ジーンズメイトには新ブランド投入ではなく抜本的な改革が必要
2017年9月29日 ジーンズ 0
先日、ジーンズメイトの新自社ブランド「メイト」を売り場で見た。
その感想は「決して悪くない」である。
メンズでいうと、ジーンズ、ボタンダウンシャツ、ジャケットというラインナップで、今後、さらに新型も投入されるのではないかと思う。
素材を触ってみたが、まあ、それなりに悪くはない。
試着してみたわけではないが、マネキンに着せている感じをみると、シルエットやサイズ感も悪くはない。
認知されれば(これが難しいのだが)、それなりに売れるのではないかと思う。
ジーンズは、最近増えているハイストレッチデニム生地が採用されており、かなり伸縮性が高い。
穿いてみれば快適なのだろうとは思う。
しかし、懸念・疑問も山のようにある。
まず、商品のテイストを見ると、男性は30代・40代をターゲットにしていると感じられる。
そうなると、何年か前から発売していた自社ブランド「ブルースタンダード」と重なる。
ブルースタンダードのターゲットは37・5歳だ。
「メイト」と同じである。自社ブランド同士が競合することになる。
売上高が低下しているジーンズメイトにあって、自社ブランド同士が競合して食い合うことは決して良い状況ではない。
また、テイストも似ており、メイトはベーシックなトラッドカジュアルであり、ブルースタンダードも同じである。
売上高が100億円を割り込んだジーンズメイトにあって、同じターゲットで、同じテイストの自社ブランドが2つも必要だろうか。
当方は2つも必要ないと思う。
そのあたりを意識してか、ブルースタンダードはブランドロゴを変え、商品テイストもやや若向きに変わったように感じるが、売上高が縮小し続けているジーンズメイトに2つのメイン自社ブランドが並立する意味があるとは思えない。
どちらか1つを廃止すべきか、まったく異なるテイストに変える必要があるのではないか。
次に、「メイト」を並べる店頭の印象だが、これが従来の店づくりと変わっていない。
内装、什器、他の商品群、ともに従来と変わっていない。
そうするとどうなるかというと、中高生向けの店にオッサン向け商品が並んでいるという状態がまるで解消されていないということになる。
これはブルースタンダードが開始されたときからまったく解消されていないジーンズメイト最大の課題である。
いくら素材が良かろうが、テイストが良かろうが、店舗と商品がミスマッチなら売れるはずもない。
ここを解消せずして、いくら「モノヅクリガー」と叫んでみたところでそんなものは、供給側の自己満足でしかない。
ライザップの手腕もあまり当てにならないのではないかと思う。
また、価格設定も微妙だと感じる。
ジーンズが4990~6990円なのだが、ユニクロよりは高い。
決して高すぎるとは思わないが、すごく価格訴求力があるわけでもない。
わざわざ、ユニクロではなくここで買う意味が感じられない。
もちろん、製造工程や商品の完成度からして、この価格設定が不当だとは思わないし、ジーンズメイト側も相当に努力しているとは思うが、ユニクロの3990円ジーンズではなく、ここで買う意味を感じられないという消費者は相当多いのではないかと思う。
そこを覆す説得力を今度どれだけ高められるかである。
これはかなりハードルが高い。
また、売り場全体で見たときに、いかにも中高生向けというデザインで価格も激安な商品があふれている中で、このテイスト、この価格ではブルースタンダード同様にかなり浮いていて、割高に見えるという逆効果もある。
シンボリックな新商品を開発するよりも、店舗内装・什器の変更、他の仕入れ商品のマーチャンダイジングの変更こそが、ジーンズメイトの急務である。
ここを放置したままで、新商品を開発・投入するというのは、典型的な物作り脳で、これまでのアパレル業界の悪癖そのものである。
今春くらいからジーンズメイトの店頭はかなり商品量が減っている。
以前だと圧迫感があるくらいに商品が陳列されていたが、これがだいぶと間引かれて、逆に店頭はえらくスペースが空いているようにさえ感じられる。
経済誌や業界紙では、第1四半期決算でわずかながら黒字転換したため、ライザップの経営手腕を持ち上げているが、この微細な黒字転換は商品の仕入れ量・製造量を抑え、店頭在庫を圧縮したことによるものでしかない。
逆に営業利益率は前期よりも低下している。
小手先で改善しただけで、根本的問題は何も解決していないとさえいえる。
目新しさが何もない新ブランド「メイト」を投入した程度では戦局は変わらない。
先日、ライザップはグンゼと提携して、着用しているだけでバイタルデータがわかる機能性ウェアを発表した。
例えば、こういう画期的な機能性商品を投入するくらいのインパクトがないと、新商品投入という手段では局面は打破できない。
いっそのこと、グンゼが開発したこの機能性衣料をライザップ傘下のジーンズメイトで販売してみてはどうか。
従来のアパレル的な新ブランド投入よりもよほど、効果が期待できるのではないか。
ジーンズメイトが上昇基調に転じるには、「メイト」投入のみでは厳しく、店作りから含めた抜本的な改革がなされない限りは不可能に近いと言わざるを得ない。
今後の施策を見守りたい。
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「原価率50%」商法はナンセンスでしかない
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