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南充浩 オフィシャルブログ

高島屋のバランスの良さ

2013年4月5日 未分類 0

 百貨店について議論するとどうも噛み合わないなと思うことがある。
伊勢丹と阪急についてである。
伊勢丹新宿本店は日本一の売上高を誇る百貨店である。
阪急うめだ本店は、改装期間中は売り場面積減少で売上高が下がっていたが、改装グランドオープン後は増加に転じている。

衣料品業界では「東の伊勢丹」「西の阪急」と長らく並び称されている。

だからこの2つの百貨店が何か打ち出すたびに業界は色めき立つわけである。
しかし、業界が色めきたったところで、消費者にはほとんど響いていないことも多い。
その典型例はJR大阪三越伊勢丹の不振だろう。
「あの伊勢丹が大阪に進出」と業界はヒートアップしたが、消費者はまったく踊らなかった。

しかし、冷静に考えてみれば、不振とはいえ310億円の売上高を新たに作ったのだから効果はゼロではなかった。
衣料品業界やマスコミがヒートアップした原因は、伊勢丹新宿本店のイメージを投影していたからだろう。

これは阪急百貨店にもいえる。
鳴り物入りでデビューした博多阪急は期待ほどの推移ではないと聞く。

伊勢丹と阪急が強いのではなく、伊勢丹新宿本店と阪急うめだ本店が強いのではないかと思う。
その証拠に伊勢丹も阪急も本店以外で成功している店舗がない。
伊勢丹だとJRとの合弁で出店したJR京都伊勢丹が600億円台に成長したくらいだろうか。
阪急だと最近好調な西宮阪急くらいか。

よく「新宿店のテイスト・手法を導入して」などと言われるが、新宿店のテイスト・手法を導入して成功した店舗がない。JR京都伊勢丹だって新宿店とはまるで別物である。

阪急も同じだろう。西宮だって北花田だってうめだ本店とは別物である。

本店のイメージを各支店に投影するのは危険だし、無意味であろう。

以前、ある業界の大先輩が「伊勢丹と阪急は本店が目立つから、注目されるが支店が弱いからバランスが悪い。大丸や高島屋の方が本店・支店とも平均して売上高が稼げている」とご教授くださったことがある。
もう10年以上前のことだ。

2011年度百貨店店舗別売上高ランキング発表
http://building-pc.cocolog-nifty.com/helicopter/2012/08/post-ad34.html

先日、このブログを見て改めてその言葉を思い出した。

このランキングを見ると、

① 伊勢丹新宿本店   235,010(+ 7.1%)
② 西武池袋本店  176,476(+ 5.5%)
③ 三越日本橋本店   165,220(▲19.6%)
④ 高島屋横浜店 131,794(▲ 1.7%)
⑤ 阪急うめだ本店       124,458(▲ 5.1%)
⑥ 高島屋東京店   124,242(▲ 2.2%)
⑦ 高島屋大阪店   117,890(+ 2.6%)
⑧ 松坂屋名古屋店   111,102(+ 1.1%)
⑨ ジェイアール名古屋タカシマヤ 104,002(+ 4.3%)
⑩ 東武百貨店池袋本店   102,936(▲ 5.8%)
⑪ そごう横浜店   100,996(▲ 0.7%)
⑫ 東急百貨店本店(渋谷)   96,999(▲ 2.2%)
⑬ 阪神梅田本店          92,350(▲ 3.8%)
⑭ 小田急百貨店新宿店    87,459(▲ 2.8%)
⑮ 近鉄阿百貨店倍野本店   84,793(▲ 2.8%)
⑯ 大丸心斎橋店        83,944(▲ 5.0%)
⑰ 高島屋京都店         83,378(▲ 2.3%)
⑱ 京王百貨店新宿店      80,814(▲ 1.1%)
⑲ 大丸神戸店          78,796(▲ 2.0%)
⑳ 名古屋栄三越     75,777(+ 1.4%)

と挙げられている。
阪急うめだ本店はグランドオープン前なので売上高が低い。
注目すべきは高島屋で、JR名古屋タカシマヤを入れると、ベスト10に4店舗もランクインしている。
伊勢丹と阪急に比べるとはるかにバランスが良い。
17位にも高島屋京都店がランクインしている。ご存知ない方も多いかもしれないが、京都の河原町にある百貨店はどれも面積が小さい。あの小ささで833億円を売るのだから大したものである。

比較的マシだといわれているJR京都伊勢丹よりも200億円以上多く売る。

大丸は心斎橋と神戸店がランクインしているが、突出した売上高はない。
大丸は梅田店や札幌店など全国で平均的な売上高を稼いでいる。

一つの企業として見た場合、各店舗の売上高のバランスは高島屋がもっともすぐれているといえる。

逆に本店に過度に依存している伊勢丹と阪急はバランスが悪い。
池袋店だけが突出している西武も同じだ。

こうして売上高ランキングを見てみると、世間で流布しているイメージと実際の企業体としての健全さとはまったく異なることを改めて認識する。

衣料品業界関係者が、マスコミの流す勝手なイメージの尻馬に乗って、加熱していてもロクな議論はできないのではないか。

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