アパレル業界の三大あるある ~連戦連敗しながら企業を渡り歩く猛者とそれを迎え入れる経営者~
2018年5月24日 誰がアパレルを殺すのか 0
繊維・アパレル業界の三大あるある。
1、大手企業に所属していた元役員や元事業部長が独立後連戦連敗にもかかわらず口先三寸だけで企業を渡り歩く
2、その「連戦連敗君」を碌に吟味せず異様な高給で迎え入れる経営者(普段は1万円の支払いでもケチるくせに)
3、代替わりした経営者が各不採算部門と一緒に「連戦連敗君」もばっさり切り捨てる
こんな構図は当方が業界に入ってから嫌というほど見てきた。
ファーストリテイリングの柳井正会長の著書タイトルにもあるように、物事はすべからく「1勝9敗」的な要素があるから、負け数が先行していても一概に無能者とは言えないが、0勝6敗だとさすがに無能なのではないかと思うが、それでもそういう「連戦連敗君」には絶えず仕事依頼があるという不思議さである。
とはいえ、柳井氏の1勝は1兆8000億円だからそこらあたりの1勝とはケタが3つくらい違う。
先日、久しぶりの知人から連絡がきた。
いろいろとボカしながら書く。
知人が所属していた問屋兼OEM屋みたいな会社が代替わりをしていろいろと不採算部門を新社長が切り捨てたらしい。
その会社が3~4年くらい前に、新規事業の一つとしてアパレルブランドを立ち上げた。
そのブランドには別の知人も加わっていたため、当方には定期的に展示会の案内が来ていた。
ところが、最近、展示会案内が来なくなった。
当方は別に今は繊維業界紙の記者ではないし、お邪魔したところで必ずどこかの媒体に記事を書けるわけでもない。
だから、呼ばれなくなっても当然なので、まあそんなものなのかなあと思っていた。
理由は新社長に不採算部門として切り捨てられたということになる。
なんだか気の毒だなあと思っていたところ、また別の知人からも連絡が来て、その話になった。
新規ブランドの立ち上げなんて、今時厳しいに決まっている。
そこれそホリエモンだとかそれくらいの有名人でない限り、なかなか売れない。
だから、その新規ブランドの担当者たちも苦戦していた。
あまりに給料が低すぎるとやる気はなくなるが、軌道に乗っていないブランドの担当者に高給を支払うのは難しい。
実際のところ、その新規ブランドの責任者は、某大手アパレルに所属していたことがあり、その経歴と巧みな弁舌を持って、相当に高給を得ていたそうである。
なんだ、どっちもどっちじゃないか。(笑)
これはたまたま身の周りで起きた案件だが、こんなことは珍しくない。
かつて大手アパレル〇〇にいたと鳴り物入りした人物が赤字を垂れ流したり、不可解な指示を繰り返して経営危機に陥れたりということは日常茶飯事である。
負債総額60億円強で経営破綻したオルケスもそういう企業の一つだった。
今では美化されている某カリスマが、1年間の勤務で、8年間分の在庫を作って去っていたなんていう企業もある。
一方で、オルケスの前身であるアパレル企業を黒字化させ、その後、メガネスーパーを黒字化させて2連勝中の星崎社長の手腕はすごいと言わざるを得ない。
一概に経歴と口先三寸だけでは判断できないが、その中にはたまに本物も混じっているから人物登用は難しい。
実務者ではなくて、この手の「連戦連敗君」がコンサルタントに転じる場合もある。
もちろんコンサルタントになっても連戦連敗は続く。
にもかかわらず、お仲間でコンサルティングチームを作って仕事を回し合いしているから、意外に仕事は途切れない。
おまけにその料金は高額だが、経営者は意外にあっさりと引っかかってしまう。
連戦連敗君たちは処世術だけには長けているので互助会システムを構築しているのである。
この才能がどうして実務に生かされないのか不思議でならない。
国内のアパレル業界はだいたいこんな感じで回っている。
海外の業界については知識がないが、もしかしたら他国のアパレル・ファッション業界も似たような構図なのかもしれない。
それにしても「実務者」として登用する場合は、所属する企業の風土や人間関係も影響するから成功できなくても仕方がない。
ところがコンサルタントだと、実際に社内に入って実務を担当するのではないから、その提唱している理論や理屈が事業の成否を大きく左右する。
提唱する理論が間違っていれば、それはほぼどの企業、どのブランドで試してみても失敗に終わる。
こちらの方が、「実務者」としての登用よりも正解か不正解かはわかりやすい。
例えば、当方は「52週MD」「クイックレスポンス対応」「タコヤキMD」「プロパー消化率」などの理論を一切修正することなく、そのまま提唱しているコンサルタントはあまり信用しない。
なぜなら、それを全面的に実行してかつて隆盛を築いたワールドがその後どれほどの経営危機に見舞われたかを知っているからだ。
その理論には正しい部分もあったが、すべて正しいわけではなかったし、2008年以降の時代の風潮にも適合できていない部分があった。
だからワールドは経営危機に見舞われたといえる。
だから、その理論は時代に応じて少しずつ修正されてしかるべきであるのに、まったく修正せずに提唱している人もいる。
そういう人の理論を登用すれば失敗するのは目に見えている。ワールドに限らずそういう人の理論を登用して失敗に終わったブランドは枚挙にいとまがない。あのブランドとか、あのブランドとか。
まあ、そんなわけで、今日もアパレル業界は平常運転を続けているのである。(笑)
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原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
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この本読んでみようかな。52週MDで営業力強化だけでなく組織風土まで改革できるとは。(笑)