インターネット通販はすでにレッドオーシャン
2016年2月17日 考察 0
昨年夏ごろから、このブログもアマゾンのアフィリエイトを貼りつけるようにした。
いつもの記事の最後に出てくるのがアマゾンのアフィリエイトである。
これを貼りつけるようになってから、アマゾンの衣料品の通販をときどきぼーっと眺めるようになった。
何を今更と思われるかもしれないが、見たこともないブランドで溢れかえっている。
その多くは低価格品だ。
通常、百貨店、ファッションビル、ショッピングセンターに出店しているリアル店舗の場合、そのほとんどは見知ったものが多い。
こんな仕事を18年近くもやっているので、商業施設に出店するブランドはだいたい見知ったものが多く、詳しくは知らないまでも名前くらい聞いたことがあるというのがほとんどである。
見たことも聞いたこともなかったというブランドは滅多にないのだが、インターネット通販は反対に知らないブランドの方が多いくらいである。
ここまでブランドが無数に増えており、おまけに価格帯も商品の見た目も同質化している。
画面上で見える同質化は、リアル店舗の同質化よりもひどいのではないかというのが個人的な感想だ。
リアル店舗の場合、パっと見た感じが似ていても、商品をよく見ると生地の風合いが違っていたり、
店の看板のデザインが違っていたりで、区別しやすいのだが、画面上でズラっと商品だけを眺めていると、どれもこれもほとんど区別がつかない。
おまけに有名ブランドと微妙に似たようなブランド名を付けているブランドもあり、一瞬間違えそうになる。
この手法はリアル店舗でも昔からよくある。
激安の聖地と勝手に読んでいる天神橋筋商店街だが、手描きで「G-starのシャツ」と描かれたPOPがあって、以前から気になっていた。
明らかに不良在庫を格安で引き取ってきて投げ打っている店なのだが、「G-starの在庫も出回っているのか」と興味を持って、毎回眺めていた。
その割にはG-starでは見たこともないデザインのカジュアルシャツが並んでいる。
何度目かのときに手描きPOPをもう一度よく見直してみると、「G-stage」と描かれていることに気が付いた。
どうりで見たこともないデザインのシャツだったわけである。
別ブランドだったということである。謎は解けた。
先日、アマゾンでディーゼルと検索をすると、3000円弱のジーンズが出てきた。
何と激安品なのかと思って、良く眺めると何かがちょっと違う。
洋服そのもののデザインも筆者の知っているディーゼルとは異なっている。
(ディーゼルパワーのスキニー)
ブランド名をもう一度よくみると「ディーゼルパワー」と書いてある。
これはちょっとやられた。
ディーゼルとは本来重油を燃やす内燃エンジンのことであり、発明者の名前である。
業界だと「ディーゼル」というとイタリアのブランド名だが、発明者はフランス生まれのドイツ人である。
日常会話では、ディーゼルエンジンとかディーゼル機関という使われ方をする。
そのため、筆者にとってはディーゼルパワーというのは、何とも違和感のない響きで、すんなりと受け入れやすい。
ちょっとした工業用語のようにも聞こえる。
このブランド名を名付けた人はなかなかのセンスであり策士といえる。
おまけにあの「ディーゼル」とも混同されやすい。もちろんそれを狙ったネーミングだとは思うが。
それはさておき。
今、盛んに「EC化比率を高めよ」と言われる。
しかし、すでにインターネット通販はレッドオーシャンである。
Yahooだけで34万店、楽天だけで4万店のネットショップが出店しているといわれている。
ほかにアマゾン、ZOZOTAWNなどもあるし、中小のモールもある。
またブランドの単独ショッピングサイトもある。
はっきり言ってしまえば、無策でインターネット通販になんて乗り出したところで、埋没してしまうのが落ちである。
よほどの仕掛けを考えないと浮かび上がることはできない。
先日、coco azabu というインターネット通販事業者が破産した。
衣料品ネット通販の「COCO AZABU」に破産開始決定
http://www.fukeiki.com/2016/02/coco-azabu.html
このサイトはまだ閉鎖されていないので見ることができる。
なかなか綺麗なデザインのトップページであり、他の構成もなかなかしっかりしている。
従業員は30人くらいだからそれほど大きな事業者ではない。
しかし、このくらいきっちりとサイトを作くりこんでいても倒産してしまう。
「単にインターネット通販をやりました」というだけでは埋没してしまうのである。
インターネット通販をやるなとは言わないが、「インターネット通販を始めたら即座に売れ始める」という甘い考えは今すぐに捨てるべきである。
そういう視点でいうなら、ディーゼルパワーは相当な策士であると密かに注目している。
そこらのへなちょこコンサルが提案するプランよりもよほど上手である。