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南充浩 オフィシャルブログ

若者に存在すら知られていないベネトン ブランドが忘れ去られる速さ

2017年12月4日 企業研究 0

以前にも書いたが、月に何度かファッション専門学校で講義をすることがある。
まあ、めんどくさいことも多いが、10代後半から20代前半の若者の意見を聞くことができて、非常に勉強になる。
若者論をぶち上げるつもりは毛頭なくて、自分たちの若い頃と同じ部分もあるし、まったく違っていて驚かされることもある。
時代が変わって、生活様式も変わっているので違っている部分があってもそれは当然で、25年前とまったく変わらないのであれば、そちらの方が逆に驚異的である。
先日、講義の中で「ベネトン」というブランドについてチラっと触れた。
反応がいまいちだったので、「ベネトンって知ってる?」と尋ねてみたが、10人強いる学生の全員が「知らない」と答えて驚かされた。
現在、ベネトンの商品を買っている人は少ないのではないかと思うが、30代以上の業界人で、ベネトンの名前を知らない人はほとんどいないだろう。

2010年ごろに買ったベネトンのセーター。2700円くらいに値下がりしていた。


 
ベネトンは近年、国内の店舗網を減らし続けてきた。
2000年頃から国内に積極出店していた大型路面店もほとんど閉店してしまった。
心斎橋店は2011年に閉店しているし、表参道店は2014年で閉店している。
梅田店も閉店して、その後はヨドバシカメラ梅田店内に中規模店として移転している。
(現在ではアウトレット店となっているらしい)
たとえば、18歳の若者がいたとして、この人がファッションに興味を持ち出したのは、早くても12~13歳くらいだろう。
遅ければ、15~16歳くらいだろう。
そうなると、6年前にはベネトンのメガストアが閉店し始めており、2年前にはベネトンメガストアのほとんどの店舗(2014年当時は熊本店を除く全店閉鎖)が閉鎖してしまっており、ファッションに興味を持った時点では、彼らにとってベネトンはこの世に存在していないに等しいブランドになっていたといえる。
だから彼らがベネトンというブランドをまったく認知していなかったとしても何の不思議もない。
さらにいえば、ベネトンの公式サイトを見ても店舗数がめっきり減っている。
東京には1店舗、愛知県には5店舗、関西には京都1店舗と大阪の八尾に1店舗しかない。
そうなると、関西の若者だけでなく、東京の若者にだって認知されていないという可能性が極めて高いと考えられる。
そして、ウェブ上でもベネトンに関するニュースはほとんど流れてこないし、SNS上でもベネトンの情報が流れてくることもない。
こうなると、若い人が「知らない」というのは極めて当然である。
単にベネトンをdisりたいのではなく、露出が減るとたった5年くらいで忘れ去られたブランドになり果てるというこことが言いたいのである。
これは各ブランドが気を付けなくてはならないと思うのだが、一般消費者が忘れる速度は驚くほど速い。
店舗数が激減してウェブ上でも見かけなくなればその存在なんて5年くらいで忘れ去られてしまう。ベネトンが好例ではないか。
じゃあ、忘れ去られないためにはどうすれば良いのかというと、財務的に店舗数が維持できなくなったら、圧倒的にウェブ上での情報発信をするほかない。
そうしないと、実際の日常でも見かけない上にネットでも見かけなくなるからあっという間に忘れ去られてしまう。
いささか状況は異なるが、9月下旬にTOKYOBASEの飲酒接客が炎上したが、たった2か月後の現在、すっかり話題は沈静化している。
一般消費者の忘れる速さというのはこれほど速い。
これを逆に考えると、店舗数も情報発信も激減したブランドが忘れ去られる速度はどれほど速いのかということがわかるのではないか。
はっきり言って、今の状態から国内でベネトンのブランドイメージを回復させることは至難の業である。
レノマパリスが何をやってもブランドイメージを回復させられないことや話題に取り上げられないことを鑑みれば、一目瞭然だろう。
一方で、無節操なセレクトショップコラボを多発して露出を圧倒的に増やしたチャンピオンがそれなりに人気ブランドとなっていることは、これの逆バージョンではないかと思う。
チャンピオンなんて、30代半ば以上の人にとっては、部活のときの練習着とか体操着というイメージしかない。
あの目玉みたいな「Cマーク」もなんだかダサく思える。
しかし、今のファッション好きはあの「Cマーク」のデカいロゴのTシャツやスエットを得意気に着ている。
おっさんからすれば部活の練習着かと思ってしまうのだが、市場の価値観は変化するものである。
広く知られなくてもしっかりと顧客に密着してビジネスを行えば良いという意見もあるだろうが、今の中高年層の支持者はいずれこの世からいなくなる。人間は誰でも確実に死ぬからだ。
そうなると、若い世代に知られていないということは、ブランドとしては致命的な欠点だといえる。
いずれ今の顧客が死に絶えてしまうと、新しい世代には顧客がいないということになってしまう。
そのあたりを考えると、企業やブランドが永続的に続くためには、比率は別として若い層へのアプローチは絶やすべきではないと思う。
知られていないのは存在しないのも同然なのである。
それにしてもベネトンの知名度がここまで低くなっているというのは衝撃的だったし、まさしくゼネレーションギャップそのものだといえる。
他のアパレル企業・アパレルブランドもご注意を。

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