「好きこそ物の上手」とは言うものの・・・・・
2012年11月21日 未分類 0
一般的に大量生産品と認識されているナショナルブランドのジーンズメーカーのスタッフも意外にビンテージこだわり派が多い。
「好きこそ物の上手」というくらいだから、商品が好きであることに越したことはないのだが・・・・。
もう時効だと思うので書いてみたい。
ボブソンの担当になったのは98年ごろだったと記憶している。
もちろん、営業権が譲渡される前の旧ボブソンである。
岡山県庭瀬にある本社に何度も取材で通った。
担当になったばかりの98年か99年ごろだったと思う。
90年代前半から半ばにかけて一大ブームとなったレーヨンジーンズのことを質問してみた。
あれは物凄いブームだったので、社内でも絶賛されたのではないかと想像していた。
販売職だった当時、ボブソンの「04ジーンズ」は平日でも10本近く販売できるほどで、休日ともなれば20~30本は販売した。
7900円×10本だからそれだけで79000円の売り上げが稼げるありがたい商品だった。
98年ごろの現場のスタッフからは意外な答えが返ってきた。
「大ヒットして会社の収益にも大いに貢献したんですが、それでも『あんな商品はジーンズじゃない』と反対する人たちが相当数存在し続けました。最後まで根強い反対派がいました」という。
駆け出しの筆者はちょっと驚いてしまった。
「あれほど売れに売れたのにですか・・・・・?」
その後もボブソンの方々とは取材で何度もお会いした。
ボブソンは保温効果のあるホットジーンズを業界に先駆けて開発したり、紫外線に当たると一時的に変色するという意味のわからない「カメレオンジーンズ」を開発したりと、「04ジーンズ」が終わった後も積極的に新商品の開発を続けた。
そのたびに社内の「王道ジーンズ派」からは反対の声が挙がっていたという。
新商品についての賛否両論があることは仕方がない。
むしろ健全なムードだと思う。
しかし、その「王道ジーンズ」にこだわりすぎた故にブレイクスルーできなかったのではないかとも思う。
こういうトピックスはボブソンだけに限らず他のNB各社でもよく耳にした。
2000年代半ばまでは2,3年おきにジーンズに小トレンドが存在した。
それはローライズだったり、ストレッチだったり、スキニーだったり、高額インポートだったりしたわけである。
そのたびごとにNB各社の「ジーンズ王道派」からは疑問や嘆きの声が少なからず飛び出していた。
王道ジーンズを否定したいわけではない。
そういう商品作りのノウハウも末長く引き継がれていくべきだと考えている。
しかし、王道ジーンズばかり作っていてもマニア以外には売れないわけで、目先を変えた商品が必要となる。
むしろ目先を変えた商品の方が重要かもしれない。
となると、王道ジーンズへの過度のこだわりはいかがなものだろうか。
個人の趣味としてならまったく構わないが、趣味と業務が混同するようではかなり危険だと感じる。
あれから年月はかなり経っているから各社のムードもだいぶ変わっているのだろう。
ジーンズ専業メーカー各社が生き残るためにも、柔軟な姿勢での商品開発を大いに望みたい。