提案される企画書が、効果があるか、効果が無いかを一瞬で見極める方法がある。

「○」= 小学生でもわかるような“シンプルな企画”だとそれは「効果あり(本物)」。
「×」 =一見頭が良さそうだけど“複雑な企画”だとそれは「効果なし(偽物)」。
 中身が無いからカッコつけて企画やプレゼンを小難しくするのだ。

これは広告に限らず共通している事象だろう。
あと、大した中身のないことを横書きにして引き延ばして何十枚もの企画書に仕上げてくるところもお薦めしない。経営者や役所のエライさんには何故か引き延ばした分厚い企画書のお好きな方もいらっしゃるが、1ページあたりに1行か2行しか書かれていない10ページの書類をもらうなら、まとめて3ページくらいにしてもらうほうが読みやすいし、紙も無駄にならない。

【その13】カスタマイズされた企画書に“ノウハウ”はない
 広告代理店から提案される企画書が、あなたの会社だけに完全にカスタマイズされたものは、ほとんどの場合効果がない。1つひとつの広告主にカスタマイズした企画は“ノウハウ”ではない。他社の成功事例を基に「どの広告主に適用させても成功する汎用的な企画(もっというと仕組み)」を“ノウハウ”という。

これはまさしくその通りだろう、

【その15】感性を信じるな!「スプリットランテスト」を実施せよ
 あなたの感性も広告代理店のクリエイティブディレクターの感性も信じるな。ネット広告の費用対効果を確実に最大化するには、事前に予算の約10%を使いクリエイティブの「スプリットランテスト(A/Bテスト)」をして、反応率が一番高かったクリエイティブで本番のキャンペーンに挑むこと。多くの広告主はこのテストの費用や時間を惜しんだり、広告主の社長や広告代理店のクリエイティブディレクターの感性でクリエイティブを選定するから失敗するんだ。

これは筆者にない知識である。
広報担当者はぜひともお試しいただきたい。
感性を信じるなという点までは認識していたが、スプリットランテストが必要というのは大変勉強になった。

【その17】欲張るな! 1社に任せよ
 媒体コストを抑えたければ、欲張らず「1社の広告代理店に任せる」べき。多くの広告主は複数の広告代理店を競争させることによりコストを抑えられると思っているが、実は1つの広告代理店にコスト交渉をさせる方が、結果的に安く抑えられるのである。他の業界と違い、媒体は“買い付け先が同じ”だということを理解しろ。

これは通常の企業ではわかりにくいのかもしれない。
納入先を競争させた方が製造コストが下がるというのが通常の企業の取引形態だからだ。
しかし、ここにも書かれているように結局、どこから買おうが媒体は同じなのだから、複数の代理店に競争させたところで媒体の価格は大きく変わらない。
某女性ファッション雑誌の広告料金が1P100万円だったとして、複数の代理店に競争させたからといってそれが50万円になるわけではないということである。価格を決めるのは媒体側であり代理店ではない。

これは声を大にして叫びたい項目である。
括目してもらいたい。

【その19】広告費使うより社員のボーナス
 日本の全広告主の社長に言いたい。もし、御社の広告関係部署や広告代理店に“広告の費用対効果(ROI)を本気で最大化”する意思や能力が無ければ、その“広告予算”を「社員のボーナス」に回すべきだ。そちらの方がよっぽど御社の未来につながる“有意義な投資”だよ。

まったくその通りである。
筆者はファッション雑誌関係の広告出稿を行ったことが多いのでそちらに置き換える。

経営者はよく「今期は利益が増えたから100万円だけ広告に使う」というような判断をくだす。
ファッション雑誌の1Pあたりの広告料金はだいたい100万円が相場だから、その金額だと1回だけの出稿になる。しかし、年間12回発行されるファッション雑誌において、突発的に1号だけ広告掲載したところで何の認知度も高まらない。逆にそれなりに認知度を高めたいなら、年間12回広告を出すのが理想だ。
12回が厳しければ10回でも8回でも6回でも構わない。
とにかく発作的・突発的に広告を出すのが一番無駄である。6回なら6回と年度初めに決めて、その予算はあらかじめ確保しておくべきである。

発作的に出稿した広告はまったく効果が上がらない。
それならこの記事の筆者が主張するように、100万円を社員にボーナスとして支給するとか、社員旅行に招待するとか、社員全員を呑みに連れて行くとかした方がよほど士気が上がる。

抜粋したつもりでも意外に長文になってしまったが、ぜひとも参考にしてもらいたい。

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