足下の敵を討て
2013年1月24日 未分類 0
専門学校で講義をするので、先日、ランチェスターの法則をおさらいしていたら「足下の敵を攻撃しろ」という項目を再発見した。
内容をまとめるとこうだ。
「成熟市場において売上高を伸ばそうとするなら、それは競合他社から売り上げを奪え。その標的は自社よりも1ランク下の敵(=足下の敵)である。なぜなら、自社より強い的と対決しては自社に勝ち目が無い。狙うべきは勝ちやすい相手だ。しかも1ランク下からシェアを奪えば、自社が伸びるうえに敵は弱るので差が倍になる」
非常に理論的に明快であるが、まあ、なんともイヤ~な気持ちにさせてくれる。(_´Д`) アイーン
しかし、である。
もう少し解説を読むと「自社よりも売上高が少ない企業を狙え」とは書いていないことに気が付いた。
「勝ちやすい事業領域を細分化して、地域、販路、顧客、商品などを設定し、そこに経営資源を重点投入する」とある。
攻撃すべき足下の敵は、自社よりもスケールの小さい企業はなく、企業規模は大きくとも、細分化した項目の中で自社が勝てる相手に照準を定めれば良いということになる。
自社が5億円の企業だったとして、3億円の企業を攻撃するのではなく、50億円の企業の弱い部分を攻撃すれば良いということになる。
その弱い部分は商品である必要は無い。地域、顧客、販路など様々な分野がある。
全国展開する大規模チェーン店が進出してきても、特定の地域でのシェアは絶対に譲らない専門店がごくわずかだがある。地域別に勝つとはそういうことだろう。
この顧客層ならあの大規模店に勝てる、この販路ならあの上場企業に負けない、とそういうことを弱者は考えるべきなのだろう。
ずいぶんと血なまぐさい例えではあるが、ランチェスターの法則はもともと戦争から導き出された法則であるのでそれは仕方がない。
逆に言うと、弱者が強者と同じことをやっても勝てるわけがないし、弱者が強者の仕掛けに追随するのは最悪の手法である。
「ユニクロでン十万枚売れたあの商品と同じ素材を使えば、わが社の商品も売れる」と百貨店向けアパレル首脳陣が考えるのは、まったく愚の骨頂である。弱者が強者に追随しても規模と価格で勝てるはずがない。しかし、逆は成功する可能性がある。
弱者が考え出した差別化商品を強者が追随して大規模に展開するという事例はけっこうお見かけする。
売れ行きはまったく芳しくなかったと推測するが、昨年夏にユニクロが発売したステテコなんていうのはその典型だろう。
アズという肌着メーカーが数年かけて開拓した色柄付きのステテコという差別化アイテムにユニクロが追随したことは誰の目から見ても明らかである。
そういうわけで、弱者は弱者らしく、差別化戦略を組んで「足下の敵」を攻撃することをお薦めする。