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南充浩 オフィシャルブログ

ファッショントレンド陰謀論は論理破綻していると思う

2018年6月1日 トレンド 0

一部からは「トレンド不要論」「トレンド陰謀論」があるが、2018年の現在にどうしてこれを唱える必要があるのか甚だ理解に苦しむ。
2010年以降は本当にファッショントレンドの変化が緩やかになるとともに、多様化が定着してきた。
例えばズボンの形を見ると、2008年から超細身のスキニーパンツが流行した。その反動が2015年の極太シルエットのガウチョパンツブームといえる。
現在はガウチョパンツ人気から派生したワイドパンツ着用者をけっこう見かける。
これが2000年前半までの日本なら、スキニーパンツ着用者は絶滅してしまうのだが、2018年現在でもスキニーパンツ着用者はそれなりに見かける。しかもそれが「ダサい」と言われることなく、普通に街を闊歩している。
なんなら、同じ人が月曜日はワイドパンツを穿き、火曜日にはスキニーパンツを穿くというようなライフスタイルになっている。
トップスもそれまでの超タイトシルエットからゆったりシルエットが増えたが、それでもタイトシルエットトップスが絶滅したわけではない。日によって、気分によって着用し分けているというのがリアルな生活者のスタイルである。
ファッションジャンルも多岐に渡って細分化されていて、それぞれがそういうジャンルとして認められている。
アメカジ、ミリタリー、スポーツ、モード、セクシー系、ワーク系、ナチュラル系などなどだ。
80年代のようにDCブランド一辺倒とか、90年代半ばのようにビンテージジーンズ一辺倒なんていう偏りはない。
80年代や90年代、2000年前半に比べて2018年はファッションに関しては格段に暮らしやすくなっているといえる。
トレンドの変化が激しく、トレンド一辺倒だったころに「トレンド追随の愚」を説くのなら理解できるが、今、この状況でそれを唱える意味がわからない。
ファッショントレンド自体は、ローマ時代からあるし、我が国の衣服だって時代とともに流行り廃りがあって今に至っている。
平安時代と室町時代と江戸時代でそれぞれ服装が異なっているのはそのためだ。
トレンド不要論は、現在のトレンドが人為的に作り出されているという点に立脚していることに特徴がある。
トレンドを作り出しているのは、ラグジュアリーブランドであり、グローバルブランドであり、素材メーカーであり、国内アパレルブランドだといういわば「陰謀論」だといえる。
しかし、これにも疑問があって、世界的人気ブランドといえども全世界で満遍なく売れているわけではなく、各国の気質も違うので売れ行きには差がある。
例えば、ZARAだが、最近ようやく上昇基調になったとはいえ、アメリカでは進出してから20年間苦戦し続けてきた。
店舗数もいまだに100店舗もない。
フォーエバー21は、日本に上陸した当初は華々しかったが、そこから停滞しており、店舗数も20店舗に達したが、そこから徐々に減っている。
ヴェルサーチが一度日本から撤退したこともある。
ファッショントレンドはもちろんブランド側が仕掛ける場合も数多くあるが、その仕掛けが成功しないことも数多くある。
その一方で、やっぱり着こなしにはそれなりのトレンドがいつの間にか生まれることもある。
2010年ごろまでは上下ともにピタピタの細身シルエットだったが、やっぱり長年そればかり着ていると飽きてくるから、2015年ごろからはビッグシルエットやルーズシルエットを支持する人が増えた。
かといって、昔のようにビッグシルエット一辺倒にならないのが今の我が国の消費者心理なのだが。
今では冬の定番となったビジネススーツのインナーにダウンベストを着るという着こなしだが、あれはもちろん業界が仕掛けた側面も強いが、試してみて不具合があれば支持されない。具合が良ければ支持される。
多くの人が試してみて具合が良いと感じたのだろう、今ではサラリーマンのおっちゃんの多くが、ジャケットの下に薄手のダウンベストを着ている。

ところが、それが定着すると「あれはサラリーマンみたいでダサい」という声が挙がり、ジャケットの下に薄手ダウンベストを着用することを避けるファッション好きも現れてくる。
定着と揺り戻しの繰り返しがファッショントレンドだといえる。
ビッグシルエット着用者が増えると、今春夏はブラウスの前だけをタックインして後ろを垂らしているという着こなしが流行している。
https://arine.jp/articles/8799

理由はいろいろと考えられる。
1、キメ過ぎないさりげなさを演出している
2、ビッグシルエットをインせずに着ると、単に太っている人に見えやすいから、「ウエストはくびれていますよ」ということをアピールしている
3、ダラっと長く見えてしまうから前だけをタックインすることでバランスを取って、さらに足を長く見せるために腰の位置をアピールしている
などなどだ。
ファッション雑誌がレクチャーしているとはいえ、やってみて不具合を感じたらだれも継続しないが、それなりに具合が良いと感じる人が多いから継続されているといえる。
こんなふうに企業や業界の仕掛けと消費者の評価が合致すればトレンドはマス化するし、合致しなければ即座に終わってしまう。
トレンドなんてそんなもんである。
ブランドが人為的にファッショントレンドを作り上げ、人為的にマス化させることが仮にできるとするなら、どうして各国と我が国のアパレル企業はこれほどに業績を悪化させているのか。
そこまでの全能さがあれば、業績は少なくとも悪化しないはずだ。トレンドを自在に引き起こしてその商品を大衆に売りつけるのだから業績が良くなることはあっても悪くなることはないはずだ。
ところが現実は逆で、多くのアパレル企業の業績は悪化している。
安倍政権になってから我が国は株価が伸びている。
これを指して「政府だから株価を操作できる」という陰謀論を唱える者がいるが、ならどうして、民主党は政権時に株価を操作して上げなかったのかということになる。仮に操作できるのにしなかったとしたらよほどのバカがそろっていたということになる。
政治にしろ、経済にしろ、歴史にしろ過度な「陰謀論」はフィクションとしては面白いが現実的ではない。
トレンド陰謀論もこの類だといえる。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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