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南充浩 オフィシャルブログ

衣料品業界人の唱える「別物論」の危険性

2019年4月9日 トレンド 1

10年くらい前まで業界でよく耳にしたフレーズに「ユニクロはファッションとは別物」というのがあった。今でもこれを言う業界人は少なからずいるが、失笑を禁じ得ない。
もちろん、厳密にいえば「別物」なのかもしれないが、実際の消費者はユニクロも買うし、他のブランドも買うという行動をとっている。
恐らくどんな金持ちでもどんなファッショニスタでも何点かはユニクロの商品を持っているだろうし、身に着けているのではないかと思う。
外衣はブランド物で固めていても肌着はヒートテックという人も、とくに女性では多く見かける。
外衣でいえば、例えば、今春のスーピマコットンセーターなんて、特徴的な色を選ばずに黒とか紺とかライトグレーを選べばブランド物と遜色ないから、シレっと着用している人も多くいるのではないかと思う。
 
「別物論」がいかにナンセンスかである。現実は「別物」ではなく「併用」である。
 
3月にららぽーと甲子園に話題の「ワークマンプラス」がオープンした。そして、続けて西宮にデカトロンがオープンした。
メディアは「西宮戦争」なんて煽っているが、微妙にターゲットや商品テイストが異なるから、「戦争」になるのかな?という疑問しか感じない。
左寄りの「平和主義者」が多いメディアはなぜか「ナンタラ戦争」というキャッチコピーをよく使いたがる。実は戦争好きなのだろうか?(笑)
 
ワークマンプラスは幸い内覧会に招いていただいたので、つぶさに見られた。


翌日からものすごい人入りで、商品もほとんど売り切れていると聞いているから、商品が揃っている内覧会に招いていただいたのは本当に幸運だった。
ワークマンプラスは、アウトドア、スポーツ、レインウェアの三つのカテゴリーがあり、それぞれがワーキングとリンクした商品となっているが、「スポーツ」カテゴリーはあまりワーキングとリンクした商品には見えないような商品だと感じる。
もちろん「吸水速乾」のランニングシャツなんていうのもあるから、ワーキングにも使えなくはないが、全体的にはスポーツ色が強いと感じる。

 
 
 
 
デカトロンの店舗はまだ見ていないが、オンラインストアを見ると、当たり前だがスポーツ色が強い。アウトドア色はあまりなく、「使おうと思えばアウトドアにも使える」という感じである。
 
だからワークマンプラスとデカトロンは別物という論調も見かけるのだが、個人的には完全に「別物」とは言い切れないのではないかと思う。
例えば、当方のように週に2回か3回ずつ5キロ~7キロ程度走る「なんちゃってランナー」の場合、そんなに本格的で高額なスポーツウェアは必要ない。
綿100%のヘビーウェイトTシャツだと不快だから、せいぜいが吸水速乾のポリエステルTシャツを買う程度である。
 
当方はこれまでジーユーのスポーツウェアを買っていた。定価で買うのはアホらしいので値下がり品ばかりで、だいたい790~990円に値下がりしたときに買っていた。
今後はその選択肢にワークマンプラスとデカトロンが加わることになる。
初老の「なんちゃってランナー」としては、今後ワークマンプラスとデカトロンを「併用」することになる。
これがマス層の感覚ではないかと思う。
 
 
アウトドアカジュアルにしても同様だ。
ワークマンの防水透湿ジャケットの「イージス」シリーズは欲しいと思う。しかし、それとユニクロを併用したり、ミックスコーディネイトをしたりすることになる。
あくまでも「併用」である。
 
国内のスポーツウェア業界はどうだろうか?
「デカトロンは別物」だと思いたいのだろうか?
かつて百貨店向けアパレルが「ユニクロは別物」と言っていたように。2010年頃は「外資ファストファッションは別物」と言っていたように、「ジーユーは別物」と言っていたように。
アウトドアウェア業界は「ワークマンは別物」だと主張しているのだろうか。
 
デカトロンが大成功するか、ワークマンプラスが目論見通りに成長するかは正直わからない。しかし、当方はワークマンプラスはある程度の売上高は稼げるようになるのではないかと見ている。
デカトロンはちょっとわからない。中国市場ほど店舗数が増えるのかどうかはわからない。国内のイケアのように一定規模で頭打ちになる可能性もあると見ている。
 
それでもある程度はスポーツウェア市場の何分の1か、アウトドアウェア市場の何分の1かは奪われることになるのではないかと見ている。
 
何も590円の吸水速乾Tシャツや390円のリュックにスポーツウェア業界やアウトドア業界が追随すべきだと言いたいではない。そんな価格競争に乗り出しても体力を削られてお終いである。
しかし、古い体質の業界人(年齢に関係なく)にありがちな「別物論」は思考を停止させる危険性が高いということが言いたいのである。
「別物」と見なした瞬間に相手をベンチマークしなくなる。その結果が、ユニクロやジーユーに対しての無残な敗北ではないか。
とはいえ、必要以上に恐れて追随することもない。
過小評価と同じくらい過大評価も危険な行為で自己を見失いやすい。
 
適切にビビりながら、ベンチマークする姿勢こそ重要だといえる。
 
 
 
デカトロンの3人用テントをどうぞ~

 comment
  • おやじ より: 2019/04/10(水) 10:48 PM

    初めまして。
    毎日楽しく南さんのブログ読んでいます。
    ワークマンですが、ららぽーと甲子園よく売れています。公式発表によると初日460万円だったそうです。
    年間最低3億〜4億の見込みのようです。店舗規模を考えるとトップクラスです。商業施設内で場所を選ばず売れる大変強いブランドですね。直接競合するブランドは見当たりません。南さんの見込み通り、これからもますます売れるブランド、店舗だと思います。
    デカトロンは大型総合スポーツ専門店です。日本でのライバルは、ゼビオ、メガスポーツ、アルペン、ヒマラヤです。フランスや中国、東南アジア諸国では通用しても日本では通用しません。競争環境が全く違います。特に競技用スポーツグッズがお粗末だと感じました。シューズを、見ればすぐわかります。
    そもそも色々な競技スポーツに対し、1社で対応することに、無理があります。品揃えが悪すぎました。
    梅田ヨドバシにいったら、ハイアールしか家電製品が置いてなかった!って感じかな?
    日本で生き残るなら、面積をもっと小さくして、例えばファミリー向けアウトドア&アスレジャーに絞り込んでモンベルぐらいのサイズで廉価版としてやれば、面白いかも知れないと感じました。
    西宮戦争はワークマンが2019年ヒットナンバーワンを勝ち取るために、日経記者に持ちかけた出来レース見たいです。提灯記事なので、デカトロンは外れます。

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