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南充浩 オフィシャルブログ

凋落の原因は直接販売の有無では?

2012年11月6日 未分類 0

 先日、国内家電メーカーのことを分析していたブログを拝読していて、大筋では賛同できたものの、細部ではどうなのかな?と思ったことをつらつらと書いてみたい。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20121103

振り返れば家電各社の凋落は、20年以上前、いわゆる量販店に価格決定権を握られ、その状況を長らく放置してきたことから始まっています。

業績不振の原因はあれこれ取りざたされているけれど、20年も前に価格コントロールを手放し、それを放置してきたことが業界凋落の原点であることは、忘れるべきではないでしょう。

とある。でもこれは微妙に違うような気がする。
衣料品業界を見ると、いまだにメーカーが小売価格を決定していることが多い。
とくに卸売りアパレルはその典型である。
しかし、メーカー側は価格決定権を握ってはいるが、一部企業を除いて業績は右肩下がりである。

一方、よく言われるように、欧米では小売店が仕入れた衣料品の価格を決める。
例えば、メーカーの卸値が4500円で統一されていたとして、小売店側が自由に販売価格を決めるのである。
卸値が4500円の同じ商品でもA店は7000円で販売し、B店は10000円で販売するということが普通にある。

日本ではそういうことはない。リーバイスの新規投入商品は日本全国どこでも統一価格で販売されている。
稀にお店のイベントとして20%とか30%オフにされている場合があるが、それもイベント期間内の限定価格である。

家電と衣料品を単純に比較するのは無理があるのかもしれないが、メーカー側が価格決定権を握っていても低迷している衣料品業界みたいな業界もある。一概に価格決定権がどの分野にあるのかは低迷の理由にはならないような気がする。

で、このブログに補足・補完しつつツッコミを入れているのがこちらのブログ。
両方を併読すると面白いのではないだろうか。

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/11/post-de52.html

このブログでは家電の凋落について

販売を行うにあたって量販店からの”逆襲”を恐れて一番利幅の高いコンシューマーに対する直接販売の道を積極的には拓いてこなかった営業戦略上の問題ということもできなくもありません。

と述べている。
これには深く賛同したい。

価格決定権を持つ卸売り型アパレルの凋落の原因も同じだと思う。
消費者への直接販売を行ってこなかったことに尽きるのではないか。
その代表例がワイシャツ専門メーカーやジーンズ専業メーカーだろう。
彼らは価格決定権を持っていながらこの10年で凋落の一途をたどっている。まさに日本の家電メーカーと同じ匂いがする。

さてこのブログでは、シャープについても言及しておられ、これには目から鱗の思いだった。

シャープの経営難をバーカwwwと詰るのは簡単です。
ただ、いろいろな経緯はともあれ、液晶こそが次世代の表示系パーツの切り札として経営資源を液晶に集中し、リスクを取りにいった経営を否定するのは良くないことかとも思います。というか、最終製品のメーカーとしてのシャープの生き残りを悲観し、キーパーツ、キーデバイスを押さえて世界市場で戦える生産拠点を作ろうと判断したシャープは相応にギャンブラーであり、現在の苦境はその賭けに負けちゃっただけ、と見ることも出来るからです。
ギャンブル外れてバーカというのは簡単ですが、リスクを取れない日本企業、と揶揄しながらも、きちんとリスクをとりにいってはいたシャープのそこのところをコケにするのは矛盾が大きいと思います。

なるほどである。

たしかにシャープはギャンブラーだったと思う。
そしてその賭場が悪かったり荒れていたり、途中でルールが変わったり、イカサマを使われたりしたため負けてしまったのだろう。もちろんギャンブラー自身の読み違えも多数あっただろう。

それでも「選択と集中」という言葉をある意味愚直に信じて、本当に液晶テレビに集中してしまったのだから大した肝っ玉だと見ることもできる。
それこそ「リスクを取る」日本企業だったとも見なせる。
(当時に経営陣がリスクを感じていたかどうかはわからないが)

さてさて、先ほどのワイシャツやジーンズの専業メーカーもある意味でギャンブラーだったのだろう。
この10年間負けっぱなしではあるが。

しかし、敗色が濃厚となった現在、すみやかにリスクを軽減するための新しい施策が必要だろう。
いつまでも過去の栄光を思い出して反芻していても仕方が無い。

そのためには、トータルアイテム化と消費者への直接販売を強化するほかないのではないだろうか。
もしくは自家工場を活かして製造業に徹し、OEM業態に移行するか。

どちらも厳しい選択だが、シャープがAppleの液晶画面の製造工場になろうとしているのは、さすがの舵取りと言えなくもない。(なれるかどうかはわからないけど)

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