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南充浩 オフィシャルブログ

小売業はいかにローカル化するかがカギ 売れ筋は地域ごとに絶対に異なる

2018年10月10日 お買い得品 0

グローバルブランドの売上高分布を見ると、世界中で満遍なくほぼ同等の金額が売れているブランドというのはない。やっぱり地域別に得意不得意がある。
ユニクロは圧倒的にアジアが強い。一方GAPは圧倒的にアメリカ本国が強い。
H&Mはアメリカでも強く店舗数が400店もあるが、ZARAは最近アメリカで注目されているとはいえ、店舗数は80店舗ほどで進出してから20年も経過している。この20年間はそんなに強くなかった。
個人的には、全世界で満遍なくほぼ同等の金額が売れるブランドなんて出現しないのではないかと思っている。
で、日本国内だけを見ても同一ブランドで売れ筋商品が地域ごとにまるで違う。国内の地域ですら好みが違うんだからそれよりも範囲が広い国単位では、好みが違って当然である。
今回、ちょっと驚いたことをまとめてみる。当方御用達のユニクロのセール品である。
当方が教える専門学生に大阪南部の泉南地域のユニクロでアルバイトをしている者がいる。
いつもユニクロの商品情報を交換していたりするのだが、今夏のユニクロUの商品でこんなことを7月上旬か6月末ごろに言っていた。

「ユニクロUの半袖開襟シャツの中で濃いマスタードが一番人気で、定価で完売してしまいました」

と。
ユニクロUが今夏向けとして発売したレーヨン50%・綿50%素材の半袖開襟シャツは、白・黒・褪せたオリーブグリーン・緑がかった紺・濃いマスタードの5色が展開された。
定価は2990円(税抜き)である。
これは昨年夏も投入された商品で、非常に好調に売れており、急遽追加生産までされた。この辺りは人気ブロガーMB氏も自身のブログで触れている。
昨年物より今夏物は少し生地が薄くなった感じがするが、まあ、昨年夏の好調商品のリバイバルといえる。
これが投入からあまり時間が経過していない6月下旬ごろには濃いマスタードが定価で完売したのだからすごいといえる。
当方も今年こそ、値段が下がったら買おうと思って待ち構えていたところ、7月上旬に「期間限定」で1990円に値下がりした。
その際、どの色を買おうか迷った。
5色全部買えよという声も聞こえてきそうだが、あいにくと服はたくさん持っているし、着るか着ないかわからない色を買うのも嫌なので、どれか一枚にしようとして悩みに悩んだ。
白はまず着ない。通常の紺色は好きだが緑がかった紺色は嫌いだ。
だからこの2色は外した。
黒はどうせたくさん作っているだろうということで、「完売した」と聞いている濃いマスタードか褪せたオリーブグリーンかで悩んだ結果、汎用性が高そうな褪せたオリーブグリーンを選んだ。
この時点で大阪市内のユニクロを複数店見たが、濃いマスタードは豊富に各店とも残っていた。
しばらくすると、また「期間限定」が始まり、その後、値下げされて新価格1990円となった。
この時点で、黒を買った。これで2枚目である。濃いマスタードはまだ豊富に残っている。
で、このころから濃いマスタードだけが販売不振なのか、他の4色よりも大幅に値下がりし始める。
4色が1990円に値下がりしたころ、マスタードはすでに990円になり、その後、790円、500円へと急速に値下がりし続けた。
今年春からの傾向だが、ユニクロは不振色柄だけを大幅に急速に値下げするようになっている。
ついにお盆のころには500円になってしまっていて、当方はついつい安さに負けて濃いマスタードを買ってしまった。

500円に値下がりして購入


 
ついでにいうと、この500円の時点でも各店にはそれなりの枚数が売れ残っていた。
結局、この夏、この半袖開襟シャツを3枚買ってしまった。
濃いマスタードが500円にまで値下がりしているということは、この色は全国的には不振色だったといえる。そうでなければ、他の4色と同じ値下げペース、値下げ幅で落ち着いていたはずである。
ところが、泉南地区のユニクロではこれが定価で完売してしまっている。
これはどう考えても、地域差・地域特性によるとしか思えない。
「デザインがベーシック」だといわれ、マス化して全国的に消費動向が同じだと思われがちなユニクロでさえ、地域によって売れる色柄が大幅に異なるということである。
実はこういうことは以前からよくあって、心斎橋店では完売しているがあべのキューズモール店では豊富に残っている商品とか、その逆とかがけっこうあった。
今はダイソーに変わってしまったが、新今宮駅前の路面店だと、メンズのピンク色アイテムがよく売れ残っていた。西成地区の男性はおそらくピンク色のシャツとかセーターをあまり好まないのだろうと思う。たしかに西成のオッサンとピンクのセーターはあまりマッチングしない。
大阪府内・大阪市内だけでこれだけの差があるのだから、日本全国、世界各国だとどれほどの差が生じるのかは簡単に想像できる。
そしてそれが均一になることは今後もないだろうと思う。
ユニクロに限らず、どのブランドも解決方法としては店舗間移動をどれだけ迅速にするか、ネット通販と在庫を一元化してそちらに不振色品番を流すか、しかない。
蛇足ながら、ユニクロオーサカに立ち寄ることがある。
トーマス・マイヤーコラボのスーピマコットン半袖Tシャツが8月から値下がりしていて、9月中旬にちょっと1枚買おうかと思った。白・黒・紺・カーキの無地4色が790円に値下がりしていたからだ。
そこでユニクロオーサカに立ち寄ったところ、その不良品が290円で売られていた。当方が買った商品には「色ムラがあるため」と書かれていて、裏も表も何度も見直したが、色ムラらしい色ムラは発見できなかった。品質基準が厳ししぎるのではないかと驚いたが、とりあえず紺色を買った。
 


もちろん不良品の中には明らかにわかる「日焼け」とか「ほつれ」があるが、こういう掘り出し物もあるからときどきチェックしてみるのも良いのではないかと思う。
マスタード開襟シャツと紺色スーピマコットンTシャツ2枚合わせて790円(税抜き)という破格値の買い物をしたという話である。
 

NOTEの有料記事もよろしくです。
地方百貨店を再生したいなら「ファッション」を捨てよ
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n56ba091fab93
2016年に行ってお蔵入りした三越伊勢丹HDの大西洋・前社長のインタビューも一部に流用しています。

 
この本の主張は一理あると思う
 

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