気温は単なる言い訳
2012年11月16日 未分類 0
先日、繊研新聞を読んでいたら10月の百貨店売上高が軒並み苦戦し、その原因が厳しい残暑のためだったと書かれていた。まあ、たしかに10月は暑かったのだが、10月が暑いのは今年に始まったことではない。
ついでに9月の商況が厳しかったのも厳しい残暑のせいだとあるが、9月は毎年暑いのである。
先日、ワールドの中間決算が発表されていた。
ワールドの4~9月連結決算は売上高が1585億円(前年同期比5.4%増)だった。損益面では営業、経常、純損益がそれぞれ23億円、38億円、39億円の大幅な赤字となった。ゴールデンウイークの計画未達や春夏セールの分散化、9月の猛暑、残暑と台風などの天候不順が収益を圧迫した。
(繊維ニュース)
ここでも不振の原因は「9月の猛暑」とされているが、記憶に残っている限り、涼しかった9月など体験したことがない。
ためしに大阪の気温変化表を見てみる。
http://www.canacana.net/kion_3.htm
2008年から2012年の月別の気温変化がグラフにまとめられている。
縦にスクロールすれば年が、横にスクロールすれば各月が見られる。
このグラフを見るとわかるが、2012年9月は2011年9月よりも残暑がマシである。
昨年の9月は13日ごろまで34度を超える最高気温が続いているが、今年の9月は7日ごろまで最高気温は30度を越えていない。
10月を見る。
今年の10月は7日ごろまで気温は低く、中旬以降気温が高くなっている。
昨年の10月は10日ごろまで最高気温が28度前後もあるが、下旬は最高気温が20度を下回る日がありすずしくなっている。
2010年の10月は下旬に最高気温が跳ね上がり26度もある。
2008年の10月だって月末に突如として最高気温が跳ね上がっている。
こうして見ると、10月は毎年最高気温26度以上の日がかなりの期間続いていることがわかる。
となると、なぜその対策を怠ってしまうのか。
毎年9月も10月も暑いのである。一般的に想像される「秋らしい」気候になるのは11月である。
もちろん、大阪だけの統計なので東京や名古屋はまた違った動きを見せるだろうが、そう大きくは変わらないはずである。
ついでにいうなら、3月と4月は毎年寒い。
3月の平均気温は12月とほぼ同じである。
半袖アイテムなんてとてもじゃないが着用できない。12月に半袖アイテムを販売しているショップはないはずである。
業界には「体感気温MD」なる言葉がある。
しかしこれを実践しているブランドはあまり見かけない。
気温に即してアイテムを組み立てるなら9月、10月は「半袖・夏素材・秋カラー」のアイテムを、
3月は「長袖・冬素材・春カラー」のアイテムを販売すべきだろう。
売上不振の原因で「気温によるもの」と書かれている場合は、それは単なる言い訳にすぎず、マスコミもあまりまともに報道すべきではない。