「当たり前のこと」は意外に知られていない
2019年1月18日 販促 0
今日は軽く。
当たり前のことだと思っていても、それを発信することは無駄ではない。なぜなら、その「当たり前のこと」を知らない人は世の中にたくさん存在するからだ。
先日、フェイスブック友達がこんなブログをアップしておられた。
葬儀にローファーはありか?
https://sartoria-fisty.net/blog/2019/01/15/132905.html
衣料品業界の人なら「当たり前」のことだろう。答えは業界人ならほぼ誰でも知っている。答えは絶対にNOである。
もちろん、座敷に座ってからの給仕や使い走りの役割があるから、ローファーでないとめんどくさいという場合はある。その例外を除けば、原則的には絶対にナシである。
靴を脱いで家に上がる日本
にはとても向いている
ローファーですが『カジュアル』
な靴であり、『フォーマル』な場面で
使用する靴ではありません
当然葬儀ではフォーマルな
服装が求められます
フォーマルな格好に
ローファーはマナー違反です
ローファーを葬儀で履いて
いいのは学生のみです
と書かれてあり、まさにその通りとしか言いようがない。
こんなことは昔のメンズクラブには何度も繰り返し書かれていた。大げさにいうなら、毎月ほど掲載されていた。
スーツを着るにおいては基本中の基本といえる。
冠婚葬祭などのフォーマルに対応する靴は、内羽根式の紐靴のストレートチップかプレーントゥである。
同じ紐靴でもUチップやウィングチップはカジュアルと判断され、普段のビジネススーツなら大丈夫だが冠婚葬祭には不向きである。
(「オペラパンプス」は、葬儀では不可です。婚儀でも、本来は18時以降でないと着用不可です。
ローファーが不可で、モンクが可、というよりも基本的にスリッポンがあまりフォーマルなものではないのです。
昨今の日本であれば、二枚革仕立てで、トゥーが細いものであれば冠婚葬祭でも大丈夫でしょう。)
という補足をいただきました。
当方は別にスーツの専門家でもないし、スーツの愛好家でもない。なんならスーツ文化を墨守したいなんてぜんぜん思っていない。
しかし、一応、これらのことは基本中の基本だと思っているし、消費者の洋服に関する知識もこの20年でアップしたといわれているから、こんなことは誰でも知っていると思っていた。
ところが、だ。
このブログがフェイスブックにアップされると、そのコメント欄には「知らなかった」という類のコメントがズラリと並んだ。
しかも書いている人は恐らくは30代~40代の男性だろう。
業界人では当たり前のことでも知らない人がこんなに存在することに驚くとともに、勉強にもなった。
当方もそうだが、やっぱり、業界の人は当たり前のことをわざわざ発信するのはなんだか無駄なように感じるのだと思う。
そんなものを書いたところで誰が読むのだろうと思うし、誰の役に立つのだろうと訝しく思う。
だから、当たり前のことをわざわざ書きたいとは思わなくなる。しかも消費者は情報量が昔に比べて圧倒的に増えている。
20年前のメンズクラブに掲載されていたような「洋服の基礎知識」なんてほとんどの人が共有していると思ってしまっていた。
しかし、これを知らない人は予想以上に多くいた。
今まで何度も書いてきたが改めて書くと、やっぱり当たり前のことでも書き続ける必要があるということである。
デニム生地は使い古されるとどうして色落ちするのか、とか、ウールの生地を洗濯するとどうして縮むのか、とか、そういう「当たり前のこと」もいまだに知らない人はきっと世の中にまだ大勢いるのではないだろうか。
衣料品業界にはさまざまな専門家がいるし、さまざまな特化したブランドがある。そういう人たちやブランドの発信はより専門的になりすぎていないだろうか?
インターネット上で、反響が多いのはいつだって、「めちゃくちゃ専門的な内容」よりも「ちょっと浅めの内容」の方である。
あまりにも専門的すぎると、専門家にとっては勉強になるが、そうではない人たちからすると知識がなさすぎてコメントができないということになる。
個人的には全然好きじゃないウェブメディアだが、ニューズピックスではファッション関連でいうとユニクロとZOZOとバーバリーに関する話題になると圧倒的にコメントが増える。
一方、例えば三陽商会の「エポカ」になると途端にコメントが減る。
ユニクロと同じグローバルSPAでもH&Mのことになると途端にコメントが減る。
結局のところ、そういうことだ。
そうなると、各ジャンルでは何を発信すべきかお分かりではないだろうか。
各社・各ブランドがある程度のマス層に売りたいのであれば、ものすごく「当たり前のこと」を発信する方が効果的だということである。
反応染料とスレン染料の違いとは?
なんていう発信をしてもマスには「なんのこっちゃ?」にしかならない。
そうなると、どういう発信をすれば、ファンが獲得できやすいかということがわかるのではないだろうか。
意外に反響があった冠婚葬祭向けの靴の発信を参考にしながら改めて考えなおしてみてはどうだろうか。
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