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南充浩 オフィシャルブログ

洋服の価格はユニクロが基準に

2011年9月8日 未分類 0

 先日、老舗ジーンズメーカー・ビッグジョンの取材をした。
その席上でビッグジョン側から「消費者にとってベーシックなブルージーンズの価格は、ユニクロ基準になっています」との発言があった。
これに対しては賛否両論あるだろうが、個人的には「ジーンズ」というアイテムの現状を客観的に正しく見ていると評価したい。

ユニクロのジーンズは3990円である。
これを定価で買う人間はあまりいないと思う。
急いで定価で買わなくても数量はたっぷり揃えてあるし、何週間かに一度必ず土日値引きの対象商品となる。
だいたいの場合2990円だが、ごくまれに1990円に値下がりするときもある。
おそらく大概の消費者は2990円で購入していると思われる。

さて、ビッグジョン側の分析であるが、
「定価3990円のユニクロのジーンズを大半の人間が2990円で買っている。われわれジーンズ専門メーカーが同じクオリティの商品を同じ価格で製造できるかと言われれば、まず不可能である。どうしても5990円くらいになってしまう」という。(ユニクロの生産数量がケタ外れに多いので、1枚当たりの生産コストはビッグジョンよりも安くなる)
さらに「だとすると消費者は、我々のジーンズを5990円で買わない。ユニクロのジーンズを、しかも土日値引きの2990円で買うだろう。我々のジーンズは、ユニクロよりも圧倒的に素材感やシルエット、デザインなどのクオリティを高めて8000円以上や10000円以上の商品にするしか方法がない」と続けた。

そして「だから我々は4990円とか5990円という中間価格帯を止め、8000円以上・10000円以上の高額商品を強化するという施策を採ります」と結論付けた。

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なぜ、こんな話をするかというと、「ユニクロ価格が基準」というのは、何もジーンズに限ったことではないと考えているからである。
例えばTシャツ、ラムウールセーターなども「ユニクロ価格が基準」だろうし、それ以外の多くのカジュアルアイテムの価格も「ユニクロ基準」であると思う。

ちょうど10歳年下の東哲平というデザイナーがいる。
大阪拠点で「RBT」という自分のブランドを展開している。
10歳年下の割にはなかなかしっかりしており、こちらがたしなめられることも多い。

彼もベーシックなグラフィックプリントTシャツは値段が通らないということでほとんど製造していない。
目には見えないが、「ユニクロなら1500円という基準」が存在しており、ベーシックグラフィックTシャツを5000円くらいで製造してもほとんど売れないのだという。
思い切って切り替えを多用したり、デコラティブなデザインにして10000円前後の値段を付けた方が売れるのだそうだ。

Tシャツに絞って考えるなら、「ビームスやユナイテッドアローズのPBはどうなんだ?」という疑問も湧く。
現在の店頭を見るとビームスのPBのグラフィックプリントTシャツの中心価格は2000円台~3000円台が中心であり、ユナイテッドアローズもほとんど同レベルだろう。
ユニクロのTシャツとの価格差は500円~1500円というところだろうか。

これくらいならの価格差ならビームスやユナイテッドアローズのブランド力があれば、かろうじて対抗できる。
蛇足ながら付け加えると、いくらビームスやユナイテッドアローズのブランド力でもPBのベーシックなグラフィックプリントTシャツが5000円を越えればそうそうは売れない。
5000円以上の価格で売れるのは、PBでも圧倒的に変わったデザイン・色柄・グラフィックの商品か、他社から仕入れた圧倒的に強いブランド力のある商品かのどちらかである。

しかしRBTのような小規模で知名度もそれほどないブランドの場合、5000円のTシャツでは到底ユニクロに太刀打ちできない。
だから「ベーシックではない」デザインで10000円以上のTシャツにするのである。
明らかに差別化できるから。

ついでに言えば、無地のラムウールセーターなら「ユニクロの1990円」が間違いなく一つの基準となる。

結局、他のアイテムや他のブランドでも同じであるが、ベーシックな商材では「ユニクロ基準価格」には勝てない。
ユニクロ基準価格を乗り越えるためには、明らかに素材感・デザイン・色柄・シルエットなどで勝っている必要がある。そして価格も明らかにユニクロよりも高く設定しなくてはいけない。

ターゲットは絶対に中~高所得者層である。

今ふと思い付いたのだが、各ブランドのターゲット顧客は、年齢やテイストではなく、所得の多寡を第一優先にすべきではないか。

所得>テイスト>年齢

というのが優先順位ではないだろうか。

中~高所得者層に向けて、明らかにユニクロとは差別化できた外観を持つ高額商品を販売する。
これがユニクロ以下の規模しか持たないアパレルが採るべき方向性ではないかと思う。

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