オッサンが着用すると間違いなくダサく見える最新アイテム
2016年3月30日 展示会レポート 0
今から20~30年くらい前、亡母がテレビを見ながらこんなことをよく言っていた。
「私らが若いころに流行った服がまた流行している。私らはあれの何が良いのかよくわからん」と。
今年46歳のなる初老の筆者も最近のファッション傾向を見ていて、同じ気持ちになる。
確実に年老いていることを実感する。
とくに3年くらい前からバブル期のファッションがリバイバルするようになってそう感じるようになった。
今から20~30年くらい前のファッションが断続的にリバイバルしている。
例えばクラッチバッグ。どうしてもバブル期にオヤジ連中が小脇に抱えていたセカンドバッグに見えてしまう。
若い人が抱えていると新鮮に見えるが、30代半ば以上の男性が抱えていると、25年前の商品を引っ張り出してきたように見える。
そう、バブル期前後のリバイバル商品は今のオヤジ世代が身に着けると危険である。
一部の例外的オヤジを除いて、9割くらいのオヤジはバブル期そのままの風情になってしまう。
先月から断続的に今秋冬向け展示会にお邪魔している。
業界紙記者時代とは異なり、体系立てて訪問できるわけではないので、お付き合いのあるブランドをいくつか覗かせてもらうという形になる。
そうすると、そこでは筆者が20代に見たアイテムがリバイバルされていることが多くて驚かされる。
とくに今秋冬向けアイテムはその傾向が強い。
今回はオッサンが着用すると間違いなくダサく見えるアイテムをいくつか紹介したい。
懐かしのジーンズブランド「リベルト」の復活。
以前、エドウインが企画生産していた「リベルト」が久しぶり(たぶん10年ぶりくらい)に復活する。
今回は、エドウイングループのリー・ジャパンが企画生産し、ドリームワークスが卸売り営業を担当する。
以前の常見時代のエドウインなら考えられない他社との役割分担で、このあたりは伊藤忠商事効果なのかもしれない。
今回、展示会で見たところ2品番だけだったのだが、「アイダホ」という品番のデニム生地を見て驚いた。
ちょうどバブル期に各社で良く使われていた表面感の生地である。
これをワンウォッシュと懐かしのストーンウォッシュの2色で展開する。
縦落ち感のないワンウォッシュと、全体的にのっぺりと色が薄くなるあの懐かしのストーンウォッシュである。
(縦落ち感のないワンウォッシュ)
(懐かしのストーンウォッシュ)
このストーンウォッシュを見ていたら、ジーンズのポケットの中からよく丸っこい軽石が出てきたことが思い出される。
96年ごろから始まったビンテージジーンズブームから縦落ち感が重視され、ところどころに大きな節(フシ)のあるスラブヤーンがデニム生地に使われるようになったがそれ以前のデニム生地はこういう顔をしていた。
ヒゲ加工が生まれたのもビンテージジーンズブームから。
それ以前は全体的にのっぺりと色を落としていた。
それを再現している。しかし、今回は表面感は同じでストレッチ混である。
これは若い人たちには新鮮ではないかと思うが、オヤジが穿くとダメである。
絶対にバブル期そのままの姿になる。
バブル期のコスプレがしたい人はぜひとも挑戦してみてほしい。
次はアルファインダストリーのアイテムである。
まずスカジャン。
襟なしアイテムの人気からMA-1が復活し、その派生でスカジャンに注目が集まっている。
個人的にはスカジャンというアイテムは好きじゃなく、これが似合っている日本人男性は老若ほとんどいないと感じる。相当に顔面と体型偏差値が高くないと似合わない。
それでも若い人の着用は何となく許せるが、オッサンが着ると大概は目も当てられない。
若いころのヤンチャ(笑)ぶりを自慢する老ヤンキーにしか見えない。
これはリバーシブルで、裏返すとMA-1としても着用できるお得アイテムだ。
筆者は絶対に試さないが、興味のある人は試してもらいたい。
ここ8年間くらいズボンのシルエットはタイトが主流だが、トレンド最先端としてワイドシルエットが注目されている。しかし勘違いしてはいけないのは、マス層は依然としてタイトシルエットで、先端層がワイドを注目しているという点である。
そこでこんなダボっとしたカーゴパンツが打ち出された。
オッサンがこれを穿いたら間違いなく作業員に見える。
超イケてるオッサンがかろうじて刑事ドラマ「相棒」に登場していた亀山薫に見える程度で、筆者も含めたそこらへんのオッサンは間違いなく作業員に見える。
亀山薫はダボっとしたカーゴパンツにアルファインダストリーのトップスを合わせていたから、亀山薫のコスプレをしたい人にはちょうど良いかもしれない。
これにレザーのライダースジャケットを合わせると懐かしのチーマー風情が出来上がる。
髪型もサラサラロン毛にすればかなり再現度は高い。
オッサンが年老いた元チーマーになってみるのも面白いかもしれない。筆者は絶対にしないが、笑いは取れるだろう。
オッサンが多少なりとも「イケてる」風に見えるためには、ちょっと綺麗目にまとめる方が無難だ。
パンツは細身で全身をトラッドテイストとかアイビー・プレッピーテイストにまとめる。
これで高感度は少しは上昇する。
下手に全身アメカジとかイタカジにまとめると元ヤンキーとか水商売好きのイタイオッサンに見えてしまう。