自社ECサイトの売上高が伸びにくいのは「アプリ増えすぎ問題」が原因の一つ
2026年4月16日 ネット通販 0
数年前には「ポイントカード増えすぎ問題」があった。
各社が独自でポイントカードを発行しているため、全部に登録しているとポイントカードが増えすぎて管理が煩わしかった。
このため、当方はよほど愛用する店以外はポイントカードを作らなくなった。
スマホがマス層にまで普及するとポイントカード増えすぎ問題は解決した。なぜなら、スマホ内のアプリにポイント付与機能があるからだ。
しかし、今度は「アプリ増えすぎ問題」が発生しており、それは今もなお解決される見通しが無い。解決どころか、各社は続々と自社・自ブランドアプリを発行し続けている。
そうなると、めんどくさがりな上に終活がちらついている当方は、よほど愛用するブランド・企業以外のアプリのダウンロードをしなくなった。もうこれ以上アプリをスマホ内に増やしたくない。いちいち、IDとパスワードを決めてそれを管理するのがめんどくさくてたまらない。
この「アプリ増えすぎ問題」は恐らく、多くの人の共通の悩みだろうと思われ、それが自社公式サイトの通販売上高の伸び悩みの大きな原因の一つではないかと思われる。
例えば、このアンケート調査記事。
最もよく利用する購買チャネルは「ECモール」63%、「公式サイト」9%。“失敗”しないためにレビューを信頼する人は72% | ネットショップ担当者フォーラム
最もよく利用する購入チャネルを聞いたところ、最多は「ECモール」で63.8%、続いて「フリマ・マーケットプレイス型」が9.1%。「メーカー・ブランドの公式サイト」は9.0%だった。
シードは「公式サイトは情報確認やブランド理解の場として機能し、購入経験のある接点にはなっていても、日常的に使われる購入の場としては定着しにくい。日常的な購入の場としては、比較のしやすさ、レビューの蓄積、決済や配送のスムーズさを備えたECモールに優位性がある」と解説している。
とのことで、買い場としては圧倒的にECモールとなっており、公式サイトでの買い物はわずか9%にとどまっている。
ZOZOTOWNが急激に拡大していた2010年代後半、各衣料品ブランドは利益率改善の観点から、自社公式サイトでの販売を強化しようとしていた。またそれが妙手だと当時は考えられていた。
ブランド側の利益率改善の観点からはそれは全く間違いではないし、いまだに妙手だが、消費者視点から考えると「アプリ増えすぎ問題」が発生しやすくなり、利便性が大きく損なわれるということになる。
お気に入りのブランドが見つかるたびにアプリをインストールすることになるが、それが5つ、6つくらいまでなら我慢できるが、10個、20個となってくるととてもではないが管理できないし、管理する気力が萎える。
それらのブランドが大手ECモールに入店していたなら、逐一、各アプリをインストールするよりも大手ECモールのアプリをインストールして、その中で「お気に入りブランド」として登録した方がはるかに楽である。
必然的にECモールでの購買が増えることにつながる。
もちろん、例外的に自社サイトが強いブランドもある。
衣料品で言うと、ユニクロ、ジーユーだろう。理由は、ほとんどECモールには出店していないからである。そうなると必然的にユニクロ、ジーユーの自社サイトから買うほかない。
衣料品とは異なるが、ガンプラはECモールよりバンダイナムコの公式サイトの方が強いのではないかと思う。理由はAmazon、楽天などの大手ECモールは転売ヤーがマーケットプレイスに出店していて、定価よりもはるかに高くなっている。一方、プレミアムバンダイは当たり前だが定価で販売している。
そのため、ガンプラ過熱ブームが始まってからは当方はAmazonで全く買わず、たまに送料無料クーポンが送られてきたときだけプレミアムバンダイでガンプラを買っている。
あと、ガンプラで言えば転売ヤーが跋扈するAmazon、楽天よりも定価販売を崩さないDMMの方が良い。
このガンプラの場合、マーケットプレイス方式を受け入れた大手モールの方が転売ヤーによって価格が吊り上げられており、定価販売である公式サイトの方が「お得感」が出ている。そうなると公式サイトの方が強い。あとは定価販売のDMMか、である。
これとは逆に品薄でなければ、公式サイトよりECモールの方が安いということが多く見られ、その場合、確実にECモールの方が売れてしまう。
当方がこの目で確認した範囲でいうなら、アシックス商事のテクシーリュクスは、公式サイトでは定価販売されているが、楽天やAmazonではマーケットプレイスで定価よりも安く販売している業者が複数見つかる。
そうなると、どちらで買うかというとECモールになってしまう。
ガンプラのように品薄で転売ヤーが跳梁跋扈している状況になれば、定価販売を崩さない公式サイトが強くなる。
先日、某ブランドのEC関係者と雑談したのだが、その際「自社公式サイトからの売上高が伸びず、ECモール経由の売上高がずっと伸びている」と話されていて、ちょうどこの記事に書かれていることがそのまま起きている状況だった。
ガンプラのような品薄状態が出現しない限り、アプリ増えすぎ問題と相まって、公式サイトからの直販が伸びるという状態を作り出せる企業やブランドは今後も増えにくい状況が続くのではないだろうか。
利益率改善のための自社EC強化という課題はなかなか実現しづらさが増しているのではないかと思われる。
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