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南充浩 オフィシャルブログ

ステュディオスは「フレンドリー」と「馴れ馴れしい」を混同しているのではないか?

2017年9月26日 企業研究 0

もう、20年近く前になるだろうか。
店舗を開設したのはもっと昔になるはずだが、20年くらい前、関西のローカルバラエティ番組でちょくちょく採り上げられる女性肌着の店があった。
あんまり興味もないから記憶がおぼろげなのだが、船場センタービルに店舗があるのか、船場センタービルの近所に店舗があるのか失念したが、まあ、いわゆる本町界隈に店舗を構えていたはずだ。
価格が安いということで評判だったそうだが、もう一つの名物は、オーナー店主のおばちゃんが個性的だったということだ。
他人からはちょっと理解不能なおばちゃんのマイルールが存在し、それをお客にも徹底的に守らせる。
おばちゃんは「お前は俺の親戚のおばはんか?」というくらいのタメ口で、気に入らない客・マイルールを守らない客は容赦なく追い返した。
マイルールも「男性同伴で来店するな」とかなんかそういう意味不明のものばかりだった。
個人的にはこんなめんどくさくて、暑苦しいおばちゃんのいる店なんて行きたくないなあと思って見ていたが、それが魅力だといって、通っている女性も当時は多かったらしい。
その後、女性肌着も安くて良い品がたくさん販売されるようになったし、あのおばちゃんも相当な老齢だろうから、この店が今も存続しているのかどうかはわからない。ときどき、ふと思い出すことがある。
世間相場で考えればありえないような対応をする店でも、そこにコアなファンができることも多い。
だから、そういうやり方もありだとは思うが、そういう良くも悪くも「個性的な店」は多くの場合は個店であり、小規模チェーン店であり、非上場の私企業である。
いわゆる「公器」としての性質が強い上場企業ではこういうやり方はあり得ないし、到底許されるものではない。
ステュディオス店員が「ビール飲みながら接客していた」ツイッター投稿で炎上
https://www.fashionsnap.com/news/2017-09-25/studious-service/
これがSNS上をにぎわせている。
店舗のレセプションだったということで、閉店後にウェルカムドリンクを提供しながら、商品を見てもらうというイベントだった。
阪急メンズ館だってこれと似たようなイベントを毎年開催している。
しかし、店員側が一緒になって酒を飲みながら接客するというスタイルは見たことがない。
説明された状況によると、閉店後ということにもかかわらず閉店前にお客が入ってきたため、フライング気味にドリンク類を配布したとのことだが、お客に配布するのは理解できるが、何故そこで自分たちが一緒に飲むのか理解できない。
余りにも馴れ馴れしすぎるのではないか。販売員が自らをウェルカムしてどうするのか。
2000年までくらいの個店とか路面店なら正月にはときどき見られた風景だが、それこそ「公器」たる上場企業が商業施設内でやるというのは、2000年まででもなかなか見られる光景ではない。
ファッションスナップドットコムの記事は、ひどく好意的にまとめられている。
そんなに気を使う必要があるのかどうか疑問でしかないが。

同社はフレンドリーな接客に定評がある。昨年導入した「スーパースターセールス制度」という販売員の売上の10%を給与に還元する制度により年収700万円を得る販売員も在籍している。

との一文があるが、「フレンドリー」とはソフトに書きすぎているのではないかと感じる。
このビール問題が起きるより以前から、ステュディオスの接客態度が悪いというのは、SNSでは公然と指摘されていた。

「一見さんにでもタメ口で接客する」
「つきまといがひどい」
「態度がデカくてなれなれしい」
「押し売りされる」
「Lineを交換したら夜中でもセールの案内がバンバン送られてくる」

などなどだ。
もちろん、すべての販売員ではないが、こういう販売員が各店に少なからず在籍しているというのはいかがなものか。
これが、船場センタービルにある個店なら珍しい話ではない。
しかし、仮にも上場企業であるなら、こういうことを放置している経営者の常識を疑う。
「フレンドリー」と「馴れ馴れしい」「無礼」とは全く別物だということを販売員も経営者も認識する必要がある。
常々、「LVNHを目指す」とステュディオスを運営するトウキョウベースの経営者は公言しているが、LVMH傘下のどの店舗でそんな無礼な接客が行われているのだろうか。
接客スタイルは店舗ごとの裁量にある程度は任されているのだろうが、それにしてもビール事件の店舗だけではなく、他店でもそういう無礼で馴れ馴れしい接客スタイルがまかり通っているということは、各店の責任者やマネジメント層に人材が不足しているといえる。
また、記事中にもあるように

昨年導入した「スーパースターセールス制度」という販売員の売上の10%を給与に還元する制度により年収700万円を得る販売員も在籍している。

という成果主義が間違った方向で各店で発露しているのではないか?
売れば売るだけ収入が増えるから、お客と積極的にLineを交換してガツガツと頻繁に営業メッセージを送る。
それが良いというコアな少数のファンもいるのだろうが、大多数からすれば鬱陶しいことこの上ない。
出来の悪いキャバクラなのかというようなやり方である。
業界では「急成長に人材の育成が追いついていない」という噂も流れている。たしかに件の「馴れ馴れしい販売員」たちは到底育成されたとは言い難い。
今のままのやり方を放置していては、いずれトウキョウベース自体がもっと評判を落とすことになるだろう。
こういう売り方を良しと考えているなら、株式公開などせずに私企業であり続ければ良かったのである。
今回の炎上に関して同情的な声も一部では聞かれるが、もしステュディオスが「親しまれる」「愛される」系の店ならここまで炎上しなかったはずだ。ここまで炎上したということはいかに、そのガツガツとした販売姿勢が嫌われていたか、アンチを作っていたかということにほかならない。ここまで嫌われているブランドや企業がLVMHのようになるのは不可能に近いのではないかと思う。
景気の悪い話が続くアパレル業界にあって、好調が続くトウキョウベースを次世代スターに押し上げたいような雰囲気を感じるが、今のままの状態でスターに押し上げるのは、トウキョウベースにとっても業界にとっても不幸な結末を迎えることになる。
NOTEを更新しました⇓
「原価率50%」商法はナンセンスでしかない

https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nf12f449b36a1
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