現在のままで以前の栄光を取り戻すことはあり得ない
2012年11月7日 未分類 0
ナショナルブランドと呼ばれるジーンズ専業メーカーの世界が近々すべて覆りそうな気配である。
全盛期には売上高100億円を越える会社が数社あり、中堅といわれた会社でも売上高が数十億円以上あった。
今、売上高100億円を越える会社は1つか2つである。
リーバイ・ストラウス・ジャパンは今11月期連結の売上高を97億円と発表しているので、100億円を下回ることになる。
ボブソンは市場から消滅してしまった。
それ以外の企業も軒並み売上高が縮小しており、ピーク時の3分の1とか5分の1程度の企業も珍しくない。
ナショナルブランドのジーンズ専業メーカーの多くは売上高が30億~20億円程度である。
そしてこの縮小する期間が短期間である。
15年とか20年かけて縮小してきたのではない。ここ数年でこれだけ売上高が下がっているのである。
早い話が、100億円くらいあった売上高が数年間で30億円弱にまで縮んだということである。
よほどの資産を持っていない限り経営はかなり厳しいと見るべきだろう。
倒産したボブソンだって、まだ2005年には売上高が128億円あった。
倒産時は変則決算だったため、単純比較はできないが12カ月換算するとだいたい30億円内外である。
子供服を手放し、GMS販路を絶ったとしてもたった数年で4分の1にまで縮んでしまえば経営のかじ取りはかなり厳しいものがある。
そして、この傾向はボブソンだけのことではなく各社に共通している傾向である。
某社は商社の傘下に入るだとか、某社は近々廃業か倒産するのではないか、とかそんな噂ばかりが流れている。
ナショナルブランドの専業メーカーの経営者の中には「以前の栄光をもう一度」と考えておられる方も多くいらっしゃる。しかし、残念なことに以前と同じ規模には戻ることがないと推測される。
企業規模が以前並みに戻ることはあるかもしれないが、それはまったく新しいやり方に変えてそれが成功したときだけだろう。
例えば、ライトオンスからヘビーオンスまで縫製できる設備を持っているなら、それを活かしてパンツ以外のアイテムを製造するとか、自社の製品はサンプルとして扱い、完全な縫製工場に徹するとか。
また、トータルアイテム化してカジュアルSPAを目指すのもありだろうし、少なくとも仕入れ商品とのミックスで直営店化を考えるのもありだろう。
ただ、以前のようなカジュアルパンツ専業の卸売りメーカーとしてでは、現在の売上規模の20億~30億円程度が限界ではないかと思う。
今までとスタイルを変えることはある意味で「リスクを取る」ことになるが、成功する場合もあるだろうし、シャープのようにほぼ失敗に終わるケースもある。
もはや、経営陣の覚悟一つではないだろうか。