新しいことをやれば必ずどこかから批判はある
2015年11月25日 考察 0
新しいことを始める際には必ずどこかから批判なり非難される。
それは利害関係にある、同業他社からだったり他業種からだったりする。
例えば、某産地は助成金をもらったりもらわなかったりしながら長年、一般商業施設で展示会を開催しているのだが、なぜ直接販売をしないのか不思議で仕方がない。
ファッションビルの催事スペースや地下街の催事スペースで業界関係者だけではなく、一般消費者にも見てもらうことを目的としているのである。
なら、ほんの2~3日のことなのだから、「サンプルセール」とでも銘打って直接販売すれば良いと思うのだが、それをしない。
理由は2つある。
1つは助成金を受け取っている期間は、営利目的の販売活動ができない
もう1つは、主要な卸先である問屋から有言無言の圧力がある
この2つである。
助成金の縛りによってというのは仕方がない。
それが不満なら助成金を受け取らなければ良いだけの話である。
受け取った限りは従うべきである。
問題は後者の方である。
助成金を受け取っていない期間なら直接販売することは可能である。
しかし、その際には問屋からの圧力がある。
新しいことを始められるかどうかはこういう圧力に屈するかどうかである。
衣料品業界だけを考えてみても過去様々な企業が新しい分野に進出している。
まあ、小売店が自主企画製品まで製造するようになったユニクロの例は有名だがそれ以外でもさまざまある。
アパレルで見ても、もともと卸売り主体だったのが、直営店も複数オープンさせている企業も何社もある。
以前一度取材したレディースの直営店では、やっぱり直営店初出店の際は、卸売り先の小売店から「ちょっとやめてもらえませんか」という有言無言の圧力はあったという。
また地方の問屋が自主企画によるブランドを立ち上げたケースもある。
その際はやはり卸売り型アパレルからの何らかの圧力やクレームがあったという。
だからやめるのか、それでもやるのか、さまざまな利害得失は計算するにしても、最終的には経営者の判断ということになる。
経営者の腹が据わっているのか、据わっていないのか、だけではないかと思う。
従来通りのやり方をルーチンにこなしていて売上高が伸展する、または維持できるのならそれでも良いだろうが、アパレルも含めた繊維産業の場合は、放っておくと売上高は減少する。
また従来の業界構造が時代を越えてもずっと適正であり続けるとは限らない。
問屋なんてまったく不要にはならないが、年々売上高は減少するほかない。
もしくは同業他社がつぶれまくって残存者メリットを享受するかのどちらかである。
となると、自社を存続させるためには、新たな手法を模索するほかない。
他業態へ進出するのは侵略ではなく自衛である。
いくら、業界全体が平穏に過ごせても自社がつぶれてはどうしようもない。
自社が存続するために業界が騒然となるなら、自社の存続を選ぶのが普通の考えだ。
その意思がなければ余力があるうちに廃業すれば良いのである。
さて、件の産地だが、助成金を受け取っていない期間は堂々と直接販売をすれば良いのではないか。
どうせ、催事期間なんて2~3日しかない。
これが常設店ならまあ、問屋の危惧もわからないではないが、2~3日程度なので「すみませーん。ちょっとの期間ご迷惑をおかけしまーす♪」とかなんとか言いながら販売会をやってしまえば良い。
もし仮にその販売が積み重なって産地や製品のブランド知名度が向上したら、そうやって圧力をかけてきた先ほどコロっと態度を変える。
実績に弱いのがこの業界の常態だ。
そういう先ほど、産地の知名度が上がれば「以前から良い製品作りをする産地だと評価してたんだよね~」と言い出すのである。
現金な輩である。
そんなわけで筆者は産地もどんどんと新たな取り組みに挑戦すれば良いと思う。
何もしないなら「国が悪い、景気が悪い、業界構造が悪い」なんて文句はいわずに淡々とルーチンをこなせば良い。ストレスは飲酒だかゴルフだかで発散して。
業界構造が悪いと思うなら自ら打ち破る努力をすべきではないか。
それ以外に業界構造が変わることはあり得ない。ある日突然目が覚めたら業界構造が変わっていましたなんてことはあり得ないのだから。